どうなる? 2014年度近畿地区中学入試⑤

2013年11月1日 金曜日

開成教育グループにお通いの皆さんには去る2013年9月16日(月祝)に開催を致しました「中高進学フェア」内、「中学入試分析会」にて詳しくご説明申し上げた2014年度近畿地区中学入試の最新情報を当ブログにおいてもご紹介するシリーズです。全5回のシリーズであれこれと情報をお届けしています。

どうなる? 2014年度近畿地区中学入試①」⇒大阪府内各校の入試日程
どうなる? 2014年度近畿地区中学入試②」⇒大阪府以外の近畿地区各校の入試日程
どうなる? 2014年度近畿地区中学入試③」⇒入試日程前倒し状況
どうなる? 2014年度近畿地区中学入試④」⇒午後入試の更なる増加

について、それぞれご説明をしております。まだお読みでない方は、上記のリンクから当該記事へお飛び頂き、お読み頂ければ幸いです。

最終回の今回は、特に難関校や上位校で起こっている「あるもの」の激しい獲得合戦についてご紹介をします。

難関・上位校で次年度入試に向けて激しい争奪戦が繰り広げられている「あるもの」とは、「女子の上位生」です。

上の図は、女子最上位性を奪い合う各校の状況を表したものです。

現在、近畿地区において女子が受験出来る学校群のうち、最も難易度が高いのが洛南高等学校附属中となっています。狭い定員枠に対し非常に優秀な女子生徒が多数受験しており、女子の受験状況として今春は・・・

受験者数235名 合格者数65名 倍率3.6倍

という結果となりました。

一方、大阪を代表する女子校である四天王寺中は、洛南高等学校附属中を受験する女子生徒の「押さえ」といった位置づけとされており、せっかく上位生として入学を期待した生徒たちであっても、洛南に合格した際はそっくりそのまま「取られてしまう」ということがずっと起こっていました。この度の「医志コース」の新設によって「国公立大医学部医学科の合格者数では大阪府トップの四天王寺が満を持して作ったコース」というのをアピールすることで、従来であれば洛南に流れてしまうであろう優秀な層に留まってもらおう、と試みられていると思われます。

その図の中にも示しておりますとおり、国公立大医学部医学科の合格者数において大阪府2位、こと現役合格者数に絞りますと四天王寺中と同数で大阪府トップとなっているのが、清風南海中です。清風南海中は共学校ですので、大阪星光学院中を受験するような男子優秀層の獲得も視野に入れられていると思いますが、女子に関してはやはり四天王寺中受験層がターゲットでしょう。清風南海中の午後入試化によって、大阪星光学院中や四天王寺中からの受験生流入が期待でき、その受験生を上手く獲得し、まずは四天王寺中と拮抗している「国公立大医学部医学科現役合格者数」において大阪トップの座につこう、ということではないでしょうか。

「女子の獲得」という点では、西大和学園中の共学化が一番分かり易い事例となっています。西大和学園中のレベルの高さは説明不要ですが、女子についてもそれと同等か、女子の募集定員の少なさもありますので、場合によってはそれ以上のラインとなる可能性があります。それだけ優秀な層がどこからやってくるのか、といいますと、やはり例年であれば洛南を受験している層、になるでしょう。

近年では、女性のお医者さんも増えているようですし、欧米に比べてまだまだではありますものの、女性パイロットも少しずつですが増えているようです。女性が仕事を持つことが当たり前となっただけでなく、これからは男性ばかりで占められていたこういった職業に女性が進出することになるでしょう。

今回ご紹介した各校はそういった社会情勢を敏感に察知し、女子の優秀層を獲得に動いたのではないでしょうか。

全5回に渡って2014年度中学入試に向けた展望をご紹介致しました。

どうなる? 2014年度近畿地区中学入試④

2013年10月22日 火曜日

開成教育グループにお通いの皆さんには去る2013年9月16日(月祝)に開催を致しました「中高進学フェア」内、「中学入試分析会」にて詳しくご説明申し上げた2014年度近畿地区中学入試の最新情報を当ブログにおいてもご紹介するシリーズです。全5回のシリーズであれこれと情報をお届けしたく存じます。

どうなる? 2014年度近畿地区中学入試①」⇒大阪府内各校の入試日程
どうなる? 2014年度近畿地区中学入試②」⇒大阪府以外の近畿地区各校の入試日程
どうなる? 2014年度近畿地区中学入試③」⇒入試日程前倒し状況

について、それぞれご説明をしております。まだお読みでない方は、上記のリンクから当該記事へお飛び頂き、お読み頂ければ幸いです。

今回は「午後入試の更なる増加」についてまとめます。

2013年度入試では午後入試を実施していなかったものの、2014年度入試では午後入試を新導入する学校は以下の通りとなります。

圧倒的に大阪府の学校が多いことと、日程別だと初日午後が多いのが目を引きます。

また、上記の学校群も含め、2014年度入試において午後入試を実施する学校の数や割合はどの程度に上るのか、についてまとめたのが次の画像です(画像をクリックすると拡大します)。

上の表にもありますとおり、2013年度では近畿地区全校のうち約3割程度だった午後入試実施校が、2014年度には一気に増えて約4割となっています。先にご紹介した各校の入試日程とも併せて考えますと、午後入試を受けずに中学入試を終えることは難しいように思えます。

2014年度入試トピックスの最も大きなものの1つとして、「午後入試実施校が爆発的に増えている」というのがあることを、どうかお忘れ無きようお願いします。

次回は、特に難関校や上位校で起こっている「あるもの」の激しい獲得合戦についてご紹介をします。

どうなる? 2014年度近畿地区中学入試③

2013年10月16日 水曜日

開成教育グループにお通いの皆さんには去る2013年9月16日(月祝)に開催を致しました「中高進学フェア」内、「中学入試分析会」にて詳しくご説明申し上げた2014年度近畿地区中学入試の最新情報を当ブログにおいてもご紹介するシリーズです。前回からスタートした、全5回のシリーズであれこれと情報をお届けしています。

初回のエントリー「どうなる? 2014年度近畿地区中学入試①」では大阪府内各校の入試日程について、2回目となる前回「どうなる? 2014年度近畿地区中学入試②」では大阪府以外の近畿地区各校の入試日程について、それぞれお話を差し上げました。

入試日程が出揃いましたところで、今回は全体的な分析や次年度入試に向けての注意点などについてご紹介したいと思います。

次の表は、主要4府県の日程別の入試回数を男子・女子・共学別に集計したものです。「18⇒23」とあるのは、「2013年度入試では18回だったのが、2014年度入試では23回になる」ということを示しています。

今春2013年度入試から入試回が増えている区分については黄色く示していますが、お気づきの通り、18日(土)と19日(日)の2日間で大きく入試回数が増えています(画像をクリックすると拡大します)。

また、次のグラフでは各日程における入試回数の占有率を示していますが、18日(土)と19日(日)の2日間で、主要2府2県の何と2/3の入試回数が消化されることになっています。つまり、統一解禁日である18日(土)を含む2日間のうちに合格を取っておかないと、それ以降になると受験をしたくても入試が行われていない、という事態に陥ります(同じく、画像をクリックすると拡大します)。

次回のエントリーで午後入試のことについては詳しく触れますが、入試日程の前倒しに午後入試導入も併せて、初日と2日目にすべての入試を終了してしまい、以降の日程では入学チャンスが全く無いという学校が多数出てきています。なお、これらの学校の中には、2日間で3回あるいは4回の入試を実施している学校もあるから、驚きです。

初日・2日目ですべての入試回を終える学校を以下にご紹介します(○内の数字は2日間で消化される入試回数)。また、赤字は2日間で3回以上の入試回数を消化している学校となります。

大阪星光学院① 四天王寺① 帝塚山学院④ 上宮② 大阪学芸④ 関西創価①
関西大学① 関西大学第一① 関西大学北陽③ 関西学院千里国際① 常翔学園③
初芝立命館③ 甲陽学院① 灘① 小林聖心女子学院② 神戸海星女子学院②
神戸女学院① 親和③ 関西学院① 神戸龍谷③ 華頂女子③ 同志社女子②
平安女学院④ 同志社① 同志社国際① 立命館② 龍谷大学付属平安④
西大和学園① 聖心学園④ 奈良学園登美ヶ丘② 近畿大学附属和歌山①

「入試日程の早期化」だけでなく、2日間に3回や4回の入試を実施する「密集化」も進んでいます。

次回は、午後入試導入の状況にスポットを当ててご紹介をします。

どうなる? 2014年度近畿地区中学入試②

2013年10月8日 火曜日

開成教育グループにお通いの皆さんには去る2013年9月16日(月祝)に開催を致しました「中高進学フェア」内、「中学入試分析会」にて詳しくご説明申し上げた2014年度近畿地区中学入試の最新情報を当ブログにおいてもご紹介するシリーズです。前回からスタートした、全5回のシリーズであれこれと情報をお届けしたく存じます。

初回だった前回はこちらのエントリー「どうなる? 2014年度近畿地区中学入試①」で、大阪府内各校の入試日程についてお話を差し上げました。

引き続き今回も入試日程についてご紹介します。今回は、近畿地区内でも大阪府以外の兵庫県・京都府・奈良県・滋賀県・和歌山県の各校の入試日程の位置取りを確認します。

次の画像は、2014年度入試において各校がどの日程で入試を実施するかを一覧にしたものです。なお、画像をクリックして頂きますと、今春2013年度入試から来春2014年度入試にかけて、各校がどのように入試日程を動かしてきたのかが分かる画像が表示されます。ご興味・ご関心がある方はそちらも合わせてご覧ください。


※作成には万全を期していますが、入試日程は必ず各校のHP・入試要項等でご確認下さい

(クリック後表示される表の見方)
右向きの青矢印:2013年度入試日程から位置取りを「先送り」とした所
左向きの赤矢印:2013年度入試日程から位置取りを「前倒し」とした所
青い丸印:2013年度入試では試験を実施していたが、2014年度入試では「廃止」する所
赤い丸印:2013年度入試では試験を実施していなかったが、2014年度入試から「新たに実施」する所
「入試回数」の字が赤い部分:2014年度入試に向けて入試回数を「増やした」所と回数の変遷
「入試回数」の字が青い部分:2014年度入試に向けて入試回数を「減らした」所と回数の変遷

大阪府の入試日程一覧をご紹介した際にも触れましたが、こちらでも左向きの赤い矢印である「入試日程前倒し」が目立ちます。

また、大阪府ほどではないにせよ、兵庫県と京都府においても初日午後に入試回を新設する学校があります。

上の2つのことがあって、全体を見渡すと初日と2日目に極端に入試回が設定されています。反対に、週が明けるとグッと入試をやっている学校が減り、木曜日である23日以降にもなると受験生個々人にフィットする学校を探すことがかなり難しくなります。

今回ご紹介した府県における入試日程上の注目校ですが、初日午後や2日目午後など積極的な午後入試策を取られるだけでなく、コース制を2014年度から新導入される甲南中、高槻中の後期とバッティングしていた入試回(後期)を1日前倒しすることにした洛星中、新たに開始する女子募集に関しては男子の入試回と分けて実施する西大和学園中、といった所でしょうか。

西大和学園中の女子募集開始についてはこちらのエントリー「西大和学園中 2014年度入学生より女子の募集を開始!」やこちらのエントリー「西大和学園中 世界に大輪を咲かす「やまとなでしこ」を」で詳しくご紹介していますので、合わせてご覧ください。

前回・今回の2つのエントリーで近畿地区各校の入試日程をご紹介し、合わせて前年度からの日程の位置取りの動きも確認しました。これによって見えてきたことについて、次回以降の3回のエントリーに分けて分析を進めて参ります。

どうなる? 2014年度近畿地区中学入試①

2013年10月1日 火曜日

近畿地区の中学入試ですが、2014年度入試における各校の入試要項が出揃い、全体的な様相がつかめる状況になっています。

開成教育グループにお通いの皆さんに向けては、去る2013年9月16日(月祝)に開催を致しました「中高進学フェア」内で実施をしました「中学入試分析会」にて最新情報を詳しくお届け致しました。

当ブログにおいても、来る2014年度近畿地区中学入試の動向について簡単にご紹介していければと思います。今回を含め、5回のシリーズであれこれと情報をお届けしたく存じます。

初回となる今回は、大阪府内各校の入試日程についてお話を差し上げます。次の画像は、2014年度入試において各校がどの日程で入試を実施するかを一覧にしたものです。なお、画像をクリックして頂きますと、今春2013年度入試から来春2014年度入試にかけて、各校がどのように入試日程を動かしてきたのかが分かる画像が表示されます。ご興味・ご関心がある方はそちらも合わせてご覧ください。

※作成には万全を期していますが、入試日程は必ず各校のHP・入試要項等でご確認下さい

(クリック後表示される表の見方)
右向きの青矢印:2013年度入試日程から位置取りを「先送り」とした所
左向きの赤矢印:2013年度入試日程から位置取りを「前倒し」とした所
青い丸印:2013年度入試では試験を実施していたが、2014年度入試では「廃止」する所
赤い丸印:2013年度入試では試験を実施していなかったが、2014年度入試から「新たに実施」する所
「入試回数」の字が赤い部分:2014年度入試に向けて入試回数を「増やした」所と回数の変遷
「入試回数」の字が青い部分:2014年度入試に向けて入試回数を「減らした」所と回数の変遷

日程を前倒しする学校が多いのも目につきますが、18日(土)の午後に入試回を構える学校が今春と比べて極端に増えています。特に注目が集まるのが、こちらのエントリー「清風南海中 2014年度入試では大規模な改革を断行」で詳細をご紹介した清風南海中、こちら「帝塚山学院中 初日午後入試「エトワール」で輝く星を集める」でご紹介の通り「エトワール入試」なる名称を設けた帝塚山学院中の2校です。

反対に、3日目以降になると入試を実施している所が極端に少なくなっていることもわかります。特に23日(木)以降だとほとんど入試が実施されていません。

初日・2日目で想定外の事態になってしまった場合、あわてて探しても受け入れてくれる学校は見つけにくいことでしょう。初日・2日目で確実に合格を取ることが最重要ではありますが、そうならなかったときはどう動くのか?についてもあらかじめ考え、準備しておく方がよいでしょう。

次回のエントリーでは、大阪府以外の近畿地区各校の入試日程をご紹介します。

2013年度中学入試 結果分析⑤ ~まとめ~

2013年6月29日 土曜日

6月中の毎週土曜日に更新をする5回シリーズとして今春の中学入試結果についてお送りをしています。これまでは・・・

2013年度中学入試 結果分析① ~府県別受験率~
2013年度中学入試 結果分析② ~午後入試の台頭~
2013年度中学入試 結果分析③ ~大学附属校の人気動向~
2013年度中学入試 結果分析④ ~評価されている学校~

の4つのエントリーで、2013年度の近畿地区中学入試の動向について検証してまいりました。

今回のエントリーで当シリーズ最後となります。今回は、2013年度近畿地区中学入試の結果を受けてこれまでご紹介してきました内容をまとめ、次年度である2014年度入試につなげたいと思います。

これまでご紹介してきました内容を文字にして端的にまとめますと、以下の4つに集約されるでしょうか。

特に③に関してですが、あちこちの学校から「午後入試をやろうと思っている」というお話を聞いていますし、その位置取りの選択肢として「初日午後」というものが最有力候補として検討されている所が多い、ということも耳にしています。

④に関しては、やはり今春の大学合格実績を見て受験生(特に保護者)が動きますので、今後教育関連雑誌や週刊誌等で今春大学合格実績についてのさらなる詳しい分析やデータが出てくると、その内容が少しずつ影響を与えてくるものと思います。

次年度の中学入試では、今回ご紹介した以外に新しい「動き」が生まれますでしょうか。

2013年度中学入試 結果分析④ ~評価されている学校~

2013年6月22日 土曜日

6月中の毎週土曜日に更新をする5回シリーズとして今春の中学入試結果についてお送りをしています。これまでは・・・

2013年度中学入試 結果分析① ~府県別受験率~
2013年度中学入試 結果分析② ~午後入試の台頭~
2013年度中学入試 結果分析③ ~大学附属校の人気動向~

の3つのエントリーで、近畿2府4県の中学受験率、近年実施校が増えている「午後入試」、「大学附属校」特に関関同立附属校の人気動向について検証しました。

前回のエントリーでは、関関同立附属校の人気が一時期より落ち着いたものになっていることをご紹介しましたが、今回はそれら関関同立附属校からも受験生を奪っているのではないか、と思われる学校とその条件や共通項について見ていきます。

まずは、下の表をご覧ください。

こちらは、今春入試で大阪・兵庫・京都の各府県において統一解禁日の志願者数が前年よりも増えた学校を、多い順にいくつかご紹介しています。

志願者が増えた学校に共通する事柄は何かないかな?と思い、前々年⇒前年の大学合格実績(旧帝大+神戸大の合計、関関同立合計)の推移を学校名・志願者増減の右側の方にくっつけてみました。

すると、すべての学校とまではいきませんでしたが、例えば、難関国公立大である旧帝大と神戸大の合格者数が大きく伸びている高槻中が志願者数を大きく伸ばしていたりと、志願者を増やした学校のうち多くの学校が大学合格実績の点で向上していることがわかりました。

その高槻中ですが、過去からの入試状況についてグラフにまとめてみました。

ご覧の通り、一番入りやすかったと思われる2011年度から一気に志願者数・倍率が上昇しており、今春は3.4倍もの高倍率となっています。これはひとえに、ここ数年の高槻中の大学合格実績の良化が支持されているものです。

特に倍率が高騰したのが後期で、その後期の入試結果は以下の通りとなります。

13年度 受験者数418名・合格者数45名 9.3倍
12年度 受験者数320名・合格者数54名 5.9倍

9倍という恐ろしい倍率がついていますが、前期も恐ろしい倍率となっています。特に、12年度より後期が新設されたことによって前期の募集定員が40名減となっていますので、特にこの2年は難化が激しいものとなっています。

13年度 受験者数430名・合格者数150名 2.9倍
12年度 受験者数386名・合格者数170名 2.3倍
11年度 受験者数339名・合格者数199名 1.7倍

この倍率の高騰が思わぬ所に影響を与えています。そう、「出題傾向の変化」です。かつて以上に今は優秀な受験生が多く集まる入試となってしまっている高槻中では、例えば1点に数多くの受験生がひしめき合うなど、合格・不合格を決めるのにも大変ご苦労されていることと思います。今年の入試では国語で大きな出題傾向の変化があり、受験生を苦しめました。

上の画像は、昨年度である2012年度の前期国語の解答用紙です。

ご覧いただければすぐわかりますが、3~40字程度の記述が3問ほどあり、最後には60字の記述が用意されています。仮に最後の60字の記述問題を取りそこなったとしても、他の問題でカバー出来そうな気がする解答用紙になっています。

対して・・・

こちらが2013年度前期の国語の解答用紙です。前年のものと比べると、3~40字の記述問題が少なくなってしまい、代わりに最後の問題に100字もの記述をさせる問題が登場しています。100字も書かせる、というのは中学入試の世界では中々見かけない問題ですし、こちらの解答用紙を見ている限りでは、この100字の記述を丸々落としてしまったならば他の問題で合格最低点に乗せることが出来なさそうな、そういう感じがします。

大学合格実績の良化が優秀な受験生を呼び、徐々に学校自体のレベルが上がり、ひいては入試問題を難化させないと合否判定に支障が出るような所にまでなり、難しい入試問題を突破した優秀な受験生がまた大学合格実績で成果を出し、それがより一層優秀な受験生を呼び・・・、と大変良いスパイラルに入っていくことになります。

大学合格実績の良化が受験生の数とレベルを押し上げる効果があることを、高槻中を例にとってご紹介しました。

他にも、大学合格実績で評価を得ている学校が多くあります。そういった所の取り組みや今後の展望(つまり今の高3や次に控えている現高2などの大学合格実績予想)等についてもお聞きになった上で学校選びをされると良いでしょう。また、過去に中学受験を経験された受験生やその保護者の方々は、入試の前年の大学合格実績を見て、特に保護者の皆さんが志望校を厳しく選定されていたようです。

次回はこのシリーズ最終回となります。

2013年度中学入試 結果分析③ ~大学附属校の人気動向~

2013年6月15日 土曜日

6月中の毎週土曜日に更新をする5回シリーズとして今春の中学入試結果についてお送りをしています。これまでは・・・

2013年度中学入試 結果分析① ~府県別受験率~
2013年度中学入試 結果分析② ~午後入試の台頭~

の2つのエントリーで、近畿2府4県の中学受験率、近年実施校が増えている「午後入試」について検証しました。

今回のエントリーでは、毎年多くの受験生が志望校として選ぶ「大学附属校」、その中でも特に関関同立附属校の人気動向について検証してみます。

今回取り上げますのは、関関同立それぞれの学校法人が直接設置している学校、もしくは「特定のコースの生徒だけでなく、在籍生のほとんど全員が提携の大学に進学する」といった「関関同立附属校に限りなく近い存在の学校」のみを取り上げて比較しています。

また、比較対象としているのは「統一解禁日 受験者数」としています。例えば同志社系列は各校とも1回しか入試が無いのに対し、関西大学北陽中や関西大学中、立命館中といった所は複数回の入試を実施しています。すべての入試回の受験者数を計上してしまうと純粋な比較になり得ません。よって、今回取り上げる全校が入試を実施している「統一解禁日」のみにスポットを当てました。

まずは、関西大学の附属校3校についての過去5年間の受験者数の推移です。

今春入試では附属3校合計の受験者数が昨年より微増となりました。昨年は大きく減らしたことを考えると、まだまだ全盛期の受験者数にまでは戻っていませんけれども、まずまず良い傾向にあるのではないでしょうか。5年前の2009年度と比較しても約5%の受験者数増加となっており、この後ご紹介する他3大学附属と比較すると圧倒的に良好な受験者動向になっています。

続いては関西学院大学系列3校の動向です。

昨年は関西学院中の共学化初年度で、難化を恐れた受験生が男子・女子とも敬遠をしてしまい、大きな受験者数の減となりました。今年はその反動で受験者数を大きく増やし、附属3校で約12%の受験者数増加につながっています。ただ、この5年間の動向は芳しくなく、5年前から約2割の受験者数減少となっています。

同志社大学系列はいかがでしょうか。

今春入試では昨年度とほとんど同じ受験者数を維持することに成功しています。同志社女子中が大きく受験者数を伸ばしています一方で、特に同志社国際中が30名もの受験者数減となっており、明暗が分かれています。

立命館大学附属3校の動向は大変厳しいものとなっています。

今年度は約12%の受験者数の減、3校すべてで減らしてしまっています。ここ数年は受験生の増減が少なく、「踏ん張っていた」と言える立命館宇治中と立命館守山中ですが、残念ながらとうとう今年度は息が切れてしまっています。長期的に見ますと今回ご紹介している4大学附属の中で最も厳くなっており、5年前の2/3にまで受験者数が減ってしまっています。

上のグラフは4大学附属校の受験者数合計がこの5年間でどのように推移してきたか、を示すものです。

5年前は約3,400名もの受験者数を集めていましたが、今年は2,800名となり、一時に比べて500名もの受験者数が減ってしまっており、率にして16%の減少となっています。

「小6生人口の減少や中学受験率の低下との関係性は?」という疑問もありますので、次のような表を作って検証してみました。

上の表では、統一解禁日午前の総受験者数の何%が(上でご紹介した)関関同立直系附属校とその他全校を受験したのか、を調べたものになります。

2009⇒2010で約300名の受験者数の減少となっていますが、この大半は同志社中・立命館中2校の「併設小 内部進学~」によるものですが、2012年度に関しては特段の理由が無く受験者数が減り、今春はその受験者数を維持した、という流れになっています。

2009年度は18%ちょっとのシェアを占めていた関関同立附属校13校ですが、その率が下がったまま戻ってきていません。

では、どういった学校が関関同立附属校から受験者数を奪っているのでしょうか?それに関しては、次週土曜日のエントリーでご紹介します。

そして、関関同立附属校もこの状況を良しとしておらず、次年度入試に向けて「大きな動き」を見せることがわかっています。こちらについては、来週のエントリーでご紹介出来る予定です。

2013年度中学入試 結果分析② ~午後入試の台頭~

2013年6月8日 土曜日

6月中の毎週土曜日に更新をする5回シリーズとして今春の中学入試結果についてお送りをしています。

前回「2013年度中学入試 結果分析① ~府県別受験率~」では、近畿2府4県の中学受験率について検証したのに続き、今回は近年実施校が増えている「午後入試」について検証してみたく思います。

今春2013年度入試における府県・男女共学別の午後入試実施校数を、過年度の状況と合わせて以下にご紹介します(画像をクリックすると拡大します)。

2年前である2011年度は近畿地区では21校の導入に留まっていた午後入試ですが、今年2013年度入試では42校となり、2年前の倍の学校数となっています。

上の画像は過去4年でどのような学校が午後入試を実施していたか、を一覧にしたものです。赤字で記している学校が、当該年度から午後入試に新参入したことを示しています(画像をクリックすると拡大します)。

3年前は空白が目立つほどの実施校の少なさですが、今年度に関しては欄いっぱいに学校名が並ぶほど実施校数が増えています。今年度より午後入試を、特に初日午後入試を開始した学校が多い中、極めて高い関心が寄せられた明星中と大谷中の入試結果について以下ご紹介します。

明星中では2012年度より「特進・英数のコース制を導入、2次は上位コースの特進のみ募集」という変更をされ、それに続き2013年度はこちらも特進のみ募集となる初日午後入試を導入されています。その初日午後入試であるA午後入試では「受験者数540名・合格者数298名 倍率1.8倍」という高い倍率の入試となりました。

A午後入試を除く既存回では、初日午前で受験者増となっていますが、B日程は日程の移動もあって受験者数が大きく減少し、合格者数も合わせて大きく絞られています。以下、結果です。

A入試
受験者数 昨年225名 ⇒ 今年251名 +26名
合格者数 昨年193名 ⇒ 今年198名 +5名

B入試
受験者数 昨年482名 ⇒ 今年133名 -349名
合格者数 昨年377名 ⇒ 今年55名 -322名

続いては大谷中の結果です。

大谷中では、今春より初日午後に医進のみ募集となる1次Bを新設されていますが、入試結果は以下の通りとなりました。

1次B 受験者数250名・合格者数129名 倍率1.9倍

どうやら、初日午前受験校としては四天王寺中が最も多かったようです。

また、同じ初日午後入試に参戦した明星中との大きな違いとして、大谷中では既存の入試回すべてで受験者数が増加しているという点が挙げられます。以下、入試日程別の昨年度⇒今年度の受験者数の推移です。

1次A 217名 ⇒ 290名 +73名
2次A 278名 ⇒ 280名 + 2名
2次B  98名 ⇒ 105名 + 7名

上の表は、初日午前・午後の両方で入試を実施している学校のうちで代表的な5校について、入試状況をご紹介しています。

ご覧の通り、初日午前の倍率は手ごろ感があるものの、午後になると倍率がとんでもなく跳ね上がっていることがお分かりいただけると思います。午後入試自体は「受験のチャンス」として活用すべきなのでしょうけども、初日午前と比べた時に合格率が大きくダウンしますから、その点を考えて受験先を選ぶ必要が出てくることもお知りおき頂きたいところです。

2013年度中学入試 結果分析① ~府県別受験率~

2013年6月1日 土曜日

2013年度の中学入試が終了して随分立ちますが、ゴールデンウィークを過ぎた辺りから各学校の説明会が行われるようになり、入試結果をお聞きする機会が増えています。

改めて「今春2013年度入試がどうだったのか」を考えるようになり、入試終了直後には見えてこなかったこともこの時期だからこそ見えてくるようにもなっています。

そんなことも含めまして、当ブログをご愛読の皆さまに向け、簡単ではありますが今春の中学入試結果について今回から数回のエントリーに分けてご紹介をしていければと思っています。6月中の毎週土曜日に更新をする、5回シリーズとしてお送りする予定にしています。

今回はまず、近畿2府4県の中学受験率について検証してみたく思います。

まずは、大阪府のデータからご紹介します。

青い棒グラフは当該年度の小6児童数を示し、緑の棒グラフ(ほとんど違いがわかりませんが)はその年度の「統一解禁日 午前」に大阪府の私立中を受験した生徒の数、となります。そして、これら2つの数字を使って出た数値が赤い折れ線グラフである「中学受験率」となります。

不況や公立高校の改革が進められていることもあり、ここ数年は受験率が低下傾向にありましたが、今年度は昨年から少しだけ上昇しています。

兵庫県はどうなっていますでしょうか。

残念ながら、兵庫県では受験率の低下傾向に歯止めがかかっておらず、昨年度から更に0.4ポイントのダウンとなっています。考えられる原因としては、「私立高校在籍者に対する支援制度が大阪府や京都府に比べて充実していない」ことが挙げられます。「生活保護世帯については、国の就学支援金と併せ、全国平均授業料(約36万円)相当額を補助」となるなど、明らかに大阪府や京都府の支援制度と比べて基準が厳しいものとなっています(更に詳しい制度内容についてはこちらからご確認頂けます)。

このこともあって、私立が敬遠されていることが考えれます。

京都府の状況です。

今年度も含め、京都府では過去4年に渡って受験率の低下を食い止めているだけでなく、先にご紹介した大阪府や兵庫県と比べると高い受験率となっているなど、あらゆる面で良い状況となっています。

この3府県も含めた、近畿地区2府4県の受験状況は次の通りとなっています。

今年度の結果では、このようにこれまで低下が続いていた受験率に歯止めがかかっています。

それに加え、こちらのエントリー「大・大・大盛況! 大阪私立女子中学フェスタ」でご紹介をしました通り、大阪の私立女子中が全校集まるこのイベントにおける動員数が大幅に増加しており、来場は「700組弱、2000名ほどだった」との話もあります。

また、この4~5月に受験生向けに説明会やオープンスクール等を開催された学校さん複数にお話を伺ったところによりますと、(お話を伺えた)どの学校さんも「昨年同時期のイベントと比べて来場者数が増えている」とおっしゃっています。

・・・先にご紹介をした「受験率低下に歯止めがかかった」ことと、大阪私立女子中学フェスタに代表されるような入試イベントにおける動員数増加を考えますと、ひょっとすると「中学入試の復活」となるのではないでしょうか?

次年度入試に向けて、学校や学習塾にとっては大変明るい(受験生にとっては歓迎したくないことかもしれませんが)こととなりそうです。

次回のエントリーもお楽しみに。