大阪桐蔭中 入試要項大幅変更の「なぜ?」

2014年7月24日

大阪桐蔭中が実施されました、生徒・保護者向け説明会にお邪魔してきました。

説明会では、特に生徒さんたちのスピーチが印象に残りました。

さて、その説明会の中で、2015年度入試の要項が発表されました。詳しい中身は次の通りです(画像をクリックすると拡大します)。


※作成には万全を期していますが、詳細は学校HP等で必ずご確認下さい

赤い字で示しているところが、今年度入試から変更されている部分となります。入試日程だけでなく、入試科目についても手が入っています。特に、統一解禁日から5日目となる水曜日に後期を「先送り」されたのは、中学入試が「早期決着」となっている昨今の状況を鑑みますと、驚きです。

ここからは、開成教育グループ 入試対策課の「推測」でお話を進めます。

入試日程・入試科目の変更に至った背景には、2015年度から募集を開始する「神戸大学附属中等教育学校」の存在があるのではないでしょうか。

同校は、2015年度では40名募集、2016年度以降では80名募集の予定とされているなど、決して大きな募集定員を持っている訳ではありません。しかしながら、開催する説明会は大盛況で、7月20日(日)に実施が予定されている「KUチャレンジ」と銘打った一般適性検査の試行テスト(私立中でいうところのプレテストみたいなものでしょうか)には、300名定員のところに667名(男子304名・女子363名)という多数の申込があり、抽選で受験出来る300名が選ばれるなど、かなり注目を浴びています。

神戸市東灘区にあるこの学校のことを大阪桐蔭中が意識する「理由」について、次の画像をご覧ください(同じく、画像をクリックすると拡大します)。

大阪桐蔭中に通う中学1~3年の居住地についてまとめられた資料(同校学校案内より)なのですが、地元である大東市よりも西宮市在住の生徒が多く、尼崎・宝塚・川西・伊丹の各市からも多く通っています。

これらの地域は、JRに乗れば一本で学校最寄りの住道もしくは野崎に着きます。地理的には大東市に近いとはいえ、川を挟んだ向こう側にある吹田・高槻・茨木の各市と比べると、意外と通いやすさでは兵庫県の方に分があるようにも思えます。

兵庫県からの通学者が多いので、神戸大学附属中等教育学校に受験生が流れてしまう可能性が高い、ということになります。

反対に言うと、今回の神戸大学附属中等教育学校の募集開始によって「併願の私立中学を探そう」となった際に、大阪桐蔭中は通学圏内であることを充分にアピールすることで「受験者増」を狙っている、ということも考えられます。

ということで、同校を意識した(と思われる)入試要項の変更が各所に見られます。

①初日の入試科目を「算国+理or社選択」にした
⇒ 神戸大学附属中は「言語表現」「数理探究」の両領域に加え「自然環境」「市民社会」のどちらかの領域を選択、という試験科目

②今春は火曜日実施だった後期を、2015年度では水曜日に先送りにした
⇒ 神戸大学附属中の入試日は1月20日(火)

入試要項に大きく変更が入った理由は他にもあるのでしょうけども、最も大きな影響を与えたのは神戸大学附属中の存在ではないか?と思った次第です。