2025年4月30日
「石破総理大臣は公立高校の入試制度について複数の公立高校に出願できる「併願制」の導入を検討するよう指示しました。」ABEMATIMES 4月23日(水)15:32配信より引用
公立高校の入試制度は都道府県ごとに大きく異なっています。地域の事情に合わせてそれぞれの教育委員会・教育庁を中心に都道府県ごとに議論がなされて進化していったわけですが、「学区」の有無、選考方式の種別や回数、内申点の配点と対象学年、内申と学力試験の配点割合、学力試験の科目や種類・配点(傾斜配点など)、面接や小論文など学力試験以外の選考、複数志願制の有無、などの複数の要素の組み合わせでできており、用語にもバリエーションがあります。例えば、居住地によって受験校の選択範囲が限定される学区についても、千葉県や兵庫県は「学区」、京都府は「通学圏」と呼ばれています。
さて、この石破総理大臣の発言にある「併願制」ということばも、私立高校の出願に関して使われる事の方が多いのですが、ここでは公立高校の複数志願制を意味していると思います。
そこで、47都道府県の公立高校入試をざっくりまとめてみました。当グループの教室がある地域は自信がありますが、それ以外は各都道府県の教育委員会のネット上での情報を元にしていますので、勘違いがあったらすみません。(各地域にお住まいの受験生はこの表に頼らず、直接お調べください。)
すると、一般選抜で複数志願制度を設けているのは愛知県、京都府、兵庫県と次年度から導入が決まっている奈良県だけです。大阪府も3年後から導入しようかなという議論がなされている最中です。
複数志願制度があったとしても、学区が細かく分かれていて実質それほど多くの学校から選べないなど、他の制度との組み合わせでその実効性も変わってくると思います。
さらに複数志願制度が無くても、複数回受験機会が有るかどうかについてもまとめてみました。別日程入試がある地域では複数志願制度を導入しなくてもよいのでは?と思ったりもします。まあそれも含めて各地域で議論がなされることになるのでしょう。
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2025年4月28日
神戸龍谷高校が全面共学化された7年前に学校紹介をさせてもらいましたが、
神戸龍谷高校が変わります « 学校選びの道しるべ|開成教育グループ 入試情報室 学校・入試情報ブログ
今回は神戸龍谷中学からオープンスクールのご案内をいただきました。高校で4つ設置されているコースのうち、2つの名称に「グローバル」の文字が入っているので文系のイメージを感じるかもしれませんが、大学進学では、多くの卒業生が国公立大学も含めて理系にも進学しています。というわけで、今回のイベントは学校紹介や個別相談に加えて理科観察の体験授業も行われます。この学校の充実した理数教育を体験できる絶好の機会となっています。お申し込みは学校HPからどうぞ。
ところで2005年に新設された神戸龍谷中学校の校舎は高等学校から徒歩10分ほどの「青谷」というところです。今回のイベントはこの「青谷学舎」ですのでお間違えの無いようお気を付けください。
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2025年4月25日
「このたび、学校法人ノートルダム女学院は、2026(令和8)年度以降の京都ノートルダム女子大学における学生募集停止を2025年4月22日開催の理事会において決定いたしました。」(以上 4月25日更新の大学HPより引用)
64年前の1961年に創設された、比較的新しい大学ではありますが、1990年の京都市営地下鉄北山駅開業によって通学の便も飛躍的に向上し、京都3女子大(京都女子、同志社女子、京都ノートルダム女子)の一つとして広範囲から安定して学生を集めていました。
しかし、学部・学科の改編に関しては保守的で、英文、家政、教育という旧来の女子大の枠組みに留まり、薬学看護医療系や理工系分野を導入した同志社女子や京都女子と明暗が分かれてしまいました。
今年度の入学者数は出揃っていませんので、2021~2024年度募集について近畿圏の女子大の充足率ランキングを作成してみました。京都光華大学(仮)、園田学園大学、神戸松蔭大学は2024年度募集時点では女子大でしたので集計に入れていますが、2023年度募集から共学化した神戸親和大学はランキングから抜いてあります。
すると、京都ノートルダム女子大学は2022年度募集から既に深刻な状況だったことがわかります。2024年度には定員を40名減らし、今年度は新たな「学環」を、2026年度には新学部の新設も計画していたようですが、意思決定が遅すぎました。
現時点で当グループ出身者も在籍していますが、彼らだけでなく、在校生、卒業生の皆さんの事を考えると心が痛いです。
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2025年4月24日
京都市は土地の面積が限られていますので、新たに学校のようなまとまった面積の土地が必要な施設を作るには、何かの跡地に作られることになります。そのような土地の歴史と絡めながら、京都文教中学校を2年ほど前に紹介しましたが、
京都文教中学校 スタートダッシュ説明会 « 学校選びの道しるべ|開成教育グループ 入試情報室 学校・入試情報ブログ
今年もこちらから見学会のご案内をいただきました。
説明会、キャンパスツアー、個別相談がセットになった見学会ですが、学食のランチ体験(無料)も用意されています。楽しみですね。
対象は小学4~6年生とその保護者です。この学校は元女子校なので女子が多いイメージをお持ちかも知れませんが、共学化から20年を経た現在、多くの男子も学んでいます。男子小学生諸君もどうぞ。
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2025年4月23日
イベントに関する説明は、以前このエントリーで紹介していますので、そちらをお読みいただければと思いますが、
京都橘中学校・高等学校 「第7回ドリーム☆スクール」 « 学校選びの道しるべ|開成教育グループ 入試情報室 学校・入試情報ブログ
今年もさらにパワーアップ、大学の救急救命学科による体験会など新企画も入っています。
このイベントは「地域還元事業」との位置づけですが、対象は小学3年生~6年生となっており、中学受験を考えているその学年の小学生も大歓迎となっています。詳細は学校HPからどうぞ。申し込み受け付けは4月24日(木)開始となっています。
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2025年4月22日
「文部科学省は21日、私立大学が学部や学科を新設する際の審査基準を厳格化する方針を固めた。現在は、学生数を収容定員で割った「定員充足率」が5割以下の学部が一つでもあれば新設を認めていないが、これを7割以下に引き上げる。文科省は近く有識者会議に提起し、早ければ2029年度の設置に向けた審査から適用する考えだ。」読売新聞オンライン4月22日6:46配信より一部引用
この記事によると、現在2024年度の調査で私大598校中、入学定員充足率5割未満が7%(43校)、7割未満が19%(113校)あるので、現行の基準で引っかかる43校に加えて、いままで助かっていた(?)70校も学部・学科の新設ができなくなります。
時代の変化や受験生ニーズに合わせて学部・学科をリニューアルしていくことは、私立大学にとって生命線なのですが、今回発表された方針が実現されることになれば、定員充足7割未満の学部がある大学にとっては大打撃となります。収容定員充足率が8割未満の場合は修学支援制度の対象から外されるという別のペナルティもあるので、このダブルパンチを食らった段階で学生募集はより厳しくなるわけです。従って大学としては定員を減らすか統廃合といった道しかなくなるわけです。
ここ数年、教育系の募集状況が良くない大学が増えており、今年に入って募集停止を発表した大学も数校ありますが、これを機に教育系学部廃止の動きが加速するかもしれません。教員養成機関の減少は、将来の教員数の減少に直結します。現在衆議院で審議入りしている教員の給特法の改正程度では、教員不足の解消は難しいかも知れません。
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2025年4月21日
毎年恒例となりました浪速中学校のクラブ体験会の案内です。浪速中学校高等学校は新校舎が竣工したばかりと学習施設も充実していますが、校外にもスポーツ施設や学習合宿施設などを持っており、伸び伸びと部活動ができる環境が整っています。
というわけで、その施設も体験してもらおうと、軟式野球、サッカー、テニス、ゴルフの体験会が用意されています。朝に学校に集合し、バスでそれぞれの会場への送迎もしていただけるようです。
対象は小5・小6となっております。定員制となっております。希望者はお早めにお申し込みください。
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2025年4月18日
(昨日の続き)
大学入学者数が増加しているのなら、私立大学の経営はウハウハなのか、といえばそんなことはありません。大学数の増加や学部改編・増設に伴う定員増によって大学間の競争は激化しています。また大学入学者数の増加は18歳人口減少を打ち消すほどの大学進学率の上昇があったからであって、進学率が6割を超えた今、進学率の更なる上昇を見込むことができず、人口減少の影響が直接大学に迫ってくることになります。既に私立学校振興・共済事業団のデータでは、2024年度には約6割の私立大学が定員割れとなっています。またここ数年間でも、広島国際学院大学、恵泉女学園大学、神戸海星女子学院大学の募集停止が発表されるなど、大学の減少が始まっています。
2025年度の18歳人口を1として、今後の推計値の相対値をグラフにしてみました。(変化の割合を強調するために縦軸最小値を0.4にしていますのでご注意ください)
10年後には0.88、すなわち12%減、その頃から減少スピードが上がり、今の2歳児が大学受験を迎える2041年には0.72、すなわち28%減となります。今年大学に入学した世代が63歳(そろそろ定年か?)になる2070年には0.56とほぼ半減することになります。今後は大学進学率が上昇せず、18歳人口の減少が直接大学入学者数の減少につながると仮定すると、半分ほど(実際には小規模校の方が影響を受けやすいため、学校数では半分以上)の大学が消える可能性があるわけです。国公立も含めて現在日本には796校(旺文社調べ2024年度)の大学がありますが、2070年にはいったいいくつの大学が存続しているのでしょうか。
つまり、大学の存続・発展のためには日本の受験生だけ相手にしていてはダメ、というわけで、東京大学の新学部【69年ぶり】東京大学 新学部「カレッジ・オブ・デザイン」設置【なんじゃこりゃ】
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2025年4月17日
2008年に1億2808万人と過去最多となった日本の人口は、それ以降減少しています。昨年はその減少幅が最大になったとの報道もありましたが、18歳人口を見てみると1992年の205万人が最大値で、2025年度の109万人まで減少しています。
そこで、減少割合の変化や時期などについて詳しく調べてみました。
まず、1980年からの男女別18歳人口です。数値は文部科学省の資料からの孫引きなのですが、元資料の出典は2022年までは文科省の「学校基本統計」、2023年以降は国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来人口(令和5年推計)」だそうです
1985年に一時的な落ち込みがありますが、これは1966年の「丙午(ひのえうま)」による出生数の減少です。時代だなぁ。
先に述べたように1992年のピークから減少が続くのですが、2008年ころまで大きな割合で減少していきました。18歳人口と関係の深い予備校や自動車学校の廃業が相次いだのはこのためです。神戸の予備校大道学園は2005年、大阪北予備校と大阪予備校は2006年に廃校しています。京都の関西文理学院も2010年の閉校です。
そうなれば大学も影響を受けそうなものですが、短期大学の4年制への転換などで特に女子の大学進学率が向上したこともあり、1992年に約54万人だった大学入学者数は2025年には約62万人(推計値・留学生除く)と増加しています。(続く)
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2025年4月16日
近畿大学の理系学部の中で、医学部と東大阪キャンパス以外の学部=農学部(奈良県)、工学部(広島県)、産業理工学部(福岡県)、生物理工学部(和歌山県)の一般選抜の結果についても調べてみました。
①農学部水産学科はやはり大人気
有名なクロマグロや二ホンウナギの完全養殖だけでなく、マダイやシマアジなど様々なお魚の養殖に成功した水産学科ですが、もはやこの実績を超える私立大学は近畿で、いや日本には他にありませんので高学力層も含めてここに受験生が集まってくるわけです。合格するためには65%以上の得点力が必要です。
②産業理工学部情報学科 倍率は落ち着くも、難易度は変わらず
福岡の産業理工学部の中ではいつも高倍率を記録している情報学科ですが、実質倍率は7.4倍(2023年)、4.9倍(2024年)、2.5倍(2025年)と落ち着いてきました。しかし、合格最低得点率はそれほど下がっていません。つまり学力帯は異なりますが東大阪の情報学部と同じような動きとなっています。因みに広島の工学部の情報学科も産業理工学部とほぼ同じ難易度となっています。
③生物理工学部 食品安全工学科は狙い目か?
大阪から通学可能な立地であるにもかかわらず、こじんまりしたキャンパスは近大志願者の志向と合わないのでしょうか?なぜか落ち着いた倍率、難易度となっています。生物理工学部といえば遺伝子工学科が1番人気なのですが、就職を考えれば食品系も良い選択だと思います。専門知識と近大ブランドを手に入れるチャンスですよ。
というわけで、6大学の一般選抜の速報データを元にお送りしました。立命館と同志社はまたの機会にお送りします。
★詳細については7月の関西8大学大研究でお伝えします。お楽しみに。
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