大阪府立富田林中の競争倍率が発表されました

2017年1月11日 水曜日

大阪府立としては初めて設置される「大阪府立富田林中学校」の入試(適性検査)が1月21日に行われます。その志願者数が大阪府教育庁より発表されました。

120名の定員に対して603名が出願で、競争倍率は5.03倍と厳しい戦いになっています。参考までに近畿圏の公立中高一貫校の競争倍率で、判明しているものを上げておきます。

富田林中学校には、男子274名、女子329名と女子の方が多く出願しています。女子の方が厳しい戦いになっているように見えますが、男女別に定員の45%を選び、残りの定員10%は男女関係なく選ぶという方針ですので、男女比が45:55以上に偏らない限り、難易度には差が無いと考えられます。(男子が定員の45%、つまり54名合格し、女子が定員残りの66名合格すると仮定すると、男子の倍率は5.07倍、女子の倍率は4.98倍とほぼ同倍率になります。)

 

1月21日には以下の「適性検査」と「作文」が実施されます。

******************************

ア 適性検査Ⅰ(国語的問題)

国語を適切に表現し正確に理解するための基礎的・基本的な知識・技能、他の人の立場で考える想像力、分かりやすく伝えるための表現力及び筋道立てて考えるための思考力と思考に基づく判断力をみる。【45分間100点】

イ 適性検査Ⅱ(社会・理科融合的問題)

グローバルな視野、資料やデータを活用する力、論理的思考力及び課題発見・解決能力などをみる。【45分間100点】

ウ 適性検査Ⅲ(算数的問題)

資料・図表や与えられた条件などから見通しをもち、判断や考察をし、問題解決を図る能力をみる。【45分間100点】

【作文の出題方針】

400字程度とし、中高一貫校で6年間学び続けていくことができる意欲・適性及び自らの考えや意見を論理的かつ適切に表現する力をみる。【30分間60点】

******************************

この合計360点の上位から合格者が決まるというシステムです。

 

ちなみに入学辞退者が生じた場合、「募集人員を満たすよう繰上合格者を決定する。」とされています。それに関して募集要項には次のように書かれています。

******************************

・入学意思の確認の実施日及び時間帯は、2月1日(水)の午後2時から5時までとし、予備日として2月2日(木)の午後2時から3時までとする。

・入学意思の確認は、保護者への電話連絡により実施する。電話連絡は、入学志願書中の緊急連絡先へ行う。留守番電話への伝言の録音等は行わない。

・連絡がとれない場合や保護者による確認ができない場合は、繰上順位を最終に回す。

******************************

つまり、電話が通じなかったらせっかくの権利が消滅するということです。

富田林中学を受験して合格通知が来なかった受験生はもちろん、それに伴って入学辞退者が生じた私立中学校からも繰上合格が発生する可能性もありますので、中学受験をしたご家庭は、少なくとも1月中は連絡が常にとれるようにしておいた方が良いでしょう。

 

 

旧帝国大学と学部

2017年1月10日 火曜日

戦前から日本の高等教育システムの中で特権的な地位を占めていた帝国大学ですが、戦後は占領下で行われた学制改革(6・3・3・4制)の中に組み込まれることになります。つまり他の新制大学と同じ位置づけとなったわけですが、昭和23年8月に文部省が通知した「新制国立大学実施要項」によりますと、「国立大学は、特別の地域(北海道、東京、愛知、大阪、京都、福岡)を除き、同一地域にある官立学校はこれを合併して一大学とし、一府県一大学の実現を図る」とされました。この「特別の地域」以外の国立大学は「地方国立大学」として一府県ごとに一校の新制大学が誕生したわけですが、この「特別の地域」の旧帝国大学と、それに含まれない宮城県の東北大学を併せて、国内の旧帝国大学は旧制高校を教養学部(教養部)という形で吸収合併し、総合大学として存続することになります。

 

昭和27年から平成29年の65年間に、この旧帝国大学でどれほどの学部が増設されたのかを一覧にしてみました。黄色に塗ってある所はこの間に増えた学部、水色に塗ってあるところは、他大学を合併して誕生した学部です。

まず、驚くべきなのは、この間に消えた学部が一つもないという事です。私立では教養系の学部の改組や募集停止などがよく見られますが、東京大学の教養学部は65年経った今でも存続しています。また、他の大学も含めて増設された学部は薬学部と歯学部以外、ほとんどありません。つまり旧帝国大学に関しては、65年前の学部構成で世界と戦い続けていることになります。逆に言えば、当時の組織設定が半世紀以上経った今でも通用する素晴らしいものであったともいえます。

数少ない新設された学部についていくつか紹介しておきます。

北海道大学の「獣医学部」は農学部からの分離独立です。「水産学部」とあわせて、北海道大学を特徴付ける学部構成です。

京都大学の「総合人間学部」は教養部を解体して生まれたものですが、宗教学、心理学、文化人類学から現代社会論、語学など幅広い学問分野をカバーする学部です。

一方学部名が似ている大阪大学の「人間科学部」は社会学、教育学や行動学としてサルの研究をしているなど、かなり内容が異なります。従って、センター試験の結果によってこの二つのどちらかを選ぶのではなく、内容で選びましょう。ちなみに大阪大学だけ教育学部がありませんが、人間科学部がその役割を担っています。

「人間科学部」という学部は今日では早稲田大学をはじめとする私立大学に数多くみられ、国立でも今年4月に島根大学にも新設されるなど、もはや珍しくはありませんが、大阪大学が1972年に設置したのが日本初です。一方「総合人間学部」という名前の学部を設置しているのは京都大学と東京のルーテル学院大学の2大学のみです。

九州大学の「芸術工学部」は国立の九州芸術工科大学を合併したものです。建築のみならず映像、音響などのデザインを専門に扱う学部で、全国から学生が集まっています。

大阪大学の「外国語学部」も国立の大阪外国語大学を合併して誕生しましたが、校舎は元のまま、離れた場所にあり、豊中本部との移動は「再履バス」(再履修の学生が移動するためと揶揄して呼ばれている無料スクールバス)で30分ほどかかります。そこで今でも独立したクラブ・サークルが存在します。東京外国語大学とよく比較されますが、スワヒリ語、ハンガリー語、スウェーデン語、デンマーク語が学べる国立大学は日本にここしかありません。

学部ではありませんが、九州大学の「21世紀プログラム」というのは、特定の学部に属さずに卒業できるというシステムです。どの学部を受講してもよく、卒業後は「学士(学術)」という学士号が与えられるというものです。興味・関心や問題意識が固まっている学生にとっては面白いシステムだといえるでしょう。

 

帝国大学は朝鮮半島と台湾にもありました。しかし募集定員は少なく、昭和17年度では朝鮮半島の京城帝国大学は3学部計200名、台湾の台北帝国大学は3学部計160名と小規模だったようです。いずれも終戦後廃校になりましたが、その遺産はそれぞれソウル国立大学、国立台湾大学に継承されて残っているそうです。

 

 

中学入試・高校入試にもスマホの波

2017年1月6日 金曜日

日に日に寒さが厳しくなって参りました。この厳しさが増すたびに、入試の時期がやってきたように感じます。
この時期にも、各学校ごとにさまざまな情報が受験生に提供されていますが、最近では提供方法にも時代を感じさせる手段が用いられています。

スマホの普及率が7割を超えたといわれる昨今、保護者の多くの皆様もスマホを利用されているのではないでしょうか。スマホにはアプリといわれるスマホ専用のソフトが存在し、ゲームやお助けツールなど手軽に楽しめるものが無料で利用できたりします。そのアプリの中に「私立学校の公式アプリ」があるのをご存知でしょうか。

資料請求や進学相談会のニュースなど、受験生やその保護者にとって有益な情報が手元で素早く確認することができて便利です。またニュースが更新されるとお知らせされるようになっているので、大切な情報を逃すこともありません。

志望校合格を目指す受験生・保護者はもちろん、次年度以降へ向け志望校選びの真っ最中だという皆様にも必携のアプリではないでしょうか。まずはアプリを入手するサイト(App Storeや Google Playストアなど)へ行き、そこで気になる学校名を検索してみてください。大学とは違い、私立中学校・高校学校ではまだまだアプリを公開している学校は少ないですが、今後増えて来ることが予想されます。定期的に検索してみて確認されるといいでしょう。

以上、中学入試・高校入試 スマホ・アプリについてでした。

 

 

第96回 全国高校ラグビーフットボール大会

2017年1月5日 木曜日

この年末年始も、毎年恒例の「全国高校ラグビーフットボール大会」が東大阪市の花園ラグビー場で開催されています。この会場の花園ラグビー場は、88年前に日本発のラグビー場として作られ、2年前までは近畿日本鉄道(近鉄)の所有でしたが、今は東大阪市に移管されています。中は3つのグラウンドに分かれていますが、その中の3万人収容できる第1グラウンド(メインスタジアム)がこの高校ラグビーの準決勝や決勝戦で使われますので、テレビにもよく登場します。50年以上前からこの花園ラグビー場が「全国高校ラグビーフットボール大会」の会場となっていますので、高校球児にとっての甲子園と同じように、高校生ラガーにとっての聖地となっています。

1月3日の結果です。学校名に薄く色を付けているのは近畿圏の高校で、学校名の頭に★をつけているのは「公立」の高校です。戦前は同志社が5連覇するなどしていましたが、近年では常翔学園、東海大仰星、東福岡、御所実業、桐蔭学園が決勝に進んでいます。昨年の優勝校は東海大仰星、準優勝が桐蔭学園、準決勝まで進めたのは東福岡と石見智翠館でした。昨年のベスト4校がすべて今年の準々決勝まで勝ち残っているというのも驚きです。練習環境や、監督やコーチの先生にも恵まれているのだと思いますが、先輩方やOBのサポートや顧問以外の先生方の理解に加えて、「自分たちは強豪チームの中で育ってきた」という自信も連勝できる原動力となっているのでしょう。

ラグビー部に関係していない生徒でも、これらの学校の生徒は、自分の学校の名前がテレビや新聞で大きく報道されるわけですから、誇らしいことでしょう。

準々決勝の結果、近畿勢は御所実業と東海大仰星の2校が残りました。本日5日の準決勝が楽しみです。東福岡と東海大仰星は「第95回全国高校サッカー選手権大会」でもベスト8に入っています。同じく5日に、こちらは東京等々力陸上競技場で準々決勝が行われます。

学校の先生方はどちらに応援に行こうかと、うれしい悲鳴を上げていらっしゃることでしょう。

 

 

大学も「美味しく」なりました

2017年1月4日 水曜日

あけましておめでとうございます。年末年始ということで、特別においしいものを召し上がった方もいらっしゃると思いますが、今回は「食」と大学についてお伝えしたいと思います。

「食」に関係のある大学の研究分野といえば、「家政学」や「栄養学」の分野での、いかに必要な栄養素を摂取するためにおいしく調理するか、という方向性と、「食品科学」「食品工学」が扱っているように、加工食品を作るための技術を開発する、というアプローチがメインでした。もちろん品種改良や栽培方法によっておいしくて生産性の高い農作物を作る「農学」「生物工学」という研究分野も古くから盛んに行われているのですが、一般の消費者からすると、どの大学のどの研究がどの食品に結びついているのかがあまり伝わっていなかったように思います。

その点、近畿大学の「近大マグロ」は、水産研究所での長年にわたる地道な研究がわかりやすく一般に伝えることができた先進的な例だといえるでしょう。

(これは1年前の近畿大学の新聞広告です)

そこからの刺激もあったのでしょうか、最近は大学発の食品に関するニュースがよく見られるようになりました。

半年ほど前ですが、東京新宿高島屋で「大学は美味しい!!」フェアという大学発の食品を集めた催しが行われました。そこには信州大学の「ブナの実羊羹」、立教大学の「レジどら」(という名前のどら焼き)や、東京農業大学の味噌と、東京大学が養殖したわかめを使ったみそ汁などが提供されました。日本大学生物資源科学部からはミントを食べさせた豚「日大ミンとん」を使ったロースハムとベーコンも出品されましたが、加工に携わった学生たちも販売を行い、直接消費者の声を聞くことができたというメリットもあったようです。

全国で唯一「醸造」の名がつく学科を持つ東京農業大学は日本酒だけでなく、大学が栽培したヤムイモを使った焼酎やビールなどを産学協同も含めて製造、販売しています。この大学ではこれ以外にもお菓子やジャムなど数種類の食品をHPで直売しています。

 山梨大学生命環境学部地域色科学科にはワイン科学特別コースというコースがあり、ワインの製造の研究・開発が行われています

 関西の大学も負けていません。武庫川女子大学食物栄養学科調理学研究室は大森屋とのコラボで「ベジふり」というふりかけを開発しました。ふりかけの袋に武庫川女子大学のキャラクターも描かれています。

大手前大学の健康栄養学部には「大手前大学カレー研究所」が作られました。そこからの発信も今後楽しみです。

奈良女子大学は奈良漬を使用したサブレやカステラなどのスイーツを開発し、一般向けに販売されています。

さて、ブームの火付け役となった近畿大学では付属農場で作った「近大みかん」も数量限定ですが一般販売しています。例年学生向けの販売もあるようです。房や皮が薄くて食べやすく、糖度も酸味も適度で大変食べやすいとのことです。

エースコックから「近畿大学水産研究所×つるとんたん監修スーパーカップ1.5倍近大マグロ使用魚だしカレーうどん」が発売されました。220円(税抜)で全国のコンビニで手に入るようです。お手軽に近畿大学の味を楽しむことができそうです。

このように大学による「食」に関する研究や発信も盛んになっています。食べることが大好きな(?)高校生の大学選びの参考にしてもらえればと思います。

というわけで、今年もこのマグロ、いやブログをよろしくお願い申し上げます。
 

 

「学校選び」とは

2016年12月30日 金曜日

2016年もこのブログをお読みいただきありがとうございました。明日から年末年始のお休みに入り、このブログの更新もしばらくできなくなりますが、ここで、「学校の選び方」について書いてみたいと思います。

昔、野球が大好きなので、野球部が強い学校を選んだ生徒がいました。あこがれの野球部に入部したところまでは良かったのですが、そこは各中学から強豪たちが集まってきていたため、残念ながら高2になっても彼はレギュラーメンバーに入ることができませんでした。そこで彼は部活をやめてしまうのですが、張り合いが無くなってしまったのでしょうか、学校も長期欠席するようになってしまいました・・・。

この生徒のように部活の強さという一面だけで、学校選びをさせてしまったのは、学習塾として痛恨の極みです。自分の夢や進路を叶えるために学校を考えるばかりではなく、もっと多面的に学校をとらえてもらうようアドバイスをするべきだったと思います。

まず、万人にとって「良い学校」、「素晴らしい学校」というのは存在しません。学校は先生のみならず先輩、理事会、地域といった人の集団で運営されていますので、それぞれ個性というのがあります。その個性と子どもの個性がマッチした時、初めて「良い学校」に行った、と実感できるわけです。例えば学習意欲が高い子どもは、自習や先生に自由に質問できる時間と空間が準備されている学校が合うでしょうし、周りの雰囲気に流されがちな意志がそれほど強くないタイプの子どもは、勉強面だけでなく、生活面でも厳しく引っ張ってくれる学校で大きく成長するでしょう。

また、学校は毎日生活する場でもありますので、設備や環境も大切です。教室や実験室など授業のための設備だけでなく、たとえば成長期の子どもはおなかが空くものですから、お弁当を作ってもらえなかったときのために学校に食堂があるかどうか、放課後でもパンなどの軽食が入手できるかといったことまで考えながら学校見学をしてみると良いでしょう。水泳が不得意なのでしたら、最初からプールが無い学校を選ぶという考え方もあります。この子どもにとっては、「無いということ」がメリットになるわけですね。

男女別学と共学もそれぞれにメリットとデメリットがあります。男女別学といえば近畿では私学しかありませんが、「女子校だから(男子校だから)ダメ」と決めつけるのではなく、そうであるからこそ、学校はこんなこともできる、生徒はこんな風に成長できる、という部分も聞いてみましょう。

1月になると中学入試・大学入試が、2月には高校入試が本格化しますが、次の受験生である今の小5、中2、高2にとっては学校選びのスタートラインでもあります。今後もお読みいただいている皆さんのお役に立つような、皆さんと学校との素晴らしい出会いのお手伝いができるような情報を「学校選びの道しるべ」としてお届けしたいと思います。よろしくお願いします。

 

 

仏教系大学 学生数ランキング

2016年12月29日 木曜日

昨日に続きまして、本日は仏教系大学の学生数ランキングを紹介しておきます。昨日同様、元データは「大学ランキング2017」朝日新聞社刊 です。

大学名の後に宗派を記号で示しています。(真言宗のみ、(真言)と表記しています。)

㋔=浄土真宗大谷派

㋛=浄土宗

㋞=曹洞宗

㋢=天台宗

㋥=日蓮宗

㋭=浄土真宗本願寺派

㋷=臨済宗

 

この学生数上位27大学のうち、浄土真宗本願寺派が7校、浄土真宗大谷派が5校と、浄土真宗だけで12大学と圧倒的なシェアを占めます。浄土真宗の門徒数は仏教徒の3割強程度に対し、学生数でも仏教系の中で4割ほどと大きなシェアを占めています。浄土真宗は教育に積極的な宗派だといえるでしょう。

仏教系の大学のキリスト教系大学との違いは、長い歴史があるところです。キリスト教系の大学はいずれも明治期以降に設立されたものですが、たとえば四天王寺大学はその起源を聖徳太子の時代にまで遡れますし、龍谷大学も1639年、西本願寺境内に作られた学寮が起源になっています。元々は僧侶養成に重点が置かれていましたが、次第に信徒の教養教育、技芸教育にも力を入れるようになり、「寺子屋」と呼ばれる民間教育機関を併設するところも出てきました。これらの教育のノウハウが一般の人々からも支持されるようになり、大学とその付属高校、中学校を擁する学校法人にまで発展したところもあります。今では人文系、福祉系、教育系、のみならず、駒澤大学や愛知学院大学、佛教大学のように医療系の資格取得や、龍谷大学や埼玉工業大学のように、理工系や生命科学系などの最新のテクノロジーの研究ができる大学にまで発展したところもあります。

学校選びは偏差値や設置学部だけなく、このような背景を調べることで、その特徴を知ることもできます。気になる大学の歴史も調べてみてはいかがでしょうか。

キリスト教系大学 学生数ランキング

2016年12月28日 水曜日

年末年始は何かと宗教行事の多い時期です。キリスト教系の学校では、クリスマスに向けて、様々な飾りつけや聖歌隊の演奏などが行われるミサなど、この時期を祝う行事が続きます。

キリスト教系大学の学生数をグラフ化しました。(元データ「大学ランキング2017」朝日新聞社)大学名の後ろに★がついているのは同じキリスト教でもカトリック系の修道会が運営している学校です。同志社をはじめとして星印がついてない大学は、プロテスタント系です。プロテスタント系はカトリックと違ってその中でさらに宗派に分かれているので、それぞれの宗派が学校を作ることによって学校数は多くなっています。たとえば学生数1位の同志社と2位の関西学院は同じプロテスタント系で、どちらも日本基督教団指定の神学部を設けていますが、同志社は「会衆派系」、関西学院は「メソジスト系」と少し違いがあり、関西学院は同志社より同じメソジスト系の青山学院の方と仲が良いようです。

同志社では毎年クリスマスの時期に、「全同志社メサイアコンサート」を行います。ヘンデルのオラトリオ、「メサイア」全曲をオーケストラと合唱併せて200人近い学生が、外部のホールを借りて演奏するという一大イベントです。約2時間半の長大な曲ですから一般の演奏機会は少ないのですが、キリストの誕生を祝う内容の名曲の演奏を毎年楽しめるというのは、同志社大生の特権でしょう。聖歌を大切にしたといわれるマルティン・ルターの考えがここにも生きているのでした。
(明日の「仏教系大学 学生数ランキング」に続きます)

全国高校駅伝大会が開催されました

2016年12月27日 火曜日

駅伝ファンの皆様、お待たせしました。今年も恒例の「全国高校駅伝競走大会」が京都市内を舞台に開催されました。男子は第67回、女子は第28回となるそうです。個人で競うことが多い陸上競技ですが、駅伝は区間ごとの距離やアップダウンなど条件が異なるため、どこにその選手を配置するべきかなどチームプレイとしての側面と、合計でのタイムで競うわけですから選手層の厚さがものをいう競技です。今回もトップ集団の順位が途中で入れ替わるなど、目が離せないレース展開でした。男子は倉敷(岡山)が初優勝、女子は大阪薫英女学院が2年ぶり2回目の優勝を果たしました。 

この大会は記念大会を除くと各都道府県から1校しか参加できませんので、高校野球よりも出場のハードルが高いといえるでしょう。元々長距離走に向いた生徒が入学しているケースもあると思いますが、他のスポーツと同じように練習方法や監督の指導など、総合力でが勝っている学校が常連校となっています。

 男女の結果です。入賞の順位である1位から8位までは全国の高校から、それ以下は大阪、奈良、京都、滋賀、兵庫の学校のみリストアップしています。

 

男女とも入賞の西脇工業高校は、機械科、電気科、工業化学科、情報・繊維科、総合技術科の5つの専門科を持つ兵庫県立の高校です。特に長距離走の選手を集めているわけではないと思うのですが、上位入賞の常連校となっています。

同じく近畿から男女とも出場しているのが、奈良の智辯学園。県代表になっている段階で十分強いと思うのですが、さらに練習環境を向上させるために、同じ学校法人が運営する智辯奈良カレッジに活動の拠点を移すという話も伝わってきています。

京都の洛南も2年連続の入賞。関大北陽も2009年からの8年間に6回大阪代表になる常連校です。

女子は大阪府摂津市の大阪薫英女学院が2年ぶり2度目の優勝となりました。この学校は英検の合格率で有名な学校ですが、バスケットボールも全国高校バスケット選抜優勝大会で全国ベスト4に進むなど(12月26日現在)スポーツも盛んです。

薫英女学院についてはこのブログでも以前紹介していますので、併せてお読みください。

http://www.kaisei-group.co.jp/nyushiblog/juniorhigh/25579.html

 冬は長距離走の季節です。陸上に興味のある方や駅伝が好きな方はこれらの大会結果も学校選びの参考になさってはいかがでしょうか。

 

 

小学校英語 教科化 2018年より先行実施

2016年12月26日 月曜日

12月22日の毎日新聞によりますと、2020年から導入予定の新指導要領の目玉の一つである「小学校英語の教科化」が2018年より先行導入されるとの報道がありました。2020年導入ということは、関係するのは現在の小1以下の学年だと見られていましたが、この先行実施によって現在の小3以下の学年が影響を受けることになりました。

 

(毎日新聞Online http://mainichi.jp/articles/20161222/ddm/002/100/163000c より引用)

ここで、気を付けたいのは、指導要領によって「教科として」教えられる科目になるということは、今でも私立中学校入試で一部選択として扱われている英語が本格的に導入されるばかりでなく、公立中高一貫校の適性検査も変わってくることが予想されます。さらに、中学入試を考えていない生徒にとっても、中1の英語の教材から、現行のようなアルファベットと簡単な単語といった導入段階が消え、ある程度のまとまった会話文や文章からスタートすることになるなどの影響を受けることになります。

加えて新聞記事には最後に書かれていましたが、新指導要領では高校の間に学ぶ英単語の数を、現在の3,000語程度から5,000~6,000語程度に増やすとのことです。従って大学入試に出題される英語長文のレベルも上がると考えられます。(実は、今の大学入試で使われている英語の長文は、雑誌記事や小説を題材に使っているものが多いのですが、原文のままではなく、高校生でもわかるように、表現技法や単語のレベルを落として書き直しているものがほとんどです。)つまり、今の小3以下の学年が大学受験をするころには英語圏で実際に使われている本格的な素材文を早く読んで的確に理解する力が必要になるというわけです。

小学校が全面的に外国語を取り入れるのは史上初めてのことであり、教員の研修も含めて授業の質を保証する方法についての詳細が決められていないタイミングで、さらに工程を短くする答申に対しては今後議論も起こるでしょう。しかし、導入時期が決まったことによって一部の私立小学校や公立の研究校で行われている実践が紹介される機会も増えると思います。