2017年度大学入試 学部・系統別志望動向

2016年12月8日 木曜日

大学入試の志望動向についてです。今年の大きなトピックは近畿圏国公立に関しては大阪大学の後期試験廃止、神戸大学の改組などが発表されていますが、学部系統別の志望動向はどのようになっているのでしょうか。全国で42万7千人が受験した、第1回ベネッセ駿台マーク模試のデータを元に見てみましょう。(横軸の目盛は、前年度を1としたときの次年度の志願者数割合です。つまり「1」は志願者数が昨年と同数、という意味になります。)

まず、国公立についてです。

2015年から2016年の動向と2016年から2017年度入試(今回のデータ)を並べてグラフ化してみました。また、単年度の推移では全体動向がわかりにくいので、2015から2017への変動もグラフ化してみました。棒を赤色で表示しているのは2年間で1倍を超えている学部・系統です。

御覧のように、文系で増加している系統が多いことがわかります。しかし、国公立では文系学部の定員減の傾向にありますので、文系にとっては例年より厳しい戦いになりそうです。(河合塾は、今のような、文系の人気は増加しているが、定員が縮小していることを「文高理低・文縮理拡」と表現しています。)

また、国際関係学系統が2年連続で伸びており、受験生のグローバル化への関心が高まっていることがわかります。しかし、ここも国公立での国際関係系の大きな定員増はありませんので、純粋に難易度が上がると考えられます。

私立大学についても同様のグラフを作成してみました。2年累計ではこの模擬試験受験者が106.8%と母数そのものが増加していますので、106%を超える学部・系統のみに赤色を付けています。こちらでも「文高理低」の傾向がはっきり出ています。好況感から経済・経営・商学系も安定して上昇してきています。経営学、経済学、商学は重なる部分も多い学問領域ですが、近年では就職に有利なイメージが強い「経営学」の人気が高く、難易度も高めとなっています。歯学系統が高めになっているのは、都市部では歯科医師が飽和しているなどから近年低めで推移していた反動で昨年度増加していますが、今年度は逆に反発して低めとなっています。

国際関係系は国公立同様人気分野となっていますが、語学は低くなっています。これは元々私立の方が語学系統の学部・学科が多く、志願者数も多かったわけですが、グローバル化の関心とともに、語学力だけでなく、国際政治などにも興味を持つ学生が、語学系から流れたと考えられます。海外語学研修などで学費以上の費用が必要になる大学もありますが、ねらい目になる語学系学部も出てくると思います。

いよいよ私立一般入試の出願となります。併願校出願などの参考にしてみてはいかがでしょうか。