2年連続ダウン 国立大出身者の教員就職率

2014年3月31日

文部科学省は、小・中・高等学校等の教員養成を目的とする国立の教員養成大学・学部卒業者(44大学・学部)の教員養成課程の就職状況について、毎年データを取りまとめて公表しています。この度、最新のデータとなる「平成25年3月 教員養成課程卒業者」についての平成25年9月末までの就職状況が発表されました。

なお、昨年及び一昨年同時期のデータに関しては、以下のエントリーでご紹介をしています。

昨年「国立教員養成大 鳴門教育大が3年連続教員就職率トップ!
一昨年「またまた上昇 国立出身者の教員就職率

データの概要は次の通りです。

①国立の教員養成大学・学部(教員養成課程)卒業者の教員就職者数
今年 6,485人(正規採用3,729人、臨時的任用2,756人)
昨年 6,466人(正規採用3,726人、臨時的任用2,740人)
一昨年 6,494人(正規採用3,820人、臨時的任用2,674人) 

②全体での教員就職率
今年 61.3%(前年より-0.3%)
昨年 61.6%(前年より-0.4%)
一昨年 62.0%(前年より+2.4%)

全体での教員就職率が61.3%と、前年から0.3ポイントのダウンとなっています。昨年も0.4ポイントダウンということでしたから、2年続けての就職率ダウンとなります。

ここ数十年の教員就職率等の推移ですが、以下のグラフの通りとなっています(画像をクリックすると拡大します)。

中央付近に点線で示されているのが、国立の教員養成大学及び学部(教員養成課程)卒業者の「教員就職率」となります。先ほどご紹介しました通り、直近の教員就職率は61.3%となっております。少子化による児童生徒の減少等に伴い採用率を減少させた平成11年度の32%という過去最低値から考えますと、かなりの良化となっています。

採用率の良化にはいくつか理由がありますが、その内の最も大きな部分を占めていると思われるのが「団塊世代の大量退職で近年は新規採用が増えている」というものです。また、教員養成大学・学部の入学定員を減らしたりしてきたことも理由の1つになるでしょう。

さて、最近では「少人数クラス編成」や「習熟度別授業」を取り入れる学校が増えるにつれて、正規の採用ではなく、臨時的任用で採用される先生の数が飛躍的に増えているようです。

待遇面で正規での採用者よりも安く抑えられるということもあり、正規任用の代わりに臨時任用の先生を増やすことで人件費等を抑えていると思われる所もあるようです。

今回の最新のデータでは、総就職者数の42.5%が臨時的任用での採用、となっています。ですから、教員就職率が長い目で見ると良化しているとは言えども、臨時任用の占める率が高いことを考えると手放しで喜べる状況ではないでしょう。

続いて、国立の教員養成大学・学部(教員養成課程)を2013年3月に卒業した方々の教員就職率を、大学別に見てみたいと思います。下のグラフは率が高い方から順に、当該年度で全国国立大平均就職率を超えた23校を並べています(画像をクリックすると拡大します)。

過去3年間1位となっていた鳴門教育大が、今年度は2位になっています。

代わりに1位となったのが、兵庫教育大です。83.1%となった2013年度ですが、2012・2011年度とも70%台となっており、高い信頼がおける大学となっています。

近畿地区各校の状況をまとめてみます。

今年 京都教育大のみが59.6%で平均(61.3%)を若干下回った
昨年 京都教育大のみが57.7%で平均(61.6%)を若干下回った
一昨年 近畿地区全校が平均就職率を上回った

ということで、3年間ほぼ全校で全国の平均合格率を上回っている、ということになります。近畿地区に住んでいる受験生の皆さんで将来学校の先生になりたい方は、地元である近畿地区の国立大だけでなく、近接の県にある鳴門教育大も含めて、教員就職率が高い所がそろっているという点ではとても恵まれた状況です。