大学入試 公募制推薦入試の結果について

2016年12月9日 金曜日

ここ数日、11月の試験日程が多い「公募制推薦入試」の合否発表が行われています。「併願」出願ができる公募制推薦を利用して、一般入試の受験負担を減らそうという受験者も多く、近年人気が高まってきています。ここで合格を一つ確保して、ほっとしている受験生もいることでしょう。

 

大学入試の全体動向としては「文高理低」だといわれていますが、公募制推薦入試の場合は一般入試のように複数出願が日程的に難しいため、一部の学部や学科に志願者が集中し、同じ大学でも難易度の差が拡大する傾向にあります。

 

たとえば、摂南大学公募制推薦B日程の実質競争倍率と合格最低点を見てみましょう。文系では、法学部で3倍程度、外国語学部は2.5倍程度。合格最低点(得点率)も65%以下とお手軽感が出ていますが、経営学部では評価方式によって差はありますが、5.6倍から7.0倍、合格最低点も66%から75%と難易度が高くなっています。理系でも生命科学科が3倍以下、合格最低点も64%以下なのに対し、建築学科は9.9倍、合格最低点も68.3%から73.3%とかなり厳しくなっています。
 

つまり、公募推薦で不合格になってしまった場合でも、他の学部や評価方式なら合格をもらっていた可能性もあるわけですから、志望校をワンランク下げるのではなく、一般入試に向けて、得意科目の得点が有利に判定される方式を選ぶなどの作戦を立ててはいかがでしょうか。

 

2017年度大学入試 学部・系統別志望動向

2016年12月8日 木曜日

大学入試の志望動向についてです。今年の大きなトピックは近畿圏国公立に関しては大阪大学の後期試験廃止、神戸大学の改組などが発表されていますが、学部系統別の志望動向はどのようになっているのでしょうか。全国で42万7千人が受験した、第1回ベネッセ駿台マーク模試のデータを元に見てみましょう。(横軸の目盛は、前年度を1としたときの次年度の志願者数割合です。つまり「1」は志願者数が昨年と同数、という意味になります。)

まず、国公立についてです。

2015年から2016年の動向と2016年から2017年度入試(今回のデータ)を並べてグラフ化してみました。また、単年度の推移では全体動向がわかりにくいので、2015から2017への変動もグラフ化してみました。棒を赤色で表示しているのは2年間で1倍を超えている学部・系統です。

御覧のように、文系で増加している系統が多いことがわかります。しかし、国公立では文系学部の定員減の傾向にありますので、文系にとっては例年より厳しい戦いになりそうです。(河合塾は、今のような、文系の人気は増加しているが、定員が縮小していることを「文高理低・文縮理拡」と表現しています。)

また、国際関係学系統が2年連続で伸びており、受験生のグローバル化への関心が高まっていることがわかります。しかし、ここも国公立での国際関係系の大きな定員増はありませんので、純粋に難易度が上がると考えられます。

私立大学についても同様のグラフを作成してみました。2年累計ではこの模擬試験受験者が106.8%と母数そのものが増加していますので、106%を超える学部・系統のみに赤色を付けています。こちらでも「文高理低」の傾向がはっきり出ています。好況感から経済・経営・商学系も安定して上昇してきています。経営学、経済学、商学は重なる部分も多い学問領域ですが、近年では就職に有利なイメージが強い「経営学」の人気が高く、難易度も高めとなっています。歯学系統が高めになっているのは、都市部では歯科医師が飽和しているなどから近年低めで推移していた反動で昨年度増加していますが、今年度は逆に反発して低めとなっています。

国際関係系は国公立同様人気分野となっていますが、語学は低くなっています。これは元々私立の方が語学系統の学部・学科が多く、志願者数も多かったわけですが、グローバル化の関心とともに、語学力だけでなく、国際政治などにも興味を持つ学生が、語学系から流れたと考えられます。海外語学研修などで学費以上の費用が必要になる大学もありますが、ねらい目になる語学系学部も出てくると思います。

いよいよ私立一般入試の出願となります。併願校出願などの参考にしてみてはいかがでしょうか。

 

 

大学入試センター試験と科目選択

2016年12月5日 月曜日

大学入試センター試験は、科目によっては選択が可能なものがあります。例えば「地理・歴史」の中から、世界史や日本史を選ぶことができるわけです。もちろんその後に受験する大学によっては、特定の教科を必須にしている場合もありますので、選択できる幅は多少異なりますが、社会や理科は選択になっている場合がほとんどです。

しかし、毎年話題になるのですが、実は科目によって平均点、つまり難易度が異なる場合があります。そこで、昨年どの程度の差があったのかをひとまず見ていただきましょう。

満点が200点や50点の教科も、比較しやすくするため、すべて100点満点に換算しています。

 

御覧のように、科目による差は確かにあります。理科で、「○○基礎」の科目が2科目必要な受験生が、「化学基礎」と「生物基礎」を選んだ場合と、「物理基礎」「地学基礎」を選んだ場合では、すべて平均点だった場合で27.84点(200点満点)の差がつくことになります。

 

100点満点に換算して20点以上の差がついた場合は得点調整が行われる対象となりますが、その科目の受験者数が1万人以下の場合は行われないことになっています。昨年の「地学」の平均点は38.64という他の科目よりも20点以上低い平均点でしたが、受験者が全国で2,126人しかいませんでしたので、調整は行われませんでした。

さて、科目選択の状況を見てみましょう。御覧のように社会のB科目では、世界史選択者は日本史の4割程度しかいません。

 

理科の基礎科目では圧倒的に生物基礎が1番人気、地学の3倍近くが生物を受験しています。中には実質地学が開講されていない高校もありますので、その影響も考えられます。

 

基礎なしの科目は、さすが理系の受験生が多いので、物理・化学が圧倒的になります。

 

因みに外国語も選択制ですが、99.8%が英語を選択しています。中国語の平均点が8割近くありますが、これは中国語の問題が簡単なわけではありません。受験のために中国語を習得したのではなく、最初から中国語が母語である受験生も多いため、点数が「取れてしまう」というのが実情でしょう。

 

今年の大学入試センター試験の平均点はどのようになるかわかりませんが、受験生の多い国語や英語の平均点の変動は、個別学力試験への出願に大きく影響を与えます。センター試験までの頑張りも大切ですが、その後の分析資料や報道、それを元にした学校や塾の進路指導も参考にしてください。

 

関関同立英語答案作成練習会が開催されます

2016年12月1日 木曜日

そろそろ大学入試、一般試験の時期が近づいてきました。受験生は最後の調整に入っていることでしょう。さて、実は関西の有名私大「関関同立」の全学部日程の問題傾向は毎年あまり変わらないことでも知られています。解答方法(マーク式か記述式)だけでなく、特に英語は大問の数や配置も例年同じになっています。(昨年、立命館が大問一つ減少しましたが、むしろこれは例外的です。)

そこで、それを利用して効率的な解答順と時間配分を決めて、点差がつく問題で時間を取るなどの作戦を立てておくということを「個別指導学院フリーステップ」は考えました。それを実際に問題を解いて、個別の指導を受ける、という「関関同立英語答案作成練習会」というイベントにして、受験生に伝えています。その結果、昨年度入試でも関関同立1697名合格という驚異の実績を上げることができました。

12月4日の(関西大、関西学院大、立命館大)は受付が終了していますが、12月18日の(関西大、同志社大)はまだ申し込みが可能です。塾生の方は、所属教室を通して申し込んでください。(このイベントは当グループ生専用のオプションとなっております。参加希望の方は所属教室を通して申し込みをしてください。)


 

キャビンアテンダントに近い大学

2016年11月30日 水曜日

キャビンアテンダントとはかつてはスチュワーデスと呼ばれていた旅客機の客室乗務員の事ですが、女性にとってあこがれの職業の一つです。(今では男性の採用もありますが、国内の航空会社ではまだ少ないようです。)昔からテレビドラマなどにもよく取り上げられる、特に国際線なら文字通り世界を飛び回る華やかなお仕事なのですが、競争倍率も大変高くなっています。(近年でも100倍を超えることが珍しくないそうです。)

キャビンアテンダント養成の専門学校や受験予備校も存在しますが、大学による就職者数ランキングを見つけましたので、紹介します。

 (AERAムック 大学ランキング2017年版 朝日新聞社出版より)

2011年から2015年の5年間累計の採用数です。御覧のように関西学国語大学がトップ、2位の青山学院大学と併せて他の大学を大きく引き離す人数です。以下関西学院大学、上智大学、早稲田大学と続きます。関西勢では全校上位20位の中に、関関同立がそろっています。

まずキャビンアテンダントになるにはコミュニケーション能力も含め、高い語学力が必要になります。そう思ってみると、上位の大学は語学に強いイメージがあります。それに加えて緊急着水に対応するためにある程度以上の距離を泳ぐことができる能力や、健康状態、住所地など様々な条件をクリアする必要があるそうです。

この第1位の関西外国語大学がなぜ、毎年1位なのか、調べてみました。

まず、大きいのはなんといっても「外国語大学」ですので、英語の学力が高いことが挙げられます。多くの航空会社ではTOEICのスコア600点程度以上、というのが条件になっていますが、在学生の約半数が留学を経験しているこの大学では、採用試験受験者のTOEICスコア平均はなんと700点以上だそうです。

( 「関西外大アラモード同窓会NEWS」ホームページより)

また、日本航空と提携し、「エアライン演習室」という部屋まで学内に作っています。ここには実際の日本航空の訓練施設と非常に近い、航空機のビジネスクラスの客室そっくりの部屋や、空港のチェックインカウンターに模した設備などが置かれています。ここでの練習が直接採用につながるわけではないと思いますが、ここで学んだ学生のモチベーションはあがることでしょう。

そして、なんといっても過去5年間で232人ものOGがいるのですから、一般の大学に在籍している学生と比べると情報量が違うでしょう。どのようにすれば合格できるか、だけではなく、航空会社による違いや働いてみてわかることも、直接聞くことができるのは大きいと思います。

キャビンアテンダントを目指す高校生以下のみなさんは、参考にしてみてはいかがでしょうか。ちなみに関西外国語大学は公募推薦入試で60~70%の入学者が決まる学校ですので、高校2年生以下の皆さんには、お早目のフライト(?)をお勧めします。

関西外大アラモード同窓会NEWS

 

倍率が1倍台の有名国立大学

2016年11月28日 月曜日

センター試験まであと50日を切りました。センター試験受験生は心休まらない日々を過ごしていることでしょう。さらに、国公立大学志望者にとってはその次の二次試験も突破しなければいけません。まだまだ戦いが続きます。

ところで、二次試験の競争倍率というのはどの程度のものでしょうか。昨年度では富山大学理学部の後期日程の19.1倍や、弘前大学医学部のように前期でも13.5倍と10倍を超えるような倍率になった大学もあり、それほど極端でなくても競争倍率が4倍を超える国公立大学も珍しくありません。

 

そんな中で、昨年度入試で1倍台の大学を紹介します。(サンデー毎日12月4日号より抜粋)黄色で塗りつぶしているところが2倍未満のところです。たまたま昨年度だけ1倍台になっているところは、逆に今年揺り戻しが考えられますが、3年連続で1倍台(つまり黄色が3つ並んでいる大学、学部)は狙い目だといえるでしょう。たとえば長崎大学の多文化社会学部は、『法、政治、経済を中心とした「世界の仕組み」を、英語によって学ぶ』ことができる「グローバル社会コース」や社会学や文化人類学の研究ができる「社会動態コース」など、興味深い専門分野が用意されているのに、2年連続で1.1倍と落ち着いた倍率になっています。

もちろん志望する専門分野と異なるところに、倍率が低いだけで受験するのはどうかと思いますが、希望する学部がある場合は参考にしてみては如何でしょうか。

 

留学(海外研修)をしなければいけない大学

2016年11月24日 木曜日

今回は大学の留学についてです。

かつては、一部の希望者(または選抜メンバー)だけが参加できる海外語学研修制度を設けている大学が大半でしたが、近年の社会のグローバル化を受けて、希望者が増え、その枠が広がり、ついにその学部やコースの全員が海外研修できるところも出てきました。さらには大学を卒業するためには留学(海外研修)をしなければいけない、と定めている大学も増えてきました。

2016年度に新設された近畿大学国際学部は、今年は1回生のみが在学しているわけですが、現在、東大阪のキャンパスには学生は一人もいません。実は1年の秋から全員がアメリカに留学するシステムになっているので、学生は残っていないというわけです。彼らは2回生の夏に戻ってきて、英語を忘れる前にまずTOEICを受験し、その後の授業も英語で行われるという予定になっているそうです。異文化の中で1年間過ごした彼らは、卒業後も各界で活躍することでしょう。

これは近畿地方の大学で、卒業するためには留学(海外研修)を原則必須としているところの一覧です。(偏差値というのはベネッセ駿台マーク模試でB判定の値です。また、期間は「月」で表していますので、12というのは1年間、0.25というのは1週間のことです。6以上、1~6、などの表記は、行き先や利用するプログラムによって期間が変わるという意味です。)

期間が12か月(1年間)のところには色を付けています。1年間海外で暮らすと、実用レベルの会話力は身に着くといわれますが、それ相応の費用も必要となります。交換留学制度(協定校と生徒を入れ替える制度)を利用している場合は留学先の学費は不要ですので旅費と生活費さえ準備できればいいのですが、場合によっては現地の語学学校に入るなどさらに費用が必要になるケースもあるようです。これらの大学を考える場合は留学(海外研修)にかかる費用も受験前に調べておきましょう。

 

近畿圏、定員が増える大学

2016年11月22日 火曜日

文部科学省は、昨年度、平成28年度からの私立大学等経常費補助金が不交付となる定員充足率(いわゆる定員超過率)の基準を厳格化することを決めました。学生数が定員に対して一定割合以上超過もしくは不足していた場合には、「補助金減額」や「新設学部の申請不可」などのペナルティが課されるという制度です。

 

大学の規模を3段階(収容定員4,000名未満、4,000名以上8,000名未満、8,000名以上)に分けて、それぞれに定員超過の基準を定めています。この収容定員というのは入学定員ではなく、その大学に在籍させることができる学部学生数の合計をいいます。つまり、前の年度に基準以上の入学者を迎えた大学は、次の年、合格者を絞ることで調整をすることになります。

 

または、大学が募集定員そのものを増やす、という作戦もあります。もちろんそれに見合うだけの教員や教室を準備しなくてはいけませんが、定員を超過するという「リスク」を避けることができます。定員が増えると合格ラインが下がるのでは、と考えられがちです。しかし実は昨年度、定員以上入学させた大学が、その現状に合わすために定員を増やしたケースでは、今年度の合格者数は昨年度より増えるわけではありません。つまり志願者数が大きく変動しない限り、あまり合否ラインに変化は無いと考えるべきでしょう。一方、昨年度まで定員に達していないのに、将来の志願者増を見越して先に増員している大学もあります。その場合は合否ラインが多少下がるとみてもいいかもしれません。

 

定員増の規模の大きい順に近畿圏の大学を並べてみました。昨年度入試でも高倍率になるなどの勢いのある大学もみられます。受験校選びの参考になさってください。

 

同志社大学 一般選抜入試について

2016年11月21日 月曜日

そろそろ私立大学の一般入試に向けた出願が始まります。

同志社大学では正月明けの1月4日~1月13日(大学入試センター試験の前日)までが出願期間となっています。

試験日程は2月4日から2月10日まで、連続で1週間行われます。学部ごとに試験日程が異なりますが、学部を選ばなければ7回受験することも可能です。昨年度の同志社の志願者数は5万人以上と発表されていますが、これは実人数が5万人という意味ではなく、延べ人数です。実際には一人で複数回出願している受験生も多く、4回以上の受験も珍しくありません。

実は3回以上受験した生徒の合格率は1回だけ受験した受験生よりもはるかに高くなるというデータがあります。それは、回を重ねると問題の傾向や解答方式に慣れる、試験会場までの道順で迷うことが無い、などメンタル面でのメリットもありますが、たとえば英語の長文問題では、自分の興味関心のある主題の文章が出題された時には内容が理解しやすく、いつもより問題がスムーズに解けるなど、複数回受験した方が、自分にフィットする問題に当たる率が上がるので、合格率があがるというわけです。

この時期は他の大学の入試も行われているので、1週間すべてを同志社大学に費やすことはできないかもしれませんが、ここを第一志望にしている受験生は、できるだけ多く受験できるように日程を組み立ててみては如何でしょうか。

 

大学のネット出願について

2016年11月17日 木曜日

ここ数年で一気に広がった大学のネット出願(Web出願)についてです。紙の願書ですと、住所や氏名を書き込むだけでも緊張しますので一苦労ですが、その後、実は方式によって提出するべき用紙が違っていた、となるともう一度同じことを書くなど、地味な作業に時間が取られたものです。今ではネット出願が一般化してきましたので、書店に大学の願書が並ぶという光景を見ることも無くなってきました。

ネット出願は受験日ぎりぎりまで出願できることや、受験料の払い込みや郵送のために銀行や郵便局が営業している時間内に出向く手間が省けるなどの利点がありますが、それに加えて複数出願するときの受験料が自動で計算してもらえるというメリットもあります。

摂南大学の「スマート出願」というネット出願の案内によりますと、受験料が自動で計算される以上に、公募推薦で合格した受験生がさらに「特別奨学生」を目指して一般入試を受ける場合や、英検などの資格保持優遇制度など、複雑な制度も出願時に選ぶことができるというシステムになっています。

要項をじっくり読まなくても、画面上で理解しながら出願できるようになっていますが、特別推薦など、紙の願書だけで出願できる方法が残っている大学などもありますので、やはり募集要項をよく読んで理解しておいた方が無難だと思います。

ネット出願をする際に、保護者のメールアドレスや、クレジットカードの番号入力が必要な場合もありますので、おうちの方と一緒に入力するようにしましょう。