中高一貫校について

2016年11月8日

1999年から全国的に増えてきた「中高一貫校」についてです。6年という時間を使って子どもの個性や興味・関心などを育てるとされた学校ですが、今では600校ほどに増えています。

 

「中高一貫校」には3種類あります。

①「中等教育学校」=この学校は12歳で入学した生徒が6年間連続で学ぶコースのみの学校です。中学校・高等学校ではそれぞれの時期に検定教科書を使用し指導要領に従った授業が提供されなければいけませんが、中等教育学校ではその順番を入れ替えることが可能です。つまり中学生の時期に高校内容の先取りなど発展的な学習を行うことが可能になります。

公立の中等教育学校については、首都圏では、東京都に8校、神奈川県に2校ありますが、近畿圏では「兵庫県立芦屋国際中等教育学校」と「神戸大学附属中等教育学校」(兵庫県)「奈良女子大学附属中等教育学校」(奈良県)の3校のみです。私立の中等教育学校も、首都圏では8校ありますが、近畿圏では「MIHO美学院中等教育学校」(滋賀県)、大阪学芸中等教育学校(大阪府)、聖心学園中等教育学校(奈良県)の3校です。

②「併設型」=○○高校・○○高校付属中学校、○○中学校・○○高等学校、などの名称を持つ、表面上は中学校と高等学校の二つの学校が併設されている形態です。設置者(私立の場合は学校法人)が同一で、原則的に併設中学出身者には高校入試はありません。制限はありますが、高校内容の先取りが可能となりますのでこちらでの申請を行っている学校も増えてきました。ただ「中等教育学校」の教員は中高両方の教員免許を持っている必要があるなど、許認可のハードルが高いため、実際には中学校で高校内容の先取り教育を行っている「併設型」が多数存在します。

③連携型=特定の中学校が高校と協力関係にあり、教育課程の編成や教員・生徒間交流等の連携を深めるかたちで中高一貫教育を実施するものです。地域枠など高校入学時に優遇される場合もありますが、基本的に高校に入るためには受験する必要があります。たとえば大阪では「大阪府立柏原東高校」や「大阪府立能勢高校」は近隣の中学校出身者に対し、特別の入学枠を設けるなどの連携が行われています。

 

従来型の私立学校に多く見られた「六年一貫教育」は、指導要領に従うのが原則ではありますが、私学の独自性を生かした発展的な内容の教育は行われてきました。その結果、高い大学進学実績を出しています。一方、公立の「中高一貫教育」とは大学合格を目指すという目的ではなかったはずですが、2004年設置の「京都市立西京高校付属中学校」や2008年設置の「大阪市立咲くやこの花中学校・高等学校」が高い大学合格実績を出したことから、公立の「中高一貫校」への期待が一気に高まってきました。京都の2校、大阪の1校、いずれも4.5倍を超える競争倍率になっています。

大阪では2017年、初の大阪府立の(併設型)「中高一貫校」である「大阪府立富田林中学校・高等学校」が誕生しますが、5月に行われた説明会は500名を超える保護者・生徒でにぎわったとのことですので、こちらもかなりの競争倍率が予想されます。「適性検査」の受ける予定のみなさんは、他の公立中高一貫校の過去問などを使った対策をしておきましょう。