立命館大 2007年度以来5年ぶりの志願者増

2012年6月27日

立命館大の高校・予備校対象の説明会にお邪魔してきました。

立命館大の学生数は約33,000名、2つのキャンパスには合計で13学部ありますが、衣笠Cは文系学部しかないので女子比率が高い傾向にあるそうです。

立命館大と言えば「全国各地から受験生が集まる大学」として有名ですが、2012年度入試においては全国:近畿の比率が54:46となり、昨年52:48から更に近畿地区の占有率がダウンし、ここ数年は近畿地区の入学生構成比が半数を割る一方で近畿地区以外からの入学者の占有率がどんどん高くなってきている状態です。

2015年にJR茨木駅前に新キャンパスを開設予定となっていることは皆さんもよくご存じのことと思います。移転対象となる学部は衣笠Cから政策科学部、BKCから経営学部の2つとなっています。2013年度入試でこれら2つの学部に入学した場合、3回生時点でキャンパスの移転に当たることになる点を知っておく必要がありますから、ご注意ください。

これら2学部に加えて他に1学部新設する予定もあるようです。ただ、新学部の募集定員については他学部の定員を削って調達する予定だそうで、大学全体の定員としては増える予定はないそうです。残念。

今春の就職決定率は91.4%。2010年度93.4%⇒2011年度91.7%と1.7%ダウンしたのに続き、今年もダウンしています。この点は非常に気になるところです。一方で大学院進学率は14.3%で、特に理系は半数以上が大学院へ進学しているとのことです。

2012年度入試結果についてご紹介します。

まずは、おさらいの意味も込めて、今春入試における主要な変更点等を以下にまとめます。

①文学部では10専攻4プログラムから1つを選んで入試を受ける形から、8学域18専攻へ再編。伝統的な哲学・文学・史学・地理学・心理学に加え、文化遺産や芸術、現代アジア文化や観光、英語コミュニケーションなど新たな分野も加わり、専門領域が拡がる。入学時に8つの学域のいずれかに所属した上で2回生で専攻を選択する形へ。
②理工学部を現行の4学系11学科体制から「4学系9学科体制」に移行。現行の「電気電子工学科」と「電子光情報工学科」が統合され「電気電子工学科」に、現行の「電子情報デザイン学科」の名称が「電子情報工学科」に変更、現行の「機械工学科」と「マイクロ機械システム工学科」が統合され「機械工学科」となり、2012年度以降の学系・学科体制は以下のようになる。
・数学物理系…数理科学科、物理科学科
・電子システム系…電気電子工学科、電子情報工学科
・機械システム系…機械工学科、ロボティクス学科
・環境都市系…都市システム工学科、環境システム工学科、建築都市デザイン学科
③試験会場に三重・福井・大阪南・松江が追加

こういった点を始めとした多くの変更があった2012年度入試でしたが、結果、志願者数は対前年比112.5%・85,138名となりました(昨年は97.3%・75,683名)。その一方で、合格者数は対前年比103.0%・27,674名に留まり(昨年は104.9%・26,857名)、倍率が3.0倍に復活(2010年度3.4倍⇒2011年度2.8倍)するということで、大変良好な入試結果となりました。

志願者が増えた中でも、特にセンター試験利用型入試以外の立命館大が独自で実施している入試形態、つまり「第一志望と考えられる受験者が最も多い入試形態」での志願者が増えている点が立命館大の関係者の皆さんを最も喜ばせているようです。

「茨木新キャンパス開設の影響で志願者が増えたのではないか?」との考えがありますが、移転予定2学部とも志願者が前年よりも増えていることから、何らかの影響があったと考えても良いかもしれないと思われます。次年度の動向にも要注目です。

上でご紹介した主な変更点以外に、新しく今年度から導入された「入試受験前予約採用型奨学金」についてですが、今年度は以下の適用状況となりました。

出願数:593名
採用候補者数:399名
入学者数:119名

出願593名を400名の枠まで絞り込む際はどのような選考が行われたのか?が大変気になるところですが、どうやら「機械的に収入の少ない家庭の受験生から順に定員になるまで候補者を決めた」そうです。

今春入試においてのちょっとした情報の1つに「選択科目」についてがあります。文系の3科目目としては日本史が圧倒的に選択率が高い中、世界史と文系数学では後者の方が今年は多かったそうです。文系数学での一発逆転を狙っている受験生が多いようです。来年受験予定の皆さんも、一度今年の入試問題を見たり出題傾向を調べてみたりするなどしてみてください。

2013年度入試に向けてですが、多くの変更点が出ています。

①入試名称の変更(名称だけで出題形式・傾向に変更なし)
スタンダード3教科型(文系A方式・理系A方式) ⇒ 全学統一方式(文系A・理系A)
特定科目重視3教科方式 ⇒ 学部個別配点方式
薬学部スタンダード3教科型(薬学A方式) ⇒ 薬学方式(薬学A)
②英文記述問題を課す英国2教科型(W方式)を廃止
③情報理工学部の英国数3教科型を「センター試験併用方式(英国数型)」に変更
④3月入試における文系3学部(産業社会・国際関係・経営)の学部間併願が廃止に

この記事を書いている筆者は④の変更が結構痛いと思っていますが、受験生の皆さんはどうお感じでしょうか?

様々な情報がたっぷりの、立命館大の説明会の様子でした。