2019年度 司法試験 合格者数 その2

2020年6月4日 木曜日

というわけで、受験資格不問の(大学生でも高校生でも受験できる)予備試験の、昨年の状況を見てみましょう。

東大は強いですねぇ。合格者数、合格率ともに抜きんでています。しかも、すでに2年生が14名も合格、順調にいけば3年生のうちに合格できるというわけです。慶應義塾・早稲田・一橋・立教には1年生で合格した強者がいます。いったいいつ勉強したのだろう。

関西の私大の状況を見てみますと、関西大=0、関西学院大=1、同志社大=4、立命館大=2、と大変厳しい結果となっております。しかし、司法試験に限らず法律の知識が生かせる専門的な資格が他にもありますので、「法学部に進んで、法律家になる」といった夢を持つ高校生は、この数字を見て、その夢をあきらめることのないようにしましょう。(続く)

2019年度 司法試験 合格者数 その1

2020年6月3日 水曜日

新型コロナウイルス感染症は各方面に大きな影響を与えましたが、今年度は5月13日~17日の4日間で実施予定だった司法試験も延期となっています。薬剤師国家試験は12時間40分と書きましたが、司法試験は何と中1日はお休みの4日間で合計試験時間が19時間55分という地獄のような試験で、法科大学院出身者と予備試験合格者しか出願できませんが、それでも合格率は30%前後です。かつては最後に口述試験がありましたが、現在は無くなりました。一方、法科大学院を経ずに司法試験を受験するために合格が必要な予備試験では、短答式の4時間半の試験(こちらも5月17日から8月16日に延期)の合格者が11時間半の論文式試験に進み、その合格者が口述試験(2日間)に進む、という3段階になっており、こちらの最終合格率は4%前後となっています。つまり法科大学院に入って2~3年勉強してから受験するのか、自分で頑張って予備試験に挑戦するのか、選択できるというわけです。(続く)

【第105回】薬剤師国家試験 合格者数 その2【2020年】

2020年6月2日 火曜日

 募集人数が大きな薬学部、それに伴って国家試験合格者数も多い薬学部は存在感があるのですが、大学としては人数というより、「合格率」も重視しています。そこで、新卒の合格率で並び替えてみました。こちらが合格率90%以上の30校です。

 (その1)で話題にした東京大学。現役では9人しか出願していないけど、全員受験して、全員合格だったのね、ほお・・・。という見方もできますが、人数、割合共にすごいな、と思うのは、静岡県立大、国際医療福祉大、名城大、東京理科大、明治薬科大、近畿大あたりでしょうか。人数ランキングでは上位だった近畿圏の京都薬科、大阪薬科、神戸薬科もすべて合格率90%以上をキープ。大したものです。というわけで、次年度入試でもこのあたりの薬学部の人気が衰えることはありませんので、受験生は早めにこれらの大学の入試科目を調べて、頑張りましょう。

 因みに、入試科目が多い大学のほうが、国家試験合格率も高いという傾向もあります。したがってあまり早くから科目の絞り込みをしないように、と付け加えておきます。

【第105回】薬剤師国家試験 合格者数 その1【2020年】

2020年6月1日 月曜日

 新型コロナウイルス感染症により2月末に学校の一斉休業が要請されましたが、その1週間前の滑り込みのタイミングで、第105回薬剤師国家試験が全国9都道府県の13会場で実施されました。2日間朝から夕方まで、総試験時間12時間40分というハードな試験です。ここ近年合格者数は1万人前後で推移していますが、3月24日に発表された今年の結果では受験者の69.58%にあたる9958名が合格しました。 因みに日本では薬剤師の国家試験を受験することができる大学は73校あります。そこで学校ごとの合格者数の順番で並べてみました。

 東京薬科、京都薬科、大阪薬科とベスト3はマンモス私立薬科大学が並びます。この3校だけで約1000名。全体の1割を占めることになります。近畿圏では6位に神戸薬科、16位に神戸学院、17位に武庫川女子、20位に摂南と有名どころが並んでいます。一方、募集人数が少ない国公立はランキングでは下のほうとなり、最も受験者も合格者も少ないのは東京大学、というわけです。実は東京大学薬学部は薬剤師の養成というより、研究に比重が置かれていますので、例年受験者はこの程度となっています。(続く)

【勝手に】同志社と立命館を比べてみました【同立戦】(その2)

2020年5月29日 金曜日

新卒求人市場の活況に伴い人気の高かった商学系で比べてみました。同志社商学部と立命館経営学部の比較です。立命館には「食マネジメント」という経営学に近い学部もありますが、2018年度新設とまだ歴史も浅いので今回は除外しています。今年の募集定員は同志社419名、立命館795名です。

立命館のこの学部は2015年にびわこくさつキャンパスから大阪いばらきに移転しましたので、毎年1万人近くの志願者が集まるようになりました。しかし、2019年入試で定員を30名減らしたのに受験生が反応しすぎたのか、志願者が1割ほど減少し、今年はその反動で増えましたのでご覧のように乱高下しています。英語力(特に単語力と長文読解の力)がある受験生は実質倍率が安定している同志社のほうが安心して受験できるかもしれません。

最後に、心理学系です。立命館は2016年から文学部の心理学科を独立させる形で「総合心理学部」を大阪いばらきキャンパスに作りましたので、そこからの比較になります。募集規模は今年での比較で同志社は75名、立命館は280名と4倍近い違いがあります。

最初の2年間は安定して立命館が勝っていますが、2018年に定員を5名増やした同志社が受験生に安心感を与えたのでしょうか、志願者が251名も増えて、実質倍率で一気に立命館に追いついてきました。しかし、そこでの難化が次年度の模試判定に影響したのでしょうか、2019年度には立命館に流入、2020年度には両校とも難関の心理分野から受験生流出という状況です。というわけで、広報については大学として頑張ってね、ではなくて専門分野としての心理学の魅力発信が求められています。但し下がったといっても両校とも5倍近い実質倍率ですから、心理学を勉強したい受験生はそれなりの覚悟と努力をお願いします。

夏の甲子園も中止とのニュースが入ってきましたが、大学野球も、今年の関西学生野球の春季リーグ開幕が延期され、無観客試合もしくは中止の可能性もあります。今春入学して「同立戦」で盛り上がろうと思っていた学生の皆さん、メガホンをヘルメットに貼り付けて原付で都大路を爆走するのは今しばらくお待ちください。

【勝手に】同志社と立命館を比べてみました【同立戦】(その1)

2020年5月28日 木曜日

140年以上も前、京都御苑の北側の薩摩藩邸(当時の地主は相国寺)の広大な跡地を大政奉還後、京都府が接収、民間に払い下げられ、それを手に入れたのが新島襄というわけで今の場所にある同志社大学と、京都御苑の西側に120年前に誕生した「京都法政学校」を前身とする立命館(その後衣笠球場の跡地に移転)は何かとライバル。両校野球部の試合「同立戦」の応援合戦も名物なのですが、昨日までまとめた学部ごとの一般入試の実質倍率を比較して、「勝手に『同立戦』」をしてみました。(いやいや、それを言うなら「立同戦」でしょう、と心で突っ込んだあなたは立命館出身・・・)

まず、双方伝統の法学部での比較です。今年の募集定員は同志社484名、立命館720名となっています。ご覧のように実質倍率は2015年から2018年はほぼ同じような動きをしていますが、2019年に志願者が増え、合格者数を減らした同志社が一気に難化。但し、それ以外ではやはり似たような動きをしています。ということで、同志社にとっては2019年度の圧勝以外はほぼ引き分け状態です。

次に本当は少し専門分野がずれるのですが、同志社の政策学部と立命館の政策科学部を比べてみました。これも今年の募集定員は同志社204名に対し、立命館は410名と約2倍の規模になっています。両校ともグラフの形は似ていますが、全体的に大阪いばらきキャンパスの地の利も味方につけた立命館が必ず上に来ています。しかし2020年は立命館が下がって、同志社が上がり、同率となりました。いよいよ同志社逆転のチャンスです。広報の皆さん、頑張ってください。(続く)

同志社大学 文系10学部一般入試倍率推移(その2)

2020年5月26日 火曜日

但し、学部ごとの動きを見ると、かなり乱高下があります。確かに2018年度は実質倍率が最高を記録した学部も多いのですが、各学部の線を見るとジグザク。つまり前年度の結果を見て、逆の動きをするという隔年現象がみられる学校であるともいえます。

例えば2018年度には文化情報学部、政策学部が難化したわけですが、その時に最も実質倍率が低かった法学部が2019年度に大きく跳ね上がるなど、極端な動きをします。ここ2年で全体では実質倍率は低下傾向にありますが、その中で2020年度に再び最低倍率となった法学部や、例年よりも低くなった商学部は、2021年度には、逆に要注意だといえるでしょう。但し例外として今年はこのコロナウイルス感染症の影響で全体的に国際系・観光系の学部・学科はマイナスに振れるところが増えると考えられるため、グローバルコミュニケーション学部はもう一段階落ち着いた倍率になるかもしれません。 まだ学校の授業も始まっていない今の段階では何とも言えませんが、同志社大学の場合は複数日程で受験学部を散らすなど、リスク分散型出願をお勧めします。

同志社大学 文系10学部一般入試倍率推移(その1)

2020年5月25日 月曜日

先週に続きまして、同じNHKつながりで・・・。7年前にもなりますが、大河ドラマ「八重の桜」で福島県からの受験生が増えたという(大学関係者談)同志社大学も同じように分析してみました。(おうちにいるとテレビ漬けになってきたよ) まず、志願者数と合格者数の推移を見てみましょう。

ご覧のように、2018年が志願者数のピーク。文系の10学部(神学部も文系ですが、募集人数が30人前後と少ないので除外しています)合計で、3万5千人近くが出願しましたが、今年は2万7千ほどと、その時の4分の3近くまで減少しています。一方、合格者数は2019年が底で、今年は少し持ち直していますので、ここ6年間で見ると2018年~2019年が狭き門、今年は昨年よりも少し緩んだ感じです。因みにこの10学部の定員の変化は単年度平均で1%ほどですので、その影響は考えなくてもよいと思います。というわけで、この流れで行けば、来年は多少強気で出願するのも有り、かも知れません。(続く)

早稲田大学 文系9学部 一般入試倍率推移(その2)

2020年5月22日 金曜日

他の難関大学でも同じような現象が見られましたが、大学入試センター試験が最後となった2020年度入試に向けて、2019年度から志願者が減少しています。何としても浪人は避けようとする「超安全志向」でしょうか。一方定員厳格化による合格者減の動きも一段落、各学部とも倍率に歯止めがかかってきました。したがって、2020年度の入試の実質倍率は落ち着いてきたようです。但し、そんな中で最難関の政治経済学部は高め安定、法学部、国際教養も要注意、といった状況です。

あと、2017年度から文学部は50名、文化構想学部は70名の「英語4技能試験」を利用する募集枠を設けたため、その分一般入試の定員枠が狭くなったのですが、この年の受験生はそのニュースを知らなかったのでしょうか、知っていても過去データを基にした模擬試験の判定を信じたのでしょうか、いずれも前年度よりも多くの出願があり、結果的に実質倍率が高騰しました。定員枠の変更というのは実質倍率に大きな影響が出ますので、早稲田大学に限らず、大学受験生はそのニュースにも敏感になってもらいたいと思います。

余談ですが、(その1)のほうでNHKが早稲田を応援しているように書きましたが、NHKの別番組「歴史秘話ヒストリア」では福沢諭吉を取り上げていました。さすが公共放送NHK、局内でバランスを取っているようです。

早稲田大学 文系9学部 一般入試倍率推移(その1)

2020年5月21日 木曜日

なぜかNHKの朝ドラで応援してもらっている早稲田大学のお話です。(見ていない方向けに先週末からのあらすじを超簡単に説明しますと、昭和初期、作曲家古関裕而をモデルにした若き主人公が早稲田の第一応援歌「紺碧の空」の作曲を依頼される、というくだり)早稲田大学といえばご存じ慶應義塾と並んで日本最難関私立大学なわけですが、募集単位の大きい文系の9学部の一般入試を例にとって私立大学定員厳格化と首都圏の定員抑制が実質倍率にどのように影響したのかを見てみましょう。

2015年から6年間についてみてみました。定員厳格化が始まった2016年から難化が始まっています。2015年から2016年にかけて合格者数はこの9学部合計で1167名減っていますが、出願は逆に3355件増えています。このような傾向は2018年まで続きました。やはりトップ校受験者層は簡単に志望校を下げないということでしょうか。(続く)