またまた上昇 国立出身者の教員就職率

2012年1月18日

文部科学省は、小・中・高等学校等の教員養成を目的とする国立の教員養成大学・学部卒業者(44大学・学部)の教員養成課程の就職状況について、毎年データを取りまとめて公表しています。この度、最新のデータとなる「平成23年3月 教員養成課程卒業者」についての平成23年9月末までの就職状況が発表されました。

簡単にこのデータをご紹介しておきますと、まず、国立の教員養成大学・学部(教員養成課程)卒業者の教員就職者数が6,494人(正規採用3,820人、臨時的任用2,674人)となっており、全体での教員就職率は62.0%となりました。これは、前年から2.4ポイント増加となっています。

ここ数十年の教員就職率等の推移は以下のグラフの通りとなっています(画像をクリックすると拡大します)。

国立大出身者の教員就職率等 推移中央付近に点線で示されているのが、国立の教員養成大学及び学部(教員養成課程)卒業者の「教員就職率」となります。直近の教員就職率は62%となっております。少子化による児童生徒の減少等に伴い採用率を減少させた平成11年度32%という過去最低値から考えますと、よくぞここまで持ち直したな、という印象です。

ここまで持ち直したのは、教員採用者数を増加させたり、教員養成大学・学部の入学定員を減らしたりしたことが理由となっています。

また、教員就職率が盛り返したのは「臨時的任用」の部分での人数・割合が増したことが大きく寄与していることもわかります。

「少人数クラス編成」や「習熟度別授業」を取り入れる学校が増えるにつれて、この臨時的任用で採用される先生の数が飛躍的に増えているようです。

ただ、詳しいことまで言及しませんが、待遇面では正規任用の先生とは雲泥の差があるようです。その点を利用して(というと言葉は悪いですが)正規任用の代わりに臨時任用の先生を増やすことで人件費等を抑える、という動きもあるようです。

ですから、教員就職率が上昇しているとは言えども、臨時任用の占める率が高いことを考えると、手放しで喜べる状況ではないのかもしれません。

続いて、国立の教員養成大学・学部(教員養成課程)を2011年3月に卒業した方々の教員就職率を、大学別に見てみたいと思います。下のグラフは率が高い方から30校を順番に並べています(画像をクリックすると拡大します)。

国立大 教員就職状況

グラフ内に赤線が1本ありますが、ここが全国の平均値である「62.0%」の位置となっています。よって、赤線よりも左にある大学は平均値以上の教員就職率となっている、ということになります。

近畿地区にある教員養成系学部を持つ国立大は6大学ありますが、すべて平均就職率である62.0%を上回る率となっています。特に兵庫教育大は全国国立大で2番目に高い値となっている点に注目です。

また、近畿地区から非常に近い地域にある鳴門教育大が77.9%という非常に高い教員就職率で1位になっています。

近畿地区に住んでいる受験生の皆さんで将来学校の先生になりたい方は、地元である近畿地区の国立大に鳴門教育大も含めて、教員就職率が高い所がそろっているという点ではとても恵まれた状況です。

あとは、入試を突破するのに必要な学力を備えられるよう、努力あるのみです。