2016年12月28日
年末年始は何かと宗教行事の多い時期です。キリスト教系の学校では、クリスマスに向けて、様々な飾りつけや聖歌隊の演奏などが行われるミサなど、この時期を祝う行事が続きます。

キリスト教系大学の学生数をグラフ化しました。(元データ「大学ランキング2017」朝日新聞社)大学名の後ろに★がついているのは同じキリスト教でもカトリック系の修道会が運営している学校です。同志社をはじめとして星印がついてない大学は、プロテスタント系です。プロテスタント系はカトリックと違ってその中でさらに宗派に分かれているので、それぞれの宗派が学校を作ることによって学校数は多くなっています。たとえば学生数1位の同志社と2位の関西学院は同じプロテスタント系で、どちらも日本基督教団指定の神学部を設けていますが、同志社は「会衆派系」、関西学院は「メソジスト系」と少し違いがあり、関西学院は同志社より同じメソジスト系の青山学院の方と仲が良いようです。
同志社では毎年クリスマスの時期に、「全同志社メサイアコンサート」を行います。ヘンデルのオラトリオ、「メサイア」全曲をオーケストラと合唱併せて200人近い学生が、外部のホールを借りて演奏するという一大イベントです。約2時間半の長大な曲ですから一般の演奏機会は少ないのですが、キリストの誕生を祝う内容の名曲の演奏を毎年楽しめるというのは、同志社大生の特権でしょう。聖歌を大切にしたといわれるマルティン・ルターの考えがここにも生きているのでした。
(明日の「仏教系大学 学生数ランキング」に続きます)

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2016年12月27日
駅伝ファンの皆様、お待たせしました。今年も恒例の「全国高校駅伝競走大会」が京都市内を舞台に開催されました。男子は第67回、女子は第28回となるそうです。個人で競うことが多い陸上競技ですが、駅伝は区間ごとの距離やアップダウンなど条件が異なるため、どこにその選手を配置するべきかなどチームプレイとしての側面と、合計でのタイムで競うわけですから選手層の厚さがものをいう競技です。今回もトップ集団の順位が途中で入れ替わるなど、目が離せないレース展開でした。男子は倉敷(岡山)が初優勝、女子は大阪薫英女学院が2年ぶり2回目の優勝を果たしました。
この大会は記念大会を除くと各都道府県から1校しか参加できませんので、高校野球よりも出場のハードルが高いといえるでしょう。元々長距離走に向いた生徒が入学しているケースもあると思いますが、他のスポーツと同じように練習方法や監督の指導など、総合力でが勝っている学校が常連校となっています。
男女の結果です。入賞の順位である1位から8位までは全国の高校から、それ以下は大阪、奈良、京都、滋賀、兵庫の学校のみリストアップしています。
男女とも入賞の西脇工業高校は、機械科、電気科、工業化学科、情報・繊維科、総合技術科の5つの専門科を持つ兵庫県立の高校です。特に長距離走の選手を集めているわけではないと思うのですが、上位入賞の常連校となっています。
同じく近畿から男女とも出場しているのが、奈良の智辯学園。県代表になっている段階で十分強いと思うのですが、さらに練習環境を向上させるために、同じ学校法人が運営する智辯奈良カレッジに活動の拠点を移すという話も伝わってきています。
京都の洛南も2年連続の入賞。関大北陽も2009年からの8年間に6回大阪代表になる常連校です。
女子は大阪府摂津市の大阪薫英女学院が2年ぶり2度目の優勝となりました。この学校は英検の合格率で有名な学校ですが、バスケットボールも全国高校バスケット選抜優勝大会で全国ベスト4に進むなど(12月26日現在)スポーツも盛んです。
薫英女学院についてはこのブログでも以前紹介していますので、併せてお読みください。
http://www.kaisei-group.co.jp/nyushiblog/juniorhigh/25579.html
冬は長距離走の季節です。陸上に興味のある方や駅伝が好きな方はこれらの大会結果も学校選びの参考になさってはいかがでしょうか。


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2016年12月26日
12月22日の毎日新聞によりますと、2020年から導入予定の新指導要領の目玉の一つである「小学校英語の教科化」が2018年より先行導入されるとの報道がありました。2020年導入ということは、関係するのは現在の小1以下の学年だと見られていましたが、この先行実施によって現在の小3以下の学年が影響を受けることになりました。

(毎日新聞Online http://mainichi.jp/articles/20161222/ddm/002/100/163000c より引用)
ここで、気を付けたいのは、指導要領によって「教科として」教えられる科目になるということは、今でも私立中学校入試で一部選択として扱われている英語が本格的に導入されるばかりでなく、公立中高一貫校の適性検査も変わってくることが予想されます。さらに、中学入試を考えていない生徒にとっても、中1の英語の教材から、現行のようなアルファベットと簡単な単語といった導入段階が消え、ある程度のまとまった会話文や文章からスタートすることになるなどの影響を受けることになります。
加えて新聞記事には最後に書かれていましたが、新指導要領では高校の間に学ぶ英単語の数を、現在の3,000語程度から5,000~6,000語程度に増やすとのことです。従って大学入試に出題される英語長文のレベルも上がると考えられます。(実は、今の大学入試で使われている英語の長文は、雑誌記事や小説を題材に使っているものが多いのですが、原文のままではなく、高校生でもわかるように、表現技法や単語のレベルを落として書き直しているものがほとんどです。)つまり、今の小3以下の学年が大学受験をするころには英語圏で実際に使われている本格的な素材文を早く読んで的確に理解する力が必要になるというわけです。
小学校が全面的に外国語を取り入れるのは史上初めてのことであり、教員の研修も含めて授業の質を保証する方法についての詳細が決められていないタイミングで、さらに工程を短くする答申に対しては今後議論も起こるでしょう。しかし、導入時期が決まったことによって一部の私立小学校や公立の研究校で行われている実践が紹介される機会も増えると思います。

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2016年12月22日
平成28年一級建築士試験「設計製図の試験」の合格者が発表されました。この「設計製図の試験」というのは、一級建築士の2次試験(最終試験)で、この試験に合格できれば資格が手に入るというシステムになっています。
一級建築士を受験するためには、二級建築士合格後、2年以上の実務経験が必要です。しかし大学院在学(および必要な単位)によってその代わりにすることもできます。つまり受験資格を得るためには大学院を卒業するか、学部卒業後、2年の実務経験を経る2つの方法があります。最短でも高校卒業後、6年間経なければ受験資格が手に入らないというハードルの高さですが、そのうえ1次試験の「学科」と2次試験の「製図」両方合格できたものは12.0%と資格試験としては難関の部類に入ります。
今年の設計製図試験の課題は「子ども・子育て支援センター」(保育所・児童館・子育て支援施設などの複合施設)を設計せよ、というものだったそうですが、今必要とされている施設という意味では実態に即した試験だといえるでしょう。
受験資格に「大学・各種学校」を書いている人は約76.2%ですが、その中でのランキングが発表されています。全国一位は日本大学の180名、2位は東京理科大学の123名、3位は芝浦工業大学の90名と関東勢がベスト3を独占しています。そこで、ここでは10名以上の合格者が出た近畿の大学・専門学校を紹介します。

近畿1位は全国では5位の近畿大学です。次は国立大学が3校続きますが、近畿で5位は関西大学、文系学部が多く、元気な関西大学ですが、理系の建築学部も目覚ましい実績を上げています。大阪工業大学と二つ下の摂南大学は同じ学校法人ですので、合計すると63名と近畿で3位ともいえます。
女子大で唯一ランクインしているのは武庫川女子大学。薬学、看護学も有名ですが、食物栄養なども含む生活環境学部の中に、建築学科があります。本学と少し離れたところにある建築学科ですが、近くの工場の中庭の設計や現在高架工事中の阪神電鉄の駅の見学など、実習や見学を数多く取り入れている実践でも有名です。
一級建築士という巨大な公共物の設計もできる資格があれば、文字通り「地図に残る仕事」ができるのです。これから大学選びをする皆さん、いかがですか?

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2016年12月21日
大学のオープンキャンパス情報をお知らせしておきます。
「え?そろそろ出願だというこの時期に??今頃???」と思われた方、そう思うのも無理はありません。実は高3向けのオープンキャンパスではなく、その次の年度に向けて3月に行われるイベントの話なのです。

摂南大学はさりげなく6月~12月までの日程に続けて3月の日程が紹介されていますが、この大学は3月5日が最後の入試日ですので、ここにある3月18日は高2以下向け、という事になります。思わず見落とすところでした。
ここでは摂南大学のオープンキャンパスを紹介しましたが、それ以外にも昨年には近畿大学などが3月にオープンキャンパスを開催しています。このようにすでに次の受験生向けのイベントも今後発表されていきますので、気になる大学のホームページを定期的に巡回しておきましょう。

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2016年12月20日
大学入試改革についての議論が進み、大学入試センター試験にかわる新テストが実施される2020年には記述式を導入しようという方針で進んでいます。ところで、国公立大学の一般入試を受験する生徒は今でも記述式の模試を受けるなど、準備するのが一般的になっています。実際に国公立大学はどの程度、記述式を採用しているのでしょうか。
12月19日の朝日新聞に、すべての国立大学82校について調査した記事が載っていました。
調査したのは東北大学のグループです。○×式や選択式以外の、採点に人の判断が必要となる解答方式を「記述式」と定義して、分類して数えだしています。
すると、なんと全24,068問中、21,065問が記述式だったそうです。割合にしますと87.5%になります。
その記述式の問題をさらに分類したのがこのグラフです。

やはり、数学は記述式が多いようです。計算結果を聞くよりも、○○を導け、○○を証明せよ、という数学的思考力をじっくりと問う機会は、むしろ国公立の2次試験しかないともいえます。
英語でも数十語以上の英作文が増えるなど、すでに記述が難化、高度化する傾向にあります。国公立入試を考えている皆さんは、数学の途中式と英作文を書くことを習慣にすると良いでしょう。

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2016年12月19日
「動物が好きなので、獣医さんになりたい」という相談を生徒さんから、時々聞くことがありますが、獣医師になるためには「獣医学科」のような養成機関に6年間在籍してから国家試験の受験資格を得て、その試験に合格して初めて「獣医師」になることができます。
ところが、その受験資格を手に入れられる大学が日本には16校しかありません。医学部医学科は80校(国立43校、公立8校、私立29校)ありますから、それと比べると学校数はちょうど5分の1ですが、定員の合計は医学部の約10分の1の930名と狭き門になっています。

難易度はベネッセの数値です。大学名を薄く色を付けているところは私立大学です。御覧のように近畿圏では大阪府立大の「生命環境科学域・獣医学類」が唯一の国家試験の受験資格が得られる教育機関となります。
さて、国家試験の合格率はどのようなものか見てみましょう。この表は2016年の獣医師国家試験の合格率の高い大学を順に並べたものです。東京農工大は全員合格。先ほど挙げた大阪府立大も9割近くと高い数値になっています。(サンデー毎日12月25日号より引用)

昔は、獣医師はペットの病気を治すというより、産業動物と呼ばれる家畜の健康管理が主な守備範囲でした。今年も家畜の伝染病のニュースが報道されていますが、その診察や対策は獣医師が中心となって行われています。このように、獣医師の資格を手に入れた後はその専門性を生かして約半数が公務員や農業関係団体、製薬メーカーの研究員や大学の研究者になっています。動物園にも獣医師が必要ですが、そもそも動物園の数が少ないので、それほど大きな就職先にはなっていません。そして動物病院に就職したり、開業したりしているのは51%と約半数がペットのお医者さんになっているようです。
大阪府立大の獣医学類はセンター試験で80%以上の得点が必要です。獣医さんを目指す方は、ひとまずそこを目標に頑張りましょう。

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2016年12月16日
JR大阪駅、阪急梅田駅のすぐ近くで建築されていた地上22階、地下2階の巨大なビルが完成しました。「大阪工業大学梅田キャンパス」です。大阪駅の近くには以前ここで紹介した関西大学のように、就職支援のためのオフィスを構えている大学がいくつもありますが、ここは次の4月から大阪工業大学「ロボティクス&デザイン工学部」が開設されるなど、毎日学生が通うキャンパスとして利用されることになります。

先日、見学会が実施されましたので、行ってきました。学校関係者や高校生が多く参加しています。まず、6Fのラーニングコモンズという場所で新たな学部の説明が行われます。

その後、真新しい教室を見せていただきます。まだ、完成したばかりで備品はあまり入っていませんが、ここは学生実験室です。机といす8個セットが一つの研究室、となるそうですが、このような柱の無い大空間の中に島のように配置されているので隣の研究室と壁も何もない、というわけです。


このような高層ビルタイプのキャンパスでは授業前後でエレベーターが込み合うという問題が生じるものですが、ここでは1フロア上の学生が居場所にする「デザインスタジオ」との間にはエレベーターを使わなくてもいい様に吹き抜けの階段があります。

ビルには免震装置がついています。解説のプレートもついています。こういう構造物を見せるというのもさすが工業大学ですね。

最上階にはレストランがあります。お昼には学生用にランチが数百円で提供される予定です。ここは一般の人も利用できるように別のエレベーターがあり、大学に迷い込まないようにゲートもついています。HEPの観覧車を下に見ながらのランチが食べられる大学というのも素晴らしいですね。
今回は完成したばかりのビルを見ながら、新学部のコンセプトを説明していただくというイベントでしたが、この大学から未来のロボットやデザインといった新たなものを生み出すといった熱意を十分感じることができました。

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2016年12月15日
昨日の東京大学に引き続き、今回はこの10年間で、京都大学現役合格者を増やした学校のランキングを紹介します。(「高校の実力」2016年完全版 毎日新聞社より)
同じく表の中で学校名を黄色に塗っているところは私立の学校です。
昨日の東大と異なり、京大では公立高校の躍進が目立ちます。特に2011年から文理学科を設置した大阪府立の双璧、キタの「北野」、ミナミの「天王寺」がそろってランクインしています。京大に限らず、現役合格の割合も上がっているようです。また、2004年から附属中学校が併設された京都の公立「西京」、「洛北」も、2011年にはすでにその効果が出ていることがわかります。「神戸」の伸びも神戸第一学区が2005年度、芦屋学区と合併し、内申に絶対評価を取り入れるといった入試改革が行われた時期と重なっています。このように、公立高校の大学入試実績は制度上の変更と連動して変化していることがわかります。
一方、医学部や首都圏への進学志向が強かった名古屋のトップ校「東海」では、研究者志向が強い生徒の増加で、京大人気が高まったようです。首都圏からの唯一ランクインしている「女子学院」もリベラルな校風が、自由な研究活動を行っているイメージが強い京大とマッチしたらしく、近年志願者が増えているとのことです。
公立校が躍進している中、進学準備に向けた補習や講習を充実させている私立の「大阪桐蔭」、「開明」が伸びています。特に「開明」は2001年から中学から順次共学化しましたので、2006年の実績は男子校最後の数値となります。共学化と併せて行った学校改革が進学実績に結び付いたといえるでしょう。
直近の大学合格実績だけではなく、その経年変化とその背景を併せて見ることも、学校を選ぶ一つの方法だと思います。

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2016年12月14日
この10年間で、東京大学現役合格者を増やした学校のランキングを見つけましたので、紹介します。(「高校の実力」2016年完全版 毎日新聞社より)

表の中で学校名を黄色に塗っているところは私立の学校です。10年前の2006年度入試と比べて、2016年度入試までの増加数でのランキングです。これは伸びのランキングですので、たとえば毎年100名以上の現役合格者がいる開成や筑波大付属は10年前から同レベルの実績を上げているのでランキングには入っていません。
この表を見ると、まず、私立の中高一貫校で伸びている学校が多いことがわかります。この学年は中学校入学時がリーマンショック後でしたので、私立中学の受験者が減った世代ですが、特に首都圏の私立難関校ではあまり影響が出なかった、または逆に他の私立中学・高校との差別化を図るために進学実績を上げるための改革が行われたと考えられます。
一方、近畿圏から唯一ランクインしている灘高は、元から京大への合格者が多い学校ですが、東大シフトが進んだと考えられます。受験時に学部や学科を決めなければいけない京大より、大学入学後に専門分野の選択ができる東大の方が魅力的に見えた受験生が増えたのかもしれません。
このように近年伸びてきている学校は、まだ中学受験時の偏差値が上がりきっていないところもありますので、受験校選びの材料にしてみてはいかがでしょうか。

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