現役で医学部に入りたい方にお勧めの高校は②

2019年4月8日 月曜日

まだ、2019年度入試の集計ができていないので2018年度の実績値を元にランキングを作ってみました。現役合格数を卒業生数で割った値で並べています。(データは「サンデー毎日」掲載の数値を元にしています)

(1位から10位)

 

1位 兵庫県の灘高校 浪人を含むと4割ほどが国公立の医学部です。それ以外の大半は東大が京大に合格しています。先生から聞いた話ですが校内のネットワークがダウンした時、生徒が自主的に接続機器のプログラムを書き直して復旧させたそうです。頼りになるなぁ。

2位 愛知県の東海高校 あの、ほぼタレント化した予備校講師の出身校ですが、名古屋大学医学部での圧倒的なシェアで2割近くが現役で国公立医学部合格。卒業生数が灘の2倍近くですので実数では全国一位です。

3位 福岡の久留米大附設高校 こちらは九州大学に20名という大量合格を含む55名、現役でも33名という数値です。男子は寮がありますから福岡だけでなく、九州全域から優秀生を集めてのランクイン。5位のラ・サールと合わせると九州大医学部の約3割(定員111名を占めていることから、九州のこの2強が実績を分け合っている状況がわかります。長崎大医学部など九州の医学部がむつかしいのはその影響でしょうか。(続く)

現役で医学部に入りたい方にお勧めの高校は①

2019年4月5日 金曜日

まだ、少し寒いですが、各大学では入学式シーズン。受験勉強が終わった新入学生はあわただしい中でもほっとしている頃でしょう。私立大学の定員厳格化やここ数年の国際系、経営・経済系の人気上昇などで、専門分野による難易度の波はあるものですが、その中で今も昔も最難関であり続けるのが「医学部医学科」です。その医学部医学科は私立と国公立で授業料の差が大きいのでも知られています。正確には国公立はどの学部でも授業料は年間53万5800円(2018年度)が基本となっていますが、医学部医学科だけはそれに加えて実習費が4~15万円ほどかかる大学もありますので、最大でも年70万円ほど。一方私立は最安値の国際医療福祉大でも年間300万超、川崎医科大は788万円ほどになりますので、6年間で国公立との差は4000万を超えます。

この4000万を節約(?)するために3年間に1日余計に5時間勉強し、無事国公立に合格したとすると時給は4000万円÷1825時間=2万円!となりますので、頑張り甲斐もあるというものです。

とはいえ、勉強の方向性を誤るとそうはならないわけで、やはり学校としての経験値の高い、すなわち現役での医学部合格率が高い学校に進むのが手堅いといえるでしょう。(続く)

【えらいことに】常翔学園 2019年度大学合格実績【なってます】

2019年4月3日 水曜日

その昔、大阪工業大学高校という男子校で、漫才の西川のりお師匠もそのころに卒業したはずですが、50年近く前に共学化しています。その後2003年から普通科のみ、つまり進学校として特化し始め、2008年からは「常翔学園」と改称、2010年には新校舎完成、2011年から中学募集を開始、ICTを活用した公開授業を行うなどここ10年間に急速に進化を遂げています。

今年(2019年度入試)は中学募集3期生を含む大学合格実績の速報が届きました。

まず、中学3期生の82名の実績から・・・

 

京都大学1名、大阪大学3名、医学部医学科2名を含む、なんとほぼ半数が国公立に合格しています。初年度の国公立14名も立派な数値だと思っていましたが、2期生、3期生ではその2倍以上と急激に伸ばしてきています。

高校からの入学者を足すとなんと国公立合格127名と初の3桁。省庁大学校を除外しても90名を超えています。阪大の7名のうち、3名は「世界適塾入試」という推薦入試での合格とのことですから、一般入試に向けた厳しい指導というより、生徒の興味関心を最大限伸ばすという教育活動も併せて行われたということでしょう。

もはやルーツである大阪工業大学や同じ法人の摂南大学・広島国際大学の付属高という位置づけではなく、独立した進学校への変身に成功した一つの例だといえるでしょう。

京都 私立中学校フェア 2019

2019年3月26日 火曜日

例年行われている京都の私立中学校合同イベントの案内が届きました。今年の京都の私立中学校入試は盛り上がりを見せましたが、新たな教育方法や設備を取り入れつつ進学校としても実績を出し、それぞれの学校の伝統や文化を教育に生かしている学校の多い京都の私立中学の評価は高く、京都市内だけでなく、周辺地域からの流入も増えているのではと思います。

(クリックするとPDFが開きます 裏面も御覧ください)

こちらはすべて説明会方式です。つまり決まった時間に決まった部屋に行く必要がありますので、事前に計画を立てておきましょう。例えば男子校を考えているご家庭の場合は10時からD会議室の東山、11時から7階(一つ上の階)に上がって洛星、と決めておいて、それ以外の時間に共学校を聞いてみる、という感じでしょうか。女子の場合は10:00からB会議室のノートルダム、京都女子、同志社女子、と3校連続で女子中の説明を聞いて、次は共学校5校のうちどれかを聞いてからB会議室に戻って平安女学院、次は7階で同志社中(今年の幹事校)の説明を聞いてからちょっと休憩、13:30からC会議室の京都光華、14:00からの京都聖母、最後にもう1校聞くという計画を実行すれば一日で9校分の情報を収集することができます。実際これだけ続けて聞くとハードだと思いますが各学校を回るより効率的ですので、まずは朝10:00、メルパルク集合でお願いします。

首都圏高校・中高一貫校 難関国立大占有率ランキング

2019年3月25日 月曜日

今年もそろそろ週刊誌に大学の合格実績の高校ごとのランキングが発表される時期になってきました。今回は首都圏の学校についてのランキングです。東大の合格者数では圧倒的な強さを誇るのは「開成」です。受験の世界では最難関である東大理科Ⅲ類に10名(うち9名が現役!)をはじめ、理科Ⅰ類に79名、文科1類に29名など合計で187名の大量合格を果たしています。ただし、卒業生が400名を超えていますので、卒業生数が163名の筑波大附属駒場の東大合格者数は113名と少ないのですが、占有率(合格者数/卒業生数)に直すと、筑波大付属駒場のほうが上になります。(といってもどっちもすごいんですけどね)東大だけでランキングを作ると上位の数校しか意味のないランキングになるので、東大を含む旧帝国大学7校に一橋、東工、神戸を加えた10大学の占有率でランキングを作ってみました。

すると御覧のように7位に西大和(奈良)、11位の北嶺(北海道)、33位の海洋中等(愛知)、35位の愛光(愛媛)といった寮のある地方校もランクインしています。また、公立の中高一貫校(都立小石川中等教育や茨城県立並木中等教育など)も上位に来ています。かつて東大合格などのエリート養成は私立の独断場でしたが、公立も頑張っていることがわかります。もちろん県立浦和や県立千葉など近郊のトップ校は今も昔も健在です。

これらのデータも首都圏での中学校選びの参考になるのではないでしょうか。

 

(元データは『週刊朝日』平成31年3月29日増大号)

京都女子中学校 新たな入試方式導入

2019年3月20日 水曜日

京都女子中学校から、5月・6月のオープンスクールの案内が届きました。

なるほど、今年も科目ごとの体験授業やクラブ見学が行われるだなぁ、教科ごとのテーマも面白そうだなぁ、と感心しながら、ぼーっと生きておりましたが、おや、左端の少し上に「新タイプの入試 キュリアス入試 はじめます」という見慣れない(?)文字が・・・。京都女子中は入試方式や日程を変えないものかと思っておりましたが、なにやら次年度は動きがありそうです。

キュリアスとは「curious」のことかと思いますが、そうだとすれば「好奇心のある」という形容詞です。好奇心を測る入試ってなんだろ、思考力型?表現力重視型?と考えているうちに詳しく聞きたくなってきました。5月のオープンスクールに保護者のフリをして潜入しようかしら。(嘘です。ばれます。そもそもここに書いている時点でダメです)という冗談はさておき、本当に5月・6月の説明会ではそちらの紹介もあるそうですので興味のある方は参加してみてはいかがでしょうか。申し込みは学校HPからどうぞ。

追手門学院中学校 入試関連イベント

2019年3月8日 金曜日

大阪府茨木市の追手門学院は駅から少し距離があり、スクールバスが必要でしたが、以前このエントリーでもご紹介したとおり、大学の一部と中学校・高等学校が駅から徒歩圏内に移転します。現在建設中で、建物は姿を現し、最後の仕上げに入っています。周りの道からも大きな建物もそびえたっているのが見えます。

下の画像のように、豪華クルーズ船のような新校舎の完成予想図が送られてきましたが、特徴的なのはその外観だけではなく、新たな学びに対応したレイアウトや設備などが準備されるとのことです。

そのお披露目会も含めて、主に土曜日を使っての入試関連イベントが開かれます。

小学生と保護者の皆さんは、学校のホームページで詳細を確認の上、一度見に行ってみましょう。

 

 

 

松蔭中学校・高等学校にお邪魔してきました(その4)

2019年3月7日 木曜日

松蔭中学校の入試では英語を選択することも可能になっています。つまり、ある程度の英語力のある生徒さんも入学するわけです。そこで中1英語を担当なさっている先生は、英語力に差のある生徒さん方への対応がむつかしいだろうな、と思っていましたが、中1段階から二つの「ストリーム」と呼ばれる別カリキュラム集団に分けるという改革を行うそうです。英語以外の科目で入学してきた生徒さんには初歩からの英語を、英語で入学してきた生徒さんにはそれ以外の科目の授業を強化するというのは合理的ですね。それに伴い、高校のコース分けも1年間前倒しされ、英語力がもともとある生徒さんには英検準1級を、そうでない生徒さんにも英検2級レベルの英語力養成を行おうというものです。

途中でコースを変えることができるのか、コース分けの基準は、などといった詳細は今後検討の上、発表されるとのことです。学校HPで説明会の日程などご確認ください。4月、5月の説明会については事前申し込みは不要とのことです。

松蔭中学校・高等学校にお邪魔してきました(その3)

2019年3月6日 水曜日

図書館も行ってみました。生徒さんを本に引き付ける工夫が半端ないです。

手書き手作りのポップで満ち溢れています。文字の本だけでなく、漫画も含めてテーマごとの展示やドラマや映画の原作コーナーなど思わず手に取るきっかけを作る工夫を見て、以前このエントリーで紹介した近畿大学のアカデミックシアターを思い出しました。見学していると司書の先生が「松蔭中高図書館案内」というパンフレットを下さいました。図書館専用のパンフレットがあること自体驚きですが、蔵書も102,365冊、CD1,457枚、レコード2,632枚、雑誌約50タイトル・・・などなど図書館を大学と共用していない中高としてはおそらくトップレベルの点数です。

文庫・新書コーナーも充実しており、岩波ブックレットは刊行されているすべてが所蔵されているとのことで(「ここは国立国会図書館か?」と心の中で突っ込みを入れたあなたは図書館関係者)基本はNDCの分類法に従っていますが、このコーナーは独自の分類番号(筆者を頭文字のアルファベットと数字で表記されたもの)によって整然と配架されています。カード式の目録はありませんが、OPAC端末が導入されていますから不要なのでしょう。これらの膨大な蔵書と最新の検索システムを導入するためにはそれなりの予算が必要だったはずですが、読書量を通して思考力と表現力を育成しようという学校の姿勢が明確に表れているように思えます。ちなみに4名の司書の資格を持つ先生が常駐していらっしゃるとのこと。うらやましい限りです。

50冊以上読んだ生徒さんには「ゴールドカード」と「オリジナルブックカバー」がプレゼントされるそうです。いいなぁ。(続く)

松蔭中学校・高等学校にお邪魔してきました(その2)

2019年3月5日 火曜日

英語教育にも力を入れており、ネイティブの先生も数名いらっしゃいますし、オンライン英会話を行うためのパソコンルームも完備されています。日本語禁止の部屋はカーペットが敷かれていてリラックスできるようになっていますが、この4名はお行儀よく正座しています。

文系のイメージの強い学校ですので、ここまでは想像の範囲内ですが、実は理科の実験室は4つあり、実験助手も常駐でそれぞれ活用されています。

化学実験室には島津のドラフトチャンバーが鎮座。(ここで、「おーっ」と心の中で叫んだあなたは化学系)ガラス棚には色とりどりの金属塩の入った瓶が化粧品売り場のように整然と保管(というより展示?)されています。

地学の部屋には小型プラネタリウム(これは折りたたまれている状態)と天体望遠鏡2種(反射と屈折)と鉱物標本がありました。学校内に合宿所もあるらしく、お泊りの天体観測会も行われたとのことです。学校外に宿泊所を持っている学校は少なくありませんが、寮のある学校を除いて、京阪神の中高で学校内に合宿所があるのは私が知る限り、大阪星光とここだけです。(学校の先生方への業務連絡です。うちにもあるよ、という情報があればお知らせください)

さすが女子校らしく家庭科関連も充実しています。こちらは被服の部屋。ミシンやアイロンが整然と置かれています。

授業中の美術室です。全員美大志願者かと思うくらい真面目に課題に取り組んでいます。こんな整然とした美術の授業を見るのも初めてです。廊下には外部の美術展で入賞した作品が展示されていました。今の美術の先生も精力的に創作活動を続けている芸術家だそうですが、戦前の一時期、かの小磯良平氏もここで講師をしていたそうです。ちなみに校歌の作曲者は「赤とんぼ」「うさぎのダンス」の作曲でも有名な山田耕筰氏というハイスペックぶりです。

やはり伝統校としての蓄積でしょうか、人文科学、自然科学、社会科学、芸術、生活力の何かに重点を置いて伸ばすのではなく、人として全部養成しようという体制が出来上がっています。大切な哲学も中1から高3まで設置されている聖書の授業を通して育成していくという徹底ぶりです。(続く)