京大現役合格者が伸びた学校

2016年12月15日 木曜日

昨日の東京大学に引き続き、今回はこの10年間で、京都大学現役合格者を増やした学校のランキングを紹介します。(「高校の実力」2016年完全版 毎日新聞社より)

同じく表の中で学校名を黄色に塗っているところは私立の学校です。

           

昨日の東大と異なり、京大では公立高校の躍進が目立ちます。特に2011年から文理学科を設置した大阪府立の双璧、キタの「北野」、ミナミの「天王寺」がそろってランクインしています。京大に限らず、現役合格の割合も上がっているようです。また、2004年から附属中学校が併設された京都の公立「西京」、「洛北」も、2011年にはすでにその効果が出ていることがわかります。「神戸」の伸びも神戸第一学区が2005年度、芦屋学区と合併し、内申に絶対評価を取り入れるといった入試改革が行われた時期と重なっています。このように、公立高校の大学入試実績は制度上の変更と連動して変化していることがわかります。

一方、医学部や首都圏への進学志向が強かった名古屋のトップ校「東海」では、研究者志向が強い生徒の増加で、京大人気が高まったようです。首都圏からの唯一ランクインしている「女子学院」もリベラルな校風が、自由な研究活動を行っているイメージが強い京大とマッチしたらしく、近年志願者が増えているとのことです。

公立校が躍進している中、進学準備に向けた補習や講習を充実させている私立の「大阪桐蔭」、「開明」が伸びています。特に「開明」は2001年から中学から順次共学化しましたので、2006年の実績は男子校最後の数値となります。共学化と併せて行った学校改革が進学実績に結び付いたといえるでしょう。

直近の大学合格実績だけではなく、その経年変化とその背景を併せて見ることも、学校を選ぶ一つの方法だと思います。

 

東大現役合格者が伸びた学校

2016年12月14日 水曜日

この10年間で、東京大学現役合格者を増やした学校のランキングを見つけましたので、紹介します。(「高校の実力」2016年完全版 毎日新聞社より)

表の中で学校名を黄色に塗っているところは私立の学校です。10年前の2006年度入試と比べて、2016年度入試までの増加数でのランキングです。これは伸びのランキングですので、たとえば毎年100名以上の現役合格者がいる開成や筑波大付属は10年前から同レベルの実績を上げているのでランキングには入っていません。

この表を見ると、まず、私立の中高一貫校で伸びている学校が多いことがわかります。この学年は中学校入学時がリーマンショック後でしたので、私立中学の受験者が減った世代ですが、特に首都圏の私立難関校ではあまり影響が出なかった、または逆に他の私立中学・高校との差別化を図るために進学実績を上げるための改革が行われたと考えられます。

一方、近畿圏から唯一ランクインしている灘高は、元から京大への合格者が多い学校ですが、東大シフトが進んだと考えられます。受験時に学部や学科を決めなければいけない京大より、大学入学後に専門分野の選択ができる東大の方が魅力的に見えた受験生が増えたのかもしれません。

このように近年伸びてきている学校は、まだ中学受験時の偏差値が上がりきっていないところもありますので、受験校選びの材料にしてみてはいかがでしょうか。

 

答案作成練習会(立命館大学)実施報告

2016年12月13日 火曜日

以前、このコーナーで私立大学受験向けイベント「関関同立 英語答案作成練習会」が12月4日、12月18日に開催されるとお知らせしましたが、そのうち12月4日の立命館大学対策の様子をお伝えします。

 

今回は、「個別指導学院フリーステップ」が立命館大学衣笠キャンパスをお借りすることができましたので、実際の試験会場となる大学の教室で、答案練習会を行うことができました。

大学の中にフリーステップののぼりを持った案内スタッフが随所に立っています。奥に見える時計のある建物は、「存心館」という法学部が主に使っている建物です。

 

今回の「答案作成練習会」で使わせていただいた「清心館」は主に文学部が使っている建物です。教室の前に立って説明しているのは大学の先生ではなく、わが社の社員です。

 


このイベントでは、まず生徒が英語の答案を本番と同じ制限時間で解きます。その後、生徒一人に先生が一人ずつ横に付いて、個別に問題を解くときの順序や、大問ごとにかかった時間の聞き取りなどをしながら、最適な作戦を作り上げていきます。

 

たった一日での練習会ですが、最初よりも最後には平均点も上がり、成果が出たことが証明されました。しかし中には得点が思うように上がらなかった生徒もいましたが、問題傾向に慣れることによって、本番ではもっと得点できそうだという実感を持ったようです。

 

今回は100名以上の生徒が参加してくれましたが、2月の受験本番では、今回の成果を生かして全員の合格を祈っております。

 

今回参加していない大学受験生も、このイベントを参考に、受験する大学の過去問演習に加えて、解答順序や所要時間などの作戦を立ててから試験に臨むことをお勧めします。

(「関関同立英語答案作成練習会」は塾生向けのイベントですが、18日分も申し込みは終了しています。ご了承ください。)

 

男子と女子の大学進学率の違い

2016年12月12日 月曜日

日本では、女子には教育の機会が少なく、特に女子が学ぶことができる高等教育機関も少なかった時代があります。今では大学は男女どちらでも入学でき、むしろ「女子大」はあっても「男子大」はありませんので女子の方が大学進学の選択肢が多いといえるでしょう。しかし、多くのマンモス大学では女子よりも男子学生の数が多いですし、特に理系分野では男子の割合が高くなっていますので、男子の方が大学に進学する率が高いというイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。

 

さて、それでは実際の進学率はどのようになっているのかをグラフにしてみました。データの出展は文部科学省生涯学習政策局政策課調査統計企画室発行の「平成27年度学校基本調査速報」です。(この統計は「大学」に短期大学も含みますが、平成28年度の大学の学部学生数、約255万人に対し、短期大学の本科生は約13万人と規模が全く違いますのでそのまま利用します。)

 

御覧のように、男子の方が4ポイント以上低くなっています。実は女子の割合が1955年(昭和30年)には12.4%だったのですが、現在では学部学生に限っては43.8%、専攻科や別科では55%を超え、短大では94%と圧倒的に女子の割合の方が高くなっています。

 

男女別にベスト10の都道府県を並べてみました。男子の1位は京都、それに対し女子の1位は東京。東京には規模の大きい女子大が多いのも理由の一つでしょうか、7割以上の高校生が大学への進学を選んでいます。奈良は男女で10ポイント近い差がついています。西日本唯一の国立女子大である奈良女子大があるなど、女子教育に関心が高い地域だといえるでしょう。

 

男子と女子の割合を合計した順に並べ、グラフ化してみました。

やはり上位には大学そのものが多い都市部が並びます。近隣に大学が少ない地域では、進学するためには一人暮らしのための費用が必要になるなどの理由も考えられます。しかし、地方の大学がそれによって競争倍率が高くなっているかといえば、むしろ逆で、都市部のマンモス大学志向が強くなっているといえます。

文部科学省はマンモス大学の定員厳格化によって地方大学の入学者を増やし、地方活性化につなげようと考えているようですが、インターネットやスマートホンの普及などで、情報の地域間格差は少なくなっているといわれます。地方の特色を生かした独自の研究活動を行っている良い大学がありますので、今後は地域による差も、次第に縮小してくるのではないでしょうか。

 

大学入試 公募制推薦入試の結果について

2016年12月9日 金曜日

ここ数日、11月の試験日程が多い「公募制推薦入試」の合否発表が行われています。「併願」出願ができる公募制推薦を利用して、一般入試の受験負担を減らそうという受験者も多く、近年人気が高まってきています。ここで合格を一つ確保して、ほっとしている受験生もいることでしょう。

 

大学入試の全体動向としては「文高理低」だといわれていますが、公募制推薦入試の場合は一般入試のように複数出願が日程的に難しいため、一部の学部や学科に志願者が集中し、同じ大学でも難易度の差が拡大する傾向にあります。

 

たとえば、摂南大学公募制推薦B日程の実質競争倍率と合格最低点を見てみましょう。文系では、法学部で3倍程度、外国語学部は2.5倍程度。合格最低点(得点率)も65%以下とお手軽感が出ていますが、経営学部では評価方式によって差はありますが、5.6倍から7.0倍、合格最低点も66%から75%と難易度が高くなっています。理系でも生命科学科が3倍以下、合格最低点も64%以下なのに対し、建築学科は9.9倍、合格最低点も68.3%から73.3%とかなり厳しくなっています。
 

つまり、公募推薦で不合格になってしまった場合でも、他の学部や評価方式なら合格をもらっていた可能性もあるわけですから、志望校をワンランク下げるのではなく、一般入試に向けて、得意科目の得点が有利に判定される方式を選ぶなどの作戦を立ててはいかがでしょうか。

 

2017年度大学入試 学部・系統別志望動向

2016年12月8日 木曜日

大学入試の志望動向についてです。今年の大きなトピックは近畿圏国公立に関しては大阪大学の後期試験廃止、神戸大学の改組などが発表されていますが、学部系統別の志望動向はどのようになっているのでしょうか。全国で42万7千人が受験した、第1回ベネッセ駿台マーク模試のデータを元に見てみましょう。(横軸の目盛は、前年度を1としたときの次年度の志願者数割合です。つまり「1」は志願者数が昨年と同数、という意味になります。)

まず、国公立についてです。

2015年から2016年の動向と2016年から2017年度入試(今回のデータ)を並べてグラフ化してみました。また、単年度の推移では全体動向がわかりにくいので、2015から2017への変動もグラフ化してみました。棒を赤色で表示しているのは2年間で1倍を超えている学部・系統です。

御覧のように、文系で増加している系統が多いことがわかります。しかし、国公立では文系学部の定員減の傾向にありますので、文系にとっては例年より厳しい戦いになりそうです。(河合塾は、今のような、文系の人気は増加しているが、定員が縮小していることを「文高理低・文縮理拡」と表現しています。)

また、国際関係学系統が2年連続で伸びており、受験生のグローバル化への関心が高まっていることがわかります。しかし、ここも国公立での国際関係系の大きな定員増はありませんので、純粋に難易度が上がると考えられます。

私立大学についても同様のグラフを作成してみました。2年累計ではこの模擬試験受験者が106.8%と母数そのものが増加していますので、106%を超える学部・系統のみに赤色を付けています。こちらでも「文高理低」の傾向がはっきり出ています。好況感から経済・経営・商学系も安定して上昇してきています。経営学、経済学、商学は重なる部分も多い学問領域ですが、近年では就職に有利なイメージが強い「経営学」の人気が高く、難易度も高めとなっています。歯学系統が高めになっているのは、都市部では歯科医師が飽和しているなどから近年低めで推移していた反動で昨年度増加していますが、今年度は逆に反発して低めとなっています。

国際関係系は国公立同様人気分野となっていますが、語学は低くなっています。これは元々私立の方が語学系統の学部・学科が多く、志願者数も多かったわけですが、グローバル化の関心とともに、語学力だけでなく、国際政治などにも興味を持つ学生が、語学系から流れたと考えられます。海外語学研修などで学費以上の費用が必要になる大学もありますが、ねらい目になる語学系学部も出てくると思います。

いよいよ私立一般入試の出願となります。併願校出願などの参考にしてみてはいかがでしょうか。

 

 

京都聖母学院中学校・高等学校にお邪魔してきました

2016年12月7日 水曜日

京都市伏見区の「京都聖母学院中学校・高等学校」は京阪電車「藤森」駅から徒歩3分という便利なところにあります。同じ敷地の中に幼稚園から小・中・高・短大までが併設されている学園の中にあります。小学校までは共学ですが、中学校以上は女子校です。昨年度の卒業生は139名とそれほど大きな学校ではありませんが、京都大学をはじめとして国公立12名合格、関関同立43名合格、その他上智大学や東京理科大学などの難関大学にも合格者を出すなど、すばらしい進学実績をあげています。

カトリックミッションスクールらしく校門からすでにクリスマス仕様になっています。

正面に学園の本部がある「本館」があり、その横に中学校・高等学校の校舎があります。向かいの幼稚園からは元気な声も聞こえてきます。

職員室の前が質問受付コーナーになっています。明るい廊下に机が並べられています。同じように職員室前に机を並べている学校を見たことがありますが、ここでは筆記具やメモ用紙などが置かれており、日常的に実際に活用されているようです。優れた大学合格実績はこういったきめ細かな対応で生み出されたことがうかがえます。ちなみにここにもクリスマスツリーが。

図書室も充実しています。4万冊は閉架にしているそうですが約8万冊の蔵書を収蔵しており、随所にみられるディスプレイも生徒の興味を引く工夫がいたるところになされています。基本はNDC(日本十進分類法)で配架されていますが、全集やシリーズものをまとめるなど、書架が非常にすっきりとしていて見やすくなっています。中にはカーペット敷きのコーナーもあり、リラックスして閲覧できる工夫もされています。ぬいぐるみや毛布が備えられているなど、女子校らしい気配りもありました。ここもクリスマス仕様になっています。図書室は自習室として夜8時まで利用することができるそうです。

「オラトリウム」というお祈りをするための部屋がありました。この建物にはチャペルが無いため、代わりにこの部屋があるそうです。天井が高く、おごそかな雰囲気が感じられる部屋です。オルガンも備えられています。もちろんここにもクリスマスツリーが。

 

この部屋だけではなく、階段や各教室にも(エレベーターの中まで)十字架が飾られています。廊下の窓にもクリスマスの飾りがあり、学校を挙げて降誕祭を祝う気持ちが表れています。

 

ちょうど授業中でしたが、どのクラスも「レベルが高いな!」という印象を受けました。生物室では眼球の解剖実験が、また普通教室でもハイスピードな英語の授業や、数学の「場合の数と確率」の授業も行われていました。調理実習の部屋は楽しそうです。これらの日々の授業の積み重ねは、落ち着いた環境の中でのキリスト教による情操教育と相まって、大学進学も含めて生徒の可能性を伸ばしているのだなと感じられる学校でした。

 

もちろんこの学校は高校からの入学もできますが、可能であれば中学校から入学して落ち着いた6年間を過ごされるのはいかがでしょうか。

 

 

学校と防災

2016年12月6日 火曜日

生徒達が一日の多くの時間を過ごす「学校」では、そこで災害に遭遇する確率も低くはありません。東日本大震災では下校直前の小学校児童が多数、津波の犠牲になってしまった痛ましい事例もありましたが、直接の被害を免れた高台にある学校でも、周りの住宅などが流される、道路が寸断されるなどで、そこから帰宅できなくなる児童・生徒もおり、避難してきた一般住民も含めて水も食料も不足するなどの問題も発生しました。

 

大阪府高槻市にあります関西大学 小等部・中等部・高等部は関西大学の社会安全学部に隣接していますが、大学と共用の非常用設備をたくさん持っています。400人×3日間分の飲料水を貯蔵している受水槽や、屋内プールの水を30日分の生活用水に転用できる高度浄水システム、自家発電システム、炊き出しのための設備、灯光器、テント、組み立て式トイレ、非常用食料、毛布などを生徒のみならず近隣住民にも配布できるほど大量に備蓄しています。学校の先生も「ここの方が家より安心」とおっしゃっているほどです。

 

京都府京都市の京都産業大学附属中学校・高等学校も全生徒・教職員分の災害備蓄用品個人セットを確保しており、地域の広域避難場所にも指定されていることから、それ以外にも飲料水や災害用の器具が備え付けられているそうです。

 

兵庫県芦屋市の甲南中学校・高等学校にも学校内に生徒全員分の「非常用備蓄セット」が備え付けられています。保存水や乾パン、ビスケット、携帯トイレ、防寒シートなど、二日間分のセットが一人分ずつA4サイズほどの段ボール箱にセットされたものです。卒業時でもまだ消費期限が残っていますので、卒業生全員に配布されることになっています。

 

これをきっかけに家庭の防災意識も高まるのではないでしょうか。そういえば、この学校、校門を入ったところに創立者の書による「常ニ備ヘヨ」の石碑が建っています。

 

 

 

こういった取り組みは通学範囲が広い首都圏の学校の方が進んでいます。地震警戒情報が出た場合の鉄道運休に伴い、生徒が帰宅困難になることを想定されますので、多くの学校には生徒分の非常用食料が備蓄されています。大規模災害時には携帯電話やメールの送受信も困難になることを想定し、各学校の詳細被害情報がラジオ(ニッポン放送1242kHz)で放送されることになっています。

 

というわけで、こちらは東京純心女子中学校・高等学校の防災用の備品です。かなりきめ細かなセット内容となっています。

 

 

 

学校の安全管理といえば修学旅行などの行事や体育や運動部の活動、また通学時などの事故を想定しているものが多いと思いますが、このように災害まで想定して対策をしている学校も増えてくることでしょう。しかし、学校パンフレットやホームページで公開しているのはごく一部で、なかなか知ることができない内容です。個別説明会などで学校の先生に直接聞いてみられてはいかがでしょうか。

 

大学入試センター試験と科目選択

2016年12月5日 月曜日

大学入試センター試験は、科目によっては選択が可能なものがあります。例えば「地理・歴史」の中から、世界史や日本史を選ぶことができるわけです。もちろんその後に受験する大学によっては、特定の教科を必須にしている場合もありますので、選択できる幅は多少異なりますが、社会や理科は選択になっている場合がほとんどです。

しかし、毎年話題になるのですが、実は科目によって平均点、つまり難易度が異なる場合があります。そこで、昨年どの程度の差があったのかをひとまず見ていただきましょう。

満点が200点や50点の教科も、比較しやすくするため、すべて100点満点に換算しています。

 

御覧のように、科目による差は確かにあります。理科で、「○○基礎」の科目が2科目必要な受験生が、「化学基礎」と「生物基礎」を選んだ場合と、「物理基礎」「地学基礎」を選んだ場合では、すべて平均点だった場合で27.84点(200点満点)の差がつくことになります。

 

100点満点に換算して20点以上の差がついた場合は得点調整が行われる対象となりますが、その科目の受験者数が1万人以下の場合は行われないことになっています。昨年の「地学」の平均点は38.64という他の科目よりも20点以上低い平均点でしたが、受験者が全国で2,126人しかいませんでしたので、調整は行われませんでした。

さて、科目選択の状況を見てみましょう。御覧のように社会のB科目では、世界史選択者は日本史の4割程度しかいません。

 

理科の基礎科目では圧倒的に生物基礎が1番人気、地学の3倍近くが生物を受験しています。中には実質地学が開講されていない高校もありますので、その影響も考えられます。

 

基礎なしの科目は、さすが理系の受験生が多いので、物理・化学が圧倒的になります。

 

因みに外国語も選択制ですが、99.8%が英語を選択しています。中国語の平均点が8割近くありますが、これは中国語の問題が簡単なわけではありません。受験のために中国語を習得したのではなく、最初から中国語が母語である受験生も多いため、点数が「取れてしまう」というのが実情でしょう。

 

今年の大学入試センター試験の平均点はどのようになるかわかりませんが、受験生の多い国語や英語の平均点の変動は、個別学力試験への出願に大きく影響を与えます。センター試験までの頑張りも大切ですが、その後の分析資料や報道、それを元にした学校や塾の進路指導も参考にしてください。

 

国際数学・理科教育調査(TIMSS)の結果が発表されました

2016年12月2日 金曜日

昨年に行われた国際数学・理科教育調査(TIMSS)の結果が11月29日に発表されました。この調査は、学校教育で得た知識や技能がどの程度習得されているかを評価するために、国際教育到達度評価学会(IEA)が行う小・中学生を対象とした国際比較教育調査です。TIMSSとは「Trends in International Mathematics and Science Study」の頭文字です。名前の通り、数学と理科の学力を調査するものです。この調査は1970年には理科、1981年には数学など不定期に行われていましたが、1995年以降は4年に1回、オリンピックイヤーの前の年に行われています。(ただし、2003年は中学生のみ。)

回によって多少の増減はありますが、近年では世界40か国以上が参加しています。

応用的な力を測るOECD(経済協力開発機構)が行っているPISA (学習到達度調査)より、学校で学んだ能力が発揮できる内容となっていますので、学校教育のシステムが整備されているアジア勢が毎回上位を占めます。アジア諸国のランキングの推移を挙げておきます。

まず、小学校4年生の推移です。(台湾、韓国は参加していない年がありますので、線が切れています。)

次に、中学2年生のランキング推移です。

この件に関する松野文部科学大臣コメントを一部引用します。

「今回の調査結果によると、我が国の算数・数学、理科の結果は、比較できる範囲で最も良好な結果であり、国際的に見ても引き続き上位に位置するとともに、小中学生の算数・数学、理科の意識についても改善が見られることが分かりました。これは、各学校や教育委員会において、「確かな学力」を育成するための取り組みをはじめ、学校教育全般にわたり教職員全体による献身的で熱心な取り組みが行われてきたことの成果であると認識しています。」

確かに、上位を維持することができただけでなく、最上位グループの人数割合が増えたなど、全体的に改善している兆候は見られます。ただし、算数・数学に関しては、他国との比較では特に順位の上昇にはつながっていません。この結果だけから「脱ゆとり」の目覚ましい効果があったとはいえないと思います。

理科の観察や実験を日常的に行い、数学でも新たな解法を見つけるための議論に時間をかけるなど、理数系教育に力を入れ、その成果を上げている私立中学校や公立中高一貫校の優位性は、ひとまず変わらないと思われます。