AO入試も学力試験義務化 国公私大、平成32年度から(文科省方針)

2017年5月12日 金曜日

「文部科学省が全国の国公私立大に対し、書類や面接で選考するアドミッション・オフィス(AO)入試や推薦入試でも、平成32年(2020年)度から学力をみる試験の実施を義務付ける方針を固めたことが10日、同省への取材で分かった。入学者の一部に学力不足が指摘されており、一定の学力を求めるのが狙いという。(5月11日 産経ニュース)」

 

定員の半数以上は一般入試(学力検査)で募集しましょう、というのが文部科学省の既定方針ですが、実際には私立大学全体では一般入試での入学者率が2015年度で48.7%と半数を割り込んでいるのが実情です。中には10%を下回っている大学(つまり推薦入試で入学している学生が9割以上!)もあります。もちろん公募推薦のように学力試験を行う推薦入試もありますし、高校での成績が優秀であった、スポーツなど特技が認められたなど、推薦に値する学生も数多くいるとは思いますが、基礎学力を問われずに入学している学生も多数存在していると思われます。2006年から全国の全日制の高校約5,200校に「指定校推薦枠」をばらまいたという不思議な大学の場合は、もはや生徒を選抜しているのではなく、単に募集しているといわれても仕方がないと思います。

大学の先生方の中にも、授業についてくることができない学生が増えた、授業レベルを下げなければ理解してもらえない、といった声が聞かれます。中には私語を注意しながら中学校内容から説明をしなければならない授業もあるのだそうです。大学の先生も大変です。

学生にとっても、せっかく時間とお金をかけて大学に行くわけですから、それなりの教育水準は維持してほしいと感じていると思います。そのためにも入学時にも学力試験をかならずやりましょう、という今回発表された方針は歓迎されるのではないでしょうか。

しかし、学力試験を行うことで学生募集が苦しくなる大学は、さらにさまざまな広報戦略が求められることでしょう。