大学「定員厳格化」を考える①

2017年5月29日 月曜日

今春の入試では文部科学省による定員の厳格化によって、大規模大学の多くは合格者の絞り込みを行いました。関西でも前年よりも12%も減らした立命館大をはじめとして、関西学院大が約9%減、関西大・同志社大が約5%減といずれも厳しい入試となりました。

文部科学省が打ち出した定員厳格化というのは、「経常費補助金」(私学助成)の交付と、新設学部の許認可という2本の縄で大学を縛ろうというものですが、そもそもその効力はどの程度なのでしょうか。

まず、平成27年度に各大学に交付された「経常費補助金」の金額を調べてみました。
(http://www.shigaku.go.jp/s_kouhujoukyou.htm 私学事業団のHPを参照)
全国566大学のうち、その金額の上位20位までをリストアップしてみました。(近畿圏の大学名を黄色に塗っています。)ご覧のように関関同立と近畿大学だけがランクインしています。ここからも近畿大学は「産近甲龍」というグループではないことがわかります。それはさておき、たとえば20位の同志社大は約28億円の補助を受けています。金額としては大きいと思いますが、もしこの金額が入らずに、次の年度の学部学生が均等に負担したとすれば、と仮定して学部学生の人数で除してみますと、ひとりあたり10万4千円ほどになります。つまり、同志社が授業料をひとりあたり年間10.4万円値上げすれば補助金は不要だともいえますし、その金額の値上げ程度で天下の同志社大への志願者が減るとは考えにくいので、「文科省の縄」の1本目は結構細いといえるでしょう。
さらにその学生一人あたりのインパクトが少ない大学ランキングも作ってみました。(学生一人当たり5万円以下の大学)

大阪府摂津市の大阪人間科学大学は、学生一人あたり約2万1千円、補助金合計で2687万円、(566校中554位)しか交付されていません。この大学の初年度納入金は、約133万円~169万円ですので、この交付金は20名の新入学生の学費にも満たない、大学経営にほとんどインパクトの無い金額だといえます。

(続く)