大阪TOP10高と併願私立高校②

2019年3月29日 金曜日

関西大倉高校は前回の桃山学院と異なり、合格コースによるTOP10出願率に大きな差があります。

特進S合格ならほぼ9割以上がTOP10に出願であるのに対し、総合での合格の場合は1割も出願できていません。つまり受験生にとって合格コースの違いが公立出願に大きな影響を与えたわけですが、同じ関西大倉でもコースによる難易度の違いが大きいと考えられているようです。居住地にもよりますが、このように差が大きい学校を併願受験する場合は他府県の別日程の私立も受験もおすすめです。(続く)

大阪TOP10高と併願私立高校①

2019年3月28日 木曜日

大阪府の公立高校の合格発表も終わり、データの集約がほぼ終わりましたので、その結果をもとに、併願私立高校の合格コースと公立の出願校の相関について考察してみます。

今日は「桃山学院高校」についてです。公立高校合否との相関データも作りましたが、私立高校のコースのブランド力を見てもらうために、あえて出願割合で算出しています。もちろん元データは開成教育グループの塾生のみですので、五ツ木模試など他の業者による調査結果とは多少割合が異なることはご承知おきください。

グラフの色塗りにグラデーションをかけている(下半分が白くなっている)のはTOP10高です。S英数の合格通知が来た受験生は全員がTOP10に出願したということがわかります。これが英数の場合は8割弱、文理、国際(AとBを合わせています)でも4割以上の合格者がTOP10に出願しています。地域的に高津、生野への出願割合が高くなっています。(続く)

首都圏高校・中高一貫校 難関国立大占有率ランキング

2019年3月25日 月曜日

今年もそろそろ週刊誌に大学の合格実績の高校ごとのランキングが発表される時期になってきました。今回は首都圏の学校についてのランキングです。東大の合格者数では圧倒的な強さを誇るのは「開成」です。受験の世界では最難関である東大理科Ⅲ類に10名(うち9名が現役!)をはじめ、理科Ⅰ類に79名、文科1類に29名など合計で187名の大量合格を果たしています。ただし、卒業生が400名を超えていますので、卒業生数が163名の筑波大附属駒場の東大合格者数は113名と少ないのですが、占有率(合格者数/卒業生数)に直すと、筑波大付属駒場のほうが上になります。(といってもどっちもすごいんですけどね)東大だけでランキングを作ると上位の数校しか意味のないランキングになるので、東大を含む旧帝国大学7校に一橋、東工、神戸を加えた10大学の占有率でランキングを作ってみました。

すると御覧のように7位に西大和(奈良)、11位の北嶺(北海道)、33位の海洋中等(愛知)、35位の愛光(愛媛)といった寮のある地方校もランクインしています。また、公立の中高一貫校(都立小石川中等教育や茨城県立並木中等教育など)も上位に来ています。かつて東大合格などのエリート養成は私立の独断場でしたが、公立も頑張っていることがわかります。もちろん県立浦和や県立千葉など近郊のトップ校は今も昔も健在です。

これらのデータも首都圏での中学校選びの参考になるのではないでしょうか。

 

(元データは『週刊朝日』平成31年3月29日増大号)

大阪府 公立高校一般入試2019概況(旧4学区)

2019年3月14日 木曜日

学区全体倍率は昨年とほぼ変わりのない1.18倍ですが、上位行の競争率が上がって、難易度と競争倍率がほぼ比例する地域となりました。(難易度と競争倍率の相関係数が、この4つの旧学区の中では最大となっています)御覧のように鳳と泉陽が若干シーソーのように逆の動きを見せていますが、競争率高目で安定しています。泉北は隔年現象で厳しい倍率となっていますが、昨年人気を集めて厳しい倍率になった堺東は一気に揺り戻しで落ち着いた倍率になっています。また、この学区全体で中間集計から最終集計までの間に競争倍率が0.5も上がっています。

御覧のように、旧4学区は最終日に出願する人数が多いことがわかりますので、中間発表から大きく数値が動く可能性のある地域でもあります。次年度の受験生はこのことも含んだうえで、出願の作戦を考えるとよいでしょう。

この4日間で紹介した全校を加えると競争倍率は1.20倍から1.19倍とわずかに減少しています。旧3学区の出願数減少がその最大の原因となっています。さて、来週19日が発表、そこからあわただしく入学に向けた手続きが始まります。第一志望の学校や学科に合格できた人も、そうでなかった人も、ここからがさらに新たなスタートラインです。新しい友だちづくりや部活での活躍も大切ですが、制度変更される大学入試に向けて、勉強も頑張りましょう。

大阪府 公立高校一般入試2019概況(旧3学区)

2019年3月13日 水曜日

こちらの地域では昨年に続いて混戦模様です。トップ校の天王寺も倍率が上がっていますが、100名以上不合格校が6校(昨年は9校)に対し、定員割れが8校(昨年は募集停止となった長野北と柏原東を除くと3校)と極端な動きがみられます。その中で、中間発表時点でまさかの定員割れとなった夕陽丘は、最終集計で何とか定員を超えましたが、それでも1.03倍と、昨年の1.58と打って変わって落ち着いた倍率になりました。一方、高津、布施、花園は3年連続で募集定員超100名以上の安定した人気を誇っています。

この地域では出願数合計が昨年より10%近く減っており、全体倍率は1.21倍から1.17倍と落ち着いています。(続く)

大阪府 公立高校一般入試2019概況(旧2学区)

2019年3月12日 火曜日

こちらの地域では大きな変動がみられます。上位3校の安定的な人気は変わりませんが、昨年落ち着いた倍率になった大阪市立東高校が一昨年水準に揺れ戻され、一方で南がまさかの定員割れです。専門学科のみのためこのリストにはない、大阪市立西高校と旧1学区の扇町総合と2022年に合併されることがすでに発表されていますが、その影響もあるのでしょうか、定評のある英語科・国語科という学科を持つ南だけが定員を割っています。

2年連続で激戦となった枚方と旭は少し落ち着いた動きとなっています。旧2学区の全体倍率は昨年の1.19倍から1.18倍とほぼ変わりません。(続く)

大阪府 公立高校一般入試2019概況(旧1学区)

2019年3月11日 月曜日

今朝は大阪府立高校の一般入試が行われています。その出願は3月5日に締め切られましたが、その次の日(3月6日)に大阪府教育委員会より公表された志願者数を元に、今年の大阪府立高校の状況を見てみましょう。

大阪府は学区制がありませんが、学校数が多いため、旧4学区に分けて紹介します。

 

※従来の学区に属さない普通科単位制の学校などは所在地で各学区に割り振っています。また、工業科など専門学科のみの学校は省略しています。

まず、各学区で入試難易度順に学校を並べ、その横に出願途中の中間集計と、最終集計を並べています。右端には直近3か年の出願者数から募集定員を引いた、理論上の不合格者数を並べています。

まず、昨年度は1.13倍と落ち着いた倍率になっていた北野高校が、1.33倍と厳しい倍率になっています。それも含めた上位3校は、中間集計から最終締め切りまでの間に、それぞれ3名ずつの追加出願しかなく、初日に志願者のほぼ全員が出願したことがわかります。豊中高校は理論上の不合格者は151名とかなり厳しい戦いになりそうです。

昨年度は200名近い不合格者が出た春日丘高校は多少落ち着きましたが、それでも旧学区内最高の1.51倍となっています。このように高倍率だった学校の揺り戻しもありますが、総じて黄色で塗ったセルが上に移動している、つまり上位校ほど厳しい戦いになっていることがわかります。全体倍率は昨年の1.24から1.22と若干落ち着きを見せています。(続く)

松蔭中学校・高等学校にお邪魔してきました(その4)

2019年3月7日 木曜日

松蔭中学校の入試では英語を選択することも可能になっています。つまり、ある程度の英語力のある生徒さんも入学するわけです。そこで中1英語を担当なさっている先生は、英語力に差のある生徒さん方への対応がむつかしいだろうな、と思っていましたが、中1段階から二つの「ストリーム」と呼ばれる別カリキュラム集団に分けるという改革を行うそうです。英語以外の科目で入学してきた生徒さんには初歩からの英語を、英語で入学してきた生徒さんにはそれ以外の科目の授業を強化するというのは合理的ですね。それに伴い、高校のコース分けも1年間前倒しされ、英語力がもともとある生徒さんには英検準1級を、そうでない生徒さんにも英検2級レベルの英語力養成を行おうというものです。

途中でコースを変えることができるのか、コース分けの基準は、などといった詳細は今後検討の上、発表されるとのことです。学校HPで説明会の日程などご確認ください。4月、5月の説明会については事前申し込みは不要とのことです。

松蔭中学校・高等学校にお邪魔してきました(その3)

2019年3月6日 水曜日

図書館も行ってみました。生徒さんを本に引き付ける工夫が半端ないです。

手書き手作りのポップで満ち溢れています。文字の本だけでなく、漫画も含めてテーマごとの展示やドラマや映画の原作コーナーなど思わず手に取るきっかけを作る工夫を見て、以前このエントリーで紹介した近畿大学のアカデミックシアターを思い出しました。見学していると司書の先生が「松蔭中高図書館案内」というパンフレットを下さいました。図書館専用のパンフレットがあること自体驚きですが、蔵書も102,365冊、CD1,457枚、レコード2,632枚、雑誌約50タイトル・・・などなど図書館を大学と共用していない中高としてはおそらくトップレベルの点数です。

文庫・新書コーナーも充実しており、岩波ブックレットは刊行されているすべてが所蔵されているとのことで(「ここは国立国会図書館か?」と心の中で突っ込みを入れたあなたは図書館関係者)基本はNDCの分類法に従っていますが、このコーナーは独自の分類番号(筆者を頭文字のアルファベットと数字で表記されたもの)によって整然と配架されています。カード式の目録はありませんが、OPAC端末が導入されていますから不要なのでしょう。これらの膨大な蔵書と最新の検索システムを導入するためにはそれなりの予算が必要だったはずですが、読書量を通して思考力と表現力を育成しようという学校の姿勢が明確に表れているように思えます。ちなみに4名の司書の資格を持つ先生が常駐していらっしゃるとのこと。うらやましい限りです。

50冊以上読んだ生徒さんには「ゴールドカード」と「オリジナルブックカバー」がプレゼントされるそうです。いいなぁ。(続く)

松蔭中学校・高等学校にお邪魔してきました(その2)

2019年3月5日 火曜日

英語教育にも力を入れており、ネイティブの先生も数名いらっしゃいますし、オンライン英会話を行うためのパソコンルームも完備されています。日本語禁止の部屋はカーペットが敷かれていてリラックスできるようになっていますが、この4名はお行儀よく正座しています。

文系のイメージの強い学校ですので、ここまでは想像の範囲内ですが、実は理科の実験室は4つあり、実験助手も常駐でそれぞれ活用されています。

化学実験室には島津のドラフトチャンバーが鎮座。(ここで、「おーっ」と心の中で叫んだあなたは化学系)ガラス棚には色とりどりの金属塩の入った瓶が化粧品売り場のように整然と保管(というより展示?)されています。

地学の部屋には小型プラネタリウム(これは折りたたまれている状態)と天体望遠鏡2種(反射と屈折)と鉱物標本がありました。学校内に合宿所もあるらしく、お泊りの天体観測会も行われたとのことです。学校外に宿泊所を持っている学校は少なくありませんが、寮のある学校を除いて、京阪神の中高で学校内に合宿所があるのは私が知る限り、大阪星光とここだけです。(学校の先生方への業務連絡です。うちにもあるよ、という情報があればお知らせください)

さすが女子校らしく家庭科関連も充実しています。こちらは被服の部屋。ミシンやアイロンが整然と置かれています。

授業中の美術室です。全員美大志願者かと思うくらい真面目に課題に取り組んでいます。こんな整然とした美術の授業を見るのも初めてです。廊下には外部の美術展で入賞した作品が展示されていました。今の美術の先生も精力的に創作活動を続けている芸術家だそうですが、戦前の一時期、かの小磯良平氏もここで講師をしていたそうです。ちなみに校歌の作曲者は「赤とんぼ」「うさぎのダンス」の作曲でも有名な山田耕筰氏というハイスペックぶりです。

やはり伝統校としての蓄積でしょうか、人文科学、自然科学、社会科学、芸術、生活力の何かに重点を置いて伸ばすのではなく、人として全部養成しようという体制が出来上がっています。大切な哲学も中1から高3まで設置されている聖書の授業を通して育成していくという徹底ぶりです。(続く)