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開成教育グループ


‘ブログ’ カテゴリーのアーカイブ

科学的リテラシーと情報リテラシー~震災、原発事故に思うこと~

2011 年 3 月 28 日 月曜日

 3月は高校入試に合格発表,新年度の授業開講,高校準備講座の開講と何かと慌ただしい時期なのですが,そんな中に起こったのが東日本大震災,それに福島第一原発の事故でした.阪神大震災の「被災者」の一人である私にとっては他人事では決してありません.
いつかは近いうちに来るだろう,と言われてはいましたが,これほどの規模のものが起こるとはほとんど想定できなかったのではないでしょうか.
まだ事態は現在進行形ですが,今回の震災と原発事故でつくづく思い知らされたのは,自分自身の科学的リテラシーのなさです.
 地震については阪神大震災の経験もあり,それなりに知識はあるつもりでしたが,原発については,何一つ知らないということを実感させられました.発表されている放射線の数値がどの程度のものか全く知識がない.「直ちに健康に影響を及ぼすものではない」とは繰り返されているものの,それが実際どの程度の危険性があるのか,数値を聞いても全くわからないのです.その発表が信頼できるものなのかを判断する上の知識が何一つないということに愕然とさせられました.
 それ以前に,原子力発電所が発電をするメカニズムについてすら知識がないということもあります.以前にばくぜんとはわかっているようでわかっていないという自覚させられることがあり,知る機会もあったのですが,結局はほったらかしにしていました.そうしたツケが,まだ関西にいる限りは深刻ではないにせよ,いざというときに情報を読み取ることができないと返ってきたわけです.
 情報のバランスについても,注意が必要であることが,これを書いている3月23日の時点でも被災地の状況は全貌すら明らかになってもいないのに,もはや報道は原発事故が中心で,被災地の状況は後へ後へと追いやられています.被災地は落ち着きを取り戻しつつあるのか,絶対にそんなことはないはずなのですが,報道のバランスがシフトしてきている.そんな感じです.原発の方が東京に近い,東京の生活に影響を及ぼすのは被災地の状況よりも原発,ということで被災地の伝えるべきことすら伝えられていないのではと勘ぐってしまいます.このことは,阪神大震災の「被災者」であったときに,さほど深刻の状況ではなかった私でも感じたことでした.
 今回の震災では,つくづく思い知らされたのは科学的リテラシーの欠如,それから情報リテラシーの意義でした.そして,あとは今さらながら思う,日常のありがたさです.

片岡尚樹

雪下の蕾

2011 年 3 月 22 日 火曜日

 みなさんこんにちは。開成ハイスクールでは新年度授業が動き出し、塾生の皆さんは学校より一足先に進級した学年の授業を受けていることと思います。3月から新学年の授業を受講するということは皆さんの意識面で大きなメリットがあります。新高3生であれば4月から本格化する受験勉強を同級生よりも1ヶ月早く始めることでスタートの時点で大きな差をつけることができますし、新高2生にかんしても「私はもう2年生なんだ!」という意識付けを行うことで新学年の準備がはかどるでしょう。
 人間は環境の生き物です。「標準」「普通」のペースにのっかって生きて行くことは非常に心地のよいものですが、殊更受験勉強においては“First come, first served.(早ければ早いほど良い)”これに尽きます。
 また、開成ハイスクールの各教室ではこの度高校への合格通知を手にされた新高1生の皆さんを対象に「高1準備授業」を実施します。こちらも高校レベルの英・数の授業の先取りをすることで「同じ学力層の生徒が集まる」=「ちょっとついていけないと即落第する」最悪の事態を回避し、むしろ他の生徒よりも優位に学習を進めていくキッカケを作る講座です。同時に、各高校の実態を皆さんにお伝えし、各高校での学習にどう備えたら良いかも伝授します。詳しくは開成ハイスクール開講教室にお問い合わせください。

 雪下の蕾は厳しい冬に耐えて、やがて鮮やかで美しい花を咲かせる。開成ハイスクールでも高3生の受験結果が続々と判明しています。京阪神や国公立・関関同立への合格通知を手にした生徒たちにあてはまることはしんどい時期も歩みを止めずに耐えることができたということです。大学受験を終えた後の、皆さんの「心から溢れ出す笑み」を見るために私たち塾講師は日々頑張っています。ただ、あくまでも結果を出すのは皆さん自身です。そこをよく理解して「自分は今、何をすべきか」今一度問いただしてみてください。

 さぁ。遊び呆けている時間はありませんよ。私立の中高一貫校の生徒は中3で高2までの内容を終えています。このギャップを埋めるためには相当な努力が必要です。

これから高校生になるみなさんへ

2011 年 3 月 14 日 月曜日

 こんにちは、開成ハイスクール英語科の濱田健太郎です。前期入試で合格を勝ち取り一足先に高校生になることが決まった人、後期試験でなんとしても合格を勝ち取らねばならない人、私立専願ですごく早くに決まっていた人、様々な状態の人がそれぞれの思いで新生活に備えていることでしょう。まずは、既に進路が決まっている人、おめでとうございます!!まだの人、最後まで全力で!!
 先日、前期入試合格者対象の新高1準備授業の1回目がありました。今年も多数の方に参加して頂き、感謝しています。合格が決まってから、封印していたゲームに熱中したり、携帯電話ショップ巡りをして、まったく勉強をしていない人がいる一方で、既に新しい一歩を踏み出しているみなさんには、本当にエールを送りたいです。参加者の目を見ると、みんな緊張感一杯でした。誰一人として嫌々参加しているという方はいませんでした。目的意識をしっかり持ってスタートダッシュ・・・頼もしい限りです。
 新高1準備授業では、最初の定期考査の範囲となる内容をしっかりとおさえていきます。それから高校生としての勉強の仕方も確認していきます。高校の試験範囲は膨大で、なまぬるい考え方では、あっという間に授業についていけなくなります。既に登校日等で、春休みの宿題が出されているはずです。学校によっては、その範囲は授業を行わないのに、試験範囲にはちゃっかり入ってくるのです。早めの準備が絶対不可欠です。
 私の持論ですが、高校の数学は劇的にレベルアップし、急に理解できなくなります。そして英語はじわじわレベルアップしていることに気付かず、気付いたら理解できなくなっています。
 まだ皆さんは、しっかりとした勉強の習慣がついているはずです。一度緩めたものを再びピークにもっていくのは大変な時間と労力が必要です。
 高校生になる前のこの時期の重要性をしっかり理解して、今一度行動を見つめ直してください。

いよいよ本格的に受験勉強を始める諸君へ

2011 年 2 月 28 日 月曜日

受験期とは、目標達成のプロセスを実体験する貴重な1年間。

 こんにちは。
受験勉強とは、「志望する大学に合格するために、ある一定期間勉強を継続して行うこと」ですね。ではその間に、受験生は何を身につけるのでしょう。入試を突破するために必要な知識や問題解答能力であることは言うまでもありません。しかし実は、それと同等に、いやむしろそれ以上に貴重なものを獲得するのです。
 それは、大げさに聞こえるかもしれませんが、「人生における目標達成を可能にする能力」です。「成功のプロセス」と言ってもいいでしょう。「成功」とは、「そうありたいと心から願う目標を、満足いく形で達成すること」です。そのためのノウハウを体得する可能性が、受験生には与えられているのです。
 目標達成には、自分の持ちうる資源をすべてその目標達成のために一本化しなければなりません。そしてその資源の最たるものが「時間」です。時間の有効活用こそ、成功を大きく左右するのです。そのためには、成功に至るシナリオ作り、つまり計画立てが必要となります。受験について話をするならば、諸君は1年後の入試のことを考えて、少し不安になりませんか。人間は、自分ではコントロールすることができない状況に対して、不安を抱くものです。1年先のことなど、漠然としていて管理するのはきわめて困難です。では、今日一日、わずか数時間先のことであればどうでしょう。なんとか制御できるのではないでしょうか。つまり、1年後の合格のためには、半年後にはこうなっていなければならない、そのためには1ヶ月後にはこうでなければならない、だとすると1週間でこれだけ、1日ではこれだけずつ、といった具合に、最終目標から中期目標、そして最後には1日単位の目標へと課題を明確にし、長きに及ぶ受験勉強を、制御可能な1日の単位に具体化するのです。「目標達成のためにするべきことを、1日単位で把握する」これこそが、成功を左右する時間の有効活用法なのです。
 目標達成には、もう一つ必要なことがあります。それは、「日々の実践」です。実際に行動しなければ、何の結果も期待することができません。まずとにかく、行動に移してください。例えば、ここに20mの飛び込み台があり、あなたは今そこに立っています。「さあ、プールに飛び込んで」と言われて一瞬ためらった人は、眼下のプールを覗き込んでしまい、恐怖心からなかなか飛び込むことができなくなってしまいます。一方、号令がかかってすぐさま飛び込んだ人はどうでしょう。恐怖を覚える間もなく、すでに結果が出ているのです。行動を先送りにすると、その分だけマイナスの感情は増幅します。
 さらに、「日々の実践」は習慣化しなければなりません。その日に行うべきことを毎日確実にこなしていくのが当たり前の状態になるまで、継続し続ける必要があります。この「習慣化」が確立されると、「日々の実践」も苦痛を伴わなくなり、目標達成のプロセスはようやく軌道に乗ったことになります。
 ところで、1日単位の目標をその都度達成し、それを習慣化する過程には、大きな障害が現れます。それは、「日々の誘惑」です。目標を達成したいと思うのが「願望」ならば、あれもしたい、これもしたいと思うのもまた「願望」です。人は、そして受験生も、レベルの違うこの2つの願望の葛藤に常々置かれています。この時、「日々の誘惑」を選択したならば、その人にとっての目標達成の願望は、本物ではなかったことになってしまいます。誘惑に負けそうになったとき、2つの願望を天秤にかけて、自分にとってはどちらの願望のほうが大きいのかを考えてみて下さい。そして、今時間をどう使えば、1年後自分はどうなっているのかを明確にイメージしてみて下さい。時間とは、出来事の連続です。「今」の連続が将来に直結しているのです。「目標達成に役立つかどうか」という基準に常に従って、行動に優先順位をつけるようにして下さい。

 私が述べてきたことは、諸君が将来掲げるであろう人生の大きな目標を達成する際に必要とされ、そしてもちろん、大学受験においてもそのまま実践すべき事柄です。多くの人は、自分に無いような特別の資質をあらかじめ持っている人だけが成功すると考えがちであるが、それは間違った考え方です。目標達成のノウハウは、経験により習得することができるのです。受験勉強とは、その過ごし方次第では、こうした能力を諸君が獲得することができる、そんな可能性を与えられた、きわめて貴重な期間なのです。受験において成功体験を得た人は、諸君が思う以上に大きな力を手に入れることになるのです。この有意義な期間を、決して不完全に燃焼することなく、将来の糧となるよう、積極的に、有効に過ごしていただきたいと思います。

成績を上げたいみなさんへ アドバイス

2011 年 2 月 14 日 月曜日

みなさん、こんにちは。今は2月、寒い季節でもあり、受験の季節でもありますね。高3生はまさに本番、高2生はいよいよ受験に向けて本格始動をする時期です。高1生の中には、高校受験の頃を思い出したり、密かに心の中で将来に向けて計画を練っている人もいることでしょう。いずれにしても、高校生の皆さんにとって勉強は大きな課題であり、成績を上げることは避けては通れない問題です。
では、どうすれば成績が上がるのでしょう?こればかりは、そんな単純な問題ではありません。しかし、次の経験則が知られています。格好をつけていきなり難しい問題を解くのではなく、易しい単純な問題から始めること。それがスタート地点です。そして、その問題を繰り返し練習することで意識せずとも解けるようになること。これが、第2段階です。簡単な問題だと侮って練習をしていないと、その時だけ分かったつもりになり、いざという時に応用が利かなくなります。特に高校の勉強は、なかなか自分の興味や、知っている知識と結びつかなく、つらく感じることがあります。なんのために勉強しているのか見失ったり、諦めたり、不平を言ったりしてしまいます。しかし、ここは我慢のしどころです。次の定期テストの目標を定めたり、もっと大きく、将来への展望を持ってみたりなどして、なんとしてでも乗り越え、成長してください。すると自動的に答えが頭に浮かんだり、意識せずとも問題が解けるようになる時が来ます。その希望を忘れないようにしてください。
でも、どうしてもうまく進まない、袋小路に陥っている気がする、停滞しているなど気持ちが上向きに向かないこともあります。そんな時はどうすればいいでしょう。どうしようもないのでしょうか?ところが実はそういう時こそが、大きなチャンスの時なのです。自分のやり方に非効率なところがないか、何か遠回りなことをしていないか、と振り返る時です。そして、先生や信頼できる人に相談する時でもあります。いろいろなことを聞いて、多くのことに気づいてください。そのときに気づいたことは、大きな糧になります。
困難なときこそチャンスがあり、飛躍するときだということを忘れないで下さい。そうして、停滞している時を乗り越えたら、成功するまで頑張ることが大事です。必ずうまいこと行くと信じて進むことで、強い芯のある歩み方が出来ます。そして、そこでの成功が他の分野への応用へと広がり、全体としての向上を導きます。希望をもち、くじけず、信じて進んでいってください。

数学科 村上 豊

ダニューブ・エクスプレス(その2)

2011 年 2 月 7 日 月曜日

 「シトー、エータ?」(これは何だ?)
 「エータ、……エーと、エーと」(これは……エーと、エーと)
ルーマニアとの国境の駅ウンゲニーで、ソ連からの出国審査が始まりました。そのとき、審査官と何回これを繰り返したでしょう。ふつうは入国審査の方が厳しく、出国審査は甘いものです。ハバロフスクでの入国は日本人が多いこともあって、ロシア人の入国審査官が日本語で棒読みする「それんのおかね(ソ連のお金)」という質問に対して日本語で「持ってません」と言うだけで済みました(他にも何項目か聞かれたのですがぜんぶ「ありません」「持ってません」と答えたことしか覚えていません)。荷物を検査されることもありませんでした。しかし、出国審査は長時間に及びました。
ウンゲニーに到着して小一時間ほど経ち、車両の切り離しの音も聞こえなくなった頃、彼がやってきました。長身で鋭い目線の男でした。David Bowieに似ているな、というのが当時の印象でした。まずはパスポートとビザ(査証)の確認から始まりました。ソ連のビザは3枚綴りになっていて、入国時に1枚切り取られ、出国時に残りの2枚が回収されます(つまりパスポートには何の痕跡も残らなくなります)。これは問題なく済みました。そして、荷物の検査が始まりました。最初は同じコンパートメントにいたイラク人留学生からでした。彼らはロシア語堪能であり、審査官と軽口をたたきながら検査を受けました。彼らの荷物はバッグ一つ、しかもその中は食料だけでした。当然すぐ終わります。次は私の番です。一応日本で買ってきた「ロシア語会話手帳」などというものと、ソ連に言ってから見つけた「露和会話集」を持ちながら、始めます。
トランクをひっくり返し、すべてを調べ始めました。彼のチェックポイントは中身そのものもそうですが、トランクの中に隠しポケットなどがないか、つまり何かを隠し持っていないかということに集中していました。持っていた本やソ連の空港においてあるのをいいことに持ち帰ったいろんな言語で書かれた小冊子(ソ連を宣伝するものだろうと思います。何せ読めないからわかりません。これは帰国後にお土産として便利でした)は、すべて一冊一冊見ていました。何かが本のどこかにはさんでいないか。それに集中していました。しおりがはさまっていたり、メモがはさまっていたりすると、それを入念にチェックしていました。そして、彼が何だか分からないものを見つけるたびに、冒頭の質疑応答となったわけです。ロシア語をほとんど知らずに行った私でも「シトー・エータ」は分かります。「エータ……」と答えればいいのも知っています。でもその後は言えません。何せ数ですら5までしか数えられないのですから。会話手帳にも露和会話集にもそんな単語は載っていません。そういうときにはすべてイラク人留学生たちが通訳してくれました(本当に感謝です)。ただ、審査官はどうもいろいろと疑念を抱いていたようです。
最後にボディーチェックが始まりました。探知機で調べていましたが、どうやらこれは手動で警報音を鳴らせるものらしく(意味ないやん)関係ないところでもわざとらしく鳴らしていました。ポケットの中のものを出させ、また一つ一つ調べ始めました。彼は定期入れを見つけ、中身を入念に調べ始めました。テレフォンカード(懐かしいものです。今でもありますが)がありました。彼はこう聞いたようです。
「このカードの穴は何であいているのか?」
こんな訳わからんこと聞くな、よう答えんやろと思いつつ、この質問には身ぶり手ぶりで何とか答えました。ただし、当時テレフォンカードのなかったロシア人にとってはかなり不可解なものであったようです。何せ、怪しげな自動販売機しかない国でしたから(余談ですが、先述の「ロシア語会話手帳」によると、「ソ連、特に中央アジアは乾燥した気候の国なので、街の至る所に飲料水を売る自動販売機がある」そうです。確かに自動販売機はありました。一カ所に5台くらいあったところもあります。しかし、1)まず動くかどうかわからない。誰かが使っているのを見たことがない。2)自動販売機からはジュースが出てくるだけで、備え付けの埃を被った共同のグラスでそれを受けて飲まなければならない。3)たとえジュースが出てきても、飽和砂糖水のように砂糖がジャリジャリいうほどの驚異的に甘いものなので喉の渇きを癒すどころではない可能性が高い、ということで使いませんでした)。
 次に出てきたものは某CDレンタル店のメンバーズカードでした。これがまたけったいなデザインのカードでした。審査官は私に直接聞かずにイラク人の留学生にこう言ったようです。
「これは何かの政治結社のメンバーズカードではないのか。この男はスパイではないのか?」
留学生が私に「お前が政治結社のメンバーではないかと聞いてるぞ」
と伝えてきました。もちろんかぶりを振りました。一瞬、極寒のシベリアが頭をよぎりました。シベリアに送られるのはごめんです(たぶんそんなことはないでしょうが)。これは面倒なことになりそうだと思ったのですが、何と、この審査官、もう仕事が長引いて面倒くさくなった(私の審査だけで1時間以上経っていました)のか、どう見てもスパイには見えないと思ったのか(本当は一番怪しいですがね)、どうせ出国するのだからどうでもいいやと思ったのか、私が否定したら、あっさりと引き下がったのでした。留学生たちにはいろいろと聞いていたようですが(ロシア語なのでわからない)、まあ大丈夫だろうという結論に達したようです。
 最後に外貨のチェックが始まりました。ソ連では入国時にいくらの外貨を持っているかを申請します。その申請用紙を出国時に提示し、それを上回る外貨を持っていると全額没収されるという規定がありました。これが最も緊張するものだったのですが、これはあっという間に終わりました。もう、審査官も疲れていたのでしょう。ソ連国外への持ち出しが禁止されているはずのルーブル紙幣も「いいやろ」ということで手元に残りました。これでやっと審査が終了です。
既にウンゲニー到着から3時間以上が経っていました。ウンゲニーの停車時間は2時間。トータルで3時間半ほど遅れて、ようやくソ連を出国できます。
(まだ続きます)

片岡尚樹

「品詞論」と「5文型」の重要性

2011 年 2 月 1 日 火曜日

 みなさんこんにちは。英語科の山本博貴です。今回は、高校英語で恐らく最初に学習する単元である「品詞論」と「5文型」の重要性について、今更ながら語りたいと思います。
 前回のブログで「和訳を徹底することで文構造の分析力を養うべし」ということが言われていましたが、その「文構造の分析」をするためのツールが「品詞」および「文型」の知識であるということを皆さんに再度認識してもらいたいと思います。
 先日、草津駅前教室の質問教室で高1のある生徒が「先生、この英文訳せへん」といってきました。ここで私が訳をすぐに教えることもできたのですが、どうもその生徒は英文をしっかりと分析して読めていなかったようなので、私は心を鬼にして文構造を把握する手がかりとなる質問を幾つも投げかけました。「ここのかたまりは何の品詞の役割をしている?」「これはO(目的語)?かな、C(補語)かな?」「この動名詞の意味上の主語は?」「この形容詞は何を修飾してる?」などなど…。
 その生徒はもう、???という状態でした。私はその生徒に対し、学校で一つひとつ習得していく単元を超えて問題にアプローチすることができていないな、という印象を持ちました。その生徒に限らず、私が担当している高1生全員に当てはまる傾向です。
 京大・阪大・神大はもちろん、国公立や関関同立の入試でも英文を多角的な視野(複数の単元の知識を使って)アプローチすることが要求されます。したがって、その習慣を高1・高2の段階から、訓練を通して意識的に習得する必要があります。それをする機会として学校の課題を使わない手はありません。塾で学んだことを学校の課題に応用してはならないなんて決まりはないのですから。
 長くなりましたが、英文を読む際には常に「この語(句)(節)は何の品詞で、どの文の要素になっているのか?」「それぞれの要素がどのようなつながりを持っているのか?」を意識して文にあたるようにすると英語力は格段にアップするということがポイントです。
 開成ハイスクールの生徒には「皆がやっている勉強」を「皆がやっているように」やるのではなく、そこから一歩進んだ「攻めの勉強」をしてほしいと思います。以前、高橋先生がブログで言及した「微差」をこういったところで積み重ねることで、大学入試で大きな差をつけて成功して欲しいと思います。

英語科 山本博貴

自分って文系向き?それとも理系向き?その2

2011 年 1 月 24 日 月曜日

 こんにちは。開成ハイスクール英語科の濱田健太郎です。
センター試験が終わりました。結果を受けての感想はそれぞれでしょうが、勝負はここからです。油断せずに、志望校に挑んで下さい。
 今回は、以前の続編です。
 中学時代、私の好きな科目を順番に挙げろといわれたら、英語・理科・数学・国語・社会です。英語に関しては出会った先生がよかったのか、本当に好きで自信がありました。幸いにして、英語は文系でも理系でも入試で必要な科目なので問題はなかったのですが、その後が困りました。確かに数学は好きだったのですが、それは中学までのお話。高校生のみなさんならおわかりですよね?高校の理系の数学半端ないっす!!しかも、こんな計算なんの役に立つねん!!って思うぐらいえげつないレベルでした。2年の2学期に、本格的な微分積分(こんな表現してる時点で向いてない。。)のテストで、ついに破綻をきたしました。200点満点のテストで8点を取りました。それまで、センターレベルの数学は楽勝だったので、理系への未練を断ち切れなかったのですが、さすがにその日のうちに、学年主任に文転したい意思を伝えました。その時の学年主任の言葉は今でも覚えています。「ようやく決心がつきましたか?」というものでした。やはり専門家から見れば明らかに向いてなかったのでしょうね(笑)。しかし、その後にしっかり、「センターと文系2次の問題なら楽勝なんだから、しっかりやればいい。」というフォローの言葉は頂きました。確かにセンター試験本番では、数学は200点を取ることができました。私立入試では、英数国の3科目受験で挑みました。調子に乗って文系なのに薬学部も受験しました。結果はご想像にお任せいたします(笑)。
 受験科目を絞るということは、かなりの力を必要とします。当然科目数が少なくなった分、1科目あたりに求められるハードルは高くなります。しかし、そればかりにとらわれるのは危険です。どうするべきか。その選択のきっかけは日常生活の中に必ずあります。そのサインを見逃さず、悩んだら素直にその道の専門家に相談すれば、道は拓けるかもしれません。
 みなさんからの相談、お待ちしております。

古英語

2011 年 1 月 17 日 月曜日

 本当に寒くなってきましたね。みなさん体調を崩していませんか?
 久しぶりにブログを書きます。

 先日、S君の補習をしているとき、彼はこう言っていました。
 「英語文法むずすぎ!なんでこんな言葉が世界共通語なんか意味わかれへん!!」
 S君は英語が相当難しいと思っているのでしょう。
 でも、決してそんなことないですよ。
 他の言語と比べても英語は単純な文法です。
 それに、英語自体も昔にくらべてかなり簡単になっているのですから。

 みなさんは大昔の英語の文章を読んだことがありますか?

 英語の歴史を4世紀までさかのぼってみましょう。
 「4世紀ごろの英語(古英語)」の文法を少し紹介しましょう。
 きっと、「現代の英語」で良かったと思うはずです(笑)!

 まず、アルファベットの数は今より多かったようです。最大で33文字まで増えました。
古英語には現在のアルファベットにはない「Þ」や「æ」、「ð」もありました。

 古英語の文法は相当複雑です!
 動詞が主語や文法によって変化しまくるのです!!
 例えば、steal「~を盗む」という動詞の場合、
 現在形で主語が1人称単数のときはstele、2人称単数のときはstilst、3人称単数のときはstilð、 複数のときはstelaþにしなければなりません!
ちなみに過去形は1人称単数はstæl、2人称単数はstæle、3人称はstæl、複数はstælon、不定詞のときはstelan、命令文は単数ならstel、複数ならstelaþ、現在分詞はstelende、過去分詞はstolenとすべて変化させなければなりませんでした!

 地獄ですね、こんな英文法…。この時代に生まれなくてよかった…。

 でも驚くことなかれ、古期英語は動詞だけでなく、なんと名詞も複雑に変化します。
 これを専門用語で「屈折」といいます。これもほんとにややこしい…。
 すべての名詞は主格「~は」・属格「~の」・対格「~を」・与格「~に」と変化します。
中学校のときにI, my me, mineと変化することを習いましたが、すべての名詞で変化がおこります。名詞は男性名詞・女性名詞・中性名詞と分類され、それぞれ異なった変化をします。
 例えば、現在のshipに相当する古英語のscipは男性名詞で、主格はscip、属格はscipes、対格はscip、与格はscipeと変化します。複数形になれば、主格はscipu、属格はscipa、対格はscipu、与格はscipumとなります。

 気が遠くなりますね、この活用。
 ただ、英語に興味がある人は、ここからどうやって現代の英語に変化をとげていったか調べてみて下さい。すごくドラマティックで面白いですよ!

大道@西田辺

英文解釈―和訳を徹底し「文構造」の分析力を養え。

2011 年 1 月 11 日 火曜日

 こんにちは。新年最初の私のブログ執筆、本来なら「明けまして…」と挨拶をするべきなのでしょうが、私は「おめでとう」という、この素晴らしい言葉を、受験生たちが志望校に合格したときまで取って置きたいので、いつもの挨拶で失礼させていただきます。
さて今回は、英語学習の応用的領域として必須の重要テーマ、「英文解釈」について述べてみたいと思います。お正月気分を払拭するに相応しいテーマでしょう。
英文は、単語の無秩序な集合体ではありません。文中において、各単語は必ず何らかの役割を帯び、また他の単語と結びついていくつかの意味のまとまりを構成しています。ところが、特に難解な英文になると、それが単なる単語の羅列に見えてしまうのは、文章を構成している各単語の働きと結びつき、つまり文の「構造」を意識していないからです。この「文構造」を分析し、把握していく作業こそ、英文解釈なのです。
①「文構造」の分析に必要な視点―その1
 英文は、基本的には文の主要素(SVOC)から成り立ちます。そして、この各要素に様々な形の修飾語句が付け加わり、文章は長く複雑になっていくのです。そこで、まずは文の主要素、とりわけS(主語)とV(動詞)を特定する作業を徹底してください。SVが発見できれば、文の大まかな構造を把握することができるからです。また、実際の英文では、文の主要素や修飾語句は、それぞれが複数の語から成り立っている場合が多く、これを見抜くためには「句」の知識が必要です。英文解釈の演習を始める前に、「句」の形と働きを確認しておいてください。
②「文構造」の分析に必要な視点―その2
 SVを主要素として成り立つ文は、他の文と「接続詞」によって結ばれ、その結果、文章は長く複雑な構造を持つようになります。この「複文構造」もまた、読解を難しくする要因の1つです。複文中に含まれる文(S+V)のうち、頭に接続詞がくっついているものを「従属節」、くっついていないものを「主節」と呼びますが、文全体の最も重要な意味を担うのは「主節」であり、文全体は訳せなくても、まず「主節」の箇所を特定し、そこだけ訳しても大意は把握できます。ですから、「接続詞」の働きや、「主節」と「従属節」を含む「複文構造」の理解は、英文解釈にとって不可欠です。文法の参考書などで完全にマスターしておいてください。
③英文解釈「和訳」のすすめ
 大学入試の長文読解問題は、内容一致問題(選択肢の中から本文の内容と一致するものを選ぶ問題)や空所補充といった、様々な形式の設問から成り立っています。それぞれの出題形式には(特に内容一致問題には)幾つかの解法のテクニックというものがあり、それらはいずれも得点に結びつく重要なものなのですが、基本はやはり読解にあり、正確に読めればどんな設問に対しても確実に正答できるはずです。ですから当面は、読解力そのものを身につけていくべきであり、問題集を選ぶ際も、最初は設問がついているものではなく、できれば全訳するようなものが望ましいでしょう(もちろん、自分の力に合ったものを選んでください)。下線部だけを和訳させるようなテキストもありますが、そうしたものを用いる場合も、ぜひ全訳にチャレンジしてみてください。
 また、訳を行なう場合は、実際に日本語訳を書いてください。頭の中だけで訳すと、曖昧なフィーリングで読解を進めていってしまい、文構造を分析する視点が養われません。構造を意識しないで英文を読んでも、読解力は決して伸びないのです。ところが、訳を書くとなると「ごまかし」がきかなくなり、どうしても構造を意識せざるを得ません。始めのうちは時間もかかり困難な作業となるでしょうが、英文解釈の最初の段階は、この和訳のトレーニングを徹底的に行なってください。