奈良県の県立高校改編と受験動向を振り返る

2024年5月24日

奈良県の県立高校は、統廃合に伴う併設状態を除けば1985年~2003年の43校というのが最大数となりますが、人口は1999年をピークに減少していきます。そこで2004年からの統廃合によって2009年には32校まで減少しました。2019年からは段階的に10の全日制高校と定時制1つを募集停止、一方で9校を開校という大きな改編が行われました。2024年度はその完成年度となりますが、全日制の県立高校は29校となっています。

さて、この大規模な改編は地域の中学生の受験動向にどのような影響を与えたのかを見てみましょう。

公立高校(県立+市立)の平均倍率をグラフにしてみました(2022年度より推薦選抜となった市立一条の外国語も特色に加えて計算しています)。公立高校の改編が行われる前は特色選抜の平均倍率が1.3倍前後、一般選抜の平均倍率が1.1倍前後と安定していたのですが、改変期に入ると特色選抜の倍率が大きく低下します。実業系のコースはあまり変化がなかったのですが、再編の対象となった平城や奈良朱雀はもちろん、毎年高倍率となる二階堂や法隆寺国際、市立一条なども競争倍率が読めないためでしょう、結果的に特色選抜の平均倍率は低下しました。その層が一般選抜に回るのであれば一般選抜の倍率が上がったはずですが、そうはならなかったのは私立専願になったと考えられます。一方で一般選抜は大きな変化が無く、改編が落ち着いた2023年度には1.18倍に上昇するなど、地域の普通科としての信頼度は変わらず、となっています。

人口減少に伴う公立高校の統廃合は全国的にも進行していますが、改変期がちょうど受験期に当たった中学生は何かと影響を受けるようです。奈良県ではしばらくは大きな改編は考えにくく、学校毎の難易度も安定してきますので、また安心して受験できるようになるでしょう。