【近畿圏】園田学園女子大学・神戸松蔭女子学院大学の共学化【続々と】その2

2024年3月12日 火曜日

昨年度まで募集のあった全国の私立女子大学69大学を、各地域別にまとめてみました。(元資料は「大学の真の実力情報公開BOOK」(旺文社)の各年度版を参考にしています)

このようにみると全国的に女子大の充足率が下がってきており、2023年度に100%を超えている地域はありません。最も充足率が高い首都圏でも90.1%となっています。但し、全国的に充足率が100%を割ったのは2021年度から、つまりコロナ禍で観光業界、航空業界などが大きな打撃を受け、新卒の採用を取りやめるなど就職動向にも大きな影響がありましたが、「国際」「観光」などの専門分野の定員が多くを占める女子大学は、その影響が大きく出たのかもしれません。また女子大に限らず教員養成系の志願倍率は近年低下していますが、短期大学をルーツに持つところが多い女子大学は教員養成系の定員比率も高く、このダブルパンチを受けたのではないでしょうか。

例えば埼玉県坂戸市にある女子栄養大学は一度も募集定員を割っていませんし、東京都千代田区の大妻女子大学は社会情報、人間関係、家政など幅広い専門分野に多くの学生が入学しています。学芸学部からスタートした同志社女子大学は、情報メディア学科(現在はメディア創造学科)、薬学部、看護学部と社会のニーズに合わせて学部改編を繰り返し、過去6年平均充足率は103.3%と安定しています。つまり共学化すれば受験生が増えるわけではなく、時代に求められる専門分野への転換、つまり学部改編とセットで行うべきでしょう。今回共学化する2大学では組織改編も併せて構想されているようです。今後の詳細発表が楽しみです。

【近畿圏】園田学園女子大学・神戸松蔭女子学院大学の共学化【続々と】その1

2024年3月11日 月曜日

昨年12月に女子大学の募集状況ランキングをこのブログで紹介しましたが、

【2024年度入試では】近畿圏 女子大学 募集状況【どうなる?】その1 « 学校選びの道しるべ|開成教育グループ 入試情報室 学校・入試情報ブログ (kaisei-group.co.jp)

3月に入り、2大学が共学化するとの情報が入りました。

2大学とも以前紹介したランキング外、つまり定員充足率では厳しい状況となっていました。

(元資料は「大学の真の実力情報公開BOOK」(旺文社)の各年度版を参考にしています。今年度の入学者数はまだ確定していませんので、昨年度までの数値を紹介します。)

昨年度まで募集のあった近畿圏の女子大学は17校ですが、園田学園女子大学の定員充足率3か年平均は12位、2023年度は少し盛り返しましたが、それでも未充足の73.2%、一方神戸松蔭女子学院大学は15位、2023年度に42.6%と落ち込んでいました。今年度の入学者数はまだ確定していませんが、このタイミングで共学化を発表したということは、厳しい状況だったのでしょう。

因みに先のランキングで最下位の神戸海星女子学院大学は2023年度には95名募集に対し、入学者が26名、充足率が27.4%となり今年度から募集停止となりました。一方2023年度から共学化した神戸親和大学は女子大時代に6割程度だった充足率が一気に120%を超え、特に265名募集の教育学部には329名、定員の1.24倍が入学しています。兵庫県のこの2大学の明暗がこれらの女子大学への影響を与えたのではないでしょうか。

2022年度には18校あった近畿圏私立女子大学は2025年度には14校となります。(続く)

【17番目の学部】立命館大学 デザイン・アート学部 新設【さらに拡大】

2024年3月6日 水曜日

1913年に法学部と経済学部の2学部で大学としてスタートした立命館ですが、戦後に法学部、文学部、経済学部、理工学部の4学部の新制大学として再スタートしました。その後経営学部と産業社会学部を増やしてから20年以上動きは無かったのですが、ここから急ピッチで拡大路線に入っていきます。

短い期間に学部を増設し、10年前の2014年には13学部、そして今では16学部を擁するマンモス大学となりました。

ひとまずいろいろと揃いましたね、と思っていましたが、何と衣笠キャンパスに「デザイン・アート学部(仮称)を2026年度からの設置を構想しているというニュースが入ってきました。確かに関関同立には芸術分野の学部がありませんので、話題性はあります。どのような先生方がいらっしゃるのか、どのような専攻分野が設置されるのか、今後の発表も楽しみですね。

【南部戦線】桃山学院大学 一般選抜(前期)入試結果速報【異常あり】(その2)

2024年3月4日 月曜日

(昨日の続き)

法学部

昨年は例外でしたが、近年は安定して2倍程度の実質倍率で推移しています。

社会学部

去年の入試統計を見て、狙い目だ!と思っていましたが、一転してどちらの学科も2020年度水準まで高くなっています。今年の受験生にとっては厳しい結果となりました。

経営学部、経済学部

経済学部が2020年度水準になっています。逆に経営学部が2022年度の高倍率で警戒されたのでしょうか、今年もそれほど出願は伸びなかったようです。

ビジネスデザイン学部

募集を開始した2019年度には4倍以上でしたが、ここしばらくは落ち着いた倍率となっています。

今回はまだ合格最低点は公表されていないので、紹介できるのは倍率のみの推移ですが、年内入試からの入学手続き率の影響を受けるなど一般選抜での倍率の乱高下はこの大学に限らず考えられるものです。次年度以降の受験生は志望する学部だけを狙うのではなく、隣接分野も併願日程の中に入れるようにした方が良いでしょう。

【南部戦線】桃山学院大学 一般選抜(前期)入試結果速報【異常あり】(その1)

2024年3月1日 金曜日

大阪府南部、和泉市にある桃山学院大学は、関西人ならご存じタージンの母校、といえば楽しそうなイメージになりますが、くら寿司の創業者社長である田中邦彦氏や王将フードサービスの現社長渡邊直人氏などビジネス界の大物も輩出するなど、国際系、ビジネス実務にも強いとされる大学です。2019年度のビジネスデザイン学部の開設、2022年からの社会学部社会福祉学科からソーシャルデザイン学科への変更、2025年には桃山学院教育大学を吸収する形で人間教育学部の設置を予定、理工学部の設置も構想中など、進化が続いている大学です。

今年の入試統計の速報が公表されましたので、かつてはA日程といわれていた一般選抜(前期)の実質倍率の推移についてまとめてみました。

まず、全学の平均値。

入試の回数や年内入試へのシフトなどで簡単に比較はできないのですが、2020年度入試から低下が続いていた平均倍率が今年大きく跳ね上がっています。

国際教養学部

コロナ禍以降、どの大学もこの分野は志願動向が低めになっていますが、桃山学院大学でも影響が有ったのかもしれません。(続く)

関西大学 オープンキャンパス2024

2024年2月29日 木曜日

昨日まで関西大学の入試統計について紹介しましたが、ひとまず関西大学ってどんなところだろう、という高校生もいらっしゃることでしょう。

そんなあなたのために、3月にオープンキャンパスが開催されます。

全体的な説明はもちろん、キャンパスツアーや220万冊の蔵書数を誇る図書館見学、保護者対象説明会など盛りだくさんな企画になっているようです。2025年に開設予定の「ビジネスデータサイエンス学部」についても教えてもらえるかも。

参加者登録制となっています。ご覧の二次元コード、または大学HP(Kan-Dai web)をご覧ください。

関西大学 2024年度入試統計より 【理系】

2024年2月28日 水曜日

関西大学の理系学部は実質倍率と合格最低得点率に相関があり、人気が高い募集単位の定員をもっと増やせばいいのに、と思いますが、そんな簡単なものではないのでしょう。

それはさておき、今年の最難関は環境都市工学部の建築学科でした。得点率2位のシステム理工学部電気電子情報工学科を5%以上引き離してぶっちぎりのトップです。近年理系の情報系学部の人気も上昇中ですが、ものづくりに関わりたい受験生が増えるのも喜ばしい事です。一方で環境都市工学部のエネルギー環境・化学工学科や化学生命工学部の化学・物質工学科、システム理工学部の物理・応用物理学科の3つの募集単位は、昨年に続いて実質倍率、合格最低得点率共に落ち着いた状況となりました。こちらも就職も含めて将来性のある分野だとは思うのですが・・・

というわけで、次年度受験生となる皆さんは、これらの入試データも参考に、志望学部・学科を組み立ててみましょう。

関西大学 2024年度入試統計より 【文系】

2024年2月27日 火曜日

2月で一般募集が終了した関西大学から、入試統計が届きました。今後補欠合格が発表される可能性がありますが、ひとまずの速報値となります。

これを元に、合格最低得点率の、2月1日から7日の全日程の平均値と実質倍率の相関をグラフに表してみました。

今年は文系で最も合格最低点が高かったのは外国語学部。3か年通して実質倍率、合格最低得点率共にほぼ変動はありません。一方で今まで高め安定だった社会学部に異変が生じています。2022年度には69%を超える得点率が必要でしたが、2023年度には61%と急落、今年は実質倍率が5.8倍に急増しましたが、合格最低点はほぼ同じ。つまり高学力層が戻ってきていない様子がわかります。

昨年、文系で最高倍率と厳しい入試になった法学部ですが、今年は2022年ほどではないにせよ、合格最低得点率は62%、実質倍率も4倍と落ち着いた状況になっています。

近年は教員養成系の志願者が全体的に減少していますが、関西大学でも例外ではなく、文学部の初等教育学専修は昨年度よりも実質倍率、合格最低得点率共に低下しています。(続く)

【見てみよう】武庫川女子大学 建築学部 建築学研究科 作品展 卒業設計展【行ってみよう】

2024年2月26日 月曜日

昨年もこのエントリー【女子に限らず】武庫川女子大学 建築学研究科 作品展/建築学部 卒業設計展【見てみましょう】 « 学校選びの道しるべ|開成教育グループ 入試情報室 学校・入試情報ブログ (kaisei-group.co.jp)で紹介した武庫川女子大学の建築学部ですが、今年も作品展、卒業設計展が開催されます。

一畳分の製図台が占有できるという恵まれた演習環境と、大学院卒業と同時に一級建築士資格が手に入るカリキュラムが自慢の武庫川女子大学建築学部ですが、そこで磨き上げられた学生さんたちの実力も素晴らしいものです。と文章で書いても伝わりませんので、学年末試験が終わったら、阪神香櫨園駅(こうろえん=阪神西宮駅の隣の駅)近くの西宮市民ギャラリーまでお出かけください。

因みに、3月23日には建築学部のオープンキャンパスも開催されます。詳しくは大学HPをご確認ください。

【スクープ】追手門学院大学が 産業技術短期大学と法人統合か?【理工学部ロケットスタート!】

2024年2月15日 木曜日

「学校法人追手門学院(大阪市中央区、理事長:田口順一)と学校法人鉄鋼学園(兵庫県尼崎市、理事長:友野宏)は、2025年4月の両法人の統合を目指した協議を始めることに合意し、基本合意書を締結しました。 統合後の名称は学校法人追手門学院とし、産業技術短期大学は存続します。」

(大学HPより一部引用)

産業技術短期大学は鉄鋼の製造や流通の業界団体である日本鉄鋼連盟が1962年に設立した「機械工学」「電気電子工学」「情報処理工学」「ものづくり創造工学」の4つの学科を持つ、日本には他に例のない技術系の短期大学です。 高校卒業の学生 に加え企業派遣の社会人が共に学んでおり、企業と深い関係があります。2年間で製造業に特化した学びができる環境なのですが、環境問題の高まりや年々加速するDXに対して社会科学や人文科学といった文系分野への広がりも欲しいところです。

一方の追手門学院大学は理工学部の開設に向けて現在準備が進められているわけですが、新たな教授陣の組織や、就職支援も含めて理系分野での産学共同の構築など、学生募集以上に大変な課題が山積みになっているはずです。

今回の協議が進むことになれば、産業技術短期大学にとっては今まで以上に幅広い学びの場を提供できます。さらに追手門学院大学の理工学部開設にとっても大きな追い風となることは間違いなく、これをきっかけに広がる企業との関係は、既存の文系学部の学生の就職にとってもプラスにはたらくのではないでしょうか。

今後の発表に注意しておきます。