【速報】京都ノートルダム女子大学 学生募集停止【今年の1年生が最後】

2025年4月25日 金曜日

「このたび、学校法人ノートルダム女学院は、2026(令和8)年度以降の京都ノートルダム女子大学における学生募集停止を2025年4月22日開催の理事会において決定いたしました。」(以上 4月25日更新の大学HPより引用)

64年前の1961年に創設された、比較的新しい大学ではありますが、1990年の京都市営地下鉄北山駅開業によって通学の便も飛躍的に向上し、京都3女子大(京都女子、同志社女子、京都ノートルダム女子)の一つとして広範囲から安定して学生を集めていました。

しかし、学部・学科の改編に関しては保守的で、英文、家政、教育という旧来の女子大の枠組みに留まり、薬学看護医療系や理工系分野を導入した同志社女子や京都女子と明暗が分かれてしまいました。

今年度の入学者数は出揃っていませんので、2021~2024年度募集について近畿圏の女子大の充足率ランキングを作成してみました。京都光華大学(仮)、園田学園大学、神戸松蔭大学は2024年度募集時点では女子大でしたので集計に入れていますが、2023年度募集から共学化した神戸親和大学はランキングから抜いてあります。

すると、京都ノートルダム女子大学は2022年度募集から既に深刻な状況だったことがわかります。2024年度には定員を40名減らし、今年度は新たな「学環」を、2026年度には新学部の新設も計画していたようですが、意思決定が遅すぎました。

現時点で当グループ出身者も在籍していますが、彼らだけでなく、在校生、卒業生の皆さんの事を考えると心が痛いです。

【衝撃!】文部科学省 私立大学の学部・学科新設の審査基準を厳格化【私大ピンチ】

2025年4月22日 火曜日

「文部科学省は21日、私立大学が学部や学科を新設する際の審査基準を厳格化する方針を固めた。現在は、学生数を収容定員で割った「定員充足率」が5割以下の学部が一つでもあれば新設を認めていないが、これを7割以下に引き上げる。文科省は近く有識者会議に提起し、早ければ2029年度の設置に向けた審査から適用する考えだ。」読売新聞オンライン4月22日6:46配信より一部引用

この記事によると、現在2024年度の調査で私大598校中、入学定員充足率5割未満が7%(43校)、7割未満が19%(113校)あるので、現行の基準で引っかかる43校に加えて、いままで助かっていた(?)70校も学部・学科の新設ができなくなります。

時代の変化や受験生ニーズに合わせて学部・学科をリニューアルしていくことは、私立大学にとって生命線なのですが、今回発表された方針が実現されることになれば、定員充足7割未満の学部がある大学にとっては大打撃となります。収容定員充足率が8割未満の場合は修学支援制度の対象から外されるという別のペナルティもあるので、このダブルパンチを食らった段階で学生募集はより厳しくなるわけです。従って大学としては定員を減らすか統廃合といった道しかなくなるわけです。

ここ数年、教育系の募集状況が良くない大学が増えており、今年に入って募集停止を発表した大学も数校ありますが、これを機に教育系学部廃止の動きが加速するかもしれません。教員養成機関の減少は、将来の教員数の減少に直結します。現在衆議院で審議入りしている教員の給特法の改正程度では、教員不足の解消は難しいかも知れません。

【ご存じでしょうけど】日本の人口は減っています【詳しく調べてみた】(その2)

2025年4月18日 金曜日

(昨日の続き)

大学入学者数が増加しているのなら、私立大学の経営はウハウハなのか、といえばそんなことはありません。大学数の増加や学部改編・増設に伴う定員増によって大学間の競争は激化しています。また大学入学者数の増加は18歳人口減少を打ち消すほどの大学進学率の上昇があったからであって、進学率が6割を超えた今、進学率の更なる上昇を見込むことができず、人口減少の影響が直接大学に迫ってくることになります。既に私立学校振興・共済事業団のデータでは、2024年度には約6割の私立大学が定員割れとなっています。またここ数年間でも、広島国際学院大学、恵泉女学園大学、神戸海星女子学院大学の募集停止が発表されるなど、大学の減少が始まっています。

2025年度の18歳人口を1として、今後の推計値の相対値をグラフにしてみました。(変化の割合を強調するために縦軸最小値を0.4にしていますのでご注意ください)

10年後には0.88、すなわち12%減、その頃から減少スピードが上がり、今の2歳児が大学受験を迎える2041年には0.72、すなわち28%減となります。今年大学に入学した世代が63歳(そろそろ定年か?)になる2070年には0.56とほぼ半減することになります。今後は大学進学率が上昇せず、18歳人口の減少が直接大学入学者数の減少につながると仮定すると、半分ほど(実際には小規模校の方が影響を受けやすいため、学校数では半分以上)の大学が消える可能性があるわけです。国公立も含めて現在日本には796校(旺文社調べ2024年度)の大学がありますが、2070年にはいったいいくつの大学が存続しているのでしょうか。

つまり、大学の存続・発展のためには日本の受験生だけ相手にしていてはダメ、というわけで、東京大学の新学部【69年ぶり】東京大学 新学部「カレッジ・オブ・デザイン」設置【なんじゃこりゃ】 « 学校選びの道しるべ|開成教育グループ 入試情報室 学校・入試情報ブログ、というような発想になるというお話なのでした。

【ご存じでしょうけど】日本の人口は減っています【詳しく調べてみた】(その1)

2025年4月17日 木曜日

2008年に1億2808万人と過去最多となった日本の人口は、それ以降減少しています。昨年はその減少幅が最大になったとの報道もありましたが、18歳人口を見てみると1992年の205万人が最大値で、2025年度の109万人まで減少しています。

そこで、減少割合の変化や時期などについて詳しく調べてみました。

まず、1980年からの男女別18歳人口です。数値は文部科学省の資料からの孫引きなのですが、元資料の出典は2022年までは文科省の「学校基本統計」、2023年以降は国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来人口(令和5年推計)」だそうです

1985年に一時的な落ち込みがありますが、これは1966年の「丙午(ひのえうま)」による出生数の減少です。時代だなぁ。

先に述べたように1992年のピークから減少が続くのですが、2008年ころまで大きな割合で減少していきました。18歳人口と関係の深い予備校や自動車学校の廃業が相次いだのはこのためです。神戸の予備校大道学園は2005年、大阪北予備校と大阪予備校は2006年に廃校しています。京都の関西文理学院も2010年の閉校です。

そうなれば大学も影響を受けそうなものですが、短期大学の4年制への転換などで特に女子の大学進学率が向上したこともあり、1992年に約54万人だった大学入学者数は2025年には約62万人(推計値・留学生除く)と増加しています。(続く)

【2025入試結果速報】近畿大学 東大阪以外の理系【募集単位ごとの変化】

2025年4月16日 水曜日

近畿大学の理系学部の中で、医学部と東大阪キャンパス以外の学部=農学部(奈良県)、工学部(広島県)、産業理工学部(福岡県)、生物理工学部(和歌山県)の一般選抜の結果についても調べてみました。

①農学部水産学科はやはり大人気

有名なクロマグロや二ホンウナギの完全養殖だけでなく、マダイやシマアジなど様々なお魚の養殖に成功した水産学科ですが、もはやこの実績を超える私立大学は近畿で、いや日本には他にありませんので高学力層も含めてここに受験生が集まってくるわけです。合格するためには65%以上の得点力が必要です。

②産業理工学部情報学科 倍率は落ち着くも、難易度は変わらず

福岡の産業理工学部の中ではいつも高倍率を記録している情報学科ですが、実質倍率は7.4倍(2023年)、4.9倍(2024年)、2.5倍(2025年)と落ち着いてきました。しかし、合格最低得点率はそれほど下がっていません。つまり学力帯は異なりますが東大阪の情報学部と同じような動きとなっています。因みに広島の工学部の情報学科も産業理工学部とほぼ同じ難易度となっています。

③生物理工学部 食品安全工学科は狙い目か?

大阪から通学可能な立地であるにもかかわらず、こじんまりしたキャンパスは近大志願者の志向と合わないのでしょうか?なぜか落ち着いた倍率、難易度となっています。生物理工学部といえば遺伝子工学科が1番人気なのですが、就職を考えれば食品系も良い選択だと思います。専門知識と近大ブランドを手に入れるチャンスですよ。

というわけで、6大学の一般選抜の速報データを元にお送りしました。立命館と同志社はまたの機会にお送りします。

★詳細については7月の関西8大学大研究でお伝えします。お楽しみに。

【2025入試結果速報】近畿大学 東大阪にある理系【募集単位ごとの変化】

2025年4月15日 火曜日

文系では募集単位間の差が小さいと昨日書きましたが、理系は様相が異なります。理系は専門分野の内容差が大きいので当然だとは思いますが、考えようによってはまだまだ狙い目があります。

①情報学部 やっぱり難しいです

初年度の2022年度には実質倍率が20倍近くになった近畿大学の情報学部は、今年度実質倍率が9倍強と倍率だけ見れば落ち着いたように見えます。しかし合格最低得点率は全く下がっていないのです。つまり高学力層だけが出願しているという戦いになったようです。

②建築学部 やっぱり難しいです

こちらも過去3か年の実質倍率、合格最低得点率が高め安定で変化していません。揺り戻しのような波もありません。次年度以降の受験生は、過去問演習でその年の合格最低点を超えられるように頑張りましょう。

③理工学部 エネルギー物質学科、狙い目だ

エネルギーと聞くと発電所がイメージされますが、近畿圏で研究用原子炉を持っている大学は京大と近大だけですし、風力や洋上発電など新しい発電技術も学ぶことができるとなるとこれはお得なような気がします。さらにこの学科のすごいところは生体から発せられる微弱な電流をとらえて診断に使おうという医療技術につながる基礎研究もおこなわれているところです。しかし、合格最低得点率はいつも理工学部の中では3年連続で低め安定です。理系の受験生諸君、今がチャンスかも。

【2025入試結果速報】近畿大学 文系【募集単位ごとの変化】

2025年4月14日 月曜日

いやぁ、大阪・関西万博、始まりましたねぇ。準備段階ではいろいろ批判的な意見もあったようですが、各国・地域の展示をまとめてみることができるというのは貴重な機会だと思います。教育的な内容もあるようですから、ちょっと空いた頃に行ってみようかな。(梅雨の時期の平日の午前中が狙い目か?)

万博には近畿大学水産学部で養殖されたお魚のお刺身やお寿司が食べられるお店も出店されているそうです。こちらも要チェック!

それはさておき入試結果の分析です。

近畿大学は2025年度入試でも多くの受験生を集めました。そんな中で目立った募集単位をいくつか紹介します。

①総合社会学部心理系専攻は今年もさらに難化

実質倍率が7倍を下回り、合格最低得点率も61.3%と落ち着いていた昨年度が低すぎたことによる揺り戻しでしょうか、今年は文系では最も実質倍率が高い募集単位となりました。(実質倍率、9.8倍(2023年)→6.9倍(2024年)→11.7倍(2025年))

合格最低得点率も65.3%に跳ね上がっています。というわけで、次年度は敬遠されるかもしれません。

②文系学部では最低得点率の差が小さくなる傾向に

本来は、より深く学びたい専門分野や取得できる資格など、将来の職業も意識して受験校を選ぶべきかもしれませんが、大学のイメージ(ブランド力)を優先して選んでいる受験生も少なくないと思います。すると、キャンパス立地などで差が生じる例外はありますが、総じてブランド力の高い大学は、募集単位間の合格最低得点率の差が小さくなりがちです。近畿大学の文系学部では募集単位ごとの差が年々小さくなっていますので、学部はさておき、ともかく近畿大学に入りたいという受験生が増えていると考えられます。

というわけで、次年度以降は、このように募集単位間の難易度差が小さくなっていますので、近畿大学なら何学部でも良いので少しでも倍率の低い学部に出願するぞ、と考えず、逆に自分の勉強したい分野で学部選びをする方が良いでしょう。

【2025入試結果速報】甲南大学【募集単位ごとの変化】

2025年4月11日 金曜日

昨日までの流れで「産近甲龍だし、今日は近畿大学かな?」と期待していた皆さん、済みません。近畿大学からは詳細なデータをいただいているのですが、そのデータが多すぎて分析が追い付いていません。また次の機会にさせてください。というわけで、こちらも注目の甲南大学の状況を紹介します。

今年度入試から一般選抜の日程を1月に移動させて、関関立(主に関学?)との併願が可能となった甲南大学ですが、入試結果はどうだったのでしょうか。

①出願者数は激増、但し他大学併願受験者も増えたため、難易度はあまり変わらず

一般選抜の出願数が、全学部合計17,199件(2024)から23,036(2025)と3割以上伸びた甲南大学ですが、合格者数は5,000名弱と昨年と変わらず。すると入学者は確保できるのか?と不思議に思うのですが、合格最低点はほぼ変わらず。国公立や上位大学に抜けていく数も例年並み。つまり出願増加は学力下位層(受験しやすくなったから憧れの甲南も受けておこうかな?という層)の他大学併願が増えたから、ということになります。

従って、文系では狙い目となっていたマネジメント創造学部の合格最低ラインが大きく上がるなど、お手軽学部がお手軽ではなくなりました。逆に文系の中では最難関グループの文学部の歴史文化学科では、合格しても入学手続きをしなかった受験生が多かったのでしょう、29名の補欠合格を出したために合格最低点が下がっています。結果的に大学内での難易度差が圧縮された形になりました。

②理系は全体的に難化

理工学部の物理学科ですが、実質倍率は1.5倍(2023)→3.0倍(2024)→3.7倍(2025)と変化し、合格最低得点率も43.3%(2023)→55.5%(2024)→63.3%(2025)と難化しています。甲南大学理系学部は現在新校舎の建設と学部改編を計画中です。この勢いで理系分野の更なる発展を考えているということでしょう。次年度以降も注意が必要です。

模擬試験の判定基準となる偏差値が変動する事も考えられます。早めの模試で良い判定が取れたからといって安心せず、その後も志望校として登録し判定を確認するようにした方が良いでしょう。

★詳細については7月の関西8大学大研究でお伝えします。お楽しみに。

【2025入試結果速報】京都産業大学【募集単位ごとの変化】

2025年4月10日 木曜日

入試結果分析をしていて、いつも不思議に思うのが京都産業大学。コロナ禍の影響を受け始めた2021年度入試から出願数は減少しましたが、難易度はそれほど変化していないのです。むしろ今年に関しては、倍率はあまり変化がないのに、合格最低得点率に関しては募集単位間の差が広がる、つまり人気分野には高学力層が集まる、という状況になっています。研究分野で大学を選ぶ受験生には支持されている大学だということでしょうか。

①現代社会学部現代社会学科は最難関に

現代社会学科の合格採点得点率(スタンダード方式)は66.3%(2021)、62.0%(2022)、64.7%(2023)、65.7%(2024)、68.8%(2025)とV字回復(いやそれ以上!)となり、他学部との差が広がっています。経営学部も昨年より2ポイント以上難化し、文系の中では上位になっています。

②外国語学部は変化なし

文系の中で比較的合格ラインが低いので、狙い目とされる外国語学部ですが、いずれの専攻もここ3年間合格ラインは6割ほどと変化していません。分野的に興味があれば、という前提ですが、文化学部の併願としての使い方もできそうです。

③理系では理学部宇宙物理・気象学科が最難関に

近畿圏私大では唯一の宇宙物理や気象を扱う学科(正確に言うと龍谷大学の先端理工学部、環境科学課程もありますが、「学科」としては唯一)という強みでしょうか、2016年の創設以来人気を誇っています。近畿大学の水産学科と同じ構図ですね。

こちらも文系と同じように募集単位間の合格最低得点率の差が広がっていますが、今まで落ち着いていた生命科学部も合格ラインがあがっていますので、どうやら上位層も戻ってきたようです。

★詳細については7月の関西8大学大研究でお伝えします。お楽しみに。

【2025入試結果速報】関西学院大学【募集単位ごとの変化】

2025年4月9日 水曜日

今回は関西学院大学です。一般選抜による入学者数を増やしたい→受験生にとって一般選抜を受験しやすくしたい、という方針に転換してから数年経ちましたが、今年は甲南大学の入試方式、日程の変更という外部環境も変わりました。どのような入試だったのでしょうか。

①全体倍率は大きく変わらず。但し文学部は難化、商学部以外の社会科学系は倍率上昇+難化か?

文系の募集単位に関し、人文科学系の学部、学科はこの3年間、全体としてはあまり動いていないのですが、文学部、特に日本文学日本語学専修に関しては、この3年間の合格最低得点率が60.7%(2023)→65.9%(2024)→70.0%(2025)と上昇しており、今年の西洋史学専修の合格最低得点率も68.1%、日本史学専修も66.6%とここ数年で最高となっています。

一方で社会科学系では、法学部と経済学部に関して倍率、合格最低点とも上昇しています。

②商学部は昨年並み、

多くの大学で商、経営学系統は人気上昇中なのですが、関学では相対的に落ち着きました。これはもう少し分析が必要なのですが、学部系統的に立命館の大阪いばらきキャンパスと甲南との重なりが大きいので、その影響を受けた可能性も考えられます。

③理系では情報工学、知能・機械工学が落ち着く

理系で最も難関といわれるこの2つの募集単位が落ち着いています。数理重視型でみてみると2023年度には情報工学は3.4倍、合格最低得点率は60.9%でしたが、今年は2.5倍、55.5%となっています。情報工学系に関しては他大学でも学部や学科の新設など多様化・細分化が進んでおり、「関学の情報系」というブランド力で集まる受験生が減少しているのかもしれません。

★詳細については7月の関西8大学大研究でお伝えします。お楽しみに。

ところで、この流れで明日は同志社かな?と期待されたかと思いますが、同志社も立命館もまだデータがございません。しばらくお待ちください。