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開成教育グループ


高3生諸君へ ~最良の結果を残すために~

今年もいよいよ残すところあと1か月となった。公募推薦入試受験生は、発表を控えて、もしくは12月の入試を目前に控えて緊張感の漲る日々を送っていることであろう。また来年1月13日と14日実施のセンター試験までほぼ1か月半となっている。更に関関同立を始めとする一般入試も1月下旬から本格的に開始となるが、これも残り2か月に迫っている。毎年感じることであるが、これからの残された日々は極めて濃密な日々となる。体調管理をしっかりと行って、入試当日最高の結果を残さなくてはならない。

これまでの日々を振り返ってもらいたい。この世に生を受けてから17年もしくは18年の歴史の中で、これだけ真剣に一つのことに取り組んだ経験はほとんどないであろう。大学入試合格という一つの目標に向けて、何の憂いもなく集中して取り組める環境は、決して偶然の産物ではない。周囲で支えてくれているご家族の懸命の努力によって、与えられたものである。

奈良時代に編纂された万葉集には素朴な心情を歌った名作が多い。あらゆる階層の歌を約4500首収録しているが、その中で防人の歌の傑作として次の歌を紹介する。

父母が頭かき撫で幸くあれて言ひし言葉ぜ忘れかねつる(ちちははがかしらかきなでさくあれていいしけとばぜわすれかねつる)
歌意 父と母が私の頭をかき撫で「幸くあれ」(達者でいなさい)と言った言葉が忘れられない。
作 丈部稲麻呂(はせつかべのいなまろ) 

防人になるのは恋人や妻がいる男だけでなく、まだ幼さの残る若者もいた。彼らの万感の思いは父や母に向けられる。作者は駿河の国の少年である。防人の制度によって、親子の平和な生活が無残に断ち切られてしまう切なさと哀しさが、そして離れていても決して失われることのない親子の絆の強さが、わずか31音の言葉によって、激しく伝わってくる。1200年以上も前に詠まれた和歌であるが、今でも強く心揺さぶられる力を有している。
 
子の幸せを願わない親はいない。これからの期間、全ての時間を志望校合格に向けた勉強に傾注して欲しい。ご家族を始め、自分に関わってくれた人々の期待に応えるために。そしてなによりも受験生1人ひとりの輝ける未来のために。

春光の輝きは、長く厳しい風雪を経て確実に訪れる。その道のりがどんなに苦しいものであったとしても。

全ての受験生の健闘を祈っている。

開成ハイスクール国語科 森脇 庸介


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