2024年度の大阪府高校入試は段階的に導入されている授業料無償化の影響もあり、多くの公立高校で定員割れする事態となりましたが、それに対応するべく2026年度入試(現在の中学2年生が受験する入試)からの改革が検討されています。
そこで、府教育委員会は「府学校教育審議会」という諮問機関を作って、そこで制度設計を行ってきましたが、23日にその内容がマスコミ各社から報道されました。
ポイントは以下の3点です。各項目を番号、「発表内容」=理由と解説>このブログを書いている人の個人的な意見、の順番で紹介します
①「数週間程度早めることが望ましい」=入試日程を早くするということです。公立高校の志願者が減ったのは入試日程が私立よりも遅いから、との理由で、現時点では2月下旬に特別選抜と同じ日程での開催が提案されています。>いやいや、前期入試が導入されたこともありましたが、基本は何十年も日程は変わっていません。このことは今年公立志願者が大きく減った理由にならないと思うのですが・・・。それよりも2月に入試が終わるということは、中学校の3学期って実質1か月ほどしか授業ができなくなると思います。これは義務教育の質の低下につながるのではないでしょうか。
②「アドミッションポリシー選抜枠」(仮称)の新設=各学校が求める生徒像に合う生徒を優先的に合格させる「枠」を作ることが提案されています。>入試には公平性も求められると思うのですが、学力以外の基準で合格できる道をつくることで、その公平性は担保できるのでしょうか。そもそもですが現在発表されている各校の「アドミッションポリシー」はそれほど大きな違いはなく、各高校での運用も難しいのではないでしょうか。
③「複数校志願」制度の導入=第一志望校が不合格になっても第2志望の合否判定が受けられる、という制度が提案されています。近隣では兵庫県の学力検査や京都府の中期選抜でも行われている制度です。>②の枠によって各学校の特色・独自性を重視するという方針と矛盾する考え方だと思います。例えば京都府の制度では、募集定員の90%までは第一志望校の合格、残りの10%枠に対しては、他校で10%枠に入った人も含めて改めて選抜されるわけですが、これは「公立高校の教育内容はどこも同じ」との建前があるから成立している制度です。公立高校には特色や違いがあるよ、と言いつつ、空いている席があればそれと関係なく入れてあげてもいいよ、というのは高校の御都合主義ではないでしょうか。その学校の特色を理解して選択し、受験した生徒を不合格にして、他校を志願していた受験生を入学させる必要性は理解できません。公立高校の学費の安さというアドバンテージが無くなるわけですから「第一志望校ではないけれど、この学校も良さそうだ」との考えで選んだ私立高校に結果的に入学する事もある現在の制度で何ら問題は無いのではないでしょうか。
将来の15歳の子どもを不安にさせるような事のないように、今後の関係者による冷静かつ建設的な議論を期待したいと思います。