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塾生保護者の子育てエッセイ 子育て百景

塾生保護者の子育てエッセイ 子育て百景

保育園の待機児童問題が顕在化したことで子育ての大切さが再認識されたように思えます。実際、ゼロ歳から2歳までの乳幼児における子育ては「三つ子の魂百まで」と昔から言われています。親は発達段階に応じた子育てに愛情と心血を注ぎ込みます。親子の絆は何物にも代えがたいものです。とはいえ、親は子を思い通りに育てることは叶わないものです。子は天からの授かりものでもあるゆえんです。ここに葛藤や苦悩が生じます。しかし、いずれ子は親離れしていきます。また、親も子離れします。

親は我が子の一挙手一投足に一喜一憂するものです。日々、新しい発見があるものです。やがて、我が子が他人の痛みを知るようになり、他人の悲しみや喜びを共有するようになれば子育ては立派に成し遂げられたといえるのではないでしょうか。進学、就職といった人生の関門を乗り越えていくことができます。子育てこそは未来を担う子を育むことにほかなりません。

今回、応募された作品は24篇でした。審査基準は三つの観点からなっています。①表現力、②感銘力、③構成力、です。そして、総合点の高い作品の中から日本作文指導協会賞1名、成学社賞2名、アプリス賞2名、選考委員特別賞2名を選出しました。

受賞された作品並びに作者に心からお祝い申し上げます。

受賞作品一覧

日本作文指導協会賞

毎朝の楽しみ

カメのおさんぽ様

コメント

母親としての十五年間を走馬灯のように振り返り、子育てを達観した遠景から、毎朝のジョギングという日常の近景へと鮮やかに展開する巧みな構成で、読むものを一気に惹きつける。この継続する力で思春期へと成長していく我が子との関係を見事に築いている。愛しい我が子への心のこもったメッセージがすべての子どもたちへの力強い激励となり、心に響く感動作である。

成学社賞

信じる

北風と太陽様

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小2からラグビーをしている我が息子がどうにもやる気を見せない姿に母は子育てに自信をなくします。四年生の試合でのことで、息子は闘志もなくだらだら芝生の上を散歩しているようにしか見えず、試合は大敗をきっします。親子の感情は最悪です。息子は弁当の時間になっても現れない。母は気が気でなく、あちらこちら探し回ります。息子は公園管理室の建物の陰に膝に顔を埋めて泣いています。いつもと様子が違います。息子は「腰が痛い」と訴えます。試合前の練習で急に腰を痛めたようです。その事実を胸に秘め試合に臨んだものの大敗しました。息子は自分のせいでチームに迷惑をかけた、と思い泣いていたのです。母は息子の思いを知り、愕然とします。同時に息子の人間としての成長を発見します。母と息子の気持ちが手に取るように伝わってくる作品です。

子育て朗景

ヒヨコマメ様

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題名からして個性的な作品です。作品は次のように始まります。
角度で表すと前方45度。
それ位だったよね、あなたたちの見ることができた世界は。
子育てを分度器の角度で比喩する着想はなかなかにユニークで面白いです。この作品はひとえに表現力が優ったものといえます。もちろん、角度が大きくなるにつれて子供たちの成長と母自身の感慨が織り込まれた愛情もよく伝わってきます。秀作です。

アプリス賞

人生の華

Dogwood様

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息子さんが幼い日から高校生まで、子育ての濃密な時間をさらにギュッと圧縮して表現された筆力は中々見事です。全体の構成としても、書き出しのエピソードと、文章の最後の締めに、題名の「人生の華」という言葉が効果的に使われています。「未来の私」が「幼い息子…高校生の息子にもう一度会いたい―」と切望し、残り少ない子育てに一抹の寂しさを感じる母としての感慨は、きっと多くのお母様方も共感されるのではないでしょうか。

チェンジのその先へ、愛しい娘に贈る母の気持ち

おっとぼけ母様

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出だしのエピソードで、娘さんの成長や母娘の親密さがさらりと語られます。ところが読み進めていくと、実は娘さんの小中学生時代には、ご家族にとっても重くてつらい経験があったことが分かります。ただ文章全体から発せられるのは、題名の通り娘さんの「輝くようなチェンジ!」。細かな説明がなくても、ご家族がいかに強い愛情で苦難を乗り越え、娘さんの素晴らしい成長へと結び付けていったのかが自然に感じられる作品でした。

選考委員特別賞

三人三様

さくら様

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三人の子育てを通して、大変だった思いを母親の目線で描かれています。高校を卒業してそれぞれの道を進む長女と長男の姿は、今まさに子育て中の親にとっては、トンネルを通りぬけた後の未来図として伝わることと思います。最後に挙げている「大好きな言葉」。この言葉によって、辛い時期も乗り越えてきたのですね。「三人育てて良かった」という言葉に心を動かされるのは選考者だけではないでしょう。

家族を持って

やっこちゃん様

コメント

冒頭の「僕は、父親が嫌いだった。」という一文には、思わずハッとさせられます。何をしても怒ってばかりの父親に嫌悪感を抱き、早く家を出たいと思った筆者の思いに共感する人も多いかもしれません。親になって初めてわかる親の気持ち。子を思うがゆえに、つい怒鳴ってしまう。古今東西を問わず、人類が延々と繰り返してきた歴史。親の気持ちを子どもたちに伝えていくことこそが、真に大切なことだと気づかされます。