大阪公立大学 2027年度より秋入試に移行?

2024年2月13日

「大阪公立大を運営する公立大学法人大阪は9日、2027年度から秋入学を大学院の全研究科に拡大し、工学部への導入も検討すると明らかにした。外国人留学生の受け入れと日本人学生の海外留学促進が目的。大阪府と大阪市の会議で報告を受けた吉村洋文知事は報道陣に、将来的な春入学の廃止とキャンパス内での英語の公用語化に意欲を示した。」毎日新聞オンラインより一部引用

たしかに他大学との併願受験で成り立っている私立大学が春入試から撤退することは考えにくく、設置者が国である国立大学が一斉に移行するとなると、高校の学年暦や産業界に与える影響も大きいため、秋入試への移行はかなりハードルが高いわけですが、公立大学ならそういった意味では可能性が高いといえます。

しかし、高校の卒業時期が3月になっている現行制度では、9月入学までの半年間ギャップが生じ、しかもその時期に入試を行う他大学がなければ併願受験も不可能、そして卒業も同時に高校を卒業し他大学に進学した学生よりも卒業が半年遅れるとなれば、就職にも不利になる可能性が高いわけです。少なくとも4年で卒業し一般企業に就職する割合が高い専門分野では、学部の段階で秋入試を導入しても、そこに参加する学生は、多くても受験生の十数%にすぎない既卒生のみとなるでしょう。

英語を公用語にすることに関しても、シンガポールのように多民族国家では、英語を公用語にする意味がありますが、募集要項、成績証明をはじめとして、国内で必要となる対外的な書類は当然日本語で作成する必要がありますから、事務コストの上昇が考えられます。募集要項まで含めて英語にするというのであれば、そのハードルを越えることができない日本人を排除することになりますので、税負担をしている大阪府民にも説明がつかないのではないでしょうか。

ただし、研究者養成に限定すればこれらの問題は生じないかもしれません。大阪府立の「大学院大学」を別に設置し、年2回の入試と修了認定を行い、学内では英語を公用語にすることで、国内外との学生の交流を積極的に進め、国内外の大学学部からの半年飛び入学を認めるというのであれば優秀な人材を確保できると思われます。

吉村知事、いかがでしょうか?