揺れる高校入試 ~諸制度が続々と変更・変更予定に~ ①

2013年1月7日

ここ最近で、高校入試の制度変更(予定を含む)に関する話題が多くなっています。

今回から3つのエントリーに分けて、近畿地区の高校入試に関わる話題を拾い上げて参ります。

まずは、先般発表されました大阪府における「学区撤廃」に関する話題です。

①大阪府 「学区撤廃」が正式決定、新中3生より

12年3月に学区撤廃が盛り込まれた府立学校条例が府議会で可決されたこともあり、かねてから「時間の問題」となっていた大阪府の学区撤廃ですが、この程2014年度入試から撤廃、ということで正式に決定されました。

これにより、現在の中学校2年生が高校を受験する2014年度より、府内全域から全日制普通科高校を選べるようになります。

————————————————————————————————————————-
公立高校の学区、廃止を正式決定 府教育委員会議 大阪(2012年12月20日 産経新聞)

今年4月施行の府教育関連条例で平成26年度入試からの廃止方針が盛り込まれた、現在4地域に分かれている公立高校全日制普通科の通学区について、府教育委員会議は19日、廃止を正式決定した。

廃止は受験生の選択肢拡大が目的。現在中学2年の生徒が26年に臨む高校入試から、府内のいずれの高校も受験が可能になる。

府教委は当初、中学校の進路指導が混乱する恐れがあるとして早期廃止に反発したが、今年1月に開かれた府市統合本部会議で、松井一郎知事や橋下徹大阪市長が2年後の廃止を「政治決定」。教育関連条例のうち、府立学校条例に廃止方針が盛り込まれた。
————————————————————————————————————————-

大阪府内に住んでいる受験生であれば、大阪府内にあるどの学校でも受験校として選択出来るようになるこの学区撤廃、利点としては「進路選択の幅が拡大する」という点が挙げられる一方で、十分な周知の必要性や都市部や一部の人気校に志願者が集中する「人気校と不人気校の格差」が大きく出てくることが懸念されています。

————————————————————————————————————————-
学区撤廃「府立高の情報発信充実を」(2012年12月20日 読売新聞)

四つある大阪府立高校(普通科)の学区を2014年度から撤廃することを正式決定した19日の府教育委員会会議では、学区撤廃後の課題を指摘する声や、高校などによる情報発信の充実を求める意見が相次いだ。

学区撤廃は、受験校の選択肢が広がる一方で、通学時間が長くなったり、学校間格差が広がったりするとの懸念もある。この日の会議でも、陰山英男・教育委員長が「人気が集まった学校と(不人気校と)のアンバランスが起きないか心配だ」との懸念を示した。

学校の選択肢が広がる点については、陰山委員長は「学校のウェブサイトを絶えず更新して紹介してほしい」と求めた。中学校の進路指導については、「合格者の平均点やボーダーラインなどの情報について、中学校はより細かいデータが必要になる」と高校にデータの公開を求める意見も出た。

府内の公立高の学区は2007年度、それまでの9学区が4学区に再編され、今年3月には、学区撤廃が盛り込まれた府立学校条例が府議会で可決された。
————————————————————————————————————————-

先にご紹介した以外の新聞記事では「今後府教委は、来年1月に府内公立中学の1、2年全員に学区撤廃を伝える印刷物を配布する」「予算要求段階ではあるものの、生徒や保護者が知りたい高校の情報を提供する検索用インターネットサイトや、中学校に志願動向などを即時提供できる進路指導システムの構築などを計画している」といった内容も見かけました。

学区撤廃を新中3生に浸透させることと、進路指導を行う中学校側での情報収集方法、といった所がクローズアップされていますが、それ以上に大阪府内にある全校が更に取り組みを充実させ、その内容を全地域に向けてアピールしていくことが何よりも大事なのではないかと思われます。

次回以降も、近畿地区の高校入試に関する話題をご紹介してまいります。