2011年4月大卒就職率 過去最低記録更新を回避

2011年6月14日 火曜日

このほど、文部科学省及び厚生労働省の共同調査による2011年3月大学等卒業者の就職状況が発表されました。

今回公表されたのは4月1日時点のデータ、ということですから、この春大学を卒業した学生たちの最終的な就職率として把握出来るデータとなります。

当ブログでは大学選びの一助としてもらうために、就職率については常に注視してきました。過去に就職率についてご紹介した記事は以下のようなものがあります。

厳しい雇用・就職状況の中を生きる」(2010年8月25日アップ)
国公立大と私立大 就職率ってどれぐらい違うの?」(2010年11月9日アップ)
かつてない落ち込み! 大卒就職内定率」(2011年4月11日アップ)

今春の就職率について、過去15年分の就職率推移と合わせて以下にご紹介いたします(画像をクリックすると拡大します)。

就職率 推移

青い折れ線グラフが大卒全体の就職率を示しています。

今春の就職率は91.1%ということで、何とか過去最低記録を更新するという最悪の事態は避けられたものの、ワースト記録である2000年の91.1%と全く同じ値となりました。

この4月にご紹介したこちらのエントリー「かつてない落ち込み! 大卒就職内定率」で触れましたが、3月時点では2000年のデータを大きく下回る就職率であったのに対して、今回の最終的な率はかなり盛り返した形です。

2007年度以降にあるオレンジと緑の棒グラフですが、こちらは当該年度における国公立大と私立大それぞれの就職率を示しています。こちらをよく見てみますと、やはり国公立大の就職率は私立大のそれよりも高い値になっていることが容易に分かります。

それだけではなく、2009⇒2010で全体の就職率が約4%もの大きなダウンとなったにもかかわらず、国公立大は約2%のダウンで止まっていることも分かります。同じ時期に私立大では約5%下げたことと比べると、やはり国公立大は圧倒的な強さを持っています。

では、続いて文系・理系の就職率の違いを検証してみたいと思います(画像をクリックすると拡大します)。

文理別就職率

昨年2010年と今年2011年のデータを並べており、文系全体・理系全体の就職率だけでなく、国公立大・私立大それぞれの文系・理系の就職率も分かるようにしています。

文系全体の就職率は90%程度、私立大もそれと同程度の就職率ですが、国公立大文系は92%ということで若干ではありますが全体及び私立大平均を上回っています。ここでも国公立大の強さが現れています。

理系を見てみますと、全体は93%。文系よりも就職率が高いことがわかります。

しかし、今年の私立大理系就職率は私立大文系とほぼ同程度にまで落ち込んでいます。その一方で、国公立大理系は1%ちょっとのダウンにはなっているものの、私立大理系とくらべてはるかに高い就職率を維持しています。

これらのデータから「国公立大理系が一番就職率が高い」ということになります。

これから大学や学部を選ぶ方はもちろん、中学入試や高校入試を控えている受験生・その保護者の方々におかれましても、例えば「国公立大理系に行きたかったのにウチの高校からはほとんど進学していない」「理系進学者向けのサポートが乏しい」といったことを入学後に知るなど、将来の進路選択の際に不利なことが起こらないよう、このデータを活かしていただければ幸いです。

高校生たちが希望する職業は何?

2011年5月11日 水曜日

過去にこちらのエントリー「働いている人たちの満足度が高い職業って何?」で、現在実際に働いている方々を対象とした「職業満足度」についてのデータをご紹介しました。今回はその続きとも言えるエントリーになります。

現在の高校生たちが一体どのような職業に興味を持っているのか?について集計したデータがありますので、ご紹介したいと思います。

今回ご紹介するデータは、日本ドリコムが毎年12月から翌年2月にかけて高校2年生を対象に実施している、職業を中心に尋ねる意識調査の集計結果です。

今回実施された調査で得た回答数は895、その内訳は男子322、女子573となっています。

トップ10にランクインした職業を以下にご紹介します。

高校生の希望する職業ランキング2010

1位の「保育士・幼稚園教諭」で7.7%、昨年の調査結果よりも1.7%上昇しています。女子比率を見てみますと、何と女子全体の10分の1ちょっとがこの職業を希望していることが示されており、女子の間で人気ナンバー2だった「看護師」の8.3%よりもかなり上の数値となっています。この系統を志望している方の圧倒的多数が「保育士」を志望していることも明らかになっています。

2位は「教師」で7.0%。こちらは女子比率よりも男子比率の方が高くなっております。また、男子比率だけで見てみますと、4位の「公務員」と同率ではあるものの、1位となっています。公務員を志望する方からよく聞かれる「安定しているから」という理由が、今回のこの「教師」の志望理由にも多く見受けられる、との調査結果があります。

昨年の調査結果と比較して大きく得票率を上げたのが、先ほどご紹介した「保育士・幼稚園教諭」と「声優」です。特に「声優」は女子に人気があるだけでなく、最近では男子比率も高くなってきているようです。

これから将来に向けて1歩を踏み出そうとしている皆さんの参考になれば、と思います。

働いている人たちの満足度が高い職業って何?

2011年4月14日 木曜日

世の中には非常にたくさんの職業があります。

日本における主な職業分類体系としては、「日本標準職業分類」(総務省統計局)と「労働省編職業分類」(厚生労働省)の2種類があり、それぞれが異なる定義でもって山ほどある職業を分類しています。

後者の労働省編職業分類によりますと、約2万8千の職業名が収録されており、大分類9、中分類80、小分類379、細分類2,167と分類されています。

これから社会に出る皆さんはそんな中から1つを選び出して就職しなければいけません。今一生懸命受験勉強をしている皆さんも、近い将来にはこの選択をしなければならない時が来ます。

たくさんある職業の中から一体どれを選んだらいいかわからない・・・。

それなら、今実際に働いている人が山ほどいるのだから、その人たちに聞いたらいいじゃないか、ということで、今実際に働いている社会人800名を対象として「職業に対する満足度」を調査したというデータをご紹介し、これから社会に出ていく皆さんの職業選びの参考にしてもらおうと思います。

まず、その社会人800名が現在就いている職業に対しての満足度を「給与」「仕事内容」「就業環境」の3項目それぞれにおいて点数をつけてもらい、それを集計した結果をご紹介します(画像をクリックすると拡大します)。

仕事満足度の高い業種①

「給与」「仕事内容」「就業環境」それぞれの項目において、満足の高い方から順に上から業種を並べています。

給与満足度、仕事内容、就業環境の3つすべてにおいて1位だったのが「教育」でした。以下、3項目すべてで2位なのが「商社/流通」、同じくすべて3位なのが「医療/医薬」となっています。

当ブログ執筆者が教育業界で働いているからといってこのデータを紹介しているわけでもなく、当然データをいじくったわけでもありませんので、その点をまずお断りしておきたいと思います・・・。

さて、これを見た皆さんの中には「どうせ給料が高い業種が満足度が高くなっているんでしょ」とお思いになられた方もきっと多いでしょう。では、実際に給与が高い業種だと満足度も高くなっているのでしょうか?それについて検証してみたのが次の表です(画像をクリックすると拡大します)。

仕事満足度の高い業種②

上の表は平均年収が多い順に上から業種を並べ替え、それぞれの業種が各項目において何位なのか、を示しています。

「教育」は平均年収も高い上に、先にご紹介しましたとおりその他の項目すべてにおいても1位となっています。

「商社/流通」の平均年収は8位と低めのランキングである一方で給与満足度を始めとする3項目で2位になっています。同じ現象が「医療/医薬」の、平均年収が6位である一方で給与満足度を含め3つの項目で3位となっている、という点にも現れています。この2つの業種は年収は他と比べると高くないのですが、お給料自体には満足している様子です。

つまり、このことから「お給料が高い(安い)からといって、その職業の満足度が高く(低く)なるとは言いにくい」ことがわかります。

同じく、「小売/飲食」は10業種中で一番低い平均年収であるにもかかわらず、仕事内容と就業環境の両方において満足度4位、と高い位置にいます。

ここまでは「平均年収が低いけども、仕事満足度は高め」の業種をご紹介しましたが、逆のパターンである「平均年収は高いけど、満足度が低め」のものを拾い上げてみましょう。

平均年収2位の「金融」は仕事内容で10位、給与の満足度が4位となっています。今この業界におられる方々はどうやら「仕事内容には満足していないけども、給料が高いからその点は満足」と感じているようです。

「メディア/広告」は平均年収4位、これらの業種の中では比較的高めの平均年収となっています。しかしながらその年収の満足度は最下位、仕事内容は7位、就業環境でも最下位となっています。この業界で働く人たちから「他と比べたら年収は高い方かもしれないけども、仕事の中身と環境が悪い中で頑張っているんだから、もっとお給料をくれ!」という叫び声が聞こえるような気がします。

皆さんがあこがれていた職業の本当の姿、少しは見えましたでしょうか?「なんか、がっかりした」ということもあったかもしれませんが、これが今まさに働いている方々のホンネなのです。

これから進路を選ぶ皆さんには間違った選択をして欲しくありません。そのためには、世の中のいいところばかりではなく、目をそむけてしまいがちなつらい部分も含めて「現実」を見て選択をすべきです。

当ブログでは、これからもそんな「現実」を知ってもらえるようなデータや情報を手加減せずにご紹介していくつもりです。

かつてない落ち込み! 大卒就職内定率

2011年4月11日 月曜日

このほど、文部科学省及び厚生労働省共同による2011年3月大学等卒業予定者の2月1日時点での就職内定状況調査が公表されました。

下の表では、大卒の就職内定率について2000年から12年分の推移を折れ線グラフでご紹介しています。2000年代で最も就職率が高かった2008年度から4年分に関しては、国公立大・私立大それぞれの就職内定率も棒グラフで示しています(画像をクリックすると拡大します)。

就職内定率の推移(大卒)

この調査は企業側からでなく学校側から調査したデータとなっており、文部科学省から毎年11月・翌年1月・3月・5月の4回発表されます。今回は毎年3月に発表されているデータをご紹介しています。

ちなみに、こちらのエントリー「国公立大と私立大 就職率ってどれぐらい違うの?」でご紹介した数値は昨年5月に発表になった「確定値」の推移をご紹介・分析したものになっています。

大学の就職内定率は77.4%、昨年同期と比べると2.6%減っています。

「大学等卒業予定者の就職内定状況調査」の調査が開始された1997年度分以降のうち、2月1日時点のデータが計測された1999年度以降において、2010年1月末の80.0%を下回り、過去最低の値を示しています。

棒グラフで示している国公立大・私立大の内訳ですが、国公立大の就職内定率は84.0%(同2.9%減)、私立大は75.4%(同2.2%減)となっています。

昨年度は国公立大と私立大の内定率の差が9.3%と大きく開いていましたが、今年度は8.6%となっています。3・4年前だと5%程度の差で済んでいたのですが、その差が縮まらない状況です。

この就職率の低さが学生たちに大きな大きな影を落としています。

大変悲しいことですが、2010年の自殺者のうち就職失敗が要因となった方が424人おり、前年比19.8%増となっていることが今年3月に警視庁から発表されています。

日本の各企業においては「新卒一括採用」のスタイルが圧倒的多数となっていますので、既卒生の就職活動は困難を極めるものになります。

新卒時点で内定がもらえなかった学生たちは、既卒での就職活動に絶望感を抱いて・・・、ということなのでしょうか。それにしても、あまりにも悲しすぎる事態です。

気をとりなおして、男女別、文系・理系別にもデータを見てみましょう。

男子:78.9%(昨年同期比1.2%減)
女子:75.7%(同4.2%減)

文系:76.8%(昨年同期比1.9%減)
理系:80.3%(同5.9ポイント減)

なお、この調査結果には「東北地方太平洋沖地震により、新卒者等の就職活動等に影響が及ぶ可能性も考えられる」との文言もありますが、この記事を書いている3月中旬時点で既に被災地にある企業では内定取り消しの動きが出て来ている、という報道があります。

それどころか、内定取り消しの連絡すら入れることが出来ないくらい被害が深刻な企業もあるようですから、今後さらに内定取り消しは増えていくことと思われます。

こんな時代の中でこれから高校・大学入試を経て社会に出ていこうとする皆さんは本当に大変だとは思いますが、社会に出る前にそれに備えて準備出来ることはあります。やはり、考えうる最も効果的な手立てとしては「出来るだけ社会的評価の高い大学に入る」ということでしょう。これから高校入試を迎える人なら少しでも大学合格実績が良い高校を目指すようにし、来る大学入試に向けて少しでも良い状況下に自分を置くようにしましょう。

当然、有名な大学には行ったからすべてが解決されるわけではありません。その中で自分が何をするか?どんなスキルを持つか?などもその後に大きく影響してくるでしょう。

ともかく、まずは自分の可能性や将来の選択肢を広げられるような環境に自分自身を持っていくこと、これを心がけて高校・大学を選ぶようにして欲しいと思います。

大学卒とその他学歴での給料・退職金の違い③

2011年2月14日 月曜日

大学卒とその他学歴での給料・退職金の違い①
大学卒とその他学歴での給料・退職金の違い②

に続くエントリーです。中高生の皆さんが大切な進路を決める前に必ず知っておいて欲しいことを、特にお給料などの「お金」の面に絞り、順を追ってご紹介しているシリーズです。①では高校・短大・大学などを卒業して会社に雇われて初めて受け取るお給料、つまり「初任給」の額が高校卒・高専短大卒・大学卒では大きく異なること をご紹介しました。②では、高校卒・高専短大卒・大学卒それぞれの「お給料の上がり具合」についてご紹介しました。

このシリーズ最終回となる今回は、会社を辞める際にもらえる「退職金」が大学卒・高専短大卒・高校卒それぞれでどの程度異なるのか、をご紹介します。

「まさか、会社を辞める時まで学歴が影響するの?」とお思いでしょう。しかし、実際に次の様なデータが存在しているのです。

次にご紹介するグラフは、大学卒の人が会社を辞める時にもらえる退職金を額を「100」としたときに、その他の学歴の方が同じように会社を辞める時にもらえる退職金の額を示したものです。出典は「ユースフル労働統計―労働統計加工指標集―2010」です。

2008年度退職金 学歴間格差

今回は中学卒のデータも合わせてご紹介していますが、残念ながら高専短大卒のデータがありませんので、上のデータから推理するしかありません。

大学卒を100とした際、高校卒は大学卒の7割程度の金額しかもらえていないことがわかります。今回は具体的な金額を挙げているわけではないので、ご注意ください。

また、今回データが無い高専短大卒ですが、これまでご紹介した「初任給」や「お給料の上がり幅」のどちらも「高校卒<高専短大卒<大学卒」となっていたことから、高専短大卒の退職金は大学卒の7割よりは多めにはもらえていることは確実でしょう。しかし、当然ながら大学卒の退職金額を上回ることはありえないでしょう。

このように、会社を辞める時にまで大学卒・高専短大卒・高校卒で大きな違いが出ているのです。

いかがでしたでしょうか。

漠然と「専門学校でいいや」とか「短大に行けたらそれでいい」と思っていた方にとってはかなりびっくりするようなデータだったと思います。高校卒業時点での進路選びが、その先の人生をこれほどまでに大きく変えるとは思いもよらなかったのではないでしょうか。

幸せな人生を送るためには、少しでも多くお給料をもらっている方が良いに越したことはありません。そのためには、これまでご紹介したデータを見ている限りでは大学卒が最も可能性が高いものと思われます。

今回を含む3回のエントリーでは、お給料をはじめとする「お金」の面から大学卒の将来の可能性の高さをご紹介しました。

やっぱり、将来のことを考えると大学に進学しておくことが一番安心できますね。

大学卒とその他学歴での給料・退職金の違い②

2011年2月8日 火曜日

大学卒とその他学歴での給料・退職金の違い①」の続きとなるエントリーです。中高生の皆さんが大切な進路を決める前に必ず知っておいて欲しいことを、特にお給料などの「お金」の面に絞り、順を追ってご紹介しているシリーズです。前回は高校・短大・大学などを卒業して会社に雇われて初めて受け取るお給料、つまり「初任給」の額が高校卒・高専短大卒・大学卒では大きく異なることをご紹介しました。

今回は、高校卒・高専短大卒・大学卒それぞれの「お給料の上がり具合」についてご紹介したいと思います。

2009年時点の年代別の1ヶ月のお給料をグラフ化したものを下に挙げています。男性・女性別にご紹介しています。出典は厚生労働省発行の「平成22年賃金構造基本統計調査結果(初任給)」です(それぞれの画像をクリックすると拡大します)。

2009年度学歴別賃金(男性)

2009年度学歴別賃金(女性)

男性のデータを基にお話しますと、30代前半では高校卒と大学卒で約6万円、高専短大卒と大学卒では約5万円の違いです。これだけでも「結構違うなー」と思うのですが、それより上の年代を見てみますと、大学卒のお給料はどんどん上昇している一方で、高校卒と高専短大卒のお給料はそれほど上がっていません。これによって、金額の差がどんどん開いているのがわかります。

50代後半にもなると、高校卒と大学卒では1ヶ月でなんと約17万円もの差が出ています!

男性同様、女性も年代が高くなるにつれて大学卒とその他の学歴のお給料の額の差が開いています。こちらも、50代後半になると高校卒と大学卒では1ヶ月で約16万円の差が出ています。

大学卒だと他の学歴と比べて初任給が高めでスタート出来るだけでなく、その先のお給料の上がり具合も他の学歴とは比べ物にならないものであることがわかりました。

次回のエントリーでは、会社を辞める時にもらえる「退職金」について、それぞれの学歴でどのような違いがあるのかをご紹介しようと思います。

大学卒とその他学歴での給料・退職金の違い①

2011年2月4日 金曜日

これから大学受験に向けて頑張っていこうと思っている高校生の皆さんで「将来どんな仕事に就くのか?」や「これから先どんな人生にしたいか」についてはっきりと、明確な考えを持っている人は非常に少ないでしょう。次の4月に中学3年生になって、いよいよ高校入試を迎える皆さんにいたってはそんなことを真剣に考えたことすらもない、という人がほとんどだと思います。

今中学生・高校生である皆さんが現段階ではっきりと、例えば「将来は○○になるんだ」という具体的な職業名を決めておく必要は(決まっているに越したことはないのですが)必ずしもありません。

それよりも大切なのは、これから先自分が「なりたい!」と思った職業に就けたり、「こんな人生を送りたい」と思ったりした時に、それらが実現出来る環境に自分が居られるように今から頑張っておくことです。

これから先、皆さんに待っている「人生最大の選択」の一つとして、次の3つから進路を選ぶということがあります。

「高卒で社会に出る」
「短大・専門学校に進学する」
「大学に進学する」

この3つが今後の皆さんの人生を分ける大きな「分岐点」と成り得ます。特に大きな分かれ目となるのが、卒業後に社会へ出た後の「お給料」の面です。

今回から数回に渡り、中高生の皆さんが大切な進路を決める前に必ず知っておいて欲しいことを、特にお給料などの「お金」の面に絞り、順を追ってご紹介したいと思います。

今回は、高校・短大・大学などを卒業して会社に雇われて初めて受け取るお給料、つまり「初任給」についてご紹介しましょう。

下のグラフでは、高校卒・高専短大卒・大学卒それぞれの過去10年間の初任給の額をグラフ化したものです。出典は厚生労働省発行の「平成22年賃金構造基本統計調査結果(初任給)」です(クリックすると拡大します)。

学歴別初任給推移(男女計)

ご覧のとおり、大学卒の初任給は20万円近くで推移しています。一方で高専短大卒は17万円前後、高校卒になると16万円にも届いていません。初任給時点で大学卒と高校卒でのお給料の差は実に4万円、年間にすると約50万円の差が出ます。

今回はご紹介していませんが、お給料でこれだけの差があるということは、ボーナスも大きな差があることが容易に予想できますね。そうすると、1年間のお給料・ボーナスの総額、いわゆる「年収」が全く違ってきます。

また、この状態が定年を迎えるまで続くわけですから、一生涯でもらえるお給料の総額の差は相当変わってくるでしょう。

ただ、学歴によってその先のお給料の額の上がり幅が異なっています。それについての詳しいことは次のエントリーでご紹介したいと思います。

前向きな考えを持って進路を選ぶ

2011年1月4日 火曜日

2011年になり、初めてのエントリーとなります。今年も「開成教育グループ 入試対策課ブログ 学校選びの道しるべ」をどうぞよろしくお願いします。

さて、新年最初の話題ですが、今受験に向けて頑張っている皆さん、これから進路を決めていこうとしている方々、すべての人に読んでほしい「進路選びの際のポイント」をご紹介します。

昨年の秋以降、いろいろな学校の説明会などにお邪魔してきましたが、その中のある学校の説明会で校長先生がご紹介下さいました数字を基にして、進路・職業選びに必要となる力をご紹介しましょう。

65.8%

一体何を表す数字なのでしょうか?

これは、日本の高校生のうち「自分をダメな人間だと思う」と思っている子の割合だそうです。

対して、中国の高校生たちのそれは「12.7%」ということだそうです。一般的に言いますと、他の国の方々と比較しても日本人は「奥ゆかしい」といいますか、遠慮がちな国民ですから、こういう調査をされると数字が高めに出るんだろうなぁ、とは思うのですが、それを差し引いたにしても圧倒的に日本の高校生の方が「自分自身をよく思えていない」ことが分かります。

これからの進路を選ぶ高校生たちがこういう状況というのは、あまり良くないものだと考えます。

進学であっても、就職であっても、将来の進路を選ぶ時には「自分にはどういう能力があるのか?」ということも含めて、「自分はどういう人間なのか?」ということを正確に把握しておかないと、現実の自分の姿と合致しない進路を選択してしまい、将来大きな問題を引き起こしてしまう可能性が出てきます。

例えば他の人から「面白いことをたくさん言う人だね」と言われると「自分って面白い人なのかー」という気持ちが大きくなり、これまで以上に普段の生活で面白いことを言う事を意識し始め、それ以外の行動も積極的になった、ということを経験された方もいるかもしれません。

逆に、例えば一生懸命勉強したのにテストで点数が取れず、親や先生から「ダメだなー」なんて言われると、「自分はダメなヤツなんだ」という気持ちが膨れ上がってきて、勉強が嫌いになるだけでなく、他のことも自信がなくなって積極的に行動できなくなる、ということを経験されたこともあるかもしれません。

どんな些細なことでもいいので「前向きな気持ち」を持ちつづけることが、いずれ他の面にも良い影響を与えるということがよく起こるのです。そのまた逆もありえる、ということもありますが・・・。

「将来○○みたいな仕事がしたい」
「○○の研究がしたい」
「○○大学に行きたい」

若い皆さんたちのことです。将来、いろいろな夢や希望が出てくるでしょう。その度ごとに「自分は○○が得意(好き)だし、もっと頑張ればきっと夢はかなう!」と信じ、前向きに行動するように心がけて下さい。

自分という人間がどういう人間であるかということを正確に把握しつつ、前向きな気持ちを持って行動できれば、正確な進路が選べるようになるでしょう。

今年1年、ぜひ「常に前向きな気持ちを持ち続ける」ことを意識しながら生活してみてください。

厳しい雇用・就職状況の中を生きる

2010年8月25日 水曜日

8月も下旬に入りましたが、厳しい暑さが収まる気配が一向にありません。そんな中、雇用環境も厳しい状況が続いております。今回のエントリーでは、雇用・就職に関する最近の新聞記事のいくつかをご紹介しつつ、

8月17日の日本経済新聞に以下のような記事が掲載されました(以下引用)。

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失業期間の長期化判明「1年以上」が118万人 4~6月労働力調査

総務省は17日、4~6月期の労働力調査/async/async.do/ae=P_LK_ILTERM;g=96958A90889DE2E6E3E5E1EBE6E2E3E4E2E1E0E2E3E29BE0E2E2E2E2;dv=pc;sv=NX(詳細集計)を発表した。完全失業者349万人(月平均)のうち、失業期間が「1年以上」の失業者は118万人となり、前年同期に比べ21万人増えた。増加は7四半期連続。求人数が低迷し、職をみつけられない失業者が多いようだ。

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厳しい雇用情勢が続く中、失業期間の長期化に歯止めが掛からない状況となっています。

なお、この118万人という数ですが、データが存在する2002年以降で見てみますと、IT(情報技術)バブル崩壊後の2003年4~6月期(127万人)に次ぐ過去2番目の高水準、となっています。

失業期間別の内訳は次のようになっています。

・2年以上 前年同期比11万人増の62万人(過去2番目の多さ)
・1年以上2年未満 同10万人増の56万人
・6カ月以上1年未満 同7万人増の52万人
・3カ月以上6カ月未満 同11万人減の51万人
・3カ月未満 同26万人減の114万人

新規と短期の失業者は減少傾向となっているものの、失業期間の長期化が進む一方であることがわかります。

そのような厳しい雇用状況となっていますから、新規大卒者の就職活動も大変苦しいものとなっています。7月6日の読売新聞に以下のような記事が掲載されていました(以下引用)。

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就職留年7万9000人 読売調査推計

大卒予定7人に1人・・・「新卒」として再就活
卒業年限を迎えながら留年する学生が全国の大学で少なくとも7万9000人いると推計されることが、読売新聞の「大学の実力」調査で明らかになった。

根強い企業の「新卒一括採用」を背景に、就職が決まらず翌年に再び「新卒」として就職活動(就活)に臨む学生が急増している。卒業予定者数は約56万8000人で、7人に1人は留年している計算になり、就職戦線のさらなる激化を招いている。

卒業者含め「浪人」11万人
国の調査では、約3万1000人が、就職が決まらないまま卒業している。今回、明らかになった留年者約7万9000人を合わせると就職浪人は約11万人となり、その分、就職戦線が激化している計算になる。

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2010年2月時点の新卒就職内定率は約8割となっており、学生の5人に1人は就職できないことになっています。そのような過酷な状況下で少しでも有利に就職活動を進めたい、ということから、今年就職出来なかった学生はあえて卒業を1年見送って(=留年)「新卒」として再度就職活動を行う、ということを編み出した形です。

リーマンショック後、このような「就職氷河期」と呼ぶにはぴったりな状況が続いていますから、「やっぱり就職率が良い大学がいいなあ」と思う大学受験生が最近増えています。しかしその一方で、就職率などのデータについての計算・公開状況は各大学で大きく異なっており、選ぶ側となる受験生にとっては「共通のものさしで比較できない」という状況になっています。就職状況をはじめとする進路情報の公開を文部科学省が義務付ける、という記事が7月12日の産経新聞に掲載されていました(以下引用)。

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「就活」の成果も大学に公開義務付けへ

文部科学省は、大学などに対して、入学者数、卒業者数、就職者数などの進路情報の公開を、2011(平成23)年度から義務付けることにしました。実質的な「大学全入時代」に入り、大学の入り口と出口の情報を広く公開することにより、大学教育の質を保証していくことがねらいです。受験生や保護者にとっては、大学選びの参考資料が増えることになります。

大学進学希望者や保護者にとって最も気になるのが、「学生に関する情報」でしょう。具体的な中身は、収容定員、実際の学生数、卒業者数、(大学院などへの)進学者数、就職者数などとなっています。

ここで、「卒業者数なんて、今までも公開されているのでは」「就職状況などは、大学のパンフレットに載っているけど」などと、疑問に感じたかたもいることでしょう。ところが、実際の入学者数や卒業者数などを、一般に公開していない大学は、実は少なくないのです。また、卒業生の進路情報として就職状況などを載せていても、実際は採用内定者の延べ人数だったりして、学生の就職活動の成果をきちんと反映してないこともあります。就職者の実数などを、簡単には公開できない事情を抱えた大学もあります。学生数にしても、入学者数から4年後の卒業者数を引けば、どれだけの学生が中退や留年したかが、おおよそわかってしまいます。

文科省による入学者数、卒業者数、就職者数などの情報公開の義務付けは、大学の「入り口」と「出口」の部分の実態をできるだけ受験生や保護者に明らかにさせることを通じて、大学教育の質を維持・向上するよう大学側に努力を促すことが目的だと言ってよいでしょう。これまでも、大学設置基準などで、情報公開に努めるよう求めてはいたのですが、学校教育法施行規則ではっきりと情報公開が義務付けられたことにより、大学の進路情報の公開が一挙に進むことが予想されます。

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大学受験生にとっては、これらのデータが大学選びに大きな影響を与えることになるのは必至でしょう。

ただ、1つ気をつけてほしいのは、「就職率が高い大学=自分が希望する会社に入れる」ということではない、ということです(当然ですが)。

就職率が低い大学でも、在学中に自分をしっかり磨いておればどんな会社からも「ウチでぜひ!」と言ってもらえるでしょう。逆に、世間的には知らない人がいないような大学に在籍していても、自分に「これ」といったセールスポイントがなければ厳しい就職活動になるのは目に見えています。

先日、学生向けの就職フェアの風景がNHKのニュースで紹介されていました。その時の学生の言葉がとても印象的でしたのでご紹介したいと思います。

「どんな時代でも自分がしっかりやらないといけない。時代のせいとかにはしてられないので、がんばるしかない。」

時代のせいにするのではなく、現実を受け留めて、その中でいかにして自分らしい人生を選択していくか、と肯定的に捉えている姿が素晴らしいと感じました。

これを読んでいる若い皆さんたちには、どんな現実が待っていようとも突き進んでいけるような「本当の生きる力」を養いながら社会へ出る準備をしていってほしい、そう思います。また、それに向けて我々大人たちには何が出来るのか、を私も考えたいと思います。

進路・職業選びに必要な能力とは?②

2010年6月4日 金曜日

進路・職業選びの段階で身につけておいて欲しい力、についてお伝えしているこのシリーズ。これまでお送りしてきたのは以下の2つのエントリーです。

将来を真剣に考えて進路選びを~七五三問題~
進路・職業選びに必要な能力とは?①

今回は、様々な人間がいろいろな地域から集まる「大学」や「社会」といった広い世界に飛び込んだ時に人間関係をスムーズに上手く構築出来るよう、若いうちから準備しておいてほしいことを整理してみたいと思います。

前回と同じく国立教育政策研究所生徒指導研究センターが作成した「児童生徒の職業観・勤労観を育む教育の推進に関する調査研究」という文書から該当部分を抜粋してご紹介します(クリックすると拡大します)。

人間関係形成能力

それぞれの教育段階に応じて身につけておくべき能力や態度が、具体的かつ段階的に示されていることがお分かりいただけると思います。

初期段階である小学校高学年では「自分の長所・短所を知る」ことが真っ先に挙げられています。その後、中学生ではもう少し突っ込んだ形で自分の個性を認識し、高校生になると自分の個性の中でどういった部分を伸ばしていくのか?どの部分を活かして職業を選ぶのか?といったところにまで発展させるのが理想的な流れとなっているようです。

まずは「自分の良いところ・悪いところ」を客観的に理解すること。これがすべてに通ずる第一歩とされています。

とある小学校では、教室の背面に生徒一人一人のポートフォリオを掲示し、そこに生徒たちが自由にコメントを書きこみあうことで、友達たちから見た自分の良いところなどを自覚させるだけでなく、友達の他人を見る見方を参考にさせることもでき、何よりも「人から見た自分」を意識させて普段の行動に落としこませる、ということに取り組まれています。

自分自身を知るのと同時に、自分の周りにいる人間の良いところ・悪いところを受け入れて、それを「個性」や「ユニークさ」としてとらえて受け入れることも必要になってきます。お互い認め合って大切にする、ということですね。それについても初期段階から意識させるべきであることが上の表で示されています。

インターネット、携帯電話・・・。現代はITの時代、といわれて久しくなりました。

人間同士が直接接触する機会が減っている分、一見すると人間関係が希薄になってきているようにも思えますが、コミュニケーションの手段自体は異なるものの、より多くの人たちと信頼を伴う人間関係を構築出来るかどうか、が今後の人生を大きく左右することにはなんら変わりはありません。

将来社会に出た時に適切な人間関係を構築できる人間でいられるよう、上の表を見て自分が出来ていないところから取り組んでいってはいかがでしょうか?

次のエントリーでは、現代に生きる者として必要不可欠な「情報活用能力」についてお話します。