大学等が、学生に支援金支給の動き

2020年5月1日 金曜日

この新型コロナウイルス感染症の影響で、経済的に打撃を受けた人も少なくないのですが、臨時休業等でアルバイト先が無くなった大学生も例外ではありません。その不安に応えるかのように先週、明治学院大学と立教大学が学生に5万円、早稲田大学も困窮学生に10万円ずつ支給という方針を発表しています。関西でも学校法人立命館が学生・生徒・児童ら約4万8000人に3万円支給、さらに家計悪化の学生には別に最大9万円支給との方針を発表しました。 (ニュースソース=NHK NEWSWEB https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200429/k10012410811000.html

一律支給については、いずれの大学もオンライン授業に必要な機器の購入など環境整備への補助という名目ですが、キャンパスの立ち入り禁止で大学設備の利用ができないなど、約束されたサービスが受けられないのなら学費の減額をすべきだとの学生側の不満が顕在化する前に先手を打った形です。しかし大学側からするとオンライン授業のために予定外の支出もしているわけですから、かなり思い切った作戦だといえるでしょう。

一方、学生団体「高等教育無償化プロジェクトFREE」が緊急に行ったアンケートでは、経済的な理由などで退学を検討している大学生が2割超えている、という結果も発表されており、今まで上昇を続けてきた大学進学率にも何らかの影響が考えられます。現在の高3以下の学年の動向にも注意が必要です。 (ニュースソース=東京新聞  TOKYO WEB https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2020042901001405.html

新型コロナウイルス感染症に対する各大学の対応(4月28日18時時点)

2020年4月30日 木曜日

先週調査したあと、さらに授業開始がおくれた大学があります。立命館大学はいち早く始めたオンライン授業が中止になっています。Web発表によると22大学のうち、オンライン授業が提供できているのはわずか6大学。8月中旬まで前期の授業がずれ込む大学が出そうです。

このような状況が続くと、オンライン授業ではどうすることもできない実験・実習が必要な分野についても影響が出そうです。クラブ・サークル活動も含めてキャンパスが早く平常化することを願っています。

新型コロナウイルス感染症に対する大学の対応(4月20日13時時点)

2020年4月21日 火曜日

3月末にも調査しましたが、各大学、試行錯誤が続いています。予定よりも授業開始を遅らせる場合やオンライン授業の導入範囲が縮小するなど、3月の発表から変更している大学も多いようです。

そんな中で、法政・関西・立命館・甲南は前回発表からほぼ変更なく進められています。立命館・中央・追手門はオンライン授業を今月上旬から提供中。いつまでオンライン授業を提供するのか見えませんが、追手門のように状況が多少落ち着いても学生を集めるのは危険と考えての事でしょうか、7月22日までは基本オンライン授業と思い切った発表もひとつのメッセージですね。条件整備が一様でないのは理解できますが、学生にとってはまだオンライン授業すら始まっていない大学に比べると、安心感が違います。

しかし、学生生活というのは授業を受ければ済むものではありません。図書館やゼミ室などを利用した自由で主体的な学びも大切です。5月の連休明けに、緊急事態宣言が解除されることを祈っております。

【開成教育グループからの】昨年より出願数が増えた大学ランキング④【出願数比較】

2020年4月16日 木曜日

いよいよ本日最終回、ベスト3の発表です。

第3位は・・・以前このエントリーでも紹介した日本最大の女子大学である武庫川女子大学。やはり学部再編が効いたようです。当グループからだけで138件も昨年より多く出願しています。この学校の併願の特徴は武庫川女子大学短期大学部も受験するという作戦。阪神間では抜群のブランド力ですね。

第2位は・・・桃山学院大学。今年は近畿大学出願減が桃山学院にとってはプラスに作用したということでしょうか。もちろん元から強い国際教養系が強いミッション系のイメージに加え、今年からビジネスデザイン学科が大阪中心部の阿倍野区(桃山学院中高の敷地内)に移転というニュースも追い風となった形です。(とはいえ、ビジネスデザイン学科は募集単位が少ないので、実際に出願が増えたのは経営の経営・経済・社会・国際教養といった学部です)

併願状況はご覧の通り。龍谷・大阪経済・近畿というところが多いですが、合格者の半分以上が入学者となっていますので、桃山学院を第一志望と考えた受験生も増えたようです。

さて、今回のランキングの第1位は京都産業大学。これも比率では112.4%ですが、実人数が多いので1位となりました。学部の改組や新設が毎年のように行われるなど、時代に合わせた大学づくりが進んでいますが、それに合わせて定員の変更も発表され受験しやすさを印象付けるなど広報にも工夫が見られました。そのため当グループからだけでも200件近く出願数が増えました。特に経営・経済・現代社会の人気は厚かったといえるでしょう。

合格者のうち約半数は他大学に進学しています。主な進学先は龍谷・立命館・関西・近畿・摂南・・・、ということですので、それらの大学の併願として選んだ受験生も多かったということです。しかし、昨年よりも入学者数も増えていますので、京都産業大学の魅力を感じた受験生も増えたということではないでしょうか。

今年の新入生はせっかく合格したのに、入学式も新入生歓迎の行事もなく、授業も本格的には始まっていないという異常現象ですが、事態が鎮静化したら是非、積極的に大学を利用し、次の入試に向けたオープンキャンパスも盛り上げてほしいと思います。次年度の受験生も参加して、自分の眼でその大学の魅力を確認していただきたいものです。

【開成教育グループからの】昨年より出願数が増えた大学ランキング③【出願数比較】

2020年4月15日 水曜日

さあ、いよいよベスト5です。

神戸学院大学は13年前にポートアイランドに新たなキャンパスを作り、4年前には付属中高も移転、2年前には心理学部を新設、昨年には夙川学院のキャンパスも手に入れて神戸医療大学を挟み撃ち(にしているつもりはないと思いますが、2つのキャンパスの間に兵庫医療大学があります。誤解のないように書いておきますと実はお向かいの神戸女子大、神戸女子短期大学も含めて「ポーアイ4大学連携事業」というのもあり、仲が悪いわけではございません)。と勢いのある大学です。

合格者の6割はそのまま入学しますが、1割弱は甲南大学、6%弱は京都産業大学に進学しています。一方不合格者の2割弱は他の日程で合格し、入学していますが、1割以上が浪人を選択しています。つまり今年の神戸学院大学志願者は第一志望率が高かったと考えられます。

ベスト4位は四天王寺大学。実業系の短期大学をルーツに持ちますが、40年近く前に4年制に転換、教育系の学部再編などが行われましたが、昨年度から看護学部が設置され、その認知度アップも手伝って受験生が増えたようです。看護・教育系の併願先は畿央・大和・太成、人文系では関西外大・追手門となるわけです。(続く)

【開成教育グループからの】昨年より出願数が増えた大学ランキング②【出願数比較】

2020年4月14日 火曜日

今日は10位から6位です。

 看護、理学療法、鍼灸といった医療系で定評のある森ノ宮医療大学ですが、今年度から開設した「診療放射線学科」は従来のレントゲン技師以上の技術を必要とする、放射線を使った治療のスペシャリストを養成する全国でも珍しい学部が設置され、話題性が上がった形です。何と入学者数は昨年の2倍以上です。

 割合でいえば3%増なのですが、元々の出願数が多いのでここに立命館大学がランクインしています。入学者数も2%増、つまりほぼ変化なしという状況です。文部科学省による入学定員厳格化の方針によりここ数年続いていた合格者減もひとまず落ち着いたようです。

 スポーツでも有名な阪南大学は流通、商業、国際観光といった分野に特化した大学ですが、学部構成では桃山学院と重なるという意味でも、併願受験が増えたようです。桃山学院の難化に伴って、入学者数も281%と激増しています。

 今年で80周年も迎える大阪電気通信大学はデジタルゲーム(eスポーツ)や情報通信が有名ですが、2年前に増設された建築学科、今年から改組された医療健康科学部など、先端の技術への対応にも積極的な大学ですが、7位にランクイン。但し入学者が昨年比84.6%と減少していますので、合格ラインを上げたために歩留まりが下がったのではと思われます。

 そして、このエントリーでも紹介したことのある追手門学院大学が堂々6位にランクイン。学部再編、キャンパス移転など矢継ぎ早に行われる改革に高校生が反応した形です。海外大学との連携やキャリア教育の充実など、まだあまり知られていない魅力がありますので、まだまだ伸びしろがあると考えられます。(続く)

【開成教育グループからの】昨年より出願数が増えた大学ランキング①【出願数比較】

2020年4月13日 月曜日

2020年度大学入試と2019年度の大学入試を比較してみました。その中で出願数が50件以上増加した大学をカウントダウン形式で紹介します。本日は15位から11位まで

2018年度に学部改組によって生まれた「社会学部」「教育学部」の話題性と、文学部の安定した人気で15位にランクインした京都の大谷大学、割合で昨年よりも3割近くの志願増です。難易度上昇中の京都橘や京都文教の心理からの流入も考えられます。

同じく京都の佛教大学がランクイン。今年度は「超安全志向」という全体状況の中で関関同立近は志願者数を減らしましたが、滋賀・京都の教育系を志向する受験生は佛教大学への志願変更が見られます。

これまた、同様な理由で、大阪では近畿大学が摂神追桃に流入すると考え、その受験生が公務員試験対策などでも定評のある大阪経済法科大へ出願したと考えられます。出願は156%ですが、入学は200%でしたので、外的な要因というよりも大学の魅力が伝わって受験生が増えたということでしょう。

理工学部の認可から、理系の受験生が純増した大和大学が次にランクインします。今後さらに社会学部の設置も構想中とのことですので、次年度もさらに受験生が増えていくことでしょう。

11位の大阪産業大学は今年で開学55年目の比較的若い大学ですが、情報システム系の学部を8年前に関西で初めて設置、3年前には国際学部を新設するなど話題性の多い大学で、近畿大学から逃れた層が、桃山学院と併願という選択を増やした影響が考えられます。(続く)

【どうなる】英語民間試験の扱いについて【こっちもピンチ】

2020年4月6日 月曜日

新型コロナウイルス感染症の影響が、来年度入試にも出てきそうです。 3月のGTECも中止、4月実施予定だった「英検1day S-CBT」も中止、TOEFLに至ってはアメリカの事務所が閉鎖されているため、スコアの送付も行われていないという状況のようです。昨年11月に突然、文部科学大臣によって英語共通テストへの英語外部試験の利用延期が発表されましたが、あくまでも結果論ですが、中止表明はどうやら正解だったようです。

しかし、大阪府公立高校入試のように民間試験による取得スコアや級を「見なし得点」として利用されるケースや、立教大学のように一般入試のほとんどの募集単位で英語という科目を外して外部検定を利用するという場合など、外部試験の結果があれば有利、または必要な入試を考えた場合、年度後半の日程に受験生が集中する可能性があります。というわけで、世の中が正常化してからの話ではありますが、希望の会場が満席になる前に、早めに申し込みをするようにしましょう。

近畿大学 2020年度入試で狙い目となった学部・コースは?

2020年4月3日 金曜日

2020入試でも出願者数が日本一になった近畿大学の入試についてです。 どこの模擬テストでも、過去の成績と昨年の合否結果をもとに合否判定をしており、その結果を見てから出願しますので、難易度に変化がなければ、どの学部でも似たような合格率になるものですが、今年はどうだったのでしょうか。開成教育グループからは54の学部・学科・コースへの出願がありましたが、そのうち40件以上の出願がなされた27学科・コースについて合格率を計算してみました。(合格率=合格件数÷出願数で計算していますので分母には受験しなかった数も含まれています)

ご覧のように経営、経済が上位を占めています。つまりこの棒グラフが長い学科・コースでは昨年よりも難易度が下がったと考えられます。ここ数年は「文高理低」といわれるように文系学部・学科の人気が高まり、難易度が上がる傾向がありましたが、ここに来てひとまず揺り戻しが来たようです。 一方、合格率が低い募集単位を見てみると、建築や心理は専門性の高さから強気の出願が多いので、合格率も例年このようなものですが、理工の情報、生命科学、化学が昨年よりも難化したようで、昨年までのデータをもとに出願してもなかなか合格通知が来なかったようです。出願件数が少ないのでこのグラフには載せていませんが、農学部の農業生産や広島の工学部、福岡の産業理工の建築・デザインなども昨年よりも厳しい結果になっています。

次年度に向けては、このような理系回帰現象に加え、今年のコロナウイルス騒動の影響による、国際・観光系から通信・データサイエンス系への志願者の流入、さらにバイオサイエンス系の人気再燃も考えられます。過去の情報だけでなく、今年は特に模試の志願動向にも注目する必要があるでしょう。

2020大学入試の「超安全志向」を検証する

2020年4月1日 水曜日

このエントリーでも紹介した2020大学入試の超安全志向についてのお話です。

国公立大学の結果がそろそろ集計できましたので、まとめてみました。開成教育グループから今年国公立大学(省庁大学校含む)を出願したのは昨年の1356件に対して1304件。4%ほど減少しています。一方合格者は昨年360件に対して386件(昨年同日比ですので公表している数値よりも少なくなっています)と7%増です。つまり出願に対する合格率はご覧のように昨年の26.5%に対して29.5%と向上しています。ところが、実は前期で合格したので後期は受験しないというケースも含まれますので、実人数で計算してみました。するとなんと今年は国公立受験生の48.2%(約半分!)が合格通知を手にしたということがわかります。

ということで、国公立まで粘った受験生はよかったね、というわけです。ご覧のように当グループから国公立受験生は若干減りましたが、京大の合格者は同数、阪大は1.5倍と増えており、私立でも早慶上理が昨年の10名に対して42名合格と、首都圏の難関にも果敢に挑戦!というわけで安全志向の逆を行くウチの生徒たちなのでした。