私立大学 「定員厳格化」を検証する(2)

2021年7月1日 木曜日

それでは、公立大学の状況はどうなのでしょうか。

実は、地方都市を中心に、私立大学が公立に転換する例が増えており、公立大学の数は2014年の80校から2021年度の90校まで増加しています。従って国立と逆で全体の定員は増えていますので、それに伴って増加しています。特に2018年から2019年にかけて大きく志願者も増えていますので、このデータだけで判断すると、私立大学に制限をかけた効果があったのかもしれません。但し、その効果はその年まで。その後志願者は減少に転じ、2019年には全国平均で4.7倍だった競争率も、4.3倍まで下がってきています。

同じように中四国の公立大学11大学(公立鳥取環境大学、島根県立大学、岡山県立大学、新見公立大学、尾道市立大学、県立広島大学、広島市立大学、福山市立大学、下関市立大学、山口県立大学、高知県立大学。2016年に誕生した、山陽小野田市立山口東京理科大学と医療系の単科大学は除いています)を取り出して、グラフ化してみました。

すると、全体状況と異なり、2014年から下がり続け、安全志向といわれた2020年には増加しますが、再び減少に転じています。どうやら私立大学の定員厳格化で、地方が活性化する、という単純なものでは無かったようです。むしろ追加や補欠合格によって受験生が混乱する弊害も含めて再度議論されたほうが良いのではないでしょうか。