大学入試「新テスト」 高校からの評価

2017年1月31日 火曜日

1月30日付の毎日新聞に、2020年に現行の大学入試センター試験に代えて実施される「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」について、高校の先生はあまり評価をしていないという記事がありました。 毎日新聞社と駿台予備校、大学通信社が共同で、全国2377校の進学校にアンケートを送付し、回収できた883校(回収率37.1%)の結果を分析したものです。 まず、一つ目の結果ですが、御覧のように「あまり評価できない」が44%と「評価できる」の18%の2倍以上となっています。複数回実施、記述式導入など概要が示された後で、複数回実施を今回は見送り、記述式問題を長短(難易)2種類に分けて、長い(難しい)方の記述の採点は個別の大学に任す、と方針が揺れ動くなど、実現に向けた議論・検討が不十分なようにも思えます。制度の変わり目というのは受験生にとってだけでなく、今までのシステムの中でノウハウを積み上げてきた進学校にもストレスがかかるところだと思いますが、具体的な内容がなかなか決まらないというのが一番心配なところだと思います。 一方、英語の4技能を重視する方向については66%の学校が「適切だ」と回答しています。国際化社会の中で、英語を使ったコミュニケーション能力は必要だと考えている先生が多いということでしょう。但し、これに関しては英検など既存の民間団体の試験も使うという点で、イメージがつかみやすく支持されているという側面もあると思います。 2020年といえば東京オリンピック開催の年です。もちろんオリンピックも大規模な準備が必要なイベントだと思いますが、新テストは日本の教育水準に直結し、今後も続けられる教育システムの根幹です。文部科学省をはじめ、関係機関の皆さんは、十分な議論と検討を尽くしていただき、より周到な準備をお願いしたいと思います。

大阪市立 咲くやこの花中学校の合格発表がありました

2017年1月30日 月曜日

1月28日(土曜日)に、大阪市立 咲くやこの花中学校の合格発表が行われました。

以前、このコーナーでも紹介したように、公立の中高一貫校は大学合格実績が高いところもあり、人気です。

大阪市立咲くやこの花中学校も、今年度入試で競争倍率5.58倍と厳しい戦いでした。

20名定員のコースが4つあり、合計80名の定員ですが、開成教育グループからは44名が合格しました。

各コースでの、開成教育グループ生の占有率は御覧の通りです。特に言語コースは75%が当グループ生で占められています。

競争倍率の高い入試ですが、塾生と塾生外とで合格率にどの程度差があるのかも調べてみました。

体育実技で適性検査が行われるスポーツコースでは、塾生と塾生外とでの差はありませんが、特に言語コースでは塾生外と塾生の合格率の違いは4倍以上と圧倒的な差になりました。

「読解・作文力検定」や「漢字検定」といった国語関連の検定をはじめとして、言語教育に厚みと強みのある開成教育グループならではの結果だといえるでしょう。

残念ながら不合格の生徒も出てしまいましたが、この入試に向けて身に着けた読解力や表現力といった国語の力は、次のステージでもかならず生きてくることでしょう。

 

大阪・兵庫・奈良 私立中学校入試出願者数について②

2017年1月30日 月曜日

前回(大阪・兵庫・奈良 私立中学校入試出願者数について①)の続き

5位の育英西は立命館コースもある女子校ですが、京大への合格者も出るなど進学実績も評価されたようです。自己推薦や英検重視など多彩な入試方法も支持されたかたちです。そういえば昨年の学校説明会も大変賑わっていました。

6位の関西大学中等部は、大学の付属校ということで、電車で10分ほどしか離れていない立命館中学と比較される学校ですが、2016年度入試では2015年入試より大きく落ち込み、お得感が出ていました。つまり今年の増加は揺り戻し現象だといえますが、ICT化をはじめとした充実の設備やハイレベルな理科教育も評価されているようです。

7位の園田学園も女子校です。屋上庭園付き6階建ての新校舎が間もなく完成という施設面も追い風ですが、茶道・華道・書道・着付け・短歌俳句など女子校ならではの文化教育やマナー教育と、小規模だからこそできるきめ細かな進学指導が評価されたかたちです。

8位の雲雀丘学園は東大・京大・阪大等難関国立大への合格実績も出しており、兵庫県で進学校としての評価が定着してきました。阪急電鉄の駅からも近いため、広い範囲から受験者を集めています。

このように昨年より大きく出願者が増えた学校は、それぞれ理由があるようです。もちろん前年度に大きく増加しため、今年度は上昇率で上位にランクしていないなど、今回紹介できていない中にも、人気のある素晴らしい学校はたくさんあります。今後の学校説明会などでは、今回紹介した学校の状況も参考にしつつ聞いてみられてはいかがでしょうか。

 

大阪・兵庫・奈良 私立中学校入試出願者数について①

2017年1月27日 金曜日

1月14日から、近畿では私立中学校の受験が行われましたが、その確定出願者数が明らかになってきましたので昨年の出願者数と比較してみました。その中で昨年度より大きく出願者数伸ばした学校を2回にわたって紹介します。(現時点でまだ確定出願者数を発表していない学校もありますので、すべて紹介できているわけではないことをご了承ください。また、今回は京都の中学校の情報が集まっていないため、大阪・兵庫・奈良の学校に限って紹介させていただきます。)

 

近畿では、解禁日初日(14日)の午前中に最も多くの中学校の入試が行われるため、受験生が分散して競争率は下がります。従って受験生はこの日に第一志望校を受験するケースが多く、合格すれば入学する率も高くなります。そこで、この日の入試の出願者数に着目して表にしてみました。

この表は昨年と比較して出願者の増加割合が高い順に並べています。

1位の城星学園は、以前このブログでも紹介した女子校ですが、昨年度の初日受験者は少なすぎました。今年の出願者数は昨年比2倍以上となっています。これでもこの学校の良さが正当に評価されているとはいえませんが、回復基調です。大阪の最難関男子校である大阪星光学院と提携するというニュースも好材料となったようです。(但し、この提携は人的な交流を行うというレベルで、共学化するというわけではありません。)この学校の聖歌隊は昨年8月の24時間テレビ「全国高等学校合唱選手権」において合格出場校、5校の中の1校に選ばれ日本武道館で演奏を披露するなど、元気な学校です。

2位の金蘭会は大阪市福島区の女子校です。吹奏楽も大阪府大会常連校ですが、バレーボールが全国レベルで有名、シンクロナイズドスイミングで活躍する生徒さんもいるなど、スポーツも盛んな女子校です。大阪では今年度から女子校が2校共学校になったため、女子校を志向する受験生の動きから、伸び率1位、2位とも女子校が占めています。

3位の履正社豊中は3か年と6か年と二つのコースがありますが、3か年のコースが大きく伸ばしました。難関高校合格実績が評価されているようです。新校舎が間もなく完成というのも好材料だったようです。

4位の関西学院大学千里国際の帰国生枠も大きく増加しています。この学校に限らず、帰国子女枠を持っている中学校の多くが受験生を増やしています。子どものいる家庭では、海外転勤といえばお父さんが単身赴任、というケースが多かったのですが、最近では国際感覚を養うために、あえて子どもも連れて行く家庭が増えているようです。つまり帰国子女枠の盛況は今後も続くと思われます。インターナショナルスクールを併設しているこの学校でさらに国際感覚を磨きたいという受験生を集めているようです。(続く)

 

大学推薦入試 入学者ランキング②

2017年1月26日 木曜日

今日は昨日に続いて入学者に対する、推薦入学者の割合をランキングにしてみました。
文部科学省は通達で推薦入試に関して「募集人員は附属高等学校長からの推薦も含め、入学定員の5割を超えない範囲」と定めていますので、いずれも50%未満となっています。
(この資料も朝日新聞社刊「大学ランキング2017」を引用しています。このランキングは入学者が2,000人以上の大学について、入学者のうち、推薦入試で合格した人の割合を示しています。)

 

トップは神戸ポートアイランドにあります神戸学院大。法学部や経済学部など文系の学部に加えて、薬学部、総合リハビリテーション学部といった医療系の学部もあり、一般入試でも人気の大学ですが、既に入学枠の半分が埋まってしまっているのは驚きです。付属高校もお隣に移転してきて今年度から中学校を併設するなど付属校も充実してきていますので、一般入試は今後さらに狭き門となるでしょう。(2016年度には付属高校から104名の特別推薦枠がありました。)2位の愛知学院大は仏教、曹洞宗系の学校です。こちらも文系学部に加えて薬学部と歯学部が有名な大学です。公務員への就職率が高いことでも知られている人気校です。ここも系列校の愛知高校から2016年度で57名が推薦入学しています。同じ曹洞宗系の駒澤大学も34位にランクインしています。
人数ではトップだった近畿大学は割合にすると12位です。これは入学者数が7,700人以上いるためです。
さて、このようなランキングで上位の大学は、一般入試の難易度は高くなる傾向があります。これらの大学の合格は科目数の少ない公募制推薦を利用するなど、早めの準備をしておきましょう。

 

大学推薦入試 入学者ランキング①

2017年1月25日 水曜日

1月14日・15日の行われた大学入試センター試験も終わり、私立大の出願・入試、国公立の前期試験と大学受験生にとっては慌ただしい時期になりましたが、一方で既に進学する大学が決まって残り少ない高校生活を楽しんでいる人もいます。実際にはどの程度の人数がいるのでしょうか。
1年前の資料になりますが、推薦入試で入学した学生数の資料がありましたので、紹介します。この資料は付属(附属)校や系列校からの入学者は含まず、それ以外の指定校推薦と公募制推薦を経て入学した人数をまとめたものです。(数値は朝日新聞社刊「大学ランキング2017」から引用しています。)

 

1位の近畿大学は受験者数でも3年連続日本一の大学ですが、実は2,687人が一般入試を経ずに入学しています。もちろんこの中には公募推薦の合格切符を手にした後で、他の大学の一般入試にチャレンジした人もいると思いますが、近畿大学が第一志望だった受験生にとっては2か月も早く進路が決まったことになります。
2位の龍谷大も、定員規模からすると多い2,000人を超える入学者が決まっていたことになります。龍谷大は仏教系の大学ですが、同じ宗派の高校を指定校として入学枠を設けているために人数が多くなっています。同じようにキリスト教系の同志社大や関西学院大も同様の指定校を持っているようです。(明日に続く)

 

今年の中学入試問題から(香川誠陵)

2017年1月24日 火曜日

昨日に続いて、中学入試問題を紹介します。今日は香川誠陵中学校です。

円の問題なのに、円の半径が書いていません。ここで受験生は何度も問題を読み返したことでしょう。

三角形ABCの面積がわかっているだけです。

さて、解説です。まず、補助線を引いてみましょう。

すると、線からはみ出ている部分と、線より引っ込んでいる部分が一緒だということに気が付きますので、そこに移動させて考えます。すると、面積を求めるべき部分は次のようになります。

この青い線を引いている矢じりのような形は三角形ABCの2/3となりますので、答えは20㎠となります。

算数は「ひらめきだ」という人もいますが、円の補助線は、半径と接線というのが受験算数の基礎となりますので、図形問題の解き方の復習をしていた受験生であれば解けていたはずです。学校がどのような生徒を求めているのがわかるような問題でした。

 

今年の中学入試問題から(同志社女子中)

2017年1月23日 月曜日

先週末から続いていた関西地区の中学入試も、ひとまず落ち着いてきました。

やはり今年度も厳しい戦いになった中学校が数多くみられましたが、その中で受験生の手が思わず止まってしまうような問題を紹介しましょう。

今回は京都にあります「同志社女子中学校」前期日程の算数より、問題2の問4です。図形の問題です。

これだけの条件でADの長さを求めなさい、という問題です。

三角形ABCは正三角形の半分ですから、ABの長さはACの長さの2倍になっているというのは中学受験でよく使うネタですので、そこはわかっているとしましょう。ただし、中学生で習う(1:2:√3)や、AB:AC=BD:CD は使えません。

さて、解説です。

三角形ADCに注目します。この三角形も正三角形の半分ですので、DAはDCの2倍です。そこでDCの長さを①として、DAに②と書き込みましょう。

次に三角形ABCに着目して、∠ABCが30°と計算し、書き込んでおきます。

三角形ABDに着目すると、30°の角が二つありますので二等辺三角形だとわかります。そこで、DAとDBが同じ長さなのでDBにも②と書き込みます。

そこで、BCの10㎝は①+②の③だとわかりますので、①は10/3ということになります。

問題で聞かれているのはADの長さなので、DCの2倍、すなわち20/3(6と2/3)㎝となります。

このように二等辺三角形に気が付くところがポイントですが、緊張している受験生にとっては気が付かないことで焦ってしまう問題だといえます。同志社女子中では、算数の第2問はこのような小問が6題並んでいますが、一つ2分くらいで解かなければ全体の時間が無くなりますので、解法が浮かばなければ、悩むのをやめて次の問題に移るという思い切りも必要になります。

中学入試を勝ち抜くためには、十分な知識量や技能も必要ですが、その場の判断力や、わからなかった問題のことで悩まないという強い精神力も必要とされるのです。

また、面白い問題を紹介していきたいと思います。

 

早くも来年度入試の説明会が始まります!!

2017年1月20日 金曜日

1/14(土)に統一解禁日を迎えた近畿地区の中学入試。今週末には、大阪市立咲くやこの花中や初めての入試を迎える大阪府立富田林中などを控え、まだまだ合格へ向けて頑張っている受験生もたくさんいらっしゃることと思います。

そんな中、すでに来年度の入試へ向けた動きが始まっています。

日時・場所:
2017年3月4日(土) 13:30~15:00(13時受付開始) あべのハルカス 25階会議室

内容:
・新時代の女子教育とは
・平成29年度中学校入試報告

申込方法:
・帝塚山学院中ホームページより専用申込フォームにて申込
・添付のPDF(上記の画像をクリックしていただきますとPDFファイルが開きます)裏面に必要事項を記入し、FAXにて申込

あらかじめ定員が決まっているようですので、ご興味のあるみなさまはお早めにエントリーされることをお勧めします。自分の受験はまだまだ先のこと、などとは思わずに積極的に説明会へ参加してみましょう!!

 

外国語(英語)を習得するメリット

2017年1月19日 木曜日

現在、世界人口約70億人のうち、約17.5億人が実用レベルで英語を使用しています。つまり、全世界で4人に1人の割合で英語が話されていることになります。また、インターネット上でやりとりされる言語のうち26%は英語だという調査結果もあります。(2015年6月Internet World Stats(http://internetworldstats.com/stats7.html))

 

このように国際化され、英語が共通語となっている社会では、「英語ができないこと=デメリット」だと言わざるをえません。この「英語ができる」というのは、日常英会話程度なら話せる、英語の読み書きならできるという意味ではありません。外国の歴史・文化への理解があり、その上で外国の人々と積極的にコミュニケーションを取れるということです。日本でも、そうした「英語ができる」人材育成のために、平成23年度から小学5年生・6年生での外国語活動が必修化されています。

今、社会に求められているのは「Listening聞く」「Speaking話す」「Reading読む」「Writing書く」の4つの基本的な英語技能をバランスよく身につけ、「Communicate話し合う」ことに長けた人材なのです。

確かに日本国内で普通に生活していれば英語が必要な場面はそれほどありませんが、現代では「海外から原材料や人材の調達をしていない、海外で製造をしていない、海外で販売をしていない」といった「海外と一切関係のない企業」はほとんど無いといえます。近年、楽天やユニクロのように、社内での公用語を英語にしている企業、管理職の大半を外国人が占めている企業、人事採用の比率が日本人よりも外国人が上回る企業、そして英語力を人事採用の決め手の1つとしている企業が増えています。

 

TOEICが2011年に行った「上場企業における英語活用実態調査」では、回答した上場企業のうち84.5%の企業が業務で英語を使用していると答えています。これは「英語を使用する部署・部門がある」「特定の部署・部門はないが英語を使用することがある」「社内公用語が英語である」の割合の合計です。また、入社希望者が「資格・特技」として提出したTOEICスコアを参考にしている(参考にすることがある)企業は77.7%に上り、講師派遣をはじめとした様々な英語研修を実施している企業は66.5%にも上ります。その他に、TOEICのスコアアップ体制を敷いている企業やTOEICスコアを昇進昇格の条件にしている企業も近年増え続けています。

こうした調査結果からみて、英語力が社会人必須の「ビジネススキル」と考えられ始めていることが分かります。

小中学生は就職後のために、というよりも、ひとまず英検などの検定試験合格を目標に、明日から学校の勉強以上に英語を学習するのはいかがでしょうか。また高校でも「国際科」や「英語コース」といった、英語の時間数が多い学科やコースを設けているところが増えています。会話の力も含めて英語力を上げるには良い環境だと思われますので、一度見学会などに参加してみてはいかがでしょうか。