「学校選びの道しるべ」について

2017年12月29日 金曜日

早いもので、2017年もあとわずかです。今年も本ブログをお読みいただいた皆様、ありがとうございました。今年の1月4日から237本のブログを発信してきました(このブログが238本目)が、その情報を御提供いただいた学校関係、教育関係、報道関係の皆様にも感謝でございます。夏の暑い中、校内を長時間案内してくださった先生、急な訪問にも温かく迎えてくださった先生、プライベートの時間にもご連絡下さった「ある教育関係者」をはじめ、ご協力いただいた皆様、ありがとうございました。やはり自信のある学校ほど外部発信にも積極的だということでしょうか、多くの情報を頂いた学校様ほど人気が高まっているようにも感じます。

また、教育改革関連の文部科学省の会議やセミナーにも出席しましたが、文部科学省の官僚の皆さんの超人的な情報収集能力もさることながら、この国を、この世界を、教育から変えていきたいという熱意溢れる議論には感心いたしました。

一昔前なら考えられなかったことですが、国公立大学、公立高校もカラーのパンフレットを作成し、Webサイトを充実させ、オープンキャンパス、オープンスクール、入試説明会を開催するようになりました。

そういった意味では学校情報は手に入りやすくなったといえるでしょう。しかし学校発の情報では、その学校の「良い所」しか発信されないわけですから、逆にあふれる情報の取捨選択が求められているともいえます。本ブログでは、できるだけ客観的事実に基づく取材を通してそのお手伝いができればと考えております。

例えば有名大学への合格実績というのも、学校選びの基準の一つではありますが、その数字が在校生・卒業生の満足度につながるとは限りません。もちろん社会に出て必要なルールの定着やしつけが行われたうえでのことですが、それぞれの生徒が生き生きと成長できる環境をどのような形で提供しているのか、どのような成果を生んでいるのか、をできるだけ生徒の目線に近い形でお伝えできればと考えています。

本ブログは土日祝をお休みとしておりますので、次回は1月4日発信となります。

皆さま、よい新年をお迎えください。

 

(この写真は10月に行われた大阪府立槻の木高校の説明会の風景です。説明会の後半では、部活に所属する全生徒がずらりと並んで、放送部の生徒の司会で、各クラブの紹介がきびきびと行なわれていました。)

 

 

京都芸術高校 卒業制作展

2017年12月28日 木曜日

近畿圏で美術科を設置している高校は12校ありますが、そのうちで美術科のみの単科高校は「京都市立銅駝美術工芸高等学校」「大阪府立港南造形高等学校」「京都芸術高校」の3校です。京都芸術高校は私立としては近畿で唯一の美術科単科の高校というわけです。

入学時には美術に関する基本を全員勉強(週14時間)しますが、2年からは絵画表現とマンガ文化表現の絵画系2コース、造形表現コース、視覚デザインと映像メディアデザイン表現のデザイン2コースの計5コース制に分かれてそれ以上のコマ数で美術を学ぶことになっています。もちろん国公立の美術大学を目指す生徒向けにセンター試験対策の選択講座も用意されています。

 

そこで3年間学んだ彼らの卒業制作展が2018年1月24日(水)から28日(日)まで学校内で行われます。美術を本気で勉強したいという中学生は是非、先輩方の実力を見に行ってみましょう。場所はJR黄檗(おうばく)駅から徒歩1分以内です。

 

 

高槻中学校・高等学校 生物部にお邪魔してきました(下)

2017年12月27日 水曜日

既に一部完成していて使用が始まった新校舎の、100メートル以上の長~い廊下の前に真新しい理科実験室がずらりと並んでいます。なんとその数7つ、生物実験室だけでも2つという恵まれた環境です。隣には広い準備室があり、実験助手の方が作業を行っていました。

こちらでも生物部が活動しています。こちらには海水魚が入った温度が管理されている水槽がいくつもあり、まさにその生態を調べるために魚の模型を泳がせて、反応をみるという実験が行われていました。

高槻高等学校はSSH(スーパー・サイエンス・ハイスクール)に指定されており、その予算で購入された実験機器や書籍が活用されています。島津製作所製のデジタル顕微鏡もその予算で買いそろえ、現在35台になっているそうです。もちろん普通の光学顕微鏡は授業でクラス人数分、双眼実体顕微鏡も同じく一人一台揃っているそうですので、普段の授業でも観察・実験の効率も上がることでしょう。

もちろん先生方の苦労・工夫も欠かせません。結構値段の張る温度と湿度を一定に保つ機器の代わりに、家庭用のワインセラーを流用するなどで経費を節約しています。

今年の「科学の甲子園」でも大阪2位を獲得した高槻中学校・高等学校は、生物部以外でも電気物理研究部や科学研究部など理系の部活が盛んな学校です。先輩や先生方も含めて、好きなだけ実験や観察ができる恵まれた環境が備わった、関西では数少ない学校だといえるでしょう。

ところで、どさくさ紛れに今年の中学入試の出願者数を聞き出してきました。昨年同日比で約2割増し、とのことです。昨年も女子は男子よりも合格最低点が高くなっていましたが、今年は男女ともラインが上昇する可能性も高いといえるでしょう。今年受験の方は併願を厚めにするなど、受験作戦のご参考になさってください。

 

高槻中学校・高等学校 生物部にお邪魔してきました(上)

2017年12月26日 火曜日

新校舎の建築が進む高槻市の高槻中学校・高等学校ですが、今回は10月の「第10回大阪府生徒研究発表会」ポスター発表部門で金賞、オーラルセッション(口頭発表)部門でも優秀賞を受賞した生物部にお邪魔してきました。

高槻中学校・高等学校の生物部は約50名の大所帯で、「哺乳類班」「爬虫類班」など生物の種類ごとの班に分かれて活動しています。「鳥類班」は剥製の作成、「植物班」は花や野菜の栽培を行うなど、それぞれの班独自の活動も本格的です。部室にはずらりと魚類やサンショウウオなどの両生類が入った水槽などが並んでいます。

ロッカーの中には生きたクワガタやタランチュラの入った容器や、迷路の学習実験に使うためのハムスターの入ったかごが納められています。既に冬休みに入っている校内でしたが、これらの生き物のお世話のために交替で生徒さんが来ていました。ちなみにこのロッカーには中の温度を保つためにヒーターがセットされていますが、これらの設備も生徒さんたちの手作りです。今年から入学した女子生徒も数名入部しており、先輩方と一緒に生き物の世話をしていました。

近所の川まで魚や、箕面までサンショウウオを取りに行くなど、結構アクティブに活動しているようです。先日も先生の引率で水族館に行ってきたそうです。結構楽しそうですね。(続く)

 

【スクープ】大商学園高等学校 新校舎建築準備中【もっと快適に高層化】

2017年12月25日 月曜日

大阪府豊中市の大商学園はこの11月に130周年を迎えた伝統校です。かつては男子校でしたが2009年には全面共学しています。阪急宝塚線の服部天神駅から徒歩10分少々、御覧のように明るくきれいな校舎に到着です。2001年に建築したこの建物は手入れが行き届いているのでしょうか、中に入っても新築物件にしか見えません。

その奥に、古い建物(といっても公立高校より新しくてきれい・・・)がありますが、現在解体準備が進んでいました。

教頭先生にお伺いしますと、この校舎を二つ解体して、同じ場所に、6階建て(中は5層)と高層化する予定だそうです。現在の新しい方の建物は3階から6階まで中に吹き抜けがあるなど開放的な作りですが、新たな建物も明るい作りになりそうです。

ちなみにこの場所は伊丹空港から近く、外にいると時々飛行機の音が聞こえるのですが、そのために既存の教室も防音対策+冷暖房完備となっています。新たな建物も最新鋭のオフィスのような快適な環境になりそうです。

女子サッカーが全国で準優勝、硬式テニスもインターハイ出場、硬式野球も年に何回も大阪桐蔭と練習試合を行うなどスポーツ強豪校ですが、運動部員は特別扱いされず、授業もテストも一般の生徒と同じ扱いで、テストの点数が悪かったら練習にも行けない、というように、あくまでも勉強を第一に考えている真面目な学校です。

この垂れ幕は去年の実績ですが、このような大学入試実績も上げているという、まさに文武両道の学校です。一方、今でも大阪府で商業科を併設している唯一の私立高校なのですが、その商業科では実社会で通用するライセンス取得に特化したカリキュラムが組まれており、実社会に通用する人材育成という部分でもぶれていません。

新校舎は2019年3月完成とのことですので、今の高1以下の学年は新しい校舎を使うことが出来そうです。完成したら見に行こうと思います。

 

中学入試プレテスト ランキング(受験者数増加割合編)

2017年12月22日 金曜日

しかし、大規模校でなくても人気が次第に上昇している学校もあります。そこで、受験者数の増加割合をみてみましょう。単年度の比較(2016年と今年)では誤差が大きくなると思い、2015年と2016年の平均を元に、2017年が何%になったかという「指数」でランキングを作りました。(2016と2015どちらかの数値が無い場合は、一方の数値を分母にしています。)たまたま他の学校と日程が重なるなどで人数が伸びなかった学校もあると思いますし、そもそもプレテストが無い学校もありますので、この表以外にも人気の学校はあるのですが、このベスト20に入る学校は人気が高まっている学校の一部を表しているといえるでしょう。

 

(学校名の後ろの①②は、複数回プレテストが実施された1回目、2回目を表しています。)

次年度以降に中学受験を考えているご家庭は、これらのデータも参考に、なぜ人気が高まっているのか、という視点で学校を調べてみるのはいかがでしょうか。もちろん今年これらの学校を受験する方は戦う相手が増えているわけですから油断禁物です。最後まで気を引き締めて受験準備をしましょう。

 

中学入試プレテスト ランキング(受験者数編)

2017年12月21日 木曜日

今年も近畿圏の私立中学校のプレテストは、ほぼ終結しました。

あくまでも、こちらが把握している学校においてですが、受験者数のランキング(上位10校)を作ってみました。複数回実施している学校は単純に合算しています。

ご覧のように3年連続1,000名以上は清風南海だけです。しかも3年連続増加が続いています。2位の帝塚山学院は初めて1,000名超です。こちらも人気校です。知名度抜群の大阪桐蔭は3位、志願者数日本一の近畿大学の付属は、中学も人気上昇で4位、進学実績の急伸など学校改革が進む龍谷大学付属平安は5位とそれぞれの地域で人気が高い学校ぞろいです。特に9位の常翔学園、10位の大谷(大阪)は昨年よりも大きく伸ばしてベスト10にランクインしています。(続く)

 

【日本一の】近畿大学公募推薦の結果【人気校】

2017年12月20日 水曜日

志願者数日本一の近畿大学からも今年度の公募推薦の結果が届きました。

志願者数は昨年比で102.8%、合格者数は91.7%と、やはり狭き門になっています。

といってもすべての学部、学科が難しくなったわけではありません。例えば11月18日土曜日の経営学部の商学科は合格最低点が137点でしたが、会計学科は132点と5点も違いました。また、12月2日の国際学部グローバル専攻の159点に対し、総合社会学部の環境まちづくり系専攻は131点と同じ入試問題なのに28点も開きがありました。

本来なら希望の学部や学科に入学するべきですが、ともかく近畿大学に入学し、隣接分野でその夢を果たそうという作戦もあります。そのような観点で、このブログをお読みの皆様にこっそり狙い目の学部、学科をお教えしましょう。

 

文系なら・・・

経営学部の会計学科・キャリアマネジメント学科

経済学部はすべて

総合社会学部の社会マスメディア系専攻・環境まちづくり系専攻

理系なら・・・

理工学部(東大阪)の応用科学科と理学科の物理学コースと化学コース

医用工学科以外の生物理工学部(和歌山)

建築学科以外の工学部(広島)

農学部(奈良)の応用生命科学科・バイオサイエンス学科

産業理工学部(福岡)

 

近畿大学は学部内併願や、文系学部の他学部併願ができますので、当日多少やらかしても、これらの学部を併願に書いておけば、近大生にはなれる可能性は上がるというわけです。

というわけで、出願するときの参考にしてみてください。

 

【こちらは】京都産業大学公募制推薦入試結果【もっと厳しい】

2017年12月19日 火曜日

京都産業大学の公募推薦結果も発表されました。こちらも志願者数が爆増しています。

ご覧のように、総合評価型で135.9%の受験者に対して、合格者は93.3%など、もはや難易度が1段階以上変わったように感じられます。合格最低点でも基礎評価型ですが外国語学部のドイツ語専攻200点満点で120点⇒139点、フランス語専攻で125点⇒137点などヨーロッパ言語学科での上昇が目立ちます。

昨年から募集を始めた現代社会学部も知名度が上がってきたためでしょうか、総合評価型で昨年3.0倍だったのに今年は5.6倍、最低点も10点アップとかなり難易度が上昇しています。法学部や文化学部もかなり受験生が増えています。

理系では理学部の宇宙物理・気象学科や情報理工学部、総合生命科学部の動物生命医科学科など昨年より競争倍率が大幅に伸びています。

このように京都産業大学も合格ラインが大きく上昇していますが、こちらは新学部の認可獲得を視野に入れているとのことで、そのために文部科学省が設定した入学者枠を厳格に守る必要があり、一般入試でもその方針だとのことです。つまり一般入試の難易度も昨年より上昇すると考えられますので、京都産業大学の一般入試を考えている受験生は昨年の最低点の1.1~1.2倍以上を目安に、あと1か月、準備をしておきましょう。

 

【今年は】龍谷大学公募推薦結果【厳しい】

2017年12月18日 月曜日

11月25日、26日に行われた、龍谷大学の公募推薦入試の結果が発表されました。

ご覧のように、受験者数が1割以上増えて、合格者数を1割減らしているという狭き門になっております。当然合格最低点も昨年より上がっている学部、学科がほとんどですが、特に上昇幅が目立つのは、文学部の臨床心理学科(スタンダード方式で76.0%⇒84.0%、高得点科目重視方式で75.7%⇒85.1%)の上り幅が一番で、同じ文学部の歴史学科、日本史専攻や東洋史専攻、経済学部、経営学部、法学部、政策学部、国際学部のいずれの学部でも合格最低点が上昇しています。

このように昨年より公募推薦の難易度上昇により、一般入試との差がなくなってきていますので、公募がダメなら一般はもっと無理、というわけでもないと思います。近畿大学と同じように、公募で厳しかった受験生も、気持ちを切り替えて一般入試に挑んでほしいと思います。