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開成教育グループ


科学的リテラシーと情報リテラシー~震災、原発事故に思うこと~

 3月は高校入試に合格発表,新年度の授業開講,高校準備講座の開講と何かと慌ただしい時期なのですが,そんな中に起こったのが東日本大震災,それに福島第一原発の事故でした.阪神大震災の「被災者」の一人である私にとっては他人事では決してありません.
いつかは近いうちに来るだろう,と言われてはいましたが,これほどの規模のものが起こるとはほとんど想定できなかったのではないでしょうか.
まだ事態は現在進行形ですが,今回の震災と原発事故でつくづく思い知らされたのは,自分自身の科学的リテラシーのなさです.
 地震については阪神大震災の経験もあり,それなりに知識はあるつもりでしたが,原発については,何一つ知らないということを実感させられました.発表されている放射線の数値がどの程度のものか全く知識がない.「直ちに健康に影響を及ぼすものではない」とは繰り返されているものの,それが実際どの程度の危険性があるのか,数値を聞いても全くわからないのです.その発表が信頼できるものなのかを判断する上の知識が何一つないということに愕然とさせられました.
 それ以前に,原子力発電所が発電をするメカニズムについてすら知識がないということもあります.以前にばくぜんとはわかっているようでわかっていないという自覚させられることがあり,知る機会もあったのですが,結局はほったらかしにしていました.そうしたツケが,まだ関西にいる限りは深刻ではないにせよ,いざというときに情報を読み取ることができないと返ってきたわけです.
 情報のバランスについても,注意が必要であることが,これを書いている3月23日の時点でも被災地の状況は全貌すら明らかになってもいないのに,もはや報道は原発事故が中心で,被災地の状況は後へ後へと追いやられています.被災地は落ち着きを取り戻しつつあるのか,絶対にそんなことはないはずなのですが,報道のバランスがシフトしてきている.そんな感じです.原発の方が東京に近い,東京の生活に影響を及ぼすのは被災地の状況よりも原発,ということで被災地の伝えるべきことすら伝えられていないのではと勘ぐってしまいます.このことは,阪神大震災の「被災者」であったときに,さほど深刻の状況ではなかった私でも感じたことでした.
 今回の震災では,つくづく思い知らされたのは科学的リテラシーの欠如,それから情報リテラシーの意義でした.そして,あとは今さらながら思う,日常のありがたさです.

片岡尚樹


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