大阪府の公立高校改革は成功したのか(その1)

2021年9月29日 水曜日

マスコミによる進学校比較の記事を時々目にしますが、大阪の高校に関する記事では2007年からの橋下府政の元、2011年の進学指導特色校の指定や2014年の学区撤廃など、一連の改革で大学進学に特化した一部の公立高校に受験学力の高い生徒を集めることができ、大学進学実績向上に成功した、という論調が多いように思います。そこで、20年前の2001年の毎日新聞社「高校の実力2001」のデータを元に、比較の表を作ってみました。

まず、旧帝国大学7大学+東工・一橋・神戸を足した「難関10大学」で比較してみました。実数比較だと学校の卒業生数による影響が大きく出ますので、まず、それぞれの年度の卒業生数で実績数を除した「率」を計算し、その差でランキングを作りました。

北野高校は146→214、豊中高校が0→90。20年前の豊中高校は、大阪市立大が17名、大阪府立大18名の合格実績はありますので、国立大へも何人か合格したと思いますが、少なくともこの資料には難関10大学の実績が記録されていません。3位が天王寺高校。ここまで見ると府立高校は強くなったね、という話になりますが、4位の開明、5位の大阪桐蔭、10位の大躍進している桃山学院などは私立です。つまり、私立もそれに負けずに伸びてきています。また、7位にTOP10高、つまり進学指導特色校ではなく、制服もない自由な校風の春日丘高校がランクインしています。

次年度から移転し校名変更する大阪国際大和田や校名が変更し共学化した常翔学園も、今やトップ進学校の仲間入りを果たしています。

この表には入れていませんが、府立高校でも進学実績を逆にここ20年で落としている学校もあります。TOP10高では、四條畷高校が105名→78名、生野高校が58名→41名と減少しています。

(続く)

関関同立附属校 内部進学率2021

2021年9月28日 火曜日

ここ数年、有名大学附属中高の人気は高まっており、競争率も高止まりとなっていますが、そこから系列大学への進学率はどうなっているのか気になって調べてみました。ひとまず、関関同立の附属高校からそれぞれの大学への進学率が判明している範囲でまとめています。

確かに北海道にある立命館慶祥高校からの立命館大学への入学率は半分以下というのは理解できますが、関西学院千里国際から関西学院大学へ進学したのが半分強、案外低いです。実は海外の大学への進学者も多いのが原因の一つのようです。

一方、東大・東大、難関国立、国公立医学部への複数合格が出ているのは立命館系のみ。特に先に挙げた立命館慶祥高校から医学部に22名も合格しているのは驚きです。

というわけで、「難関大学附属」といっても、系列校に進学する生徒だけではないですよ、というお話でした。

【いよいよ開催】開成進学フェアオンライン2021【9月25日~10月3日】

2021年9月24日 金曜日

ことしもついにこの日がやってまいりました。年に一度の大イベント「開成進学フェア!」。今年で32回目となります。2019年までは大阪では「マイドームおおさか」を借り切って4000名以上の方に集まっていただいていましたが、今はもうそんなことはできません。それどころか、マイドームおおさかは集団接種会場となっています。というわけで、オンラインでの開催です。

今年の特設サイトでは訪問した学校数に応じて「コイン」がたまる、という仕掛けを用意しています。このコインを換金することはできませんが、集めた枚数上位500位に入ると、100名に抽選でクオカードが当たるというお楽しみ企画となっております。明日13:00から特設サイトオープンします。このイベントはお申し込み制となっておりますので、まだの方はこちらからどうぞ。

【近畿圏】⇒開成進学フェア2021オンライン (kaisei-group.co.jp)

【首都圏】⇒開成進学フェア オンライン2021 | イベント・トピックス | 個別指導学院フリーステップ[関東] (kaisei-group.co.jp)

大阪薫英女学院高等学校 オープンスクール

2021年9月21日 火曜日

昨年このエントリーで、鉄分(鉄道ファンの要素)を少し含んだ紹介をさせていただいた、【ことしもやります】薫英女学院中学校高等学校「留学フェア」【30年の歴史】 « 学校選びの道しるべ|開成教育グループ 入試情報室 学校・入試情報ブログ (kaisei-group.co.jp) 大阪府摂津市の薫英女学院から、オープンスクールのご案内を頂きました。で、そのチラシの裏側を見ると・・・「関関同立実績、大阪の女子校トップ」と書いてあります。その昔、立命館のほぼ英語で勝負がつくE方式という入試があったころは立命館だけで200以上の合格数を誇っていたのですが、近年では関学、同志社という、むしろそれよりも難易度の高い大学へのシフトを行っているようです。英語で記述が勝敗を分ける同志社に強いというのは、流石です。

それよりもインパクトがあるのは、昨年度の卒業生のうち、英検1級が4名!ほぼ全員が英検2級以上に合格しているというデータです。薫英女学院ですから、駅伝チームも女子バスケットボールチームもいる中で、この割合はすごいです。

その他、海外留学や新コースの設置など、熱い話題が聞けそうなオープンスクール。面白そうですね。お申し込みはQRコードか学校のHPからどうぞ。

大阪高等学校 オンライン保護者対象学校説明会

2021年9月16日 木曜日

大阪市東淀川区、阪急京都線相川駅からすぐの大阪高等学校は、日本大学大阪中学校(漫画家の水木しげる先生も卒業生)をルーツに持つ男子校でしたが、13年前に共学化して今では1学年500名近いマンモス校となっています。大学などへの進学実績も向上していますが、特徴的なところでは2年前から始動した探究コースで、様々な地域問題、社会問題に向き合う教育実践が行われています。

さて、残念ながらまだまだ気の抜けないコロナ禍ですが、そんな中でもこのように特色のある取り組みを知りたいという保護者の方は少なくないと思います。まさにそれに応えるかのように大阪高等学校はオンラインでの保護者向け説明会を行います。申し込み制となっていますので、このチラシのQRコードからどうぞ。

東大谷高等学校 入試に英語リスニングを導入

2021年9月15日 水曜日

以前このエントリーでも紹介した、大阪府堺市、泉北高速鉄道泉ヶ丘駅近くの東大谷高等学校についてです。大阪大谷大学との連携で、「9年一貫の薬剤師育成プログラム」や「7年一貫教員育成プログラム」に加えて、関西大学との「高大接続パイロット提携」など、高校卒業後の進路についても手厚い制度を持っている学校です。国公立をはじめとする難関大学への進学を実現する「特進コース」。ネイティブの先生らによる生きた英語に加え、第2外国語の学習もできる「国際コース」。私大や各種高大接続プログラムが用意されている「進学コース」と目的とその手段が明確な3コースに分かれていますが、いずれのコースでも、「キャリアデザイン」や「探究」、「ICT」に関する、先生方の熱意溢れる取り組みに加えて、これからのグローバル化に対応する「本物の語学力」の取得を目指しています。

という流れで、今年度入試から英語に「リスニング」を導入するということになったようです。そもそも大阪府の公立高校入試ではがっつりリスニングがあるわけですから、今までなかった方が不思議なような気がします。

学校からサンプル問題も送られてきました。今年の受験生にとっては初めてという事で、どのような出題になるのか心配になるかもしれませんが、そこはさすが東大谷、一歩先まで準備されています。

というわけで、高校3年間のみならず、生徒さんの受験前と卒業後の人生までしっかり考えてくださっている東大谷高等学校なのでした。

【スクープ】明浄学院高等学校 2022年度から 藍野学園と協力関係

2021年9月14日 火曜日

★本記事に関して、一部未確認の内容がございましたので、謹んで修正させていただきます。「藍野高校の移転」に関する内容は取り消しさせていただきます。

今年も吹奏楽部は全国大会への切符を掴むなど、100周年を迎えた元気な女子校、明浄学院高等学校ですが、運営する法人が茨木市にある「学校法人 藍野大学」に変更される見込みとなりました。大阪観光大学も明浄学院の運営でしたが、そちらは切り離して高校だけの法人変更となるようです。その恩恵(?)として、明浄学院から藍野大学や藍野短期大学、同じ法人が運営するびわこリハビリテーション専門職大学に進学するときには入学金が免除になるという特典が設けられるようです。

ところで100年間女子教育を貫いてきた明浄学院ですが、2024年から「一部共学化の構想あり」との情報を得ました。

明浄学院は、地下鉄の文の里・昭和町、JR阪和線の美章園、近鉄の河堀口と各線から徒歩圏という交通至便な場所にありますので、広い範囲からの受験生が期待できます。因みに既に2024年に向けて、新校舎の建築が行われているようです。これから「明浄学院」は大きく変わりそうです。

開成進学フェアオンライン2021 来週末いよいよ開催!

2021年9月13日 月曜日

昨年から大きくリニューアルした、「開成進学フェアオンライン」がいよいよ来週土曜日から開催されます。中学入試・高校入試に関する最新情報や入試問題研究、受験生への応援メッセージなどのコンテンツ満載。9月25日、26日にはライブでの学校説明会もあります。まだ、内緒ですが毎日夕方にはライブでの「終礼」も企画中。塾に行く前にスマホ見てね。

いろいろな学校を巡るとコインがたまる、それによってメイン画面が変わっていく、しかもたくさんコインを貯めた人にはクオカードが当たるかも、という楽しい仕掛けもあります。

事前エントリーも好調です。現時点での学年構成はこんな感じです。

ここで学校の先生方への業務連絡です。今回開成進学フェアオンラインに参加していただいている学校はもちろん、そうでない学校の方も大歓迎ですよ。エントリー時の学年入力欄に「学校関係者」という選択肢もあります。お待ちしております。

エントリーはこちらからどうぞ

近畿圏はこちら

開成進学フェア2021オンライン (kaisei-group.co.jp)

首都圏はこちら

開成進学フェア オンライン2021 | イベント・トピックス | 個別指導学院フリーステップ[関東] (kaisei-group.co.jp)

大阪府公立高校入試、グローバル系学科の志願動向(3)

2021年9月10日 金曜日

(中学生の人口減に対し、変わらない募集定員)

また、中学生の人口減少に伴い、大阪府公立高校全日制の定員合計は後期入試に一本化された2016年には43,668名だったものが、2021年には34,903名と2割以上減少しています。しかし、先に挙げた14校の定員は2016年の1.280名から2021年の1,255名とほとんど変化がありません。募集停止した大阪市立西高校英語科の80名の減少を加えると8%減となりますが、実は2019年に大阪市立水都国際高校が80名の募集を開始していますので打ち消され、つまりここ5年間で定員はわずか5名減と実質変化はありません。各学校ではグローバル系の学科の定員は少なく、ダウンサイジングが難しいという硬直性が、結果的に倍率低下につながっています。

(グローバル教育の一般化)

中学校の英語教材も改訂され、実際の会話場面を想定したような内容も多く取り入れられています。さらに高校の指導要領も2022年度から「英語表現」という科目が、「論理・表現」とさらに実践的な内容になるなど、普通科に在籍していても実際の場面でも使える英語教育に変化しています。また、普通科であってもオンライン英会話や、コロナ禍の今年は難しいですが、海外研修を行っている学校も珍しくありません。つまり、あえてグローバル系の学科に所属しなくても十分な英語学習や異文化体験が行われるため、英語の授業時間数が多く、ネイティブスピーカーを用意しているグローバル系の学科の魅力が相対的に薄れているともいえるでしょう。

しかし、逆に言えば、高校入試段階で英検などの外部資格向けの学習もしたことがなく、英語がそれほど得意ではないが、英語力は付けておきたい、という中学生にとっては公立高校のグローバル系の学科を受験するのは、今はチャンスだという事になります。語学力は常にアップデートしていくことが大切ですので、長い目で見れば、レベルに応じ効率的な学習方法を身に着けることが大切です。中学生の皆さんは、複数の私学と公立高校の違いを比較して、自分の状況に適した学校を選んでいただければと思います。

大阪府公立高校入試、グローバル系学科の志願動向(2)

2021年9月9日 木曜日

学校ごとの状況がこちらです。複数の学科を持っている学校は、第1志望者だけでカウントしています。2021年度入試では14校中8校が定員割れを起こしており、普通科を志願していた受験生が第2志望のグローバル系学科に回されるという事態も珍しくなくなりました。

箕面高校のみ2倍を超えていますが、それでも4.68倍でピークだった2018年度に比べると大きく低下しています。どうしてこのように低下しているのでしょうか。

(英語学習の低年齢)

まず、一つに英語力取得の低年齢化が挙げられます。小学校でも英語が教科化されましたが、英検等民間検定の低年齢化は進行しており、高校に入ってから英語力を取得する、というニーズの低下が考えられます。実は2017年度から大阪府では英検等外部資格の取得者は、例えば英検2級なら80%、英検準1級なら100%の得点が保証されるみなし得点方式が導入されており、高校受験の段階で英検2級以上を取得している受験生が年々急増しています。(2017年度344名→2021年度2290名)2021年度入試では北野高校出願者の、なんと約8割が2級以上取得者です。もちろん英検などの民間検定だけが英語学習ではありませんが、彼らにとって英語との戦いは既に高校受験の前に終了しているわけです。それに伴い高校で英語を特化して学びたいという中学生は減少しているのではないでしょうか。

(私学との関連)

次に、考えられるのが私立高校との競争です。グローバル系の学科といっても、公立高校ですので経済的に大きな負担となる長期間の海外研修や少人数授業の実施には限界があります。その点、私立高校の中には1年前後の長期留学や、海外の高校と提携して両方の卒業資格を得られる、中には海外の有名大学への進学に有利になる国際バカロレアのディプロマ取得ができるなど、大きく異なるカリキュラムを備えているところもあります。また、大学進学準備を考えたとき、高校の3年間ではなく、中学からの6年間の中に海外研修を配置しているカリキュラムは安心感が違います。つまり、皮肉なことに英語力やグローバル感覚への関心の高まりと、それに応える私学の学習環境の向上が、相対的に公立高校のグローバル系の学科の競争率低下につながっているとも考えられます。(続く)