大阪市に、新たに市立中高一貫校が誕生します

2017年5月10日

大阪市は平成31年度(2019年度)から公設民営の手法による新中高一貫教育校(仮称:大阪市立第131中学校・第21高等学校)を設置すると昨年度発表しました。設置は大阪市が、運営は民間が行うという新たな手法での開設を目指していますが、いよいよこの学校運営管理を行う法人が「大阪YMCA」に決まりました。この学校法人は単位制・通信制の高校やインターナショナルスクールを運営し、予備校時代からの講師管理ノウハウや、語学学校として海外ともパイプがありますので実にふさわしいと思います。いよいよこの全国初の「公設民営中高一貫校」の実現に向けて大きく進むことになったようです。

この学校は大阪市住之江区の大阪市立南港渚中学校と近隣の南港南小学校の跡地を利用して建設するとされています。中学校についてはあくまでも「大阪市立」ですので、授業料は必要ありません。しかし話題性が大きいのは高校卒業と同時に「国際バカロレア資格」の取得もできるという学校を想定しているというところです。

国際バカロレア資格(IB Diploma)は、ジュネーブに本部を置く教育団体「国際バカロレア機構:International Baccalaureate Organization(IBO)」が提供している3つのプログラムのうち、16歳から19歳の生徒を対象にした2年間のディプロマコースです。世界共通のアカデミック資格として知られており、修了時にディプロマコースの卒業試験(毎年5月又は11月に実施)に合格すれば、資格を取得できます。イギリスのオックスフォード大学やケンブリッジ大学、アメリカのハーバード大学やマサチューセッツ工科大学など、世界の名門大学でも認められている資格です。

教育基本法第一条に規定されている学校であれば、ダブルライセンス(日本の高卒と国際バカロレアディプロマ(以下IBと省略)の両方)が手に入ることになります。しかし、日本では東京学芸大附属国際中等教育学校と東京都立国際高等学校の2校しかありません。私立も含めると、全国に15校ありますが、関西には立命館宇治中学校・高等学校の1校のみです。大阪女学院も認定校の準備を進めており、すでに候補校としては認定されています。

世間では「国際化」、「グローバル化」といわれているのにこの学校が増えないのは、設置基準が厳しすぎるためです。基本は母語以外(主には英語)で主要教科の授業を行うことで、複数言語能力と基礎教養を身に着けるプログラムの提供が必要なのですが、プロセスや指導教員の資質、指導成果の測定方法など細かい基準を満たさないと認定を受けることができません。確かに日本の教員免許を持っていて、英語で物理や生物を教えることができるといった先生を確保することは簡単ではないでしょう。そこで、大阪市は運営を民間に委託するという手法を選んだわけです。

 

今の小学校5年生、中学校2年生が最初の入試を迎えることとなります。(中学、高校、各80名募集予定)

試験科目など生徒募集方法もそのうち発表されると思います。また、ここでも続報をお伝えしていきます。