大学入試 「超安全志向」を検証する その1

2020年1月7日 火曜日

次年度から予定されている大学入試制度改革の影響で、現在の高3生は浪人を嫌って指定校推薦やAO入試を利用して、早めに進学先を決める傾向が強く、難関校への挑戦を避ける受験生が増えているといわれています。実際、近畿圏では、「関関同立近」の志願者が減っており、実際に近畿大学の公募推薦入試では出願数が大きく減少したとの情報も入っています。そこで、今回は「超安全志向」=難関校の易化、中堅校の難化を検証してみたいと思います。

まだ、実数についてはすべてお知らせできませんが、現時点での当グループからの合格実績を昨年度の同時期と比較してみました。

まず、関関同立に関しては、昨年同時期より約10%増。前年度もその前の年から約14%増でしたので、指定校推薦などの推薦系の入試で年内に合格を手に入れた生徒はここ2年で3割弱増えたことになります。これは予測通りの結果です。この時点で合格が確定すれば、その後の関関同立の一般入試は受験しないので、一人での複数合格はなくなります。

それでは公募推薦入試を比較的大きな規模で行っている産近甲龍に関してはどうでしょうか。 京都産業大学の現時点での合格者数は昨年比128.7%、甲南大学は昨年比100%(つまり同数)、龍谷大学111.1%と確かに好調です。昨年よりも公募推薦入試への出願数も増えています。一方近畿大学は昨年238名に対して今年は231名。昨年比97.1%。確かに減ってはいますがその差はわずか7名と誤差の範囲内です。つまり近畿大学の受験者数が大きく減ったといわれますが、減少したのは合格できない学力層だったのではないでしょうか。出願倍率が低くても、入試は抽選ではありませんので難易度が下がるわけではありません。一方次の学力層の中堅私大に関しては、確かに公募推薦入試の出願数は増えていますが、昨年と同規模の合格者数に合わせるために合格ラインを高く設定すれば、学力層が上位大学の合格ラインと重なることになり、結果的に入学率が低下することになります。したがって追手門学院大学のように校地の移転など外的な要因がなければ一般入試の合否ラインの高騰は考えにくいのではないでしょうか。 因みに当グループからの国公立大学の推薦系入試で既に合格を決めている人数は昨年とちょうど同じ33名です。まだ途中経過ですが、現時点では、受験生の動向は昨年とそれほど変わっていない、というのが私の結論です。

ところで、首都圏「早慶上理」「GMARCH」に関しては、現時点で合格者が昨年比2倍以上になっています。ウチの生徒が優秀になったのか、推薦系の枠が広がったのか、まだ検証はできていませんが、首都圏では何かが起こっているようです。

(その2 は1月13日公開予定です)