2011年度滋賀県公立高入試 教科別平均点と小問別正答率②

2011年8月31日 水曜日

2011年度滋賀県公立高入試 教科別平均点と小問別正答率①」に続くエントリーです。このシリーズでは、2011年度に滋賀県公立高入試で出題された5教科の入試問題の小問別正答率をご紹介しながら、「過去問対策する上でのポイント」「試験を受けるにあたって注意すべき点」についてご紹介しています。

今回は数学についてです。

2011年度の数学の小問別正答率は以下の通りとなっています(画像をクリックすると拡大します)。なお、昨年度である2010年度の数学の小問別正答率はこちらのエントリー「滋賀県公立高入試 教科別平均点と小問別正答率②」でご紹介しています。

2011年度滋賀県公立高 小問別正答率(数学)

今年度の平均点は45.0点(100点満点)でした。

滋賀県教育委員会が発表している解答の分析の一部を以下にご紹介します。

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大問1の数と式の計算の基礎的・基本的な問題については正答率が比較的高く、よく理解できていた。カップめんの容器のふたを素材とした問題は、線対称な図形の性質に基づいて弧を作図する内容であったが、正答率が低かった。基本的な作図では、作図の手順を考えるとき、図形の対称性をとらえることが重要な役割を果たしていることに目を向けさせることが求められる。また、紙テープの結び目を取り上げ、正五角形の内部にできる合同な三角形を数え上げる問題では、正答率が低く、根拠となる「図形の性質」を明らかにしながら、数理的に考察する力の育成が望まれる。

大問2の同じ点を中心とする2つの円で囲まれた図形の問題は、相似な図形の性質や三平方の定理等を使って、条件を満たす角の大きさや円の半径の長さなど、図形を多面的に考察したり、数学的に処理する力をみる内容であったが、(1)以外は正答率が低かった。与えられた図形の性質について直観的にとらえたり、見通しをもって論理的に思考し、根拠を明確にして推論の過程を的確に表現する力の育成が求められる。

大問3の連なる3つの水そうに水を入れる場面を取り上げた問題は、時間と水そうの水の量について、関数関係を見いだし、表現し、考察する力をみる内容であったが、(3)、(4)は正答率が低かった。身近な事象について、与えられた条件を的確にとらえ、グラフを読み取り具体的な場面と結びつける力、事象を数理的に考察する力の育成が望まれる。

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「カップめんの容器のふた」を使った、普段の生活で馴染みの深い身近なものをテーマにした出題がされているのが特徴ですが、他の都道府県の公立高入試においても、例えば買い物カゴを使った立体の問題が出されたりと、身近なものをテーマにした出題は近年増えている傾向にあります。中学までに習った数学の公式や考え方に当てはめながら普段の生活で目にする物体をよく観察しておくと、入試本番では有利になるでしょう。

また、滋賀県教育委員会は「全体として、数や式の計算、方程式、関数、図形の計量等の基礎的・基本的な事項や概念についてはおおむね理解できているといえる。今後は、断片的な理解や知識の習得にとどまることなく、課題解決することを通して数学の各領域の内容を関連付けて活用する力を高めるとともに、言葉、数、式、図、表、グラフを用いて考えたり、説明したりするなどの学習活動を積極的に取り入れながら、数学的な思考力・判断力・表現力を育成することが望まれる。」としています。

つまり、方程式や関数といった計算が中心となる問題は良く出来ているものの、例えばいろいろな考え方を用いて解くことが出来るような図形の問題など、数学的な思考力・判断力・表現力が必要な問題になると正答率が低くなっている、ということです。この部分の力をつけることが、今後他の受験生と大きく差をつけるポイントになるでしょう。残りの半年ではここを意識して対策を進めましょう。

次回は社会についてご紹介いたします。

中高進学フェア

甲子園学院中高 今年で創立70周年

2011年8月30日 火曜日

夏休みも終盤を迎えた或る日、兵庫県の女子校である甲子園学院中高にお邪魔をしてまいりました。

甲子園学院中高①

こちらは山手幹線沿いの入り口で、併設されている短期大学の入り口として使用されています。中高の入り口は、といいますと

甲子園学院中高②

先ほどのちょうど裏手(というと聞こえは悪くなりますが)に位置します。

阪急 西宮北口駅から徒歩15分、JR甲子園口からだと徒歩10分弱で到着しますので、交通の便は良い所に位置しています。

中高6年間の教育課程は以下の表のようになっています。

甲子園学院中高 教育課程

中学はコース制をとっておらず、高校進学時に「特別進学」「甲子園短大進学」「総合進学」の3つのコースのどこへ進むのか、が選択出来る形になっています。

とはいえ、中学から高校へ内部進学される生徒のほとんどが「特別進学」を選択し、将来的に国公立大や難関私立大を目指すことになっている、とのことです。

その高校の「特別進学」がここ数年非常に評価を高めていることをご存じでしょうか?昨年(2010年度)は京都大(理)や大阪大(外国語)に合格を出し、今年度(2011年度)もまた大阪大(法)の合格者を出すなど、関西の難関国公立大に合格させ続けています。

それだけではなく、これまでの過去3年の大学合格実績を見てみますと、京都教育大・大阪府立大・滋賀大といった近畿の国公立大に加えて、岡山大・島根大・鳥取大といった他地域の国公立大にも合格者を送り込んでおられます。

その他、高校に設置されているコースとして「甲子園短大進学」と「総合進学」があります。前者は併設されている甲子園短期大への進学が前提とされていますが、後者の総合進学については甲子園大・甲子園短期大への内部進学も可能とされていますが、その他の4年制大・短期大・専門学校へも進学が可能となっています。

今回直接お教えいただきました所によりますと、これら2つのコースから併設の大学・短大以外へ進学した例として、神戸女学院大・甲南女子大・関西外国語大といった女子大や女子に人気の高い大学の名前がありました。

甲子園学院中高③

上の写真は中学教室がございます5Fにある教室からグランドを撮影したものです。

お邪魔した日はもうすでに甲子園学院中高では夏休みが終了し「午前中のみの授業」が実施されている期間となっていました。夕方になっても自分の教室や自習室はもちろんのこと、空いている特別教室・進路指導室・1Fエントランスにある円卓など各自が気に入っている空間を選び、思い思いのスタイルで自習を続ける生徒の姿をたくさん見かけました。

校舎内をご案内いただきながらお伺いしたお話では、最近では剣道部の活躍が目覚ましいとのことです。2010・2011年の連続で県高校総体団体連続優勝、2011年は個人の部で優勝、インターハイ出場もされています。甲子園学院中高の剣道部に入りたいということで、四国などから入学してくる方もおられるそうです。また、そういった方のために徒歩1分以内の場所に高校寮を完備されています。

今年創立70周年をお迎えになる、ということもあって初めてお邪魔をさせていただきましたが、パンフレットや書籍で知るものとはまた別の「新たな発見」がたくさんあった訪問でした。

中高進学フェア

関西大 進む国際化、2012年度募集定員増

2011年8月29日 月曜日

関西大が8月6日(土)・7日(日)の2日間に渡ってオープンキャンパスを実施されました。

関西大 オープンキャンパス

今回は数あるプログラムの中で「外国語学部の学部紹介」を中心にして、関西大が大学をあげて進めている「国際化」についてご紹介したいと思います。

外国語学部 学部紹介

上の写真が「外国語学部 学部紹介」の会場の様子です。開始時間前に満席となり、会場の左右・後方に多くの立ち見が出ていました。外国語、ということもあり、女子の姿が多かったのが印象的です。

さて、今年で創設3年目となる関西大の外国語学部、創設の趣旨は次の通りとなっています。

①外国語をキーワードとして、国際化に貢献できる人材を養成
②英語・中国語運用能力に秀でた外国語教員の養成
③異文化理解・多文化共生に対応できるプラクティカルな外国語運用能力を身につけた国際人の養成

また、外国語学部の特徴は次のようなものが挙げられます。

①1学年150名の少数精鋭教育
②専攻言語を英語と中国語に特化
③プラスワン言語として、ドイツ・フランス・ロシア・韓国・スペイン語を用意
④英語教育・中国言語文化・外国語コミュニケーションの3つの専修を柱とする
⑤2年次には全員必須で1年間の海外留学がある

④の3つの専修には2年次の留学から帰国後に分かれるようで、入学時に選ぶ必要はないようです。ちなみに、外国語学部の1期生である現3回生において、中国語専修は11名だそうです。ちょっと少ない、ですね。

また、⑤にもあるとおり、2年次に1年間の海外留学が必須となっている点が最も大きな特徴でしょう。留学先(大学)はアメリカ2か所、イギリス2か所、中国・ニュージーランド・フィリピンが各1ヶ所の計7か所から選ぶことになります。

関西大では外国語学部を創設したことを始めとして、国際化に注力をし始めています。その理由としては、超大手企業を始めとして採用や社員教育において国際化が図られている、というものです。企業の一例を挙げますと・・・

・パナソニックが2011年度新卒採用予定の1390名のうち1100名を海外の外国人を採用する「グローバル採用」とする
・三井住友銀行は総合職13000名にTOEIC800点以上を取るように求める
・三菱商事は入社8年目までの社員全員が一度は海外経験を積む制度を実施する

といったものです。これらについていくために、関西大では学生に積極的に海外へ出て行ってもらおう、ということでいろいろなプログラムや取り組みをされており、その1つが先に挙げた「外国語学部の創設」となっています。

最近、関西大の学生の中で海外での留学経験をしたことがある者を調査したところ、20%程度という数字しか無かったことが判明したそうです。また、更なる聞き取りをした結果、「留学時期が就職活動開始時期と重なるのでつらい」「受け入れ先の大学の成績基準が高い」「留学先と関西大の両方に学費を納めるのは高額になり、厳しい」という事情が留学の足かせになっている、という声が上がってきたそうです。

関西大ではそれらを踏まえ、①半年間 ②成績基準一切なし ③留学先の大学に学費を払う他は関西大に在籍料を払うだけで済む、というかつてない留学制度を打ち出し、参加者を募集されました。これに対し、実に100名近くの応募が来たそうで、これまでの海外プログラムの応募者数とは比べ物にならないくらいの大きな関心を集めたそうです。

このことで、関西大の学生は本当は海外に出たがっていた、ことが明らかになった形です。

OCの様子

上の写真はオープンキャンパスでのひとコマです。芝生でよさこい?のサークル?クラブ?が高校生や保護者を巻き込んで踊りまくっている様子です。

食堂の様子

総合学生会館「メディアパーク凛風館」内にある食堂の様子です。13時過ぎに訪れたところ、この混みようでした。

さて、話は全く変わりまして、2012年度入試に関する情報です。関西大では2012年度入試より募集人数が増加することになっています。具体的には以下のようになります。実際は試験日程ごとに細かく定員が増やされますが、ここではすべての日程を合算した数字を記載しておきます。

文学部:10名増加
商学部:34名増加
社会学部:44名増加
システム理工学部:24名増加
環境都市工学部:10名増加
化学生命工学部:16名増加

この他にも法学部・経済学部・総合情報学部でも募集定員が増えますが、一般入試・センター利用入試での増加はなく、留学生向けの特別入試でのみの定員増加となっています。日本の高校で学ぶ皆さんには直接関係が無いところですので、今回は掲載を割愛しています。

関西大の勢いをまた再確認したオープンキャンパスでした。

中高進学フェア

2011年度滋賀県公立高入試 教科別平均点と小問別正答率①

2011年8月26日 金曜日

中学・高校・大学入試すべてに当てはまることですが、出題された問題のすべてに正解する必要はありません。合格に必要となる得点を1点でも上回っていればそれで事は足ります。

入試問題をよく見ますと、「誰もが正解しているであろう簡単な問題」や「これは誰も正解してないと思われる難解な問題」が絶妙なバランスで散りばめられています。前者は必ず正解しておかないと他の受験生との差が開いてしまいますが、後者は(正解しておく方が良いに決まってはいますが)特に正解しなくてもさほど合否に影響は無いものと思われます。

合格への近道の1つとして、試験当日に「絶対に正解しておかないといけない問題」「出来なくてもそれほど心配ない問題」の見極めをつけることが出来て、正解すべき問題に時間をかけて取り組み、確実に正解を導きだすことが出来るようになること、が挙げられます。これを常日頃の過去問演習の際に意識して訓練しておくことをオススメします。

過去問対策を進める際、学校によっては小問ごとの「正答率」が公表されているケースがあります。この「正答率」が高い問題ほど「基礎的な問題」と位置づけることができ、 そのような問題は何よりも優先して確実に解けるようになっておく必要があります。

今回のエントリー以降(不定期になりますが)では2011年度滋賀県公立高入試問題の科目ごとに小問別正答率をご紹介し、「過去問対策する上でのポイント」「試験を受けるにあたって注意すべき点」についてご紹介していこうと思います。

今回は国語についてです。

今年度の国語の平均点は57.6点(100点満点)でした。下の表で小問別の正答率をご紹介しています(画像をクリックすると拡大します)。なお、昨年度である2010年度の国語の小問別正答率についてはこちらのエントリー「滋賀県公立高入試 教科別平均点と小問別正答率①」でご紹介しています。

2011年度滋賀県公立高 小問別正答率(国語)

正答率と合わせて、出された問題のポイントや受験生の解答状況について詳しく分析されたものも公開されています。以下、滋賀県教育委員会が発表した解答の分析の一部です。

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大問一において、漢字の問いについては「主張」の書きの正答率が若干低い以外は良好であった。また、文脈に即して内容を正確に理解する力をみる問いについても、正答率おおおむね良好であった。品詞を見分ける問いについても、昨年度はやや正答率が低かったが、今年度は半数以上の正答率であった。表現技法についての理解と、古典を理解する基礎的な力をみる問いについては、半数近くが正答していた。一方、抽象的な表現で書かれている部分の具体的な意味を、文章の展開に即して読み取ることができるかをみる問いについては、昨年と同様に正答率がやや低く、文章全体の要旨をとらえ、自分でまとめて記述して答える問いの正答率も低かった。このことから、文章に親しむ態度の育成を今後も一層進めるとともに、語と語の関係をとらえながら、内容を丁寧に読み取る力や読み取った内容を簡潔にまとめて表現する力を身につけさせる必要がある。

大問二の作文では、与えられた材料をもとにして自分の考えをまとめ、適切に表現する力を求めた。受検生にとっては身近なテーマであり、2つの提案を比較しながら評価し、利点を説明することを通して、必要な材料をもとにして自分の考えを適切に書き表すことを求める問いであったので、昨年よりも正答率が大幅に向上した。今後も必要な情報を取り出し、解釈し、身近な生活の中で経験したことや学習したことを活用して、自分の考えをまとめる力のさらなる育成が望まれる。

大問三において、漢字の問いについては、どの漢字についても良好な正答率であった。また、漢字の知識をもとに書写における行書についての理解をみる問いや、表現の特徴を選ぶ問いについても、おおむね良好な正答率であった。一方、文章の展開を確かめながら主題や要旨をとらえることができるかをみる問いについては、正答率がやや低かった。また、文の中の文の成分の照応を正しく読みとることができるかをみる問いについても正答率が低かった。言葉のきまりに関する基礎的な力や表現の特徴に注意して読む力、書かれていることを正確に読み取り的確に表現する力のさらなる育成が求められる。

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問題文は評論的文章と文学的文章がバランスよく組み合わせて配置されている上に、本文のテーマは今の中高生にこそ考えてほしい内容だった、という点でとても取り組みやすいものであったと思います。

滋賀県教育委員会は「全体として、書かれた内容の大体の意味を理解する力については身についている。しかし、自分が理解した内容をもとに考えたことを、根拠を明確にして簡潔にまとめ、適切に書き表す力についてはさらなる育成が望まれる。」と結んでおります。要するに「読む力はあるが、表現力がない」ということです。

滋賀県公立高入試では、大問二の「作文」こそが記述力を求められる代表的な問題になります。この部分で必要となる「表現力」「記述力」をもっとつけておくべきでしょう。

国語は「記述力」が大きく合否を分ける、と言ってしまって良いでしょう。残り約半年の間、記述力をつける勉強も意識して進めるようにしてほしいと思います。

これ以降、国語以外の教科についても不定期にご紹介していこうと思います。滋賀県にお住まいの中3生の皆さんはこのブログをよくチェックしておいてください!

中高進学フェア

同志社大・同志社女子大 合同説明会開催

2011年8月25日 木曜日

8月末と9月頭の2回、同志社大と同志社女子大が合同で説明会を開催されます。詳しくは以下の通りです(画像をクリックするとPDFが開きます)。

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同志社大・同志社女子大 1 DAY CAMPUS !

同志社大・同志社女子大 1Day Campus

日時・場所:
8月27日(土)13:00~16:00 三宮研修センター
9月 3日(土)13:00~16:00 アクセス梅田フォーラム
※予約不要・入退場自由

内容・タイムテーブル:
大学紹介、入試説明会、学生トークライブ、個別相談会実施予定

12:30~受付開始
13:00~13:30 大学紹介(同志社大学)
13:30~14:00 大学紹介(同志社女子大学)
14:00~14:10 10分間休憩
14:10~14:50 学生トークライブ
14:50~15:00 10分間休憩
15:00~15:30 入試説明会(同志社大学)
15:30~16:30 入試説明会(同志社女子大学)

13:00~16:00 個別相談会 実施

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ちなみに、初の試みとして昨年から実施されたこのイベントなのですが、その際は6月中旬に、奈良・滋賀の2か所で実施されました。今年は大阪・神戸での実施、しかもオープンキャンパスが終わって2学期を迎える時期に実施、ということで昨年と大きく実施形態が変わっています。

1つの会場で同志社大と同志社女子大の両方の説明が聞ける貴重なイベントです。まだ大学選びを迷っている方は、ぜひこの機会をお見逃しなく。

中高進学フェア

西大和学園 JR島本駅前に大きな一手

2011年8月24日 水曜日

奈良県にある学校法人西大和学園が、大阪と京都の中間地点に当たる「JR島本駅前」に大きな一手を打つ予定があることをキャッチしました。

すでに島本町の「まちづくり協議会」で具体的な話が出ているようです。大まかには次のような点について西大和学園で検討されているようです。

①JR島本駅前に看護・医療系大学を新設(2014年開学予定)
②将来的には中高も移設
③教育・医療関係附属施設も併設予定

①についてですが、現在奈良県に同学園が経営する白鳳女子短期大がありますので、それを大学に昇格させて移転することが予想されます。が、当然まだ具体的なことは明らかになっていません。

大学の新設も気になる所ではありますが、それ以上に注目すべきは中高の移転が計画されている点にあります。

この「JR島本」ですが、大阪側に1駅進めば高槻駅があり、併設小~高を伴う関西大が陣取っています。また、京都方面に2駅進めば長岡京駅があり、その南側には間もなく立命館中高が移転することが決まっています。

西大和学園が将来的に中高を移設、あるいは奈良の現校地を残したまま島本駅前に新校を作るとなると、大阪・京都の優秀な生徒が大量に流れてくることが予想されますので、関西大学中高及び立命館中高の双方に何らかの影響が出ることは間違いありません。

また、京都駅からの徒歩圏内には洛南中高が位置しています。こちらも京都府を代表する進学校で、西大和学園中高が島本の地に移転してくれば大きな影響を受けることになるでしょう。

さて、この島本という土地ですが、京都や大阪中心部はもちろん、JR沿線ということもあって尼崎・西宮といった兵庫県からであっても乗換ナシでアクセスできるなど、通学圏の「ヨコの広がり」についてもかなり期待が持てる位置取りであるのが大きなメリットになります。よって、兵庫県内にあって比較的大阪方面にアクセスしやすい位置にある進学校においても多少なりとも受験生の動向に変化が出てくるのではないでしょうか。

続いて、移転を受け入れる地域の側に立って少し考えてみたいと思います。

少子化や深刻な不況によって私立大の中には生徒集めに苦戦している所が多いので、大学を誘致出来たからといってすぐにその地域が活性化される、という時代ではありません。ですが、今回は「将来的に中高も移設予定」ということだそうなので、少し話が変わってきます。

西大和学園中高ほどの「実績を出している」「人気の高い学校」が島本に移転してくれば、関西大学が陣取る高槻、今後立命館中高が移転してくる長岡京近辺と合わせて、この「高槻~長岡京 間」が「高水準の教育を享受できる地域」として関西で広く認知され、評価が高くなることでしょう。

まだ構想段階の話ですから、今後どのような展開を迎えるかは分かりません。これからの動向に大注目です。

中高進学フェア

4年制私立大 2011年度入試では4割が定員割れ①

2011年8月23日 火曜日

先日、新聞各紙に「全国の私立大の4割が定員割れを起こしている」という記事が一斉に掲載されました。今回を含めて2回のエントリーに分けて、この事について詳しく見ていきたいと思います。

まず、新聞各紙の中から毎日新聞に掲載された記事を以下に引用し、全体的な状況を掴みたいと思います。

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4年制私立大:39%定員割れ 18歳人口減、厳しさ続く(2011年7月30日毎日新聞)

今春、4年制私立大で定員割れしたのは39%で前年度より1ポイント上昇したことが29日、日本私立学校振興・共済事業団の調査(速報値)で分かった。昨年とほぼ横ばいで、依然、厳しい状況が続いている。事業団は「来年度は18歳人口が1万人以上減る上、不況の影響もあり、厳しい状況は変わらないだろう」としている。

回答したのは全国のほぼ全校の572校。定員割れしたのは5校増えて223校で、定員を上回ったのは2校減り349校。定員に占める入学者の割合を示す入学定員充足率が50%未満の大学は13校から16校に増えた。

充足率は全体では106%で前年度より2ポイント減。全国を21に分けた地域ごとでは東京が112%と最高で、宮城111%、埼玉108%、愛知、京都、大阪、福岡が107%と続いた。低いのは宮城を除く東北82%、四国の88%など。

定員規模別の充足率は「100人以上200人未満」「500人以上600人未満」の大学などで100%を下回ったが、「3000人以上」は110%、「1500人以上3000人未満」は113%。学部別では医や歯、薬、家政など資格につながる分野で上昇した。志願者は1%増の延べ約321万人、入学者は1%減の約48万2000人。志願倍率は前年度と横ばいの7倍だった。

私立短大の定員割れは前年度から4ポイント増の67%で、5年連続で6割を超えた。定員充足率は90%で7年連続で100%を下回った。

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ということで、全国の私立大のうち約4割の大学で定員を充足出来なかったことを始めとして、それにまつわることも多く掲載されています。

ここからは、新聞記事内には出ていないデータも交えながら、もう少し詳しく見ていきたいと思います。

まず、今年度である2011年度入試における私立大全体の志願動向は次のようになっています(画像をクリックすると拡大します)。

志願者等 増減状況

志願者・受験者数ともに昨年度より約3万人増えてはいるものの、最終的な入学者数のところで昨年から約7000人減ってしまっています。また、それに関連する数値である「歩留率(合格通知を受け取った受験生が入学手続きをする率)」が、昨年から1.7%ダウンしています。

要するに「受験はしてもらえるが、入学してくれない」という状況であることがわかります。

続いては、志願倍率と定員充足率の分布状況についてです(画像をクリックすると拡大します)。

志願倍率 定員充足率①

左側のグラフでは、「出願時点で倍率1倍台の大学が全国で176校ある」ということもそうですが、「倍率1倍未満の大学が41校ある」ということに驚きます。倍率1倍未満、というのは、要するに「出願の段階ですでに定員を割っている」ということになります。

右側のグラフは定員充足率状況がどのように分布しているか、を示したものです。定員110%、簡単に言うと「定員の1割増しの入学者を迎えた」という大学の数が170となっており、分布の中では一番多い所となっています。

しかし、充足率50%未満の所に今年は16校該当したことがわかります。定員の半分以下しか入学者がいなかった、ということですから、これに当たる大学は今かなり厳しい財政状況になっているものと思われます。

全国的な状況は上の通りとなりましたが、「地域別の状況」や「学部・系統別の状況」もつぶさに見ておく必要があります。次回のエントリーでは地域や学部・系統についての状況を詳しくご紹介いたします。

(画像内のグラフ・表はすべて日本私立学校振興・共済事業団発行の「平成23(2011)年度私立大学・短期大学等入学志願動向」から引用しています)

中高進学フェア

京都聖母学院中高 同志社女子大学連携コース(仮称)が誕生

2011年8月22日 月曜日

京都市伏見区深草にございます京都聖母学院中高が、2012年度からの中学・高校入学者を対象として「同志社女子大学連携コース(仮称)」を立ちあげられることになりました。

そのことについて詳しく書かれている文書を下にご紹介します(クリックするとPDF文書が開きます)。

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京都聖母学院中高 同志社女子大連携コース(仮称)

京都聖母学院中高 同志社女子大学連携コース(仮称)

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入学の段階で「同志社女子大~」という名称がついたコースが有るわけではなく、従来通りのⅠ類・Ⅱ類での募集となっているのが、入試段階での特徴点です。

では、どのようにして同志社女子大への進学希望者を選抜していくのか、といいますと、文書内の「類型別コース体制」の所に記載されているとおり、高3進級時にⅠ類の中で「同志社女子大学連携クラス」が設けられ、このクラスにいる生徒は同志社女子大の文系学部・学科に原則として全員が進学出来る、という形をとられています。

薬学部や食物栄養学科といった、同志社女子大の中でも特に人気が高い学部・学科には進学出来ず、文系学部に限定されている点が残念ではあります。

しかしながら、この度のこの連携によって、これまでの協定校推薦枠と合わせると何と約50名もの同志社女子大への進学枠が出来る、ということだそうです。

創立90年を迎えた、アットホームな雰囲気のカトリックの女子校である京都聖母学院中高が打ち出した新たなる取り組み。詳しくは、ぜひ以下のイベントを通して直接学校の先生方からお聞き下さい(それぞれの画像をクリックするとPDF文書が開きます)。

京都聖母学院高 オープンスクール

京都聖母学院中 プレテスト

中高進学フェア

関西学院大 海外での学び・活動

2011年8月19日 金曜日

7月30日(土)・31日(日)に行われた関西学院大のオープンキャンパスに行ってきました。

関西学院大①

もうおなじみ、関西学院大のシンボルである時計台です。正門前からこの景色が見えた途端、私の近くにいた女子学生の一団から「きれい」「すごい」「ヤバい」などと大歓声が上がりました。

ご存知でしょうか。この時計台の頂上と、その向こう側に見える甲山(かぶとやま)の頂上がぴったり一致するように設計・建築されているそうです。関西学院大の創立者であるウィリアム・メレル・ヴォーリズは建築家でしたので、こういった建物や景観には並々ならぬこだわりがあったのでしょうね。

関西学院大②

学内には上の写真のような川(?)もあります。

さて、関西学院大には全部で11学部ありますが、今回お邪魔した上ヶ原キャンパスには11学部中8学部(すべて文系)があります。その他は三田キャンパスに総合政策学部と理工学部、西宮聖和Cに教育学部がそれぞれ位置している、という構成になっています。

関西学院大の大きな特徴の1つ目として、大学在学中に2学部の卒業資格を得られる「ジョイントディグリー」というものがあります。これは2004年度から開始されている大変画期的なプログラムなのですが、2008~2011年の4年間で20名がこのプログラムを通して2学部の学士を得て卒業しているそうです。4年間で2つの学部の卒業資格を取る、なんてことは中々出来ることではないと思うのですが、年間5名程度はそれを実現させている方がいるということで、関学生の能力の高さややる気の度合いが改めて良くわかります。

まだまだ不況が続いている昨今、授業料について心配している受験生や保護者の方が多いことと思います。関西学院大では2.5人に1人が奨学金を受給している、ということで、意外と奨学金受給の門が広いことがわかります。それだけでなく、関西有名私大では唯一、提携金融機関の教育ローンの利子を大学が負担する、という制度もあります。奨学金の採用基準に満たない人だけでなく、奨学金だけでは学費や学生生活費をまかなうことができない人も利用できるそうなので、奨学金の基準に達していない人でも安心出来ます。

就職率についてもご紹介しておきますと、今春就職率は96.2%、男子96.4%・女子96.1%という内訳でした。

今回のオープンキャンパスでも非常にたくさんのプログラムが用意されており、私自身もいくつか参加させていただきました。今回はその中でも関西学院大の学生たちがどんな海外での学び・活動をされているのか、についてのプログラムで触れられたことについてお話をしたいと思います。

関西学院大③

まずは留学について。留学には長期・短期の2種類に大きく分けられますが、関西学院大でもそれに準じた形として次の2種類が用意されています。

①1年間もしくは1学期間のどちらかから期間を選べる「交換留学」
英語を学ぶのではなく現地大学で英語を使って専門的に学ぶことが目的で、行き先は世界25ヶ国・80の協定大から選べる上、奨学金が充実している
②1学期間の「中期留学」
大体3か月という期間で、行った先で英語を習得することが主目的となる

特に②については今年の4~7月に国際学部2年生(同学部の1期生です)のうち、トロントに留学した方たちは帰国後にTOEICのスコアが全員150点以上アップしたそうです。中には200点以上のアップとなった方もいるということで、短期間と言えども集中して英語の学習をすればこんな成果が出るんだ、ということが証明された形です。

さて、上記の長期・短期の留学については、規模の大小はあれど、どの大学でも制度としては設けられているものです。関西学院大ではこれら以外にも海外に出ていける制度があります。

留学以外で海外で活動するものとして、「国連ボランティア計画(UNV)と協定を結び、情報格差、教育、環境、健康などの重要問題に取り組むために学生をボランティアとして途上国へ派遣する」というものがあります。関西学院大学はアジアの大学では初めて、世界で3校目の協定先となっているということなので、他の大学では体験できないものです。

さて、関西学院大で「留学」や「国際的な学び」といいますと、先のTOEICの例でも挙げました「国際学部」が真っ先に思い浮かぶと思います。しかし、関西学院大で国際的な学びが出来るのはそれだけではないのです。

関西学院大の中には総合政策学部 国際政策学科というものがあり、そこから海外留学あるいは国連ボランティアとして海外へ飛び出していく学生さんが多いそうです。

今回、留学や海外での活動に関してお話いただくプログラムに参加した際、3人の学生さんから実際の体験談や思いをお話いただいたのですが、3人中2人がこの総合政策学部 国際政策学科の学生さんでした。

海外留学もそうですが、国連ボランティアという大変貴重な機会も用意されていますので、関西学院大なら国際的な体験は思う存分出来ることでしょう。

関西学院大の国際色豊かな面がキャンパス内にも現れている写真を最後にご紹介して終わりたいと思います。

関西学院大④

写真の左側には松、右側にはヤシの木が生えているのがわかりますでしょうか。松は日本を代表する植物、ヤシの木は南国や海外を連想させる植物。この「和洋折衷」の感じが関西学院大の国際色の豊かさを象徴している、と思えます。

緑が豊か、西洋風の建物が多くある関西学院大、ぜひ一度訪ねてみてください。

中高進学フェア

大阪府立高 合同学校説明会 開催日程一覧

2011年8月18日 木曜日

先日はこちらのエントリー「私立中高 各府県の全校が集まる合同説明会」で、大阪府・兵庫県・京都府・滋賀県の各府県で実施される、当該私立中高すべてが集まる合同説明会についてご紹介をしました。

今回は、大阪府の公立高が学区単位で実施している合同説明会についてご紹介します。今年は次のような日程・場所で実施されます。

2011年大阪府立高 学区別合同説明会 日程

※万全を期すため日時・詳細はインターネットやお通いの中学校に必ずご確認ください

学区再編前の旧学区単位で実施しているところが多くなっているのと、夏休みの終わりごろに実施するところが多い、という点が特徴点です。

残念ながら、この記事を書いている8月上旬時点では現在の第2学区(旧第3・4学区)の合同説明会については完全な情報がそろっていません。発表を待ちたいと思います。

また、表の一番下には大阪市立高が合同で説明会を行う日時・場所についても合わせて記載をしました。こちらは、咲くやこの花高や3校の統合・校名変更で話題になっている大阪ビジネスフロンティア高といった大阪市立の高校がすべて集まっている上に、北野高や大手前高といった大阪市内の公立高も一緒になって参加しているというイベントです。こちらも見逃せないイベントになるでしょう。

上の表の一番右端にある「発表」「ブース」という文字についても説明致しますと、「ブース」と書いてあるところについては、各校が個別ブースを設けているので話を聞きたい学校を回る、というオーソドックスなスタイルです。「発表」と書いてあるのは、各校が数分ずつの持ち時間を駆使して、ホールや会議室内に座った受験生・保護者に対して学校のアピールをする、というものです。学区内の全校が順番に説明をしますので、「聞きたい」と思う学校がある時間帯だけ会場内にいればよい、ということになります。

開成教育グループ入試対策課は、毎年これらの合同説明会のうちのいくつかに顔を出しています。昨年は旧第1学区と旧第3学区の合同説明会に参加し、このブログで当日の様子をご紹介しています。以下からそのエントリーをご確認いただけますので、合わせてお読みください。

大阪府旧第一学区公立高 合同説明会
大阪旧第三学区 合同説明会 行ってきました

公立高を第一志望にしている受験生の皆さんは必ず参加するようにして下さい。でないと、他の受験生から遅れをとることになりますよ!