大阪成蹊女子高 ハード・ソフト両面で他校を凌駕

2011年10月3日

大阪成蹊女子高の塾対象説明会に行ってまいりました。

大阪成蹊女子高①

今年2011年度入試において、大阪成蹊女子高は入学者数443名を迎えられています。入学者増加数では大阪の私立高95校中で第4位、女子校25校の中では輝ける第1位、となっています。なお、大阪府私立高95校全体平均での入学者数増加率は113%であるのに対し、成蹊は150%となっている、ということも合わせてご紹介しておきます。

ちなみに過去の入学者数をひも解きますと、2007年度174名・2008年度198名・2009年度218名・2010年度295名となっており、着実に伸ばしてきていることがわかります。

また、外部募集定員数における専願者の率を算出してみますと、なんと158.8%となっています。これは「定員の約1.6倍もの数の専願受験者が居た」ということを意味します。

「女子校が不人気だ」と巷では言われていますが、こと大阪成蹊女子高については全く当てはまっていません。それには大変大きな理由がありました。

「なぜこれほどまでに大阪成蹊女子高は受験生を、しかも専願で集められているのか?」という秘密をしっかりと調査してきましたので、ご一読下さい。

大阪成蹊女子高②

大阪成蹊女子高はキャリア進学、幼児教育、美術・イラスト・アニメーション、スポーツの4コース制をとられており、4つのコースは2年進級時に(一定の条件はあるものの)自由にコース間移動が可能となっています。

まずこの点に驚きました。特に幼児教育、美術・イラスト・アニメーション、スポーツといったコースは専門性を要求するものですから、カリキュラム途中からの合流は望ましくないものとしている学校がほとんどです。そんな中で大阪成蹊女子高はOKとされています。これは人気の秘密の1つかもしれません。

各コースの取り組み内容を掘り下げてみたいと思います。

まずキャリア進学コースでは、高1時点では共通クラスとして基礎学力を伸ばしながら自分の適性を発見し、様々な体験をしながら人間としての幅を広げる内容として、高2進級時に志望進路別のカリキュラム等が組まれている5つの異なる「レーン」と呼ばれるものの中から1つを選び、進学を目指すという体制にされています。

レーンは次の5つです。

文系特進:難関私大の入試に合わせて英国社を強化
看護・栄養系:難関看護専門や看護大の入試に合わせて英国数(理)を特化
総合進学:併設大・短大への進学をベースにした高大短連携授業を実施
観光文化系:専門分野の講師による授業、課外授業の充実
食物・調理系:専門分野の講師による授業、課外授業の充実

なお、文系特進と看護・栄養系の2つについては外部大を、残りの3つは併設大短への内部進学が基本スタンスとされていますが、特に下の3つのコースからでも併設大短以外に進学している方も多数おられるようです。

幼児教育コースは併設短大の児童教育学科(幼児教育学と初等教育学の2つの専攻がある)への内部進学を目指すコースで、体験学習受け入れ園を近隣の市だけで約100園確保して体験学習を3日間×年4回×3年間実施したり、近隣の子どもたちを集めて生徒がミュージカルを上映したりするなど、実際に子どもとふれ合うことを最重要視されています。

ちなみに、北摂の主な幼稚園67%に併設短大の卒業生が在職しているのと、幼・保への就職率は100%である、という2点が併設短大の自慢ポイント、だそうです。

美術・イラスト・アニメーションコースは、マンガやイラストだけでなく美術館での学外授業や1・2年次宿泊研修などでいろんなものを見たり聞いたりすることを重視されています。

驚いたのは、この美術~コースには地下1階・地上3階の美術コース専用校舎・美術棟があってのびのび制作に打ち込めるという環境にあるだけでなく、画材屋も出店していて2割引きで必要備品を購入出来るというメリットもある、という点です。

充実した環境で、ストレスなく創作活動に思う存分没頭できることでしょう。

最後はスポーツコースの紹介です。スポーツコース専用、というわけではないものの、学校には次のような体育関連施設があります。

グランド×3
テニスコート×4(ナイター設備あり)
体育館×3
トレーニングルーム×2
プール(全天候型自動開閉式)
多目的ホール

・・・圧巻の設備です。これだけあればおのずとスポーツ各種には力が入ることでしょう。ちなみに、トレーナー常駐のコンディショニングルームもある、という点も驚きの一言です。

スポーツコース生は運動部への所属が必須とされていますので、ご注意ください。なお、強化指定クラブは陸上と水泳の2つです。

このコースのユニークな授業としては「ウォールクライミング(これも自校に設備あり)」が挙げられます。他校では見られない大変面白い授業ですね。

4つのコースをご紹介しましたが、どのコースともハード・ソフト面で非常に充実していることがお分かり頂けたことと思います。これだけ充実した設備や中身があるのですから、受験生たちから絶大な支持を集めていることも納得出来ます。

これら4つのコースの中身が大変充実しているからこそ先ほどご紹介したとおり入学者数がここ4~5年でうなぎ上りに増えている、ということはご納得いただけたことと思います。

それに加え、今年2011年度入試においては1つ「大きな変化」があったようです。

かつては入学者の評定平均が10段階で4~6の受験生が中心だったそうですが、今年2011年度入試においては評定平均5~7の受験生が中心となっただけでなく、評定平均8や9、春日丘高・千里高との併願者まで出てくるなど、例年よりも明らかにレベルが高い受験生たちが集まったそうです。

「良い学校」と評価されている学校であれば、たとえ女子校であってもしっかりと生徒は集まるんだ、という見本となっています。他の女子校も今後追随してくることでしょうけども、きっと大阪成蹊女子高は大学や短大も巻き込んでまた次の一手を打ってこられることと思います。

今の充実した教育内容を保ち続けることもそうですが、今後また新たな展開を見せる時が来たらどのような手を打たれるのか、を楽しみに待ちたいと思います。