2013年度中学入試 結果分析⑤ ~まとめ~

2013年6月29日 土曜日

6月中の毎週土曜日に更新をする5回シリーズとして今春の中学入試結果についてお送りをしています。これまでは・・・

2013年度中学入試 結果分析① ~府県別受験率~
2013年度中学入試 結果分析② ~午後入試の台頭~
2013年度中学入試 結果分析③ ~大学附属校の人気動向~
2013年度中学入試 結果分析④ ~評価されている学校~

の4つのエントリーで、2013年度の近畿地区中学入試の動向について検証してまいりました。

今回のエントリーで当シリーズ最後となります。今回は、2013年度近畿地区中学入試の結果を受けてこれまでご紹介してきました内容をまとめ、次年度である2014年度入試につなげたいと思います。

これまでご紹介してきました内容を文字にして端的にまとめますと、以下の4つに集約されるでしょうか。

特に③に関してですが、あちこちの学校から「午後入試をやろうと思っている」というお話を聞いていますし、その位置取りの選択肢として「初日午後」というものが最有力候補として検討されている所が多い、ということも耳にしています。

④に関しては、やはり今春の大学合格実績を見て受験生(特に保護者)が動きますので、今後教育関連雑誌や週刊誌等で今春大学合格実績についてのさらなる詳しい分析やデータが出てくると、その内容が少しずつ影響を与えてくるものと思います。

次年度の中学入試では、今回ご紹介した以外に新しい「動き」が生まれますでしょうか。

京都学園中高 入学率の上昇に見る受験生からの人気の高さ

2013年6月28日 金曜日

京都学園中高の塾対象説明会にお邪魔しました。

まずは中学校についてです。

高校への内部進学についてですが、中学の在籍コースと高校進学時の進学先コースは以下の形で進学することが多い、あるいは目標となるようですので、ご参考に。

国際⇒国際  特進⇒特進A  進学⇒特進B

続いて、中学校の2013年度入試結果です。

志願者数105名(昨年79名・一昨年99名)、約2割減少した昨年から打って変わって前年比132.9%と大きく上昇しています。また、入学者数73名(昨年50名・一昨年69名)で、こちらも約3割減となった昨年から大きく状況が好転し、前年比146%にもなっています。ただ、過去約10年で最も志願者数が多かったのが08年度の162名なので、状況は「まだ厳しい」という域からは脱していないと思います。

そんな中でも、合格者の入学率は84.9%となっており、高い入学率となっているのは好材料です。第一志望が多いことの表れに他なりません。

中学3学年の全在籍者における男女比は大体65:35ですが、今年の入学者は若干女子比率が高いようです。

続いては、高校入試の結果です。2013年度入試結果は次のようになりました。

志願者数1,534名(昨年1,548名・一昨年1,754名)、入学者数470名(昨年437名・一昨年375名)となり、志願者数の減少に反して入学者数の増加に成功しておられます。また、入学率は2010年19.1%だったところから今春では30.6%にまで上昇しており、中学同様に志望順位を高く持ってくれている受験生が増えていることがわかります。

全校規模の男女比率は54:46で、女子生徒数は9年連続で過去最高数を更新中(1,248名中527名が女子)、加えまして女子の入学者がこの10年で75%も増えているとのご報告も頂戴しました。

また、コース別の入学者数を見ますと、特進Bで入学者数が大幅に増えて4クラスとなり、国際・特進系クラスの生徒が66.6%を占めるまでになっています。

大学合格実績はどのようになっていますでしょうか。

今春の四年制大学への進学率が77.4%となり、昨年74.8%・一昨年73.5%から着実に上昇し、過去最高を更新しています。

大学に合格した総数が539名、昨年543名・一昨年532名とほとんど変わってません。ただし、偏差値がおよそ50以上の合格者の割合が61.4%となり、過去最高を記録した昨年72.9%から大きくダウンしているのが残念です。しかしながらこの割合は約10年前の2003年は29.1%しかなかったことを考えると、長期的に見ると上昇していることになります。

国公立大は41名(浪人4含)、昨年35名・一昨年26名から確実に数値を伸ばしているのが特筆点です。中学からの6年一貫生はそのうち12名を占めています。ただ、一方で関関同立は75名と、昨年120名・一昨年88名から大きくダウンしています。国公立大合格者が増えた一方で、私立大志望者が減ったり、一人あたりの受験回数が減少していることが原因として考えられるところです。

近年では公募推薦及び一般の受験が増えてきている反面、学園内推薦が激減しており、今年はほとんど居ないに近い状態になっています。

コース別の大学入試種別合格割合が高いものは以下の通り。コース特性に応じて受験パターンを変化させている様子がわかります。

国際:AO・公募  特進A:一般、公募
特進B:公募・一般  進学:指定校・課外

AO・公募での大学進学が多い国際コースではTOEICを受験させており、コースの57.6%にあたる34名が700点以上を有しており、その生徒たちの多くが難関大へ合格しているそうです。

次年度入試に関する情報ですが、中学・高校ともに大きな変更点は予定されていません。ただ、高校入試では入学レベルのアップが予想されますので、例年よりも高い学力が必要になることを今から覚悟しておくべきでしょう。

京都産業大 一般中期新設・英語1科目入試導入

2013年6月27日 木曜日

京都産業大の高校・予備校対象説明会にご招待いただきました。

来年2014年に向けて多数の変更点が予定されている京都産業大ですが、まずは何といっても「外国語学部の改組」に注目が集まります。当ブログではこちらのエントリー「京都産業大 2014年度より外国語学部内の学科を再編へ」で詳しくご紹介をしています。よって、今回はおさらいを少しと、特に注目すべき点や新情報についてのみご紹介をします。

今回の改組により、専攻言語ごとに分かれていた6学科体制から4学科・12専攻体制へ改められます。以下、新しい学科・専攻の構成です。(○が新設置の専攻)。

英語学科
英語専攻、○イングリッシュ・キャリア専攻

ヨーロッパ言語学科
ドイツ語専攻、フランス語専攻、スペイン語専攻、イタリア語専攻、ロシア語専攻、○メディア・コミュニケーション専攻

アジア言語学科
中国語専攻、○韓国語専攻、インドネシア語専攻、○日本語・コミュニケーション専攻

国際関係学科

上記の通り、新しい専攻が4つ誕生することになりますが、そのうち特徴的なものは以下3点です。

①イングリッシュ・キャリア専攻
特定のキャリア(外務省、防衛省専門職、実務通訳、翻訳専門職、航空事業専門職、高校英語教員)への人材育成を目的とし、教養教育から専門教育まで基本的に英語の授業だけで卒業要件単位を取得することが出来きる上、6か月以上の長期留学を原則必修とする。

②メディア・コミュニケーション専攻
他専攻のように特定言語を指定した上での入学ではなく、独・仏・西・伊・露の5言語から1つを選択し語学能力を身につけると同時に、多様なIT機器を操作し多様な文化やメディアに対応するデジタル・コンテンツを作成することのできる人材を育成する。

③日本語・コミュニケーション専攻
上記②と同じく特定言語を指定した上での入学ではなく、アジア言語学科内の専攻語プラス英語から1 言語を選択して学習すると同時に日本語教育学を専門的に学ぶカリキュラムを編成。

今回の外国語学部の改組により、大学全体で募集定員が70名増えることになります。他学部等は定員の変更がなく、すべて外国語学部での定員増となります。

また、公募推薦入試におけるヨーロッパ言語学科とアジア言語学科では「専攻ごと」に定員を定めているのですが、他入試方式及び専攻では「学科単位」で定員が定められているのが少々ややこしいところです。「学科単位」で定員が設定されている入試に関しては「専攻の人数は柔軟に対応する」とされていますことをお知らせいたします。

続いては、2013年度入試結果について簡単にご紹介します。

大学全体での志願者40,883名(昨年より6,534名、19%の増加)に対し合格者10,879名、倍率としては3.8倍(昨年3.2倍・一昨年3.8倍)となり、大幅に低下した昨年から倍率を持ち直しています。

人気回復の要因として最も有力なのが「ネット割」で、この割引によって浮いた出願料で追加出願した者が多かった様子です。先日ご紹介をしましたこちらのエントリー「摂南大 入試制度で久々に大幅な変更」でご紹介したとおり、京都産業大のこの「ネット割」が摂南大の入試動向に大きな影響を与えたようです。

そのネット出願に関してですが、今春入試におけるインターネット出願の割合は、公募推薦69.6%・一般前期73.6%・一般後期74.8%となったそうです。

また、一般入試等では「最大3出願可能」となるなど、複数の合格判定機会があります。それらを上手く使って不合格の悪夢から一転して合格ラインへ浮上した受験生がたくさんいるとのこと、ご紹介いただきました。

一般前期(3科)の合格者1,876名中
スタンダード3科不合格⇒高得点3科合格となったのが312名いる

一般前期(2科)の合格者377名中
スタンダード2科不合格⇒高得点2科合格となったのが78名いる

センター利用の合格者756名中
スタンダード3科または2科不合格⇒センタープラス合格となったのが170名いる

併願を積極的にしておくことが功を奏した受験生がこれだけいます。出願時の参考にしてください。

最後に、2014年度入試情報です。変更点は以下の通りとなっていますので、箇条書きでご紹介します。

①公募推薦「総合評価型」の評定平均値得点化方法が「20倍(100点)」へと変更
②公募推薦において地方会場「奈良会場」を新設
③一般中期を新設(2月13日実施)
④上記③に伴い一般前期を5日間から4日間へ圧縮
⑤セ利用前期と一般前期を同時出願すると1出願目の受験料が無料となる制度を、ネット割に統合
⑥一般後期およびセ利用後期はインターネット出願のみへ
⑦英語1科目型入試を新設、1月26日実施、外国語学部のみ募集(他学部等との併願不可)
⑧一般前期の合格発表日が前倒しされている(2月14日⇒2月6日)

特に⑦の英語1科目型入試が面白いのではないでしょうか。詳しい内容は以下の通りです。

・1限目の英語は一般前期と同一問題
・2限目の英語は「社会科学・自然科学分野の英文を読ませた上で英語及び日本語で論述させる形式とし、入学後に必要とされる論理的思考力と高度な言語能力を確認する問題(記述式)」とする

以上、京都産業大の情報でした。

西大和学園中 2014年度入学生より女子の募集を開始!

2013年6月26日 水曜日

西大和学園 JR島本駅前に大きな一手
続報! 西大和学園の島本町進出
立ち消えか? 西大和学園の島本町進出
といったエントリーで、当ブログでは「西大和学園が島本町に新校を開設する?」という話題についてご紹介をして参りました。

ところが、ここへきて王寺の西大和学園中が女子の募集を開始(共学ではなく別学)されることが発表されました。

以下、西大和学園中のHPで発表になった2014年度入試要項の一部です(以下HPより転載)。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

西大和学園中 2014年度入試要項

<女子>
募集人員 約40名
入試期日 1月19日(日)
集合時間 10:00
試験教科 3科4科選択制

<男子>
募集人員 約220名(女子約40名含む)
入試期日 1月19日(日)
試験開始時間 4科受験14:00、3科受験14:55
試験教科 3科4科選択制

○中学校は男女別学、高校は従来通りの共学となります。
○その他の内容は、説明会等でお知らせします。(日程は近日中に発表します)
○札幌・東京・東海・岡山・広島・福岡会場の入学試験は、女子寮を併設していませんので、女子は通学生のみの募集となります。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

男子と女子では入試実施時間帯が分けられている点、非常に興味深いです。

試験日の設定から考えても、女子募集の「狙い」は洛南高等学校附属中を受験する層であることは間違いありません。

この発表を受けて他校でも何か大きな変更を仕掛けてくるところが出てくるかもしれませんし、この発表自体が他校の併願動向にも大いに影響を与えることでしょうから、特に女子受験校に関しては更なる注意が必要になりました。

男子に関しても、単純に募集定員が40名減ってしまいますので、その分の難易度上昇が懸念されます。ひょっとすると、関西学院中の共学化初年度の時のように、定員減による難易度上昇を嫌って男子受験生が逃げてしまう、ということも起こるかもしれません。

また、この決定が島本町?あるいはその他の地域?にと考えておられるであろう「第二の西大和学園 構想」の展開とどう関わりがあるのか、というのも気になります。「第二の西大和学園」の話が無くなったからこその既存校での女子受け入れ開始なのか、あくまでも「それはそれ、これはこれ」なのか・・・。

今後の動向に大注目です。

東海大学付属仰星中高 中学入試で若干の復調

2013年6月25日 火曜日

東海大学付属仰星中高の塾対象説明会にお邪魔してきました。

昨年も同様の会を催され、当ブログではこちらのエントリー「東海大学付属仰星中高 中学と高校の入試結果に明暗」でその様子をご紹介致しました通り「中学入試で苦戦を強いられている」様子でしたが、今年はどうだったでしょうか?

先ずは2013年度中学入試結果についてですが、各入試日程での志願動向は以下の通りとなっています。以下箇条書き形式でご報告いたします。

A日程
①志願者85名(昨年72名・一昨年108名)となり、大幅に減少した昨年から前年比12%持ち直した。
②ただ、志願者は増えたもののまだ近隣の他中学に志願者が流れていると思われている(特に英数特進)。
③3年前から導入している「自己推薦書(上限20点で加点がされ、総合進学提出必須・英数特進は任意)」は、受験生85名中80名(昨年72名中61名)が提出するなど、特色ある受験生を確保できている。
④初日ということもあり専願志向が高く、例年95%以上が入学する(今年は96%)。

B日程
①志願者数109名(昨年117名・一昨年134名)。A日程は増えたがこちらは志願者減少。
②合格者の上位層が他中学へ流れている様子。
③B日程合格者のうち入学したのは16名で、昨年6名・一昨年は20名であることを考えると、昨年よりはましだがまだ一時期よりは少ない。歩留り率は19%。

C日程
①合格者9名のうち入学に結びついたのは5名(昨年9名・一昨年4名)で歩留り率56%。

その他のトピックスとして、今年度入学者の実に25%が兄弟・姉妹が卒業・在籍、または保護者が卒業生である、ということもご紹介いただきました。

今春の入学者数は93名、昨年から5名増加となっており、昨年度よりも良好な入試結果となったのではないでしょうか。

続いては高校入試の様子です。こちらも箇条書き形式でご紹介します。

・受験者数711名と、昨年671名・一昨年680名と比べて大きく伸ばす。
・併願者数491名(昨年467名・一昨年498名)と昨年より24名増加に対し、専願は220名(昨年224名・一昨年204名)と少々減少。
・入学者数はここ10年で最も多かった昨年の377名を1名上回る378名。結果、予定よりも1クラス増で開始している。3年前313名⇒一昨年363名⇒昨年377名⇒今年378名と上昇中。
⇒ 受験者数には内部進学者数は含めていないが、入学者数には内部進学者数を含む
・コース別戻り率は、英数特進で15%(昨年11%・一昨年13%)・総合進学14%(昨年16%・一昨年10%)。
・英数特進受験者の公立併願先として最もニーズがあるのが寝屋川高だが、そこの後期が1.46倍という高倍率だったので特に多く戻ってきたそう。
⇒ 入学者数高止まりの要因としてはやはり「私学授業料無償化の拡大」が最も有力だが、同時に「公立上位校への強気の出願⇒戻り」もあるだろう
・昨年入学者の学力の高さを示すデータとして「東海大学の付属高校の共通学力試験の平均点が直近の5年間で2番目に高い値だった」というものがあったが、今春入学者の成績もそれと同等となったそう。

ということで、高校入試は昨年に引き続き「絶好調」といった所でしょうか。

最後に、大学入試結果についても簡単にご紹介をします。

・英数特進からは国公立大16名(昨年19名)で、現役13名(昨年10名)。関関同立27名(昨年42名)で、うち現役22名(昨年14名)となった。このコースから神戸大に合格した2名は共に併設中等部出身。
⇒ 国公立も関関同立も総数はダウンも、現役合格者数は増えている
・総合進学では、国公立大6名(昨年19名)でうち現役3名(昨年8名)と大きく後退。私立大は関関同立45名(昨年55名)に対し現役は26名(昨年35名)、産近甲龍51名(昨年91名)中現役は38名(昨年72名)と、これらも大きく後退。
・東海大へは医学部2名を含む32名(昨年35名)が進学している。毎年約10%が内部進学するようで、希望の学部はほぼいけるとのこと。
⇒ 希望しても厳しいのが体育学部・医学部・工学部 航空宇宙学科、近年は観光学部も倍率が高くなってきており選考が厳しくなりつつある様子
・指定校推薦枠に関しては総合進学を優先。

大学入試結果は残念に終わっているというのが正直なところです。巻き返しに期待をしましょう。

奈良大 奈良で学ぶ贅沢

2013年6月24日 月曜日

奈良大の高校・予備校対象説明会に行ってまいりました。

大学の概要です。

奈良大は文学部と社会学部からなる小規模大学で、現時点の学生数は約2500名、男女比は6:4となっています。

特に初年次教育からキャリア教育につなげる教養教育を展開する「教養部」を持つのも特徴の1つで、1990年代前半に全国の大学で相次いで廃止されてきた教養部ですが、奈良大では未だに残されており、この教養部を持つのは今ではほとんどないのではないでしょうか。

学生から公募した大学を表すキャッチフレーズは「奈良で学ぶ贅沢」だそうです。特に、史学科と文化財学科の2つは奈良にあるメリットを多く享受しているのではないでしょうか。また、その点を受験生も良く理解しているのか、その2つの学科だけ異様にレベルが高いのも特徴的です。

就職状況です。

今春は535名が卒業。就職希望者数356名のうち264名が就職し、就職決定率は74.1%となりました。2年前の取材時には76.3%(その前年から約5%のダウン)でした。今春の進路決定者のうち71%が企業、次いで進学(16%・51名)、公務員(6%)教員(5%)と続いています。

2014年度入試に向けてですが、特に大きな変更点はない模様です。募集定員の1割程度は併設校からの内部進学枠として設定されているのも引き続いています。

公募制推薦入試A・Bにおける学科試験は「小論文」のみである一方、Cは英国社等の試験が実施されます。

一般入試に限ってなのですが、同一学部内の他の学科を第二志望として志願出来る制度である「第二志望制度」があります。この第二志望制度においては、判定の際は当該学科の指定科目及び配点で行われる点、注意が必要となります。

推薦入試(A~C)及び一般入試(A~C)において、社会学部に限り「資格による加点」が設けられています。複数の資格及び得点保有者は希望する加点対象を1つだけ選んで申請する必要あります。詳しくは、大学発行の入試要項等を参照ください。

特待生制度もあるのですが、対象となる入試は一般Aのみ、人数も上位2位までと「狭き門」となっています。

最後、センター利用型入試に関してですが、この入試ではいわゆる「併用型」は一切設けておらず、センターの点数のみで合否判定をする方式のみとなります。先にご紹介したとおり、史学科と文化財学科の両学科のラインが非常に高いようで、恐らくはセンターで7割取れていないと厳しいのではないかと思われます。

2013年度中学入試 結果分析④ ~評価されている学校~

2013年6月22日 土曜日

6月中の毎週土曜日に更新をする5回シリーズとして今春の中学入試結果についてお送りをしています。これまでは・・・

2013年度中学入試 結果分析① ~府県別受験率~
2013年度中学入試 結果分析② ~午後入試の台頭~
2013年度中学入試 結果分析③ ~大学附属校の人気動向~

の3つのエントリーで、近畿2府4県の中学受験率、近年実施校が増えている「午後入試」、「大学附属校」特に関関同立附属校の人気動向について検証しました。

前回のエントリーでは、関関同立附属校の人気が一時期より落ち着いたものになっていることをご紹介しましたが、今回はそれら関関同立附属校からも受験生を奪っているのではないか、と思われる学校とその条件や共通項について見ていきます。

まずは、下の表をご覧ください。

こちらは、今春入試で大阪・兵庫・京都の各府県において統一解禁日の志願者数が前年よりも増えた学校を、多い順にいくつかご紹介しています。

志願者が増えた学校に共通する事柄は何かないかな?と思い、前々年⇒前年の大学合格実績(旧帝大+神戸大の合計、関関同立合計)の推移を学校名・志願者増減の右側の方にくっつけてみました。

すると、すべての学校とまではいきませんでしたが、例えば、難関国公立大である旧帝大と神戸大の合格者数が大きく伸びている高槻中が志願者数を大きく伸ばしていたりと、志願者を増やした学校のうち多くの学校が大学合格実績の点で向上していることがわかりました。

その高槻中ですが、過去からの入試状況についてグラフにまとめてみました。

ご覧の通り、一番入りやすかったと思われる2011年度から一気に志願者数・倍率が上昇しており、今春は3.4倍もの高倍率となっています。これはひとえに、ここ数年の高槻中の大学合格実績の良化が支持されているものです。

特に倍率が高騰したのが後期で、その後期の入試結果は以下の通りとなります。

13年度 受験者数418名・合格者数45名 9.3倍
12年度 受験者数320名・合格者数54名 5.9倍

9倍という恐ろしい倍率がついていますが、前期も恐ろしい倍率となっています。特に、12年度より後期が新設されたことによって前期の募集定員が40名減となっていますので、特にこの2年は難化が激しいものとなっています。

13年度 受験者数430名・合格者数150名 2.9倍
12年度 受験者数386名・合格者数170名 2.3倍
11年度 受験者数339名・合格者数199名 1.7倍

この倍率の高騰が思わぬ所に影響を与えています。そう、「出題傾向の変化」です。かつて以上に今は優秀な受験生が多く集まる入試となってしまっている高槻中では、例えば1点に数多くの受験生がひしめき合うなど、合格・不合格を決めるのにも大変ご苦労されていることと思います。今年の入試では国語で大きな出題傾向の変化があり、受験生を苦しめました。

上の画像は、昨年度である2012年度の前期国語の解答用紙です。

ご覧いただければすぐわかりますが、3~40字程度の記述が3問ほどあり、最後には60字の記述が用意されています。仮に最後の60字の記述問題を取りそこなったとしても、他の問題でカバー出来そうな気がする解答用紙になっています。

対して・・・

こちらが2013年度前期の国語の解答用紙です。前年のものと比べると、3~40字の記述問題が少なくなってしまい、代わりに最後の問題に100字もの記述をさせる問題が登場しています。100字も書かせる、というのは中学入試の世界では中々見かけない問題ですし、こちらの解答用紙を見ている限りでは、この100字の記述を丸々落としてしまったならば他の問題で合格最低点に乗せることが出来なさそうな、そういう感じがします。

大学合格実績の良化が優秀な受験生を呼び、徐々に学校自体のレベルが上がり、ひいては入試問題を難化させないと合否判定に支障が出るような所にまでなり、難しい入試問題を突破した優秀な受験生がまた大学合格実績で成果を出し、それがより一層優秀な受験生を呼び・・・、と大変良いスパイラルに入っていくことになります。

大学合格実績の良化が受験生の数とレベルを押し上げる効果があることを、高槻中を例にとってご紹介しました。

他にも、大学合格実績で評価を得ている学校が多くあります。そういった所の取り組みや今後の展望(つまり今の高3や次に控えている現高2などの大学合格実績予想)等についてもお聞きになった上で学校選びをされると良いでしょう。また、過去に中学受験を経験された受験生やその保護者の方々は、入試の前年の大学合格実績を見て、特に保護者の皆さんが志望校を厳しく選定されていたようです。

次回はこのシリーズ最終回となります。

流通科学大 多種多様な入試方式

2013年6月21日 金曜日

流通科学大の高校・予備校対象説明会にお邪魔してきました。

タイトルにもありますとおり、流通科学大では非常に多彩な入試方式が用意されていて、受験生それぞれに合う試験の形がきっと見つかると思います。そんなたくさんある入試方式のうち、一部を以下にご紹介します。

AO入試
AO入試での入学を希望する生徒は、オープンキャンパスに参加して詳細の確認やアドバイスを受けることを奨励する。それも、早い日程での決着を望むのであれば出来るだけ8月末のOCに行くべき。

公募制推薦入試(前期)
こちらに関しては、2012年度は前期1日+後期2日の3回実施だったが、2013年度より前期も2日間の実施となり、合計4回のチャンスとなる。また、以下2タイプの配点がある。学科試験は英国2科(国は近代以降の文章)。
Aタイプ「実績重視型」:学科(100点)+評定平均値(30点)+実績(70点)+面接(60点)
※実績は各区分で最大点を加算(詳しくは大学発行の資料を参照ください)
Bタイプ「学力重視型」:学科(160点)+評定平均値(40点)+面接(60点)
⇒ 実技などで40点以上の加算が出来るのであればAタイプ「実績重視型」で出願すると良い
⇒ 面接は「高校でやったこと」「大学でやりたいこと」を中心に聞く

商業科・工業科・総合学科等特別推薦入試
面接(60点)+評定平均値(40点)で判定。大学が指定する資格取得者が受験の対象となり、この入試で合格した生徒は大学が開講する資格講座を在籍4年間何度でも受講が可能となる。
⇒ こちらの面接は受験生2名1組、1組10分程度となる

クラブ推薦入試(専願)
スポーツ系の部活動で熱心に活動し、入学後もクラブ活動を継続する強い意欲がある者で、評定平均が3.0以上の受験生が対象。選考は面接のみとなるが、入学後はクラブ活動を継続することが求められる。これに似た入試で、指定校推薦入試の中に「スポーツ指定校」というものがあるが、こちらで入学した者は入学後のクラブ活動の継続は問わないものとなっている

公募制推薦入試(後期)
基礎テスト(100点)+面接(60点)+評定平均値(40点)となっており、基礎テストは「高校卒業における基本的な能力を測る」もの。
⇒ 基礎テストの平均点は60点程度だそう

一般入試(A方式)
2012年度は4日間の試験回数だった所を5日間とし、1回増加させている。また、この入試では成績上位者30名を対象として年間50万円を支給する奨学金の選考も行われる。
⇒ 奨学金は毎年適用か否かを審査されるが、成績が「A○(マル)」「A」の2つが全体の75%あれば次年度も適用になるとのこと

センター試験利用型である一般入試(B方式)(C方式)(D方式)
これらの入試においても奨学金の選考が行われる。こちらは、成績上位者50名(B方式10名・C方式30名・D方式10名)に対し年間30万円が支給されるというもの。

一般入試(M方式)
最後の入試となるこちらは3月7日実施。それに加え、2013年度より「自己推薦入試」という入試が同日3月7日に実施されることになっている。こちらは、書類審査(自己推薦書)+作文+面接で選考される。

受験生の皆さん。あなたに合う入試は見つかりましたか?

関西大学第一中 2科4科選択制導入へ

2013年6月20日 木曜日

関西大学の附属校として長きに渡って人気を保持している関西大学第一中ですが、2014年度入試で試験科目に大きな変更が加えられます。

以下、詳細です。

なお、募集人数は「約240名」となっています。

関西大学第一中ではこれまで入試科目を4科(国語・算数・社会・理科)のみで実施されていましたが、2014年度入試から2科(国語・算数)での受験もしくは判定も可能になります。これにより、これまで以上に多くの受験生が受験可能となります。

受験生の動向が大変気になる、注目度が高い変更点です。

摂南大 入試制度で久々に大幅な変更

2013年6月19日 水曜日

摂南大の高校・予備校対象の説明会に行ってまいりました。

まずは教学面での変更点です。

2014年より、経済学部がこれまでの「地域経済領域」「観光経済領域」の2領域制からコース制へ移行します。先述の2つが「~コース」となるのに加えて「国際経済コース」が新設されることが予定されています。

また、今春より大日駅から寝屋川Cへの通学専用直通バスがスタートしており、アクセス面で向上しています。

2013年度入試結果についてです。

総志願者数は18,933名で昨年から約500名増加で、下記の通り6年連続の増加となっているだけでなく、過去17年間で最高の志願者数となっています。過去5年間の志願状況を以下にご紹介します。

 

2009

2010

2011

2012

2013

総志願者数

13,083

15,377

18,024

18,450

18,933

実志願者数

5,293

5,988

6,463

6,651

6,611

入学定員

1,270

1,550

1,550

1,650

1,690

トータルの志願者数が増えている一方で、実志願者数は減少しています。これは、①指定校推薦による入学者数が予定より81名少なかった ②併設2高校からの内部進学者数が予定より19名少なかった ことが特に大きな打撃だったようです。

一般及びセンター利用入試のみの志願者数は12,099名。昨年12,248名から149名、率にして1.2%のマイナスとなっています。関西地区では関関同立・産近甲龍に次ぐ9番目の志願者数だった昨年ですが、今年は佛教大(13,503名)と大阪経済大(12,162名)に抜かれてしまっています。

大学側にとってはこれが非常にショックだったようで、後述の「学部間併願」を積極的に導入するきっかけになっています。

公募推薦入試全体では昨年比115%。A日程は昨年比119.2%と増えたが、B日程で同99.5%と減っています。薬学部と経済学部で大きく志願者が増えているようです。合格者数に関しては、①不人気系統である法・経済で合格者数を増やして早期確保 ②外国語学部では関西外国語大の指定校推薦が予定より51名ショートしていることを知り、前年度より合格者数を増やして対応 の2つの策をとられています。

一般入試単体で見ると、A日程で志願者数が極端に減少(前年比88.4%)していますが、偏差値が近接した大阪経済大・京都産業大に受験生が流れたのではないかと推測されます。

特に京都産業大はネット割を積極的に導入し、「浮いたお金で追加出願した」というケースが多かったそうで、それが他大学との併願動向に大きく影響を及ぼしており、摂南大はその打撃が大きかったようです。

一般入試の合格者数に関しては、①A日程で志願者数減少の危機感などを勘案し、積極的に合格者数を発表 ②各入試とも入学辞退者が極端に少なく後期日程で合格者数を絞り込んだ という特徴があります。

全般的な入学動向としては、経済・理工・薬・看護で入学目標数を上回ったそうです。入学辞退者数が非常に少なく、歩留りの読みにくい入試となったのが2013年度入試の全体的な特徴になったと思われます。特に指定校推薦・内部推薦・AOといった専願制の入試における入学者数が年々少なくなっている反面、公募制推薦入試での入学者数は前年度実績を上回っています。

2014年度入試に向けての変更点です。

前述の通り一般入試での志願者数が減ったこともあり、7年ぶりに大きく変更をされることになっています。以下、主要な変更点です。

①入試方式名称を見直し、分かりやすくなじみのある名称に改める
②公募推薦入試で「2科目方式」を新設、A・B日程とも2方式となる(詳細は添付資料を)
③一般入試前期A・Bで新たに「他学部併願制度」を導入し、1日最大2学部に出願可能に(ただし一部制約あり)
⇒ 一般後期ではすでに導入されている
④一般入試前期AC及び前期BC方式は文系学部間に限り併願する学部・学科に制限を設けず複数出願できるように

今春入試の結果と、それを受けて来る2014年度に大きく入試制度を変えることをお伝えしましたが、周辺大学の入試状況に合わせて自身の入試制度等の見直しを素早く行う、こういった所が摂南大の人気を支えているのだろうなと、そんなことを思った説明会でした。