生徒に伝えたいこと
皆さんにお伝えしたいのは「学習という行為そのものに意味がある」ということです。
高校生の自分はよく「今勉強している内容って将来役立つことがあるのかな?」と思っていました。それは受験勉強をしているときも特に変わりませんでした。自分にとって勉強は「大学に行くために必要なもの」という認識でそれ以上でもそれ以下でもありませんでした。点数という結果に一喜一憂はしましたが、結果が出ないときは楽しくありませんでした。
認識が変わったのは大学生時代のアルバイト中でした。
当時アルバイトをしていた飲食店ではキッチンとホール(接客スタッフ)の業務連携がうまくいっておらず課題が山積みでした。問題を一つずつ解決していくためにみんなで議論を重ねていきました。なかなかいい解決手段が出てこないためずっと議論していましたが、最後まで店長と話していたのは自分含め2,3人だけでした。他のスタッフは「なかなかでないからもういい」とあきらめてしまう人もいました。
このときに気づきました。
自分が最後まで諦めずに話し続けることができたのは、受験勉強をしていたからだと。
数学の高難度の問題は初見でパッと解き方が浮かぶようなものではなく、こうかな?と思った解き方を試していく必要があります。うまくいかないときは何度も試します。
最終的な目標に向かって試行錯誤を繰り返すこと。
数学の問題でやっていたことは自身の実生活でも大きく活きました。
学習する内容そのものが役立つことは正直少ないかもしれません。
でも学習する内容を自らの知識にしようとしたこと、どうすれば効率よく覚えられるか考えたこと、問題を解くためにあーでもないこうでもないと試行錯誤を繰り返したこと。学習するという行為そのものは将来活きてきます。
勉強して得た知識も色々な物事に関連付けることができます。
化学で学ぶ浸透圧は漬物を作るのに使われています。学んだ知識を実生活と結びつけると、大げさかもしれませんが世界がグッと広がると思います。
学習行為そのものの意味。学んだ内容が少なからず実生活に役立てられている事実。
勉強のとらえ方が変わって、少しでも前向きに学習できるようになったらうれしく思います。
受験を通して学んで欲しいこと
物事に本気で取り組むという経験をしてほしいです。
セルフハンディキャップという行動があります。本気を出さなかったからという理由を並べることで悪い結果が出たら自身を守り、良い結果が出たら自分はすごいと悦にひたることができます。
そうではなくて、本気で取り組んでほしいです。人事を尽くしてほしいです。
本気で取り組むと結果が出なかったときに悔しい思いをすることもあります。その悔しさからあらかじめ逃れたいが故に人はセルフハンディキャップをします。
悔しい感情が溢れるリスクに立ち向かってほしいです。
頑張ったから結果が出たときに溢れる喜び、頑張ったけど結果が出なかったときの滲み出る悔しさ。
両方とも本気で取り組まないと得られないものです。
もし悔しさから泣いたなら、それはあなたが本気で取り組んだ証です。中途半端に取り組んだなら自分に言い訳ができるため、そこまで悔しい思いをすることはありません。本気で取り組んだ自分を誇ってください。それだけ努力できたことは素晴らしいことです。
本気で取り組むために、まずは「何をすればいいのか?」を考えていきましょう。やることを明確にすれば取り組みやすくなります。
何をすればいいのか?を設定するために必要なのは「目標」と「現状」です。例えば目標が「8月の模試で90点」で現状が「4月の模試で40点」なら「4か月で50点上げるためにどうすればいいか?」を考えればよいのです。
「目標」と「現状」は人によって違うので皆さん自身も考える必要があります。私たちも一緒に考えていきます。目標達成のためにやることが決まったら、あとは全力で本気で取り組むだけです。ゴール地点までの道がわかったら最後まで到達するまで走り続けるだけです。
受験勉強は貴重な経験ができる大きな機会です。
目標に向かって本気で取り組んでいきましょう。
本気で取り組んだ経験もそこから得られる感情もかけがえのない人生経験になると思います。
※本文中の赴任教室名・部署名は原稿当時のものです。現在とは異なる場合があります。
好きな言葉 「人事を尽くして天命を待つ」
「人としてできる限りのことを尽くしたらあとは天の意思に任せる」という意味ですが本当に人事を尽くせたでしょうか?天命を待つ前にやり残したことはないでしょうか?この言葉の本質は「やれることを全力でやり切ったか?」という点ではないかと思います。