奈良学園中学校 算数(B日程)の入試問題

2020年1月31日 金曜日

1965年に創立された「奈良文化女子短期大学」や「奈良文化女子高校」を持つ法人(中和学園→奈良学園)が1979年に郡山に設立した「奈良学園中学校」は登美ヶ丘にお引越しする話もあったそうですが、そちらには「奈良学園登美ヶ丘」として2008年に新たな学校を設置、奈良県中南部(大和の国の中部・南部というわけで、「中和」「南和」といいます)と北部との教育格差を是正したいという創設者、伊瀬敏郎氏の遺志を継ぐ形で「奈良学園中学校」は郡山に残し2012年にはSSHに指定されるなどさらに発展しています。昨年度の大学合格実績も185名の卒業生に対し、東大2、京大8、阪大12、関関同立140と進学校としても輝かしい実績を残しています。 といった学校から送られてきた今年の入試問題のなかから2問紹介します。

「この斜線部の面積を求めなさい」という問い方は問題集にもあるオーソドックスなものですが、今回の出題は、 いつもは問題条件に含まれている移動角度を逆に求めるという問題です。  落ち着いて考えると、この斜線部の求め方は(半円)+(Aを中心とする扇形)‐(半円(白い部分))と考えると、実は(Aを中心とする扇形の面積)を求めるだけでいいわけです。つまり半円の面積=Aを中心とする扇形、となる中心角(い)を求めればよいことになります。 (半径6㎝)という条件も書かれていますが、この問題では必要なく、扇形の半径が半円の2倍だから同じ中心角だと面積は4倍になる、つまり同じ面積にするには180度を4で割る、という暗算で答えが出ます。(答え45) 次は食塩水の問題です。

これも「2つの容器の濃さが等しい」、という条件をどのように脳内で変換するかというのがポイントです。二つの容器の濃さが等しいのなら、まとめて混ぜても結果は同じ、となりますので、最初に3つ全部混ぜたときの濃さを求めます。数字もきれいなので暗算で4%が求まりますので、あとは天秤算でも何でも使えば、あっさり100gが求まります。(答え100)

後半で、設定の理解にも時間がかかる「場合の数」の問題がありますので、前半の小問をいかに早く楽に解いて抜け出すか、が勝敗の分かれ目になるわけです。そこまで計算されている入試問題、さすがでございます。

さて、明日から関関同立の大学入試が始まります。大学入試問題をごりごり解いてその内容をお知らせしていきたいと思っております。そちらもお楽しみにどうぞ。

灘中学校と神戸女学院中学校 今年の算数の入試問題(算数の2番は「消費税」でした)

2020年1月30日 木曜日

毎年、塾業界では話題に上る灘中学校と神戸女学院中学校の算数の問題です。 どちらも大問2では、消費税増税をテーマにした時事問題(?)が出題されています。 まずは灘中学校から。灘といえば補助線や移動を使って考える平面図形の良問が並ぶのですが、今回はあえて1日目の2番をご紹介しましょう。 食料品は、持ち帰るのなら軽減税率の8%、店内飲食なら10%という消費税のややこしい(?)ルールをテーマにした算数の問題です。

店内で食べるなら5つ買うことはできない=税抜き単価×1.1×5>1000、⇒税抜き単価>181.8円以上・・・のように挟み撃ちで数値を出すという問題です。それ自体難しくはないのですが、日常生活の中にも算数の問題が隠れていますよ、という灘中らしいメッセージを感じることができます。 (答えは182円。いったい何を食べたんでしょう?)

一方、神戸女学院中学校の2番も同じ消費税をテーマにした問題ですが、要求されている「力」が異なるように感じます。

こちらの方は解き方が見えやすい問題ですが、(2)は小数点以下を切り捨てにするというルールから、消費税が732円⇒732~732.999・・・、というふうに解釈し、消費税732円=本体価格は9150円以上、9162.5円未満、のように、不等式の考え方で範囲を絞り込むという考えが必要です。「すべて答えなさい。」の文字を見て、不等式の問題だと気付く能力も要求されています。 (答えは(1)72円 (2)9160円、9161円、9162円)

このように、上位校では大人世界の日常的な事象や時事問題がテーマとなった入試問題が増える傾向があります。これから受験を迎える学年の皆さんは、日々のニュースに関心を持つことや、家族内でのコミュニケーション量の多さも必要だということを意識しておきましょう。

大谷中学校(大阪) 今年の国語と理科の入試問題

2020年1月29日 水曜日

今回は女子校を取り上げてみます。まずは国語の最後の問題。

慣用句や同音異字の書き取りなど知識を問う問題が続いた後に、この新約聖書の書き出しのような問題です。家系図を書かずに頭の中で組み立てようとすると混乱します。短い文章でも文を正確に読み取る力を問うことができる良い問題です。(答えは③と④です)

(中略)

次は理科の問題です。水の働きに関する問題ですが、流速と侵食、体積の相関を現した図2のグラフの読み取りがポイントです。流れが緩やかになれば小さい粒のものも堆積する、といったイメージではなく、流速を読み取って、堆積する粒を選ばせる、といった設問が続きます。理科は暗記物ではありません、という学校側の姿勢がはっきり出ています。さすが理科教育でも定評のある大谷らしい問題なのでした。 (答えは(3)はイ、(4)はウ、(5)はアとイ です)

洛星中学校 今年の算数の入試問題

2020年1月28日 火曜日

今回は京都の洛星中学校のほっこりする(?)問題です。

ウサギとカメの競争です。昔話通り、ウサギが起きた後急いで走ったけどカメに追いつけなかったというオチまでついています。因みに(1)について具体的な距離はわかりませんが、スタートラインからウサギが寝始めた場所までかかった時間(ウサギは2分、カメは50分)に着目すれば速さの比はわかるというものです。何となく洛星の校風をほうふつとさせる問題なのでした。(答えは25:1)

東大寺学園中学校 今年の算数の入試問題

2020年1月27日 月曜日

今年の近畿圏の中学校入試もほとんどの日程が終了しました。中学校から送っていただいた入試問題のうち、特徴的なのをいくつかご紹介しましょう。 今回は東大寺学園中学校の算数の1番の1、つまり一番最初の計算問題です。

如何でしょうか。まともに(?)通分して計算すると間違いなく地獄が待っております。分配法則で51と70をそれぞれの分数に掛け込んでいけば何とかなるかも、と進めていくと、1717と51はじつは17で約分でき、分母が101になります。そこで、分母はことごとく101の倍数で成り立っていることを利用して、まとめていけば答えが出てくるという問題です。 問題冊子を開いて一番気合が入っているときに、ちょっと力を抜いて考えさせる問題を持ってくるあたり、さすがでございます。そういえば今年の西暦2020も101の倍数ですからそこから着想した問題かもしれません。 (答えは1919です)

最後の大学入試センター試験 平均点一覧(中間集計)

2020年1月24日 金曜日

ポール・マッカートニーが24年ぶりに来日した年に始まった大学入試センター試験ですが、(という書き出しで食いつくあなたはいい年齢)ついに今年で最終回を迎えました。 22日に平均点の中間集計が発表されましたが、数学1Aの平均点が下がっています。 各予備校の分析でも、900点満点で理系は17点程度マイナス、文系は上位層も崩れて22点程度下がる見込みだそうです。 ということは配点にもよりますが、単純計算でセンター試験を450点に換算する大学ならボーダーが昨年よりも10点ほど下がることになりますので、うわぁ、やらかしたぁ、と思っている受験生でもあっさり志望校を諦めるのではなく、受験校を変えずに気持ちを切り替えて2次試験の対策をした方が良いかもしれません。  

しかし、各教科の平均点が68~51%ときれいにそろった試験を作れるのは大した技術だと思います。来年に行われる「大学入学共通テスト」ではどのような結果になるのか、注目です。

私立大学出願速報(その他関西で話題の大学)

2020年1月23日 木曜日

では、最終回として学部新設や話題性のある大学の状況をお知らせします。 大学としても5年目で理工学部が新設される「大和大学」は既存学部でも出願者を伸ばして合計で1.3倍。これまた学校名も法人も一新され、工学部新設の「京都先端科学大学」は一般入試でも大ブレーク。半年間英語漬けというカリキュラムが支持されたということでしょうか。一方就職率の高さが売りの文系大学「大阪経済法科大学」と「大阪経済大学」は公募では逆の動きになりましたが、一般入試での出願は共にプラスになっており、受験者の支持を集めている様子がわかります。「武庫川女子大学」も学部再編や最寄り駅の改修に伴う大学設備の拡充などの話題性も手伝って、日本最大の女子大としての存在感はさらに増しています。「大阪工業大学」、「佛教大学」、「関西外国語」は共に推薦系の入試の比重が上がっています。言い換えれば一般まで戦う受験生が減っているといった状況です。特に関西外国語大学は当グループからの(推薦系出願数):(一般・センター利用系出願)=3:1と、分野としての特殊性が高いためか、推薦系の入試からの受験がメインになりつつあります。京都橘大学は医療系学部の拡充で話題を集めましたが、ここにきて高止まりしたということでしょうか。合否ラインはどう動くのか注意が必要です。

さて、そろそろセンターリサーチが発表され、平均点予測も出てくるわけですが、センターの点数によっては併用型の出願がまだ間に合う大学などもありますので、要項や入試ガイドをご確認ください。

私立大学出願速報(摂神追桃)

2020年1月22日 水曜日

昨年は大きく受験者数を伸ばしましたが、結果的に一般入試の倍率が上がり、多くの不合格者が出てしまったのがこのゾーンです。というわけで、今年は推薦系での出願にシフトし、一般入試を避ける傾向が強くなっています。そんな中で桃山学院の好調ぶりが光ります。国際系学部人気の中で、開設10年を迎えた「国際教養学部」の存在感が大学のカラーとマッチし全体のイメージアップにつながっています。(続く)

私立大学出願速報(産近甲龍)

2020年1月21日 火曜日

次は公募推薦入試での募集も多い「産近甲龍」についてです。公募でも倍率の高い近畿大学は敬遠されてしまいましたが、他3大学は推薦系も一般入試でも勝っています。公募でも一般でも出願数が減っている近畿大学、今年は穴場になるのではないでしょうか。これからの日程にも注目です。(続く)

私立大学出願速報(関関同立)

2020年1月20日 月曜日

センター試験も終わって、いよいよ私大一般入試の季節になってきました。開成教育グループの大学受験生の出願も合計3万件を超えてきました。中期や後期の出願はまだですが、一応1月19日時点での昨年との比較表を作ってみました。色が赤いのが昨年負け、青いのが昨年勝ちです。 (開成教育グループ内での出願数の比較です。全体状況ではありませんのでご注意ください。)昨年同日比較です。

ご覧のように、合格者を絞って昨年既に敬遠された立命館が反動で戻ってきています。また、「超安全志向」と新聞でも報道されていましたが、結果的に同志社も一般入試ではほぼ昨年並みとなりました。一方関西大学はこの数値ですのでセンター中期など今から出願できる日程も狙い目になるかもしれません。センター試験を受験した方はご検討ください。(続く)