大阪・滋賀・京都・兵庫・奈良・徳島・東京・神奈川・埼玉・千葉に展開する小学生・中学生・高校生 クラス指導、個別指導の進学塾・学習塾

開成教育グループ


2016 年 9 月 12 日 のアーカイブ

豚+肉=豚肉 ⇔ pig + meat = pork

2016 年 9 月 12 日 月曜日

秋になりました。食欲の秋ですね。
ということで、今回は、「食べ物」に関するお話を。

皆さんは英語を学習していて、不思議に感じたことはありませんか。

豚=pig  豚肉=pork
牛=cow / ox  牛肉=beef
羊=sheep  羊肉=mutton / lamb
鹿=deer  鹿肉=venison

あれ、動物の呼び名と肉の呼び名で、単語が変わるぞ?

これを説明するには、イギリスの歴史を学ぶ必要があります。
もともとイギリスは、アングロサクソン人が支配していました。しかし、11世紀中ごろから約300年間、フランス(ノルマン人)に征服されます。いわゆる、ノルマン・コンクエスト[The Norman Conquest of England]です。日本は直接外国に占領された歴史がありませんから、なかなか実感がわかないと思いますが、外国(別民族)による支配を受けると、言語や文化に大きな影響を受けます。アングロサクソン人が話していた英語(古英語)が、ノルマン人の支配により、フランス語の影響を受けることになりました。

当時、動物(家畜)を育てていたのが、支配されること(=召使)となったアングロサクソン人であり、その肉を食べたのが、支配層であるノルマン人(=フランス人)です。ノルマン人には肉食の文化があり、アングロサクソン人には肉食の文化があまりありませんでした。

つまり、生きている状態(=家畜)でその動物を見ているのは、英語を話すアングロサクソン人であり、肉となった状態で見るのは、フランス語を話すノルマン人であったということです。ですから、動物・家畜を表す言葉は古英語由来のpig / cow / sheep / deerとなり、肉を表す言葉はフランス語由来のpork / beef / mutton / lamb / venisonとなるわけです。

では、鶏[chicken]はどうなの?
鶏=chicken / hen[雌鶏] / cock[雄鶏]  鶏肉=chicken

昔のイギリスでは、肉といえば「鶏肉」が主流であったため、chickenだけは、そのまま残ったといわれています。それ以外の「牛」「豚」などについては、その肉を食べる習慣自体が、フランスから流入してきたため、フランス語のほうを用いるようになったということです。ちなみに、動物と肉で単語を使い分けること自体が、言語的に見ても稀な現象です。フランス語では当然、「豚」と「豚肉」は同じ単語を用います。

さて、高1、2年生のみなさんの中には、これから志望校・学部を決める人もいるかと思います。今日お話しした内容は、「英語学」を専攻すれば、大学で学ぶことができます。「英語学」ってどんな学問だろう?と疑問に感じている人がいたら、参考にしてみてください。

開成ハイスクール英語科