どうなる? 2014年度近畿地区中学入試⑤

2013年11月1日 金曜日

開成教育グループにお通いの皆さんには去る2013年9月16日(月祝)に開催を致しました「中高進学フェア」内、「中学入試分析会」にて詳しくご説明申し上げた2014年度近畿地区中学入試の最新情報を当ブログにおいてもご紹介するシリーズです。全5回のシリーズであれこれと情報をお届けしています。

どうなる? 2014年度近畿地区中学入試①」⇒大阪府内各校の入試日程
どうなる? 2014年度近畿地区中学入試②」⇒大阪府以外の近畿地区各校の入試日程
どうなる? 2014年度近畿地区中学入試③」⇒入試日程前倒し状況
どうなる? 2014年度近畿地区中学入試④」⇒午後入試の更なる増加

について、それぞれご説明をしております。まだお読みでない方は、上記のリンクから当該記事へお飛び頂き、お読み頂ければ幸いです。

最終回の今回は、特に難関校や上位校で起こっている「あるもの」の激しい獲得合戦についてご紹介をします。

難関・上位校で次年度入試に向けて激しい争奪戦が繰り広げられている「あるもの」とは、「女子の上位生」です。

上の図は、女子最上位性を奪い合う各校の状況を表したものです。

現在、近畿地区において女子が受験出来る学校群のうち、最も難易度が高いのが洛南高等学校附属中となっています。狭い定員枠に対し非常に優秀な女子生徒が多数受験しており、女子の受験状況として今春は・・・

受験者数235名 合格者数65名 倍率3.6倍

という結果となりました。

一方、大阪を代表する女子校である四天王寺中は、洛南高等学校附属中を受験する女子生徒の「押さえ」といった位置づけとされており、せっかく上位生として入学を期待した生徒たちであっても、洛南に合格した際はそっくりそのまま「取られてしまう」ということがずっと起こっていました。この度の「医志コース」の新設によって「国公立大医学部医学科の合格者数では大阪府トップの四天王寺が満を持して作ったコース」というのをアピールすることで、従来であれば洛南に流れてしまうであろう優秀な層に留まってもらおう、と試みられていると思われます。

その図の中にも示しておりますとおり、国公立大医学部医学科の合格者数において大阪府2位、こと現役合格者数に絞りますと四天王寺中と同数で大阪府トップとなっているのが、清風南海中です。清風南海中は共学校ですので、大阪星光学院中を受験するような男子優秀層の獲得も視野に入れられていると思いますが、女子に関してはやはり四天王寺中受験層がターゲットでしょう。清風南海中の午後入試化によって、大阪星光学院中や四天王寺中からの受験生流入が期待でき、その受験生を上手く獲得し、まずは四天王寺中と拮抗している「国公立大医学部医学科現役合格者数」において大阪トップの座につこう、ということではないでしょうか。

「女子の獲得」という点では、西大和学園中の共学化が一番分かり易い事例となっています。西大和学園中のレベルの高さは説明不要ですが、女子についてもそれと同等か、女子の募集定員の少なさもありますので、場合によってはそれ以上のラインとなる可能性があります。それだけ優秀な層がどこからやってくるのか、といいますと、やはり例年であれば洛南を受験している層、になるでしょう。

近年では、女性のお医者さんも増えているようですし、欧米に比べてまだまだではありますものの、女性パイロットも少しずつですが増えているようです。女性が仕事を持つことが当たり前となっただけでなく、これからは男性ばかりで占められていたこういった職業に女性が進出することになるでしょう。

今回ご紹介した各校はそういった社会情勢を敏感に察知し、女子の優秀層を獲得に動いたのではないでしょうか。

全5回に渡って2014年度中学入試に向けた展望をご紹介致しました。

どうなる? 2014年度近畿地区中学入試④

2013年10月22日 火曜日

開成教育グループにお通いの皆さんには去る2013年9月16日(月祝)に開催を致しました「中高進学フェア」内、「中学入試分析会」にて詳しくご説明申し上げた2014年度近畿地区中学入試の最新情報を当ブログにおいてもご紹介するシリーズです。全5回のシリーズであれこれと情報をお届けしたく存じます。

どうなる? 2014年度近畿地区中学入試①」⇒大阪府内各校の入試日程
どうなる? 2014年度近畿地区中学入試②」⇒大阪府以外の近畿地区各校の入試日程
どうなる? 2014年度近畿地区中学入試③」⇒入試日程前倒し状況

について、それぞれご説明をしております。まだお読みでない方は、上記のリンクから当該記事へお飛び頂き、お読み頂ければ幸いです。

今回は「午後入試の更なる増加」についてまとめます。

2013年度入試では午後入試を実施していなかったものの、2014年度入試では午後入試を新導入する学校は以下の通りとなります。

圧倒的に大阪府の学校が多いことと、日程別だと初日午後が多いのが目を引きます。

また、上記の学校群も含め、2014年度入試において午後入試を実施する学校の数や割合はどの程度に上るのか、についてまとめたのが次の画像です(画像をクリックすると拡大します)。

上の表にもありますとおり、2013年度では近畿地区全校のうち約3割程度だった午後入試実施校が、2014年度には一気に増えて約4割となっています。先にご紹介した各校の入試日程とも併せて考えますと、午後入試を受けずに中学入試を終えることは難しいように思えます。

2014年度入試トピックスの最も大きなものの1つとして、「午後入試実施校が爆発的に増えている」というのがあることを、どうかお忘れ無きようお願いします。

次回は、特に難関校や上位校で起こっている「あるもの」の激しい獲得合戦についてご紹介をします。

どうなる? 2014年度近畿地区中学入試③

2013年10月16日 水曜日

開成教育グループにお通いの皆さんには去る2013年9月16日(月祝)に開催を致しました「中高進学フェア」内、「中学入試分析会」にて詳しくご説明申し上げた2014年度近畿地区中学入試の最新情報を当ブログにおいてもご紹介するシリーズです。前回からスタートした、全5回のシリーズであれこれと情報をお届けしています。

初回のエントリー「どうなる? 2014年度近畿地区中学入試①」では大阪府内各校の入試日程について、2回目となる前回「どうなる? 2014年度近畿地区中学入試②」では大阪府以外の近畿地区各校の入試日程について、それぞれお話を差し上げました。

入試日程が出揃いましたところで、今回は全体的な分析や次年度入試に向けての注意点などについてご紹介したいと思います。

次の表は、主要4府県の日程別の入試回数を男子・女子・共学別に集計したものです。「18⇒23」とあるのは、「2013年度入試では18回だったのが、2014年度入試では23回になる」ということを示しています。

今春2013年度入試から入試回が増えている区分については黄色く示していますが、お気づきの通り、18日(土)と19日(日)の2日間で大きく入試回数が増えています(画像をクリックすると拡大します)。

また、次のグラフでは各日程における入試回数の占有率を示していますが、18日(土)と19日(日)の2日間で、主要2府2県の何と2/3の入試回数が消化されることになっています。つまり、統一解禁日である18日(土)を含む2日間のうちに合格を取っておかないと、それ以降になると受験をしたくても入試が行われていない、という事態に陥ります(同じく、画像をクリックすると拡大します)。

次回のエントリーで午後入試のことについては詳しく触れますが、入試日程の前倒しに午後入試導入も併せて、初日と2日目にすべての入試を終了してしまい、以降の日程では入学チャンスが全く無いという学校が多数出てきています。なお、これらの学校の中には、2日間で3回あるいは4回の入試を実施している学校もあるから、驚きです。

初日・2日目ですべての入試回を終える学校を以下にご紹介します(○内の数字は2日間で消化される入試回数)。また、赤字は2日間で3回以上の入試回数を消化している学校となります。

大阪星光学院① 四天王寺① 帝塚山学院④ 上宮② 大阪学芸④ 関西創価①
関西大学① 関西大学第一① 関西大学北陽③ 関西学院千里国際① 常翔学園③
初芝立命館③ 甲陽学院① 灘① 小林聖心女子学院② 神戸海星女子学院②
神戸女学院① 親和③ 関西学院① 神戸龍谷③ 華頂女子③ 同志社女子②
平安女学院④ 同志社① 同志社国際① 立命館② 龍谷大学付属平安④
西大和学園① 聖心学園④ 奈良学園登美ヶ丘② 近畿大学附属和歌山①

「入試日程の早期化」だけでなく、2日間に3回や4回の入試を実施する「密集化」も進んでいます。

次回は、午後入試導入の状況にスポットを当ててご紹介をします。

どうなる? 2014年度近畿地区中学入試②

2013年10月8日 火曜日

開成教育グループにお通いの皆さんには去る2013年9月16日(月祝)に開催を致しました「中高進学フェア」内、「中学入試分析会」にて詳しくご説明申し上げた2014年度近畿地区中学入試の最新情報を当ブログにおいてもご紹介するシリーズです。前回からスタートした、全5回のシリーズであれこれと情報をお届けしたく存じます。

初回だった前回はこちらのエントリー「どうなる? 2014年度近畿地区中学入試①」で、大阪府内各校の入試日程についてお話を差し上げました。

引き続き今回も入試日程についてご紹介します。今回は、近畿地区内でも大阪府以外の兵庫県・京都府・奈良県・滋賀県・和歌山県の各校の入試日程の位置取りを確認します。

次の画像は、2014年度入試において各校がどの日程で入試を実施するかを一覧にしたものです。なお、画像をクリックして頂きますと、今春2013年度入試から来春2014年度入試にかけて、各校がどのように入試日程を動かしてきたのかが分かる画像が表示されます。ご興味・ご関心がある方はそちらも合わせてご覧ください。


※作成には万全を期していますが、入試日程は必ず各校のHP・入試要項等でご確認下さい

(クリック後表示される表の見方)
右向きの青矢印:2013年度入試日程から位置取りを「先送り」とした所
左向きの赤矢印:2013年度入試日程から位置取りを「前倒し」とした所
青い丸印:2013年度入試では試験を実施していたが、2014年度入試では「廃止」する所
赤い丸印:2013年度入試では試験を実施していなかったが、2014年度入試から「新たに実施」する所
「入試回数」の字が赤い部分:2014年度入試に向けて入試回数を「増やした」所と回数の変遷
「入試回数」の字が青い部分:2014年度入試に向けて入試回数を「減らした」所と回数の変遷

大阪府の入試日程一覧をご紹介した際にも触れましたが、こちらでも左向きの赤い矢印である「入試日程前倒し」が目立ちます。

また、大阪府ほどではないにせよ、兵庫県と京都府においても初日午後に入試回を新設する学校があります。

上の2つのことがあって、全体を見渡すと初日と2日目に極端に入試回が設定されています。反対に、週が明けるとグッと入試をやっている学校が減り、木曜日である23日以降にもなると受験生個々人にフィットする学校を探すことがかなり難しくなります。

今回ご紹介した府県における入試日程上の注目校ですが、初日午後や2日目午後など積極的な午後入試策を取られるだけでなく、コース制を2014年度から新導入される甲南中、高槻中の後期とバッティングしていた入試回(後期)を1日前倒しすることにした洛星中、新たに開始する女子募集に関しては男子の入試回と分けて実施する西大和学園中、といった所でしょうか。

西大和学園中の女子募集開始についてはこちらのエントリー「西大和学園中 2014年度入学生より女子の募集を開始!」やこちらのエントリー「西大和学園中 世界に大輪を咲かす「やまとなでしこ」を」で詳しくご紹介していますので、合わせてご覧ください。

前回・今回の2つのエントリーで近畿地区各校の入試日程をご紹介し、合わせて前年度からの日程の位置取りの動きも確認しました。これによって見えてきたことについて、次回以降の3回のエントリーに分けて分析を進めて参ります。

どうなる? 2014年度近畿地区中学入試①

2013年10月1日 火曜日

近畿地区の中学入試ですが、2014年度入試における各校の入試要項が出揃い、全体的な様相がつかめる状況になっています。

開成教育グループにお通いの皆さんに向けては、去る2013年9月16日(月祝)に開催を致しました「中高進学フェア」内で実施をしました「中学入試分析会」にて最新情報を詳しくお届け致しました。

当ブログにおいても、来る2014年度近畿地区中学入試の動向について簡単にご紹介していければと思います。今回を含め、5回のシリーズであれこれと情報をお届けしたく存じます。

初回となる今回は、大阪府内各校の入試日程についてお話を差し上げます。次の画像は、2014年度入試において各校がどの日程で入試を実施するかを一覧にしたものです。なお、画像をクリックして頂きますと、今春2013年度入試から来春2014年度入試にかけて、各校がどのように入試日程を動かしてきたのかが分かる画像が表示されます。ご興味・ご関心がある方はそちらも合わせてご覧ください。

※作成には万全を期していますが、入試日程は必ず各校のHP・入試要項等でご確認下さい

(クリック後表示される表の見方)
右向きの青矢印:2013年度入試日程から位置取りを「先送り」とした所
左向きの赤矢印:2013年度入試日程から位置取りを「前倒し」とした所
青い丸印:2013年度入試では試験を実施していたが、2014年度入試では「廃止」する所
赤い丸印:2013年度入試では試験を実施していなかったが、2014年度入試から「新たに実施」する所
「入試回数」の字が赤い部分:2014年度入試に向けて入試回数を「増やした」所と回数の変遷
「入試回数」の字が青い部分:2014年度入試に向けて入試回数を「減らした」所と回数の変遷

日程を前倒しする学校が多いのも目につきますが、18日(土)の午後に入試回を構える学校が今春と比べて極端に増えています。特に注目が集まるのが、こちらのエントリー「清風南海中 2014年度入試では大規模な改革を断行」で詳細をご紹介した清風南海中、こちら「帝塚山学院中 初日午後入試「エトワール」で輝く星を集める」でご紹介の通り「エトワール入試」なる名称を設けた帝塚山学院中の2校です。

反対に、3日目以降になると入試を実施している所が極端に少なくなっていることもわかります。特に23日(木)以降だとほとんど入試が実施されていません。

初日・2日目で想定外の事態になってしまった場合、あわてて探しても受け入れてくれる学校は見つけにくいことでしょう。初日・2日目で確実に合格を取ることが最重要ではありますが、そうならなかったときはどう動くのか?についてもあらかじめ考え、準備しておく方がよいでしょう。

次回のエントリーでは、大阪府以外の近畿地区各校の入試日程をご紹介します。

京都市・乙訓地域公立高 新入試制度の「前期選抜」概要

2013年4月18日 木曜日

こちらのエントリー「大きく変わる! 京都市・乙訓地域の公立高入試」でご紹介をしました、京都市・乙訓地域の新しい公立高入試制度についての続報です。

この程京都府より、新入試制度における「前期選抜」の概要が発表になりましたので、ご紹介します。

前期選抜を実施する学校・募集割合・検査項目(試験科目)は次の通りとなっています(画像をクリックすると拡大します)。

一覧を見るだけでは「どこがどう変わったか」がわかりませんので、特徴的な所を取りだしてみたいと思います。

まず、専門学科に記載があります紫野高の学科名「アカデミア」が目を引きます。そのアカデミアについて、現時点で判明している内容をご紹介します。

アカデミア科
・Ⅲ類英文系が「アカデミア科」として専門学科となる
・「大学の学びにつながる探究学習」「実践的英語力の育成」「英語活用能力の強化」が目標
・1年次は共通の履修内容、2年より文系(グローバルコース)と理系(サイエンスコース)に分かれる
・学科試験は3教科(独自問題)+英語面接 の予定

また、普通科においても次のような取り組みになることが発表になっています。

普通科
・入学前の希望と学習状況診断テスト(英国数)の結果に基づき、1年次より「アドバンスト(発展)クラス」「スタンダード(標準)クラス」2つのクラス編成を行う
・2年よりそれぞれのコースで「人文科学」と「自然科学」の各コースに分かれる
・前期選抜は定員の30%、選抜方法は以下2種類(各方式で定員の15%ずつ)
A方式 英数国の学科試験(京都市共通問題)作文 報告書
B方式 面接 作文 報告書 活動実績報告書

「御三家」と呼ばれる各校においても大きな変更点があります。

西京高(エンタープライジング)と嵯峨野高(京都こすもす)の両校・学科は前期選抜で定員の100%の募集となっていますが、共に「5教科での入試」になることが、この表を見て明らかになっています。

今後、専門学科がいわゆる「共通問題」を使うのか、それとも各高校が独自に作成する「独自問題を使うのか、そして各高校の試験科目の配点比率等について発表になる予定です。6月ごろからは各高校が受験生・保護者を対象とした説明会を実施されることも多くなると思います。今後、1学期の間はしっかりと各高校の情報を得ておき、進路選択あるいは夏休みからの学習に備えることが必要になるでしょう。

大阪府中学内申 「絶対評価」を最短で2016年度入試より導入

2013年4月15日 月曜日

2013年3月末に、大阪府の中学校で「絶対評価」が導入される具体的な年度(予定)が明らかになりました。

以下、この件に関して報じた新聞記事を引用します。

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中学内申「絶対評価」導入へ、最短で28年度入試から 大阪府教委(2013年3月28日 産経新聞)

大阪府教育委員会議が28日、府庁で開かれ、全国で唯一、相対評価方式を採用している中学校の内申書の成績評価について、最短で平成28年度の高校入試から絶対評価方式に切り替える方針が決定された。府教委は25年度中に内申書の様式や取り扱いを検討し、評価基準に関する参考資料の作成や研修準備を始める。

早ければ、4月に中学に入学する新1年生の高校入試から絶対評価が適用される。導入時期を28年度以降とした理由について、府教委は入試を控えた中学生に与える影響と、評価を付ける教職員の研修期間を考慮したとしている。

相対評価方式は、内申点を付ける際、一定の割合を割り振る仕組み。府の場合は10段階で、成績上位3%の生徒が最高評価の「10」を得るが、下位3%の生徒が必ず「1」を受ける。仮に同じ学校に通う同級生の学力が高ければ高い内申点は取りづらいのが欠点だ。

一方、絶対評価は周囲の生徒の成績に影響されないのが利点。ただ、府教委の調査では、点数が上位に偏って生徒間の差がつかず、結果としてテストの成績で合否を判断せざるを得なくなる傾向があるという。

文部科学省の通知を受け、大阪を除く46都道府県は18年度までに相対から絶対評価に切り替えており、松井一郎府知事や橋下徹大阪市長も絶対評価への変更を求めていた。

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ということで、早ければ今春中学校に入学した方たちが高校入試を迎える際には「絶対評価」によって内申書の成績評価が行われることになります。

ここ近年10年ほどの間に、全国の都道府県は相次いで相対評価から絶対評価へと切り替えてきています。大阪府は全国で最も遅い切り替え、となります。

絶対評価になることで気をつけなければいけないこともあります。先に絶対評価へ切り替えた都道府県の1つ、愛知県では、絶対評価導入によって「内申点のインフレ化が進み、学力を過信した受験生が上位の進学校に殺到」するという状況になり、導入初年度には中学浪人まで出てしまった、という事実もあるようです。

そういった前例を見た後で絶対評価に切り替えることになった兵庫県では、学校や地域で評価にばらつきが出ないことを目的として、切り替え初年度に向けて教科ごとに評価基準を作り県内の全中学校に配ったようです。

このように、絶対評価への切り替えは相当な事前準備が必要になりますし、それでもやはり愛知県のように大きな混乱が起こることが予想されます。絶対評価への切り替えに向けて、大阪府では今後もいろいろと検討が行われることと思います。今後もこの件については多くの情報が出てくると思われますので、こちらのブログでもご紹介をしていく予定です。

女子の憧れ キャビンアテンダント採用数ランキング07~11

2013年4月5日 金曜日

女子の憧れ キャビンアテンダント採用数ランキング」でご紹介したランキングですが、年間を通してアクセスが多い記事となっています。

今回のエントリーは、そのデータに最新の採用数を加算した、07~11年の合算での採用数ランキングをご紹介します(画像をクリックすると拡大します)。

並んでいる大学名を見ていますと、首都圏の大学に偏っているということも無く、トップ5以内に近畿地区の大学が3つランクインしているなど、近畿地区の大学も数多く顔を出しています。

また、ランクインしている大学の顔ぶれを見てみると、早稲田大や関関同立といった難易度の高い大学はもちろんのこと、日本女子大・フェリス女学院大・同志社女子大といった女子大も大健闘しています。

ただ、やはり関西外国語大と青山学院大、この2校の実績がダントツで高いのは前回ご紹介した傾向通りです。

こちらのエントリー「関西外国語大 各科目の出題傾向・対策法」では、関西外国語大が新たに設置をされた最新設備「エアライン演習室」の様子を簡単にご紹介しました。先日も、教科書の学習だけではわかりにくい「緊急時の対応」も含めた授業がこの演習室で実施されたようで、緊急脱出時の乗客の誘導、客室に持ち込まれた不審物の捜索、といった実技を交えた具体的な講義が行われたようです。

こういった実際の航空機の内部を再現した演習室で実に具体的な内容を訓練されている学生と、そうではない学生とでは採用試験時に大きな差が出るのは当然でしょう。

関西外国語大のキャビンアテンダント採用数1位、まだまだ続きです。

国立教員養成大 鳴門教育大が3年連続教員就職率トップ!

2013年3月28日 木曜日

文部科学省は、小・中・高等学校等の教員養成を目的とする国立の教員養成大学・学部卒業者(44大学・学部)の教員養成課程の就職状況について、毎年データを取りまとめて公表しています。この度、最新のデータとなる「平成24年3月 教員養成課程卒業者」についての平成24年9月末までの就職状況が発表されました。

なお、昨年同時期のデータに関してはこちらのエントリー「またまた上昇 国立出身者の教員就職率」でご紹介をしています。

データの概要は次の通りです。

①国立の教員養成大学・学部(教員養成課程)卒業者の教員就職者数
今年6,466人(正規採用3,726人、臨時的任用2,740人)
昨年6,494人(正規採用3,820人、臨時的任用2,674人)

②全体での教員就職率
今年61.6%(前年より-0.4%)
昨年62.0%(前年より+2.4%)

ここ数十年の教員就職率等の推移は以下のグラフの通りとなっています(画像をクリックすると拡大します)。

中央付近に点線で示されているのが、国立の教員養成大学及び学部(教員養成課程)卒業者の「教員就職率」となります。直近の教員就職率は61.6%となっております。少子化による児童生徒の減少等に伴い採用率を減少させた平成11年度32%という過去最低値から考えますと、かなりの良化となっています。

採用率の良化にはいくつか理由がありますが、その内の最も大きな部分を占めていると思われるのが「団塊世代の大量退職で近年は新規採用が増えている」というものです。

また、教員養成大学・学部の入学定員を減らしたりしてきたことも理由の1つになるでしょう。

教員就職率が盛り返したのは「臨時的任用」の部分での人数・割合が増したことが大きく寄与していることもわかります。今回の最新のデータでは、総就職者数の4割強が臨時的任用での採用、となっています。

「少人数クラス編成」や「習熟度別授業」を取り入れる学校が増えるにつれて、この臨時的任用で採用される先生の数が飛躍的に増えているようです。

待遇面で正規での採用者よりも安く抑えられるということもあり、正規任用の代わりに臨時任用の先生を増やすことで人件費等を抑えていると思われる所もあるようです。

ですから、教員就職率が上昇しているとは言えども、臨時任用の占める率が高いことを考えると手放しで喜べる状況ではないというのは引き続き変わらない状況です。

続いて、国立の教員養成大学・学部(教員養成課程)を2012年3月に卒業した方々の教員就職率を、大学別に見てみたいと思います。下のグラフは率が高い方から順に、全国国立大平均就職率を超えた19校を並べています(画像をクリックすると拡大します)。

鳴門教育大が1位となっています。上のグラフは過去2年分のデータ掲載となっていますが、データをひも解きますとなんと同大は3年連続で全国1位を達成しています。

調べてみますと、鳴門教育大では「少人数教育」を実践するとともに、就職支援策として校長を経験したアドバイザーによるきめ細やかな指導、充実した教員採用対策ガイダンス、採用試験対策の論文指導、全教員が面接官となった模擬面接・模擬授業の実施、などに力を入れているようです。

充実した教育環境と教員就職支援であることがわかります。

近畿地区に目をやりますと、昨年は近畿地区全校が平均就職率を上回っていたのに対し、今年は京都教育大が57.7%と平均を若干下回る結果となりました。

近畿地区に住んでいる受験生の皆さんで将来学校の先生になりたい方は、地元である近畿地区の国立大に鳴門教育大も含めて、教員就職率が高い所がそろっているという点ではとても恵まれた状況です。

大きく変わる! 京都市・乙訓地域の公立高入試

2013年3月12日 火曜日

こちらのエントリー「揺れる高校入試 ~諸制度が続々と変更・変更予定に~ ②」でもご紹介をしました通り、「公立高校の特色ある学校づくりをさらに推進し、生徒一人一人の進路希望や学習ニーズにより柔軟に応えられるようにするとともに、中学生が自らのキャリア形成に向けて、目的意識を持って、これまで以上に主体的に高校を選択できるよう」という目的の下、かねてから検討が行われていた京都市・乙訓地域の公立高入試制度の見直しですが、去る1月24日(木)に正式な制度が発表となりました。

今回のエントリーでは、その新しい制度について簡単にご紹介を致します。

まずは、新制度の概要です(京都府教育委員会HPより)。

1.全日制普通科の教育制度 ~「類・類型制度」の廃止~
普通科第Ⅰ類と第Ⅱ類を廃止し、「普通科」として一本化
志願時ではなく、合格後に、希望や学力状況に応じてコースを選択
体育などの普通科第Ⅲ類は、普通科の中の専門的なコースとして存続

2.通学区域 ~通学圏の統合~
普通科の通学区域を京都市北・南通学圏(2通学圏)から1通学圏に統合
21校から選択が可能

3.入学者選抜制度
(1) 受検機会の複数化
これまでどおり複数の受検機会を確保
前期選抜(2月中旬)⇒中期選抜(3月上旬)⇒後期選抜(3月下旬) ※名称は仮称
(2) 前期選抜
現在2月に実施している、学科等によって異なっている選抜(推薦入学、特色選抜、適性検査)を廃止し、「前期選抜」として一本化
(特別入学者選抜の枠組は残し、原則これまでと同じ方式で実施)
(3) 中期選抜 ~総合選抜制度の廃止~
現在、普通科第Ⅰ類で実施している総合選抜制度を廃止し、各高校が学科ごとに合格者を決定する単独選抜制度を導入
(4) 後期選抜
前期選抜及び中期選抜を実施した後、なお相当の欠員がある場合に実施

4.新制度の実施時期
2014(平成26)年度入学者選抜(現在の中学校2年生対象)から実施

5.その他
・新制度の詳細については、入学者選抜要項で後日決定。
・他の通学圏にも共通することについては、併せて見直しが行われる。

「類・類型制度の廃止」「通学圏を1区に」「総合選抜の廃止」というのが大まかなポイントとなります。

続いて、前期・中期それぞれの選抜でどのようにして合否が決められるのか、についてです。

まずは前期選抜についてです(画像をクリックすると拡大します)。

現行制度で2月に実施している「推薦入学」「特色選抜」等に相当する受検機会となっています。また、学科等によって異なっていた選抜(推薦入学・特色選抜・適性検査)は廃止し、新たな選抜方法が採用されています。これは「多元的な評価尺度による各校裁量の選抜方法のもと、生徒一人一人の多様な個性・能力等を重視する」ことが目的とされているようです。

続いては中期選抜です(画像をクリックすると拡大します)。

現行制度で3月に実施している「一般選抜」に相当する受検機会となっており、現行の普通科第Ⅰ類で実施している「総合選抜制度」を廃止、各高校が学科ごとに合格者を決定する「単独選抜制度」とすることが目玉となっています。

中期選抜を簡単にまとめますと、「まず第1志望第1順位者で定員の90%分の合格者を決定、定員の残り10%については第1志望第1順位の選抜で上位90%に入らなかった者と、他の高校の第1志望第1順位の選抜で上位90%に入らなかった者で当該高校を第1志望第2順位とする者をあわせて選抜を実施し合格者を決定する」となります。

なお、中期選抜での学力検査と報告書の配点比率は、概ね1:1となるようです。

最後に後期選抜についてです。

後期選抜は現行制度で3月に実施している「2次募集」に相当する受検機会となっています。これは、前期選抜及び中期選抜を実施した後、なお欠員がある場合に実施するというものになります。よって、募集人数は募集定員から前期選抜及び中期選抜の合格者数を除いた数となります。

選抜方法は、以下の3つにまとめられます。

①各高校が学科ごとに合格者を決定する「単独選抜制度」とする。
②全校共通の学力検査(国・数・英)及び報告書,面接を検査項目とする。
③検査項目を総合的に判断して合格者を決定する。

最後に、今回発表された新制度が1枚にまとまったものを以下に貼ります(画像をクリックすると拡大します)。

今の中学2年生の皆さんを始めとする受験生・保護者へこの制度を知ってもらう必要がありますが、今後は以下のようなことが予定されているようです。

・新制度の内容をまとめたリーフレットや京都市・乙訓地域の各高校の概要や普通科に設置するコースの内容等をまとめた冊子を作成し、2月中に保護者等に配布予定
・中学生や保護者等対象の説明会を2月下旬から年度内に複数回開催予定(日程等は中学校を通じてお知らせ)

また、大変気になる各高校の「前期選抜」の詳細(検査項目の配点比率等)ですが、4月中を目途に公表される予定とのことです。こちらは気をつけて続報を待ちましょう。