この1年だけはチーフ・フェローに言われたことを疑わずにやってほしい
立命館大学の総合心理学部が新設される年に、どうしてもそこに進学したいという生徒を預かりました。入塾当初の成績では到底届かないほどの成績ギャップのある生徒でしたが、相当厳しいことも伝えたうえで受験勉強をスタートしました。先に結果をお伝えすると、11月の公募推薦で難易度の高い大学を滑り止めとして勝ち取ることができ、結果第一志望に集中して対策をして見事第一志望に合格することができました。学部新設の年でしたので過去の入試データもなく難易度も高い見込みでしたが見事合格を勝ち取ってきてくれました。彼女に意識的に指導をしていた内容を簡単に紹介したいと思います。
まずは勉強のスタンスについてです。入塾面談時に「勉強できないと自覚しているのであれば、この1年だけはチーフ・フェローに言われたことを疑わずにやってほしい」と伝え、それを条件に入塾してもらいました。つまり“素直さ”を持ってほしいという意味なのですが、これがあるかないかで吸収力に大きく影響すると思います。我流に走りがちな生徒を預かることもあります。自分はこの方法でやっていくんだ!と自分で考えられていることは見事なのですが、今までと同じ方法を貫いて実際には伸びが見られない場合は思い切って方法を見直す勇気も必要です。彼女はそもそも成功者の真似をするスタンスで勉強してくれたので見る見るうちに成績が上がっていきました。
そして何よりやると決めたことをやり抜く“実行力”です。おそらく皆さんも頭ではわかっていることなのですが、これが一番難しいですよね。彼女は一度たりとも「できませんでした。」という発言をしませんでした。やると決めたこと、やれと指示されたことは必ずこなしてきてくれました。この点に個人の能力差は関係ありません。思い当たる方がこの文章を読んでくれていたらぜひ真剣に考えてみてください。
最後には勉強の面白さを見つけて“楽しく”勉強をしてくれていました。どうせ逃げられない勉強なのであれば楽しんでやってほしいというのが私の考えです。面白いと思いながら取り組んだものは必ず花咲きます。嫌だなと思う前に、ちょっとしたことでいいので面白みを探してみてください。もちろん彼女の不断の努力がなければ合格を勝ち取ることはできなかったと思いますが、私が普段生徒に伝えている“超重要ポイント”をお伝えしたかったため紹介させていただきました。
受験を通して学んで欲しいこと
「何のために勉強をするのかよくわからない。大人になったら使わないし…」
出会う受験生から良くきく言葉です。ここに対して、明確に答えをもっている受験生は少ないかもしれません。
勉強によって身につく知識・論理的思考力・感性が結局はその人を力づける重大な要素になるため勉強をしなければいけない、というのが私の持っている答えです。
昨今、まともにレポートの作成ができない(≒正しい文章が書けない)大学生が増えているという話は本当によく聞きます。普段、基本的なルールである助詞の使い方がわからないであろう誤った文章をよく目にします。助詞を理解するために語源を知ることは効果的なのですが、その語源とは古文の勉強とイコールです。「古文なんて将来何の役にも立たない」というよく聞く高校生の言い分は大きな誤りなのです。古文を一例に出しましたが、すべての科目についても同じことが言えると思っています。明治以降、学校で学ぶ科目に大きな変化がないのはちゃんと理由があるのです。
少し話が大きくなりましたが、高校の課程においてやらなくていい勉強は無いと考えています。ぜひ目的を見つけて勉強に取り組んでほしいと思っています。そうした勉強で力づいた結果、人の選択肢が広がると考えています。大学を選ぶとき、学部を選ぶとき、就職先を選ぶとき、転職を考えるとき、人生には大きな選択をしなければいけない場面がいくつもあります。いざ選択に迫られたとき、選択肢を多く持っている方がベストな選択ができます。多くの選択肢を持ち合わせるために、受験勉強を通して強くなってほしいと思っています。
受験勉強のように多くの時間を使って勉強する機会は人生でほとんどありません。自分を強くできるチャンスはそうそうないので実りのある受験勉強経験をしてほしいと願っています。
※本文中の赴任教室名・部署名は原稿当時のものです。現在とは異なる場合があります。
好きな言葉 「どんなに苦しくても一生懸命生きていれば必ずいいことがある」
偉い方の名言ではなく、札幌に住む祖母の口癖です。小さい頃からずっと言われてきました。正直誰でもいいそうな普通の励まし言葉だと思います。ただ、私が大きくなるにつれて祖母の戦争経験を始めとする壮絶な苦労を知りました。普段は陽気で明るい太陽のようなおばあちゃんなのですが、壮絶な経験を経て生まれた考えだと気づいたときに、これ以上深く刺さる言葉はないと衝撃を受けた場面を思い出します。今でも私の元気がでるワード文句なしの1位です。