奈良大 奈良で学ぶことを活かした学科構成

2011年5月31日 火曜日

奈良大の高校・予備校対象説明会にお邪魔してきました。今回の説明会は、キャンパスではなく梅田界隈の会場で行われました。

ちなみに、奈良大は近鉄 高の原駅からバスで5分、徒歩だと約20分のところにキャンパスがあります。

奈良大は文学部と社会学部からなる小規模大学で、現時点の学生数は約2500名だそうです。

特徴の1点目として挙げられるのが、初年次教育からキャリア教育につなげる教養教育を展開する「教養部」を持つ、という点です。ちなみに、この教養部を持つのは近畿地区で4~5校、全国でも10校程度。かつては多くの大学で教養部があったものですが、今では廃止する所が後を絶ちません。ですから、今では設置校が大変少ないというのが現状です。

教養部を設置されたのは2年前、それ以来教養部では「問題発見能力の向上」「レポート作成」「図書館の使い方」「レポート作成」「プレゼンの基礎」といったものを、独自で作成したテキストを使用して講義を展開されています。

文学部と社会学部それぞれの学科構成に目を向けてみますと、文学部内にある地理学科は西日本で唯一設置されている学科で、「環境」「歴史・観光」「都市・農村」「地理情報」の4つのコースから成っています。

また、同じ文学部内にある文化財学科は日本で初めて設置されたそうです。

日本で初めて設置された学科、という点においては、社会学部の社会調査学科も日本初の学科だそうです。

こうしてみてみますと、深い歴史と多くの文化遺産に囲まれた奈良という立地を最大限に活かした学科構成になっていることがわかります。

さて、最近では「歴女」と呼ばれる、歴史が好きな女性が話題に上がることが多くなりました。そんな「歴女」を生み出す1つのきっかけとなっているのがマンガではないでしょうか。実は、仏像と考古学に興味を抱く女子学生の青春を描く「メッシュ!!」という少女漫画は奈良大が舞台となっており、作者(奈良ご出身で子どものころから仏像が好きだったという女性)は実際にキャンパスを取材して制作されているそうです。

さて、話題は全く変わって就職率です。今春は583名が卒業されたそうですが、彼らの就職率は76.3%。昨年よりも約5%のダウンとなっています。就職率については、もう少し頑張ってほしいなあ、というのが正直なところです。

さて、来年の入試に向けての情報をいくつかご紹介します。

大学全体の募集定員は600名ですが、そのうち1割の60名分は併設高校からの内部進学枠として設定されています。

なお、検定料の割引制度が充実しています。

【公募制推薦入試】
1方式のみ出願 ⇒ 35000円
A方式+B方式 ⇒ 35000円
A+CまたはB+C ⇒ 50000円
3方式とも出願 ⇒ 50000円

【一般入試A日程・B日程】
1日程のみ出願 ⇒ 35000円
A日程+B日程 ⇒ 50000円
【センター試験利用入試A・B・C】
1日程内での出願 ⇒ 10000円(出願学科数に関係なし)
(昨年度までは15000円×出願学科数)
複数日程での出願 ⇒ 10000円×日程数

なお、2012年度入学生から、これまでは17万円だった入学金が10万円に減額されます。17万円でも私大の中で低い入学金だと思いますが、ますます低い入学金で済むことになります。ただし、授業料などと合計した1年間の学費はまた別問題ですので、必ずご自身の目でご確認下さい。

一般入試に限り、同一学部内の他の学科を第二志望として志願出来る制度である「第二志望制度」があります。この第二志望制度においては、判定の際は当該教科の指定科目及び配点で行われるという点で注意が必要ですが、1回の試験で2つ合否判定をしてくれる点は魅力です。

奈良にある大学、ということを活かして文化財や歴史・地理を学ぶ。歴史好きにはこれ以上ない贅沢な環境で学べるという、たまらない大学です。

2011年度中学入試 結果分析⑤ ~プレテスト~

2011年5月30日 月曜日

2011年度中学入試 結果分析① ~府県別受験者数・率~
2011年度中学入試 結果分析② ~入試日程の前倒し~
2011年度中学入試 結果分析③ ~大学附属校 その1~
2011年度中学入試 結果分析④ ~大学附属校 その2~
に続くエントリーです。2011年度中学入試について、テーマごとに分析を進めているシリーズです。

今回は「プレテスト」の実施状況などについてまとめてみたいと思います。
今年度の大きなトピックスの1つとしては「京都府内各校がプレテストを本格的に実施開始した」というものが挙げられます。

以下、2011年度入試に向けて各校が実施されたプレテストの日程一覧です。京都府内各校については赤で目立つように示しています。

2010年度プレテスト(10月)

2010年度プレテスト(11月)

2010年度プレテスト(12月)

特に11月でプレテスト実施校が多いのがわかりますが、その中でも13日(土)が最も実施校が多かった日でした。

赤で示した京都府内各校ですが、東山中や京都女子中といった人気校が参戦してきたことが驚きでした。

その中でも特に、京都女子中は700名もの受験者を集めるという大変規模の大きなプレテスト(京都女子中では名称を「オープン模試」とされています)となったことが話題となりました。

ちなみに、当ブログでもこちらのエントリー「京都女子中 オープン模試を終えて」で詳しくご紹介しています。

京都女子中はこのプレテストで700名を集めたという勢いをそのままに入試を迎え、何と昨年から約150名の受験者増となりました。

京都女子中 入試結果

京都女子中のようなビックネームが動くと、その分受験者動向にも大きく影響することがわかりました。

ちなみに、近畿地区で現在プレテストを行っている学校数や受験者数は次の通りとなっています。

府県別 プレテスト実施校数

プレテストは近畿地区で約2万人が受験しているという「一大イベント」であることがお分かり頂けると思います。しかも、その約3/4が大阪府内各校での受験者である、ということから、大阪府内の私立中にとってはまさに「募集活動の生命線」となっているのもご想像の通りです。

2012年度中学入試における主なトピックスごとに分析をお届けしてきたこのシリーズですが、今回をもって最終回となります。

以降は、2012年度入試に向けての新情報や各校の様子などを随時お届けしていきたいと思います。引き続きよろしくお願いいたします。

近畿大学附属高 新コース体制へ

2011年5月27日 金曜日

近畿大学附属高が、2012年度よりコース制度を一新されることになりました。

下の画像の通り、5コース体制となります。

近畿大学附属高 新コース

新しく作られるのが一番上に記載がある「Super文理コース」と、下から2つ目にある「英語特化コース」の2種です。

上から3つある「~文理コース」ですが、今年から公立高10校に設置された「文理学科」を意識したものであることは明らかです。

現時点ではあまり情報がないのですが、上の画像にもありますとおり7月になれば詳しい内容が明らかになるようです。詳しいことはその時までお預け、ということになりますが、公立トップ校の併願先として広く認知されている近畿大学附属高ですから、取り組み内容に注目が集まることでしょう。

続報を期待して待ちたいと思います。

仁川学院中高 特進Ⅱ(中学)の取り組みと学内予備校

2011年5月26日 木曜日

仁川学院中高の塾対象説明会にお邪魔してきました。

仁川学院中高①

上の写真中央にそびえたつのが「宇宙軸」という、天・地・地下を結ぶ軸(宗教的な意味があるようです)で、学校生活の真ん中にキリスト教の教えを据えた象徴的なものとされています。なお、全校舎がループ型に配置されており、そのループの真ん中にこの「宇宙軸」が配されています。

仁川学院中高では2002~2004年で改革を実施されています。

「教育改革=教職員の教育への意識を変えること」というお考えの下、教職員のジャージ・スリッパを禁止されるなど、教職員の皆さんの意識改革をまず徹底的に行われたそうです。

また、何か1つの分野でだけ成果を出すのではなく、様々な分野で成果を出すということを目標に挙げられたのも特徴です。「東大に合格者を出す」ことと「甲子園に出場する」ことを両方同時に実現させるような形になることが理想形、とされているそうです。

さて、そんな仁川学院中高ですが、今回は2つの話題をお届けしたいと思います。

まず、中学校に昨年春から設置された「特進Ⅱコース」についてです。

2010年春から新設された特進Ⅱは、難関大合格を目指すコースとされています。特徴としては以下3点が挙げられます。

①大学入試を把握した教員による指導やフォローアップ&土曜講座といった、学年の枠を超えたハイレベルな授業
⇒ 土曜日に行っている「ハイレベル数学」に関してはZ会のテキストを使用する難度の高さ
②知的好奇心を刺激する体験型授業
③宗教・哲学・論語を通しての倫理観・道徳観を養う授業

なお、特進Ⅱの1期生が1年⇒2年に上がる際、特進ⅠからⅡへ上がりたいと希望を出したのが9名おられたそうです。その内6名が成績的に問題無いと認められ、特進Ⅱへ上がれたそうです。ちなみに、特進ⅡからⅠへ下がってしまった生徒はこの時点ではゼロだそうです。

勉強をさせるコース、ということでクラブ活動との両立が心配されるところですが、現在の中2生17名中0名(うち9名が体育会系)がクラブに入っているとのことです。

続いての話題は、高校生を対象に行われている「学内予備校」についてです。

45分×7コマが基本フレームとなっている通常授業ですが、その後で放課後に90分の「学内予備校」が実施されています。

この学内予備校の特徴は以下2点です。

①受講料は学校が全学負担
②補習ではなく大学受験に向けて攻めの姿勢で臨む内容

開講されている講座にはざっと次のようなものがあります。

高1対象:ハイレベル英文法・基礎英文法・ハイレベル数学ⅠA・基礎数学1A
(ハイレベルは外部予備校講師が担当・定員45名、基礎は学校教員が担当・定員無制限)
高2対象:ハイレベル英文読解・入試英文法・ハイレベル数学ⅡB・スタンダード数学ⅡB・化学特講
(英数は外部予備校講師が担当、ハイレベルは定員45名、他は定員無制限)
高3対象:スタンダード私立大英語、その他多数
(河合塾講師担当講座は定員35か45名、他外部予備校講師担当講座・学校教員担当講座は定員無制限、講座は多数あり)

この学内予備校を始めたことによって、特進コース生はもちろんですが、進学コース生の進学に対する意識も大きく変わったそうです。

今年の大学合格実績を見てみますと、神戸大2・兵庫県立大1・大阪市立大1を含む国公立大は13名。私大は早稲田大5・慶應大3・同志社大13・関西学院大29・関西大30・立命館大10といった所です。

特に同志社大が昨年から8名増えた点が特筆点ではありますが、入学者のレベルと比較して全体的に「突き抜けた感のある実績である」とは言えないのが事実です。

今回ご紹介した中学校での「特進Ⅱ」と、高校での「学内予備校」の2つが進学実績向上につながる時が楽しみです。

2011年度中学入試 結果分析④ ~大学附属校 その2~

2011年5月25日 水曜日

2011年度中学入試 結果分析① ~府県別受験者数・率~
2011年度中学入試 結果分析② ~入試日程の前倒し~
2011年度中学入試 結果分析③ ~大学附属校 その1~
に続くエントリーです。2011年度中学入試について、テーマごとに分析を進めているシリーズです。

今回は、③でご紹介した「大学附属校の受験者数状況」のデータを基にして、各大学の人気度を見比べてみたり、「大学附属校」というカテゴリーにおいてはどのようなトレンドになっているのか、について検証してみたいと思います。

③でご紹介した各大学附属校の受験者数を、大学ごとに足しますと以下の通りとなります。

4大学附属校 比較

この中では同志社大系列が圧倒的に多くなっていますが、系列校が4校あるということも大きく影響してはいるものの、やはり大学そのもののステータスが受験者数に結び付いている、という気がします。

立命館大系列よりも関西大系列の受験者数が多くなっています。2009年時点のデータでは

関西大系列 624名 vs 立命館大系列 771名

でしたから、関西大系列が立命館大系列を追い抜いた形となります。大学入試の世界においても今年は

関西大 86,463名 vs 立命館大 75,682名

という受験者数状況となっており、こちらも関西大が立命館大を大きく引き離している状態です。

さて、これら関関同立大の附属校すべての受験者数合計はどのようになっているのか、4大学附属校受験者数の合計について、3年分の推移を見てみましょう。

4大学 合計

こうしてみてみますと、やはり2009⇒2010で約300名の受験者数の減少となっていますが、この大半は同志社中・立命館中2校の「併設小 内部進学~」によるものですが、今年に関しては昨年とほぼ同数の受験者数となっています。

「2011年度中学入試 結果分析①」で「近畿地区全体で見てみますと、小6生数自体は約4000名増えてはいるものの、統一解禁日受験者数が減っていることから、統一解禁日の受験率が過去最低の値である9.3%となってしまっています」とご紹介しましたとおり、今年の中学入試は非常に受験者数が少なかった年でした。

そんな中でも、関関同立各大学の附属校は、③でご紹介しましたとおり個々の学校の状況にもちろん差はありますが、全体としては昨年とほぼ同数の受験者数を集めているという状態です。

大学附属校はやはり根強い人気がある、ということが証明された形です。2012年度入試においても受験者数を集めてくると思われます。

次回のエントリーでは、また違った切り口から2011年度中学入試の分析をしてみます。

近畿大学附属中 新コース編成へ

2011年5月24日 火曜日

近畿大学附属中が2012年春から既存のコース編成を変更して新体制にされるようです。

現在のコース名と、変更後のコース名は次のようになります。

医薬進学コース ⇒ 医薬コース
英数特進コース ⇒ 英数コース アドバンスト
英数標準コース ⇒ 英数コース プログレス

それぞれのコースのコンセプトは次の通りです。

医薬コース:
医学部・薬学部などの医療系大学への進学を目指す
①近畿大学医学部・薬学部での体験授業や講演会
②近畿大学医学部・薬学部への特別推薦制度
③近畿大学医学部特待生制度(授業料減免制度)
④理系アドバンストとの到達度別クラス編成(後期課程)

英数コース アドバンスト:
より深い学びにより、国公立大学への進学を目指す
①放課後を利用したハイレベル演習
②長期休暇を利用した特別学習活動
③到達度別クラス編成による習熟度に合わせたカリキュラム
④的確なデータ分析によるきめ細かな進路指導 ⇒ 京阪神市府大への合格者増を目指す

英数コース プログレス:
大学受験にとらわれない真の大学附属教育を目指す
①習熟度に応じた放課後の補習や再テストの実施
②近畿大学の施設を利用した体験授業
③大学進学後に幅広く求められる総合力の育成 ⇒ キャリアデザイン教育の積極的な導入
④特別推薦制度(学科試験免除)による近畿大学への進学

この変更によって中高一貫教育がどのように進められるのか、についてのイメージ図もいただいていますので、合わせてご紹介します(画像をクリックすると拡大します)。

近畿大学附属中 新コース編成

近畿大学の附属校、ということで「大学附属校」としてカテゴライズされがちな同校ではあります。しかし実のところは、一般入試等で他大学へ進学させるコースがある一方、近畿大学への内部進学を推し進めるコースもある、ということで、「半附属校」という表現が最も当てはまるのではないでしょうか。

この変更が受験生・保護者にどのように受け止められるのか、2012年度入試での大きな注目点となりそうです。

2011年度中学入試 結果分析③ ~大学附属校 その1~

2011年5月23日 月曜日

2011年度中学入試 結果分析① ~府県別受験者数・率~
2011年度中学入試 結果分析② ~入試日程の前倒し~
に続くエントリーです。2011年度中学入試の全体概況についてお伝えしているシリーズです。

今回は、「大学附属校」というテーマに沿って分析を進めていきたいと思います。

今回取り上げますのは、関関同立それぞれの学校法人が直接設置している学校、もしくは「特定のコースの生徒だけでなく、在籍生のほとんど全員が提携の大学に進学する」といった「関関同立附属校に限りなく近い存在の学校」のみを取り上げて比較しています。

また、比較対象としているのは「統一解禁日 受験者数」としています。例えば同志社系列は各校とも1回しか入試が無いのに対し、関西大学北陽中や関西大学中、立命館中といった所は複数回の入試を実施しています。すべての入試回の受験者数を計上してしまうと純粋な比較になり得ません。よって、今回取り上げる全校が入試を実施している「統一解禁日」のみにスポットを当てました。

まずは、関西大学の附属校3校についての過去3年間の受験者数の推移です。

関西大学附属校

2010年度は関西大学北陽中・関西大学中が新開校したので受験者数がその分増える予定でしたが、関西大学第一中が面接試験を2日目に実施したことによる「2日間入試化」となり、大きく受験者数を減らしてしまいました。その分、大きな受験者増とはなりませんでした。

2011年度入試においては、まず関西大学第一中は昨年とほぼ同数の受験者数となり、2日目に午後入試を実施された関西大学北陽中が約60名の受験者増となりました。その結果、昨年対比で受験者数約1割増となりました。

続いて、関西学院大学系列各校についてです。

関西学院大学附属校

今年2011年度入試で最も受験者数に変動があったのが、関西学院中です。2012年度より共学化されることがすでに発表になっていますが、男子校の中でも最も男子校らしかった関西学院中が共学化することとあって「熱烈な男子校ファン」の受験生・保護者からの支持を失ったものと解釈しています。他2校で受験者数を伸ばしたものの、附属校3校合計で約5%の受験者数減少となってしまいました。

同志社大学系列はどうだったのでしょうか?

同志社大学附属校

※同志社女子中の2009・2010受験者数に誤りがありましたので、修正しました。

昨年は同志社中が「併設小からの内部進学者受け入れによる外部募集定員減少」が引き金となって、100名もの受験者減となりました。今年はそれが若干持ち直した反面、今年同志社女子中で約20名受験者数を減らしてしまっています。

また、同志社香里中もじわじわと受験者数が減少してきている実態です。

4校合計で昨年対比99.7%、昨年とほぼ同数の受験者数となりました。

最後、立命館大学の附属校についてみてみましょう。

立命館大学附属校

立命館中が2010年度に大きく受験者数を落としていますが、これは同志社中と同じくして「併設小からの内部進学者受け入れによる外部募集定員減少」が原因となっていました。しかし、受験者数の減りは約300名であった一方で同志社中は100名に収まっていました。同志社中に比べて減り幅が大きく、受けたダメージが非常に大きかった年でした。

今年は立命館中は昨年よりも受験者数を伸ばしたものの、2009年度水準にはほど遠く及んでいません。

その反面で手堅く受験者を集めているのが立命館宇治中と立命館守山中の2校です。大崩れすることも無く、極端に受験者数が増えて合格ラインが上がることも無く、受験させやすい状況です。

立命館系列校3校で昨年から3%の受験者数増となりました。

4大学附属校の受験者数状況が出そろいましたので、次回のエントリーではそれぞれの大学の附属校の受験者数を足して4大学間で比較し、最後にこれら4大学の附属校すべての受験者数3年分のデータを検証してみたいと思います。

梅花中 プレテスト実施開始

2011年5月20日 金曜日

梅花中の塾対象説明会に行ってきました。

梅花中①

梅花中②

梅花中③

説明会は円形校舎の4階にある「円形講堂」というところで実施されました。校舎が円形になっている、という他ではなかなか見られない形状でした。

梅花中④

説明会会場を屋根が入る形で撮影したのが上の写真です。ご覧のように、「円」であることがお分かり頂けると思います。

さて、今年2011年度の入試結果について簡単にご紹介しておきますと、今年は105名募集、入学者は93名でした。梅花中では昨年▲35・一昨年▲47という定員割れ状況でしたので、そのことを考えるとかなり良化した年だったと言えます。

今年人気を盛り返した要因の1つに「一貫特進コースの新設」が挙げられると思います。

今年から新設された一貫特進コースの特徴は以下の通りとなっています。

・難関国公立大・私立大を狙う
・具体的には国公立大では阪大・神大を、私立大は関関同立や薬科大を狙う
・文系・理系共に対応するカリキュラム
・35名募集、6年間クラス替えやコース変更は一切なし
・中学の間はベネッセ模試を、中3後半で河合塾・駿台それぞれの模試を導入予定
・英語では重要構文の暗唱を行い、難関大の長文対策も視野に入れる
・数学は代数と幾何を分けて指導、生徒に合わせてHWテキストを変えるなどしながら、数Ⅲを高2で終了させる予定

ということです。

気になるのが「1クラス35名が中学入学段階から6年間クラス替えやコース変更も無く持ちあがっていく」という点ですが、この点についてはいろいろと意見が分かれるところだと思います。今後、梅花中高からどのようなご報告を受けることになるのかを楽しみにしておきたいと思います。

さて、梅花中高には併設大学として梅花女子大がございます。そちらへの内部進学についても簡単にお教えいただきました。

併設の梅花女子大への内部進学については、高校の国際・総合進学コースに限って制度を設けているようですが、特進と一貫特進については外部受験での受け入れとなるようです。特進・一貫特進は「外部大学をガンガン受けて、実績を出して欲しい」というコンセプトのコースですから、内部進学についてのこの扱いは当然のことでしょう。

今回の説明会では、早くも2012年度の中学入試についての情報をいただきました。

まずは入試日程です。来年1/14(土)・15(日)・21(土)の3回実施ということで決定しています。

また、今回のこの記事のタイトルにもあります通り、プレテストを今年から新たに実施されることになりました。11/19(土)で2科目。10日後を目安に郵送で成績を返却していただける予定、とのことです。

梅花中を志望校にお考えの方は、11/19(土)は必ず参加しましょう。

大手前高 文理学科入試初年度を終えて

2011年5月19日 木曜日

大手前高が小・中学生の保護者を対象とした説明会をされましたので、お邪魔してきました。

大手前高 7階からの眺め①

大手前高 7階からの眺め②

いつもは校門付近から校舎を見上げるアングルの写真が多いので、せっかく7階建ての校舎を持つ大手前高にお邪魔する機会ということもあり、今回は趣きを変えて最上階の7階から他の校舎や地上を見下ろした写真を掲載してみました。いかがでしょうか?

この日は授業見学と学校説明がプログラムとして組まれていました。あいにくの大雨でしたが、お母さんを中心にしてたくさんの保護者の方がお見えでした。

大手前高 学校説明

説明会が行われたのは7階の視聴覚教室でした。

大手前高の教育方針を中心にしてたくさんのご説明をしていただきましたが、その中で今回は「文理学科入試」のことと、「大学合格実績」のことについてご紹介したいと思います。

まず、一番気になる話題と言ってもいいでしょう、今年初年度の文理学科入試についての話題です。

大手前高の文理学科の倍率は2.16倍でした。こちらのエントリー「2011年度大阪府公立高 前期 最終出願状況」で詳しくご紹介をしていますが、今年10校に新設された文理学科の中で最も低い倍率となっています。

ちなみにご紹介しておきますと、普通科の倍率も1.28倍ということで、進学指導特色校10校の中では低調な倍率に収まっています。

さて、文理学科(旧理数科も含めて)の過去3年間の受験者の学区構成(%)は以下の通りとなっています。普通科の学区別人数と合わせてご紹介します。

大手前高 文理学科・普通科 志願状況

下段でご紹介している普通科の状況は昨年・今年とほとんど変わっていませんが、上段の文理学科(10・09年度に関しては理数科)の学区構成については今年大きく変わっていることが分かります。

昨年までは理数科は府内で4校だけしか存在していませんでしたが、今年に入り理数科のDNAを持つ文理学科が府内に10校設置されました。遠くからわざわざ大手前高の文理学科を目指して長い時間通わなくても、近くに文理学科を持つ学校があるはずですので、そちらに受験生が回ったということでしょう。そのため、学区外からの受験生の比率が大きく下がったことになります。

続いて、今年の大学合格実績についてです。

京都大合格者数は今年45名合格となっており、そのうち現役が20名を占めています。この「京都大45名」という数ですが、国公立大の中で最も多い合格者数となっているのが特徴的です。

大阪大でもなく、ましてや大阪市立大や大阪府立大が最も合格者が多い国公立大ではない、という点が非常に魅力的に映ります。

ちなみに、大手前高全体で国公立大希望者は例年95%程度となっているようで、センター試験受験率もほぼ100%に近い数字に年々近づいてきているようです。

気になるのが「浪人の比率」なのですが、今春の進学・浪人状況は次の通りとなったそうです。

国公立大進学:4割
私大進学:2割
浪人:4割

浪人が高3全体の4割程度である、ということです。

京都大合格者45名だけを見てみますと、45名のうち25名が浪人生だった、ということですから、率にして約6割が浪人ということになります。先の「浪人4割」というデータと合わせて、判断が分かれるものと思います。

浪人生の進学先としては「国公立:私立 = 3:1」となっているようです。浪人すれば高確率で国公立大に進学する、ということで間違いなさそうです。

さて、早くからこのように学校で説明会を行うなど昨年に引き続き「攻め」の姿勢を見せる大手前高。今年の倍率を見て来年は文理学科・普通科ともに大きく倍率が上がると予想していますので、これから先1年間の説明会の動向に注意が必要でしょう。

2011年度中学入試 結果分析② ~入試日程の前倒し~

2011年5月18日 水曜日

2011年度中学入試の結果をテーマごとに分析しているこのシリーズ、「2011年度中学入試 結果分析① ~府県別受験者数・率~」に続くエントリーとなります。

今回は入試日程にスポットを当てて分析を進めてまいります。

入試日程に関する話題としては、「入試日程の前倒しが相次いでいる」という点がまず先に挙げられます。

少ない受験生を早めに確保することを目的として、各校が入試日程を前倒ししてきている動きが昨年・一昨年あたりから徐々に見られるようになってきていますが、今年についても前倒し傾向に更なる拍車がかかった形です。以下、7つの画像で詳しくご紹介を致します(画像をクリックすると拡大します)。

なお、今年の入試日程については以下5つのエントリーでも過去に詳しくご紹介しています。こちらも合わせてご覧下さい。

2011年度近畿地区中学入試 入試日程一覧①
2011年度近畿地区中学入試 入試日程一覧②
2011年度近畿地区中学入試 入試日程一覧③
2011年度近畿地区中学入試 入試日程一覧④
2011年度近畿地区中学入試 入試日程一覧⑤

2011年度入試日程①

2011年度入試日程②

各府県の入試日程表内にある色つきの矢印ですが、左向きの赤い矢印は入試日が昨年より前倒しとなった部分、右向きの青い矢印は入試日が昨年より先送りとなった部分であることを示しますが、赤い矢印が多く見られることに気づきます。

また、20日(木)以降になると入試を実施しているところがほとんどなくなってしまっていることもお分かりいただけるのではないでしょうか。例年は遅めの日程に入試を行っていた履正社学園豊中中・雲雀丘学園中・京都女子中といった人気校が今年は大きく後期・2次の日程を前倒ししてきています。

ここまで各校が早い日程での入試設定に終始してしまっているのでは、受験生としても「早期の決断にならざるを得ない」形となっています。

そして、入試日程に関してのもう一つの話題が「午後入試導入校の増加」です。

先ほどもご紹介しましたが、早期の受験生確保のために入試日程が前倒し傾向にあるものの、短い日程内ではどこか他の学校と入試日がバッティングすることは避けられません。それを回避するために今年は「午後入試」を導入する学校が多数出現しました。

元々、関東地区では午後入試はごくごく当たり前のこととなってはいるものの、近畿地区ではまだまだメジャーな存在ではありませんでした。

そんな中、今年は15日(土)午後に大阪桐蔭中が入試日を設定したことは受験生・学習塾・各私立中の間で大変大きな話題となりました。大阪桐蔭中の初日午後入試受験者の併願先としては、以下のような学校があったそうです。

大阪星光学院中、四天王寺中、清風南海中、開明中、清風中、明星中、六甲中
洛星中、京都府立洛北中

また、大阪桐蔭中の初日受験者数を昨年と比較しますと以下のようなデータになっています。

英数選抜 218名増(昨年比4.5倍)
英数 185名増(昨年比2.8倍)
初日合計 403名増(昨年比3.4倍)

16日(日)の午後には関西大学北陽中と桃山学院中が陣取るなど、こちらも併願校を考慮する際に非常に大きなポイントとなりました。

なお、昨年・今年の比較の形で午後入試を実施した学校を以下にご紹介しています。

午後入試導入校

赤い字で表記している学校が今年新規で午後入試を導入された学校です。今年大きく増えたことがわかりますが、来年に向けて現在午後入試導入について検討をされている学校がいくつかあると聞いています。来年は午後入試実施校の数がこの表では収まらないことになる、そんな事態になるやもしれません。

次回のエントリーでは、根強い人気を誇る「関関同立大各附属校の入試結果」について分析してみたいと思います。