大阪府公立高校入試、グローバル系学科の志願動向(3)

2021年9月10日 金曜日

(中学生の人口減に対し、変わらない募集定員)

また、中学生の人口減少に伴い、大阪府公立高校全日制の定員合計は後期入試に一本化された2016年には43,668名だったものが、2021年には34,903名と2割以上減少しています。しかし、先に挙げた14校の定員は2016年の1.280名から2021年の1,255名とほとんど変化がありません。募集停止した大阪市立西高校英語科の80名の減少を加えると8%減となりますが、実は2019年に大阪市立水都国際高校が80名の募集を開始していますので打ち消され、つまりここ5年間で定員はわずか5名減と実質変化はありません。各学校ではグローバル系の学科の定員は少なく、ダウンサイジングが難しいという硬直性が、結果的に倍率低下につながっています。

(グローバル教育の一般化)

中学校の英語教材も改訂され、実際の会話場面を想定したような内容も多く取り入れられています。さらに高校の指導要領も2022年度から「英語表現」という科目が、「論理・表現」とさらに実践的な内容になるなど、普通科に在籍していても実際の場面でも使える英語教育に変化しています。また、普通科であってもオンライン英会話や、コロナ禍の今年は難しいですが、海外研修を行っている学校も珍しくありません。つまり、あえてグローバル系の学科に所属しなくても十分な英語学習や異文化体験が行われるため、英語の授業時間数が多く、ネイティブスピーカーを用意しているグローバル系の学科の魅力が相対的に薄れているともいえるでしょう。

しかし、逆に言えば、高校入試段階で英検などの外部資格向けの学習もしたことがなく、英語がそれほど得意ではないが、英語力は付けておきたい、という中学生にとっては公立高校のグローバル系の学科を受験するのは、今はチャンスだという事になります。語学力は常にアップデートしていくことが大切ですので、長い目で見れば、レベルに応じ効率的な学習方法を身に着けることが大切です。中学生の皆さんは、複数の私学と公立高校の違いを比較して、自分の状況に適した学校を選んでいただければと思います。