京都市・乙訓地域公立高 新入試制度の「前期選抜」概要

2013年4月18日 木曜日

こちらのエントリー「大きく変わる! 京都市・乙訓地域の公立高入試」でご紹介をしました、京都市・乙訓地域の新しい公立高入試制度についての続報です。

この程京都府より、新入試制度における「前期選抜」の概要が発表になりましたので、ご紹介します。

前期選抜を実施する学校・募集割合・検査項目(試験科目)は次の通りとなっています(画像をクリックすると拡大します)。

一覧を見るだけでは「どこがどう変わったか」がわかりませんので、特徴的な所を取りだしてみたいと思います。

まず、専門学科に記載があります紫野高の学科名「アカデミア」が目を引きます。そのアカデミアについて、現時点で判明している内容をご紹介します。

アカデミア科
・Ⅲ類英文系が「アカデミア科」として専門学科となる
・「大学の学びにつながる探究学習」「実践的英語力の育成」「英語活用能力の強化」が目標
・1年次は共通の履修内容、2年より文系(グローバルコース)と理系(サイエンスコース)に分かれる
・学科試験は3教科(独自問題)+英語面接 の予定

また、普通科においても次のような取り組みになることが発表になっています。

普通科
・入学前の希望と学習状況診断テスト(英国数)の結果に基づき、1年次より「アドバンスト(発展)クラス」「スタンダード(標準)クラス」2つのクラス編成を行う
・2年よりそれぞれのコースで「人文科学」と「自然科学」の各コースに分かれる
・前期選抜は定員の30%、選抜方法は以下2種類(各方式で定員の15%ずつ)
A方式 英数国の学科試験(京都市共通問題)作文 報告書
B方式 面接 作文 報告書 活動実績報告書

「御三家」と呼ばれる各校においても大きな変更点があります。

西京高(エンタープライジング)と嵯峨野高(京都こすもす)の両校・学科は前期選抜で定員の100%の募集となっていますが、共に「5教科での入試」になることが、この表を見て明らかになっています。

今後、専門学科がいわゆる「共通問題」を使うのか、それとも各高校が独自に作成する「独自問題を使うのか、そして各高校の試験科目の配点比率等について発表になる予定です。6月ごろからは各高校が受験生・保護者を対象とした説明会を実施されることも多くなると思います。今後、1学期の間はしっかりと各高校の情報を得ておき、進路選択あるいは夏休みからの学習に備えることが必要になるでしょう。

大阪府中学内申 「絶対評価」を最短で2016年度入試より導入

2013年4月15日 月曜日

2013年3月末に、大阪府の中学校で「絶対評価」が導入される具体的な年度(予定)が明らかになりました。

以下、この件に関して報じた新聞記事を引用します。

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中学内申「絶対評価」導入へ、最短で28年度入試から 大阪府教委(2013年3月28日 産経新聞)

大阪府教育委員会議が28日、府庁で開かれ、全国で唯一、相対評価方式を採用している中学校の内申書の成績評価について、最短で平成28年度の高校入試から絶対評価方式に切り替える方針が決定された。府教委は25年度中に内申書の様式や取り扱いを検討し、評価基準に関する参考資料の作成や研修準備を始める。

早ければ、4月に中学に入学する新1年生の高校入試から絶対評価が適用される。導入時期を28年度以降とした理由について、府教委は入試を控えた中学生に与える影響と、評価を付ける教職員の研修期間を考慮したとしている。

相対評価方式は、内申点を付ける際、一定の割合を割り振る仕組み。府の場合は10段階で、成績上位3%の生徒が最高評価の「10」を得るが、下位3%の生徒が必ず「1」を受ける。仮に同じ学校に通う同級生の学力が高ければ高い内申点は取りづらいのが欠点だ。

一方、絶対評価は周囲の生徒の成績に影響されないのが利点。ただ、府教委の調査では、点数が上位に偏って生徒間の差がつかず、結果としてテストの成績で合否を判断せざるを得なくなる傾向があるという。

文部科学省の通知を受け、大阪を除く46都道府県は18年度までに相対から絶対評価に切り替えており、松井一郎府知事や橋下徹大阪市長も絶対評価への変更を求めていた。

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ということで、早ければ今春中学校に入学した方たちが高校入試を迎える際には「絶対評価」によって内申書の成績評価が行われることになります。

ここ近年10年ほどの間に、全国の都道府県は相次いで相対評価から絶対評価へと切り替えてきています。大阪府は全国で最も遅い切り替え、となります。

絶対評価になることで気をつけなければいけないこともあります。先に絶対評価へ切り替えた都道府県の1つ、愛知県では、絶対評価導入によって「内申点のインフレ化が進み、学力を過信した受験生が上位の進学校に殺到」するという状況になり、導入初年度には中学浪人まで出てしまった、という事実もあるようです。

そういった前例を見た後で絶対評価に切り替えることになった兵庫県では、学校や地域で評価にばらつきが出ないことを目的として、切り替え初年度に向けて教科ごとに評価基準を作り県内の全中学校に配ったようです。

このように、絶対評価への切り替えは相当な事前準備が必要になりますし、それでもやはり愛知県のように大きな混乱が起こることが予想されます。絶対評価への切り替えに向けて、大阪府では今後もいろいろと検討が行われることと思います。今後もこの件については多くの情報が出てくると思われますので、こちらのブログでもご紹介をしていく予定です。

大きく変わる! 京都市・乙訓地域の公立高入試

2013年3月12日 火曜日

こちらのエントリー「揺れる高校入試 ~諸制度が続々と変更・変更予定に~ ②」でもご紹介をしました通り、「公立高校の特色ある学校づくりをさらに推進し、生徒一人一人の進路希望や学習ニーズにより柔軟に応えられるようにするとともに、中学生が自らのキャリア形成に向けて、目的意識を持って、これまで以上に主体的に高校を選択できるよう」という目的の下、かねてから検討が行われていた京都市・乙訓地域の公立高入試制度の見直しですが、去る1月24日(木)に正式な制度が発表となりました。

今回のエントリーでは、その新しい制度について簡単にご紹介を致します。

まずは、新制度の概要です(京都府教育委員会HPより)。

1.全日制普通科の教育制度 ~「類・類型制度」の廃止~
普通科第Ⅰ類と第Ⅱ類を廃止し、「普通科」として一本化
志願時ではなく、合格後に、希望や学力状況に応じてコースを選択
体育などの普通科第Ⅲ類は、普通科の中の専門的なコースとして存続

2.通学区域 ~通学圏の統合~
普通科の通学区域を京都市北・南通学圏(2通学圏)から1通学圏に統合
21校から選択が可能

3.入学者選抜制度
(1) 受検機会の複数化
これまでどおり複数の受検機会を確保
前期選抜(2月中旬)⇒中期選抜(3月上旬)⇒後期選抜(3月下旬) ※名称は仮称
(2) 前期選抜
現在2月に実施している、学科等によって異なっている選抜(推薦入学、特色選抜、適性検査)を廃止し、「前期選抜」として一本化
(特別入学者選抜の枠組は残し、原則これまでと同じ方式で実施)
(3) 中期選抜 ~総合選抜制度の廃止~
現在、普通科第Ⅰ類で実施している総合選抜制度を廃止し、各高校が学科ごとに合格者を決定する単独選抜制度を導入
(4) 後期選抜
前期選抜及び中期選抜を実施した後、なお相当の欠員がある場合に実施

4.新制度の実施時期
2014(平成26)年度入学者選抜(現在の中学校2年生対象)から実施

5.その他
・新制度の詳細については、入学者選抜要項で後日決定。
・他の通学圏にも共通することについては、併せて見直しが行われる。

「類・類型制度の廃止」「通学圏を1区に」「総合選抜の廃止」というのが大まかなポイントとなります。

続いて、前期・中期それぞれの選抜でどのようにして合否が決められるのか、についてです。

まずは前期選抜についてです(画像をクリックすると拡大します)。

現行制度で2月に実施している「推薦入学」「特色選抜」等に相当する受検機会となっています。また、学科等によって異なっていた選抜(推薦入学・特色選抜・適性検査)は廃止し、新たな選抜方法が採用されています。これは「多元的な評価尺度による各校裁量の選抜方法のもと、生徒一人一人の多様な個性・能力等を重視する」ことが目的とされているようです。

続いては中期選抜です(画像をクリックすると拡大します)。

現行制度で3月に実施している「一般選抜」に相当する受検機会となっており、現行の普通科第Ⅰ類で実施している「総合選抜制度」を廃止、各高校が学科ごとに合格者を決定する「単独選抜制度」とすることが目玉となっています。

中期選抜を簡単にまとめますと、「まず第1志望第1順位者で定員の90%分の合格者を決定、定員の残り10%については第1志望第1順位の選抜で上位90%に入らなかった者と、他の高校の第1志望第1順位の選抜で上位90%に入らなかった者で当該高校を第1志望第2順位とする者をあわせて選抜を実施し合格者を決定する」となります。

なお、中期選抜での学力検査と報告書の配点比率は、概ね1:1となるようです。

最後に後期選抜についてです。

後期選抜は現行制度で3月に実施している「2次募集」に相当する受検機会となっています。これは、前期選抜及び中期選抜を実施した後、なお欠員がある場合に実施するというものになります。よって、募集人数は募集定員から前期選抜及び中期選抜の合格者数を除いた数となります。

選抜方法は、以下の3つにまとめられます。

①各高校が学科ごとに合格者を決定する「単独選抜制度」とする。
②全校共通の学力検査(国・数・英)及び報告書,面接を検査項目とする。
③検査項目を総合的に判断して合格者を決定する。

最後に、今回発表された新制度が1枚にまとまったものを以下に貼ります(画像をクリックすると拡大します)。

今の中学2年生の皆さんを始めとする受験生・保護者へこの制度を知ってもらう必要がありますが、今後は以下のようなことが予定されているようです。

・新制度の内容をまとめたリーフレットや京都市・乙訓地域の各高校の概要や普通科に設置するコースの内容等をまとめた冊子を作成し、2月中に保護者等に配布予定
・中学生や保護者等対象の説明会を2月下旬から年度内に複数回開催予定(日程等は中学校を通じてお知らせ)

また、大変気になる各高校の「前期選抜」の詳細(検査項目の配点比率等)ですが、4月中を目途に公表される予定とのことです。こちらは気をつけて続報を待ちましょう。

揺れる高校入試 ~諸制度が続々と変更・変更予定に~ ③

2013年1月22日 火曜日

揺れる高校入試 ~諸制度が続々と変更・変更予定に~ ①
揺れる高校入試 ~諸制度が続々と変更・変更予定に~ ②
に続くエントリーです。

昨年末に怒涛のように報道があった、近畿地区高校入試に関する話題を順にご紹介をしていっております。

今回は、公立高校無償化の見直しに関する話題と、万が一公立高無償化が見直しになった場合の私立高無償化への影響、についての話題です。

③公立高校無償化 見直し ⇒ ゆくゆくは私立高無償化も見直しに?

先の衆議院総選挙で新政権の座についた自民党が政権公約として掲げていた「高校授業料の無償化制度見直し」について、本格的な検討に入るという報道がありました。

現在は高校生の5割をカバー出来ると言われている「年収700万円以下を対象とする」という線で調整がされる見通し、と報道されています。合わせて所得制限を設ける時期についても検討されていますが、そちらについては今後の参議院選挙までは手堅い政権運営に徹する構えで、高校無償化の見直しも慎重に進めるとみられています。

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自民党:高校無償化の所得制限検討 13年度実施は見送り(2012年12月21日 毎日新聞)
(一部抜粋)

自民党は、衆院選の政権公約に掲げた高校授業料無償化の見直しについて、所得制限を設ける検討に入った。補助対象の線引きとなる世帯年収は700万円台で調整している。ただ、所得制限を設けるには高校無償化法の改正が必要。今年度中の改正は困難で、13年度からの所得制限実施は見送る。
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また、大阪府や京都府では私立高人気の一翼を担っている「私立高無償化」ですが、この公立高無償化施策に所得制限が設けられた場合、影響が出てきそうです。

実際、大阪府の松井一郎知事は公立高無償化の見直しと私立高無償化の足並みをそろえる、という主旨の発言をされています。

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高校無償化、新政権でも続けて…大阪・松井知事(2012年12月19日 読売新聞)
(一部抜粋)

今回の衆院選で議席の過半数を占めた自民党は、高校無償化について「所得制限を設ける」としており、松井知事は、「所得制限を入れて無償化するべきだ」と同調した。

公立の無償化に合わせ、府が独自に講じている私立高の授業料無償化策については、「公私が公平に切磋琢磨(せっさたくま)することが基本」として、制度の変更で公立高保護者に新たに負担が生じることになれば、私立高授業料の助成も見直すとの考えを示唆した。
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公立高の無償化で所得制限が設けられるとなると、おそらく大阪府の私立高無償化においても何らかの形で制度が変更になるものと思われます。

京都府でも私立高無償化に関しては大きな枠組みでもって運用されていますが、こちらについての動向も大変気になるところではあります。

特に来年高校入試を迎える予定の新中学3年生の皆さんは、「大阪府 学区撤廃」「京都府 新入試制度へ移行」「無償化の枠組みが変わる」という大きな話題を抱えつつ入試に向けて勉強をして行かなくてはなりません。

受験勉強はもちろんのことですが、こういった受験情報の収集も非常に重要となってきます。また、情報を集めるだけでなく、それらを的確に捉えて、自分の学校選びが有利になるように動くということも大切です。

高校入試の世界においてまさに「激動」の時代を迎えつつある今、開成教育グループの各教室ではしっかりとした情報提供と万全のサポートをとらせていただいています。

混沌とした高校入試を制するために、ぜひとも我々開成教育グループをお選びください。

揺れる高校入試 ~諸制度が続々と変更・変更予定に~ ②

2013年1月15日 火曜日

揺れる高校入試 ~諸制度が続々と変更・変更予定に~ ①」に続くエントリーです。

昨年末に怒涛のように報道があった、近畿地区高校入試に関する話題を順にご紹介をしていっております。

今回は、京都府・乙訓地域での総合選抜廃止と新入試制度導入に関する「予定」の内容をご紹介します。

②京都府 京都市・乙訓公立高 総合選抜廃止⇒新入試制度へ

全国では今や京都市・乙訓地域だけとなっていた「総合選抜制度」が、早ければ現中3生の入試を最後に廃止され、単独選抜に移行する方向で調整されています。

11月末に行われた地域住民に対する説明会に開成教育グループ 入試対策課も参加致しましたが、その場では、専門学科の多くが参加する前期選抜の定員を総定員の半分以下とする方針を示し、現在の一般入試にあたるものを中期選抜とする、といった案など、以下のようなものが「現在の検討内容」として提示されました。

・普通科第Ⅰ類と第Ⅱ類を「普通科」として一つに。普通科の中にコースを設置し、生徒が自らの能力・適性・進路希望に応じてコースや教科・科目を選択できるように教育課程を編成する。なお、コースについては「合格した後にコースを選択」「学年進級時にコース変更が可能」となる予定だが、どういうコースを作るかは各高校が決定し、コース分け開始学年やコース分け方法も各校に裁量が委ねられる。
・普通科Ⅲ類は普通科の中の専門的なコースとして存続。
・通学区域は、現在の北・南通学圏を廃止し、1通学圏に統合。

この新制度は、早ければ現在の中2生からの導入とされる予定のようですが、それに向けて現在様々な調整がされているようです。

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入試新制度1月公表へ 京都市・乙訓公立高(2012年11月30日 京都新聞)

京都市・乙訓地域の新しい公立高入試制度について、京都市教育委員会は30日、同日まで募ったパブリックコメント(意見公募)や説明会の結果を踏まえ、来年1月に新制度を公表する意向を示した。新制度を反映した各校のコース設定や選抜方法も、年度内に示される見通し。

同日の11月定例市議会の代表質問で、生田義久教育長が答弁した。現在示している新制度案は、総合選抜から単独選抜への移行や類・類型の廃止、南北2通学圏の統合、前期と中期、後期の3選抜方式を盛り込んでいる。1月にはこれら方針に加え、前期選抜が占める定員割合や、中期選抜の複数校志願と合否判定の仕組みも示す見通し。

京都府、京都市両教委によると、例年は5月の連休明けに示す各校ごとのコースや受験科目などの選抜方法についても、公表を年度内に前倒しする方針。11月下旬に開かれた府民説明会で、とくに2014年度入試を迎える中学生の保護者らから、早期の公表を求める声が相次いでいた。
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新聞記事にもありますとおり、現時点で公表されているのはあくまでも「案」の段階で、前述の説明会以降に市民から公募した意見などを参考にしながら微調整を行い、最終的には1月に新制度を発表される予定のようです。

京都市・乙訓地域の新中学3年生の皆さんにとっては非常に気になる話題かと思いますので、1月は毎日新聞・テレビのニュースに注目しておくべきでしょう。

次回は「無償化」についての話題をご紹介する予定です。

揺れる高校入試 ~諸制度が続々と変更・変更予定に~ ①

2013年1月7日 月曜日

ここ最近で、高校入試の制度変更(予定を含む)に関する話題が多くなっています。

今回から3つのエントリーに分けて、近畿地区の高校入試に関わる話題を拾い上げて参ります。

まずは、先般発表されました大阪府における「学区撤廃」に関する話題です。

①大阪府 「学区撤廃」が正式決定、新中3生より

12年3月に学区撤廃が盛り込まれた府立学校条例が府議会で可決されたこともあり、かねてから「時間の問題」となっていた大阪府の学区撤廃ですが、この程2014年度入試から撤廃、ということで正式に決定されました。

これにより、現在の中学校2年生が高校を受験する2014年度より、府内全域から全日制普通科高校を選べるようになります。

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公立高校の学区、廃止を正式決定 府教育委員会議 大阪(2012年12月20日 産経新聞)

今年4月施行の府教育関連条例で平成26年度入試からの廃止方針が盛り込まれた、現在4地域に分かれている公立高校全日制普通科の通学区について、府教育委員会議は19日、廃止を正式決定した。

廃止は受験生の選択肢拡大が目的。現在中学2年の生徒が26年に臨む高校入試から、府内のいずれの高校も受験が可能になる。

府教委は当初、中学校の進路指導が混乱する恐れがあるとして早期廃止に反発したが、今年1月に開かれた府市統合本部会議で、松井一郎知事や橋下徹大阪市長が2年後の廃止を「政治決定」。教育関連条例のうち、府立学校条例に廃止方針が盛り込まれた。
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大阪府内に住んでいる受験生であれば、大阪府内にあるどの学校でも受験校として選択出来るようになるこの学区撤廃、利点としては「進路選択の幅が拡大する」という点が挙げられる一方で、十分な周知の必要性や都市部や一部の人気校に志願者が集中する「人気校と不人気校の格差」が大きく出てくることが懸念されています。

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学区撤廃「府立高の情報発信充実を」(2012年12月20日 読売新聞)

四つある大阪府立高校(普通科)の学区を2014年度から撤廃することを正式決定した19日の府教育委員会会議では、学区撤廃後の課題を指摘する声や、高校などによる情報発信の充実を求める意見が相次いだ。

学区撤廃は、受験校の選択肢が広がる一方で、通学時間が長くなったり、学校間格差が広がったりするとの懸念もある。この日の会議でも、陰山英男・教育委員長が「人気が集まった学校と(不人気校と)のアンバランスが起きないか心配だ」との懸念を示した。

学校の選択肢が広がる点については、陰山委員長は「学校のウェブサイトを絶えず更新して紹介してほしい」と求めた。中学校の進路指導については、「合格者の平均点やボーダーラインなどの情報について、中学校はより細かいデータが必要になる」と高校にデータの公開を求める意見も出た。

府内の公立高の学区は2007年度、それまでの9学区が4学区に再編され、今年3月には、学区撤廃が盛り込まれた府立学校条例が府議会で可決された。
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先にご紹介した以外の新聞記事では「今後府教委は、来年1月に府内公立中学の1、2年全員に学区撤廃を伝える印刷物を配布する」「予算要求段階ではあるものの、生徒や保護者が知りたい高校の情報を提供する検索用インターネットサイトや、中学校に志願動向などを即時提供できる進路指導システムの構築などを計画している」といった内容も見かけました。

学区撤廃を新中3生に浸透させることと、進路指導を行う中学校側での情報収集方法、といった所がクローズアップされていますが、それ以上に大阪府内にある全校が更に取り組みを充実させ、その内容を全地域に向けてアピールしていくことが何よりも大事なのではないかと思われます。

次回以降も、近畿地区の高校入試に関する話題をご紹介してまいります。