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数学と科学・技術 その9

数学と科学・技術 その9

みなさん、こんにちは。今回あは「楕円」について書くことにします。「楕円」は数Ⅲの最後の方に出てきて、数Ⅲを選択していない人には、なじみのないものかもしれませんが、下の図のような、卵(を横倒しした)のような形のものです。

「円」のような丸い形ですが、大きな違いがあります。「円」は、中心からの距離が一定の点の集まりとして有名ですが、「楕円」には中心の変わりになるものとして、焦点というものが2つあります。数Ⅲでは、「楕円」を、焦点からの距離の和が一定、と定義して話が進んでいきます。「焦点」は上の図で、黄緑色をしています。
さて、数学では「定義」を決めて、様々な「性質」を導く、ということが主眼になりますが(そして、そのような順番で教えられますが)、数学の応用を考えるときは、定義ではなく、そこから導かれてきた、「性質」がよく利用されます。ここでは、「楕円」の性質として、2つの「焦点」の性質に触れることにします。
「楕円」の左側の焦点から光が出ているとしましょう。そして「楕円」の縁にあたり、反射して進んでいったとします。ただし、反射するときは、反射の法則(入射角=反射角)に従うとします。さて、この光はどこに到達するでしょう?答えは、下の3つの図を見てみてください。

やや真ん中あたりで反射した場合も、手前のほうに光が進んでいった場合も、奥のほうに光が進んでいった場合も、すべて右側の「焦点」を通っていることがわかります。「楕円」には、このように「焦点」から出た光は、すべてもうひとつの「焦点」を通る、という「性質」をもっています。そしてこの性質を使って、片方の「焦点」に熱源を置いて、もう片方の「焦点」に試料を置くことで、試料を無駄なく高温に加熱することができるのです。まさに、「焦点」は「焦げる点」ですね。他にも、片方の「焦点」に音源をおき、もう片方に手術台をおいて、超音波を人間の器官に当てて治療するという技術もあったりします。
数学の勉強は、なかなか応用にたどりつかないので、退屈に感じる人もいるかと思います。しかし、本当に大事なものというものは、容易に身につくものでもありません。大学進学の後も、若い時分に力を込めて勉強したことを、やがて社会に還元できるよう、自身に磨きをかけていってください。

開成ハイスクール数学科 村上 豊

 


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