2021年度 大学入試概況(中間報告)

2021年1月15日 金曜日

2019年11月1日の大学入学共通テストに関わる英語外部検定の取り扱い変更や、記述式導入の見送り、コロナ禍による2020年2月27日に出された一斉休校要請にともなう3月から5月に至る休校に加え、2020年9月のe-ポートフォリオ消滅などとボコボコに翻弄され続けてきた今年の大学受験生たちですが、この状況の中でどのような入試動向になっているのか、まとめてみました。

【学校推薦型選抜・総合型選抜利用者は微増】  大学入試改革の混乱を避けるべく、5年ほど前から有名大学附属または提携している中学校、高等学校の難易度、競争率は向上しているのと同じように、学校推薦型の利用も増える動きも見られました。(上宮高校プレップコースが顕著)しかし、3月以降、対外試合や研究発表の場が失われたためでしょうか、総合型での出願そのものを見送る受験生もおり、結果的にトータルではほぼ同数となりました。

【関西圏から首都圏への受験生は激減 西日本から関西圏への受験生も減少】  長距離移動を避ける流れは受験生にも見られます。現段階の推薦系の入試結果からの分析ですが、関西圏から首都圏への出願は昨年よりも大きく減っています。少なくとも開成教育グループからは早慶上理が半減、GMARCHが2割減しています。一方、学校選抜型(公募推薦)に関して関西圏の30大学の出願者数は昨年比で5.3%減。志願者が最も多い近畿大学と2位の龍谷大学が昨年の揺り戻しで10%以上増やしていることから、実際には昨年よりも大きく減らしている大学が多く、関西圏への流入減少と一人当たりの受験回数減少のダブルパンチを受けている様子がわかります。その裏では、岡山理科大学が志願者を増やしているなど、地方の受験生がその地域に留まる動きとなっています。また受験であっても人混みに出かけることへの抵抗感があるようです。中学受験の県外入試(統一日の前哨戦として利用される近畿圏以外の私立中の大阪会場入試など)の受験者が激減(香川誠陵中志願者は前年の4割減)と同じような現象が大学入試でも見られます。大学へのアプローチがバスに限られる京都産業大学、摂南大学もマイナスとなっています。

【看護系・医療関係(コ・メディカル)志願者増】  ほぼ1年間毎日のように繰り返し報道されている医療現場の大変な状況や治療薬・ワクチン開発への待望感なども受験動向に影響が出ています。特に看護系は厳しい労働状況の報道を受けて、志願者が減るのでは、といった声もありましたが、現段階では看護系は志願者増、景気悪化の影響からトータル学費の高い薬学部は減少が見込まれましたが、昨年並み、理学療法や救急救命など医療関係資格系が増となっています。特に人工呼吸器「ECMO」の操作が学べる臨床工学やPCR検査の臨床検査、放射線の志願者は数が増えているだけでなく、説明会参加の段階から友達同士で来るのではなく、進学校からの一人での参加が増えるなど意識の高い受験生が集まった(森ノ宮医療大学)といった声も聞かれます。今の18歳は意識が高いようです。

大学入学共通テストが終わればいよいよ後半戦。既に主要私大の出願動向も見えてきましたが、関西では最難関の同志社が昨年並みと、上位に関しては昨年並みの戦いとなりそうです。これからが本命の受験生の皆さんは、体調管理に気を付けて、最後の調整に臨みましょう。