城星学園と大阪星光学院

2017年4月6日 木曜日

以前、この欄でも紹介した大阪城の南の文教地区にある「城星学園」中学校・高等学校はキリスト教系の女子校ですが、昨年同じキリスト教系の「大阪星光学院」との人的交流を含む業務提携が発表され、「もしや合併??」と教育業界に激震が走ったものですが、今回は新教頭先生から直接話を伺う機会がありました。実はこの教頭先生自身が大阪星光から異動なさったそうで、なるほど、人的交流というのは先生の事だったのね、と納得です。

その先生が、昨年度の大阪星光学院特別ゼミ(ほしゼミ)の資料をくださいました。このゼミは、実際に病院や研究所に出向いて行う希望者参加の体験型学習です。半年で6回ほど行われています。「放射線治療」「はやぶさの軌道決定」「iPS細胞」「地球工学」・・・このように最先端の研究が行われている施設を利用することがなぜ可能なのかなと思い、よく資料を見ると、なるほど、これらのゼミの講師である研究者は大阪星光のOB達なのでした。理系の内容だけでなく、経営工学など社会科学のプログラムも用意されていました。また、このゼミとは別に高校生模擬裁判選手権の案内もありました。

そして、どうやら城星学園の生徒さんにも、こういったプログラムを提供しようと考えていらっしゃるとのことです。まだ、詳細は決まっていませんが、このような普通の中学生や高校生が触れることができない最先端の研究を見せてもらえるという事になれば、生徒さんにとっては大きな刺激となり、将来に向けた意欲も高まる事でしょう。元々少人数制を活かして理科の実験が多いなど、体験型の授業が多い城星学園ですので、生徒さんたちも喜ぶことでしょう。

因みに城星学園小学校は共学の進学校として有名ですが、そこから大阪星光学院への入学枠というのも検討中とのことで、お互いにメリットがある提携となりそうです。

城星学園中学・高等学校の今年度の入試説明会やオープンスクールの予定も既にHPに公表されています。このなかで具体的な内容が順次発表されていく事でしょう。今後もこの2校の提携が、どのような相乗効果を生むのか注目されるところです。

 

大阪大学2017年度合格者数 高校別実績比較②

2017年4月5日 水曜日

さて、それでは今年学年占有率が10%を超えた13校の過去4年間の推移を見てみましょう。

御覧のように、北野高校が2年連続で伸ばし、2年連続で首位だった茨木高校を抜いてトップとなっています。また、昨年度少し後退した長田高校も今回伸ばして占有率を15%台に乗せています。(前日の表もご参照ください)しかし、全体的にみると、北野高校以外は合格者数55~40名付近に集まってきており、いずれの高校も熾烈な争いになっていることがわかります。

今年から後期入試がなくなった大阪大学ですが、逆に「世界適塾入試」という特殊な推薦入試を始めています。東大や京大の推薦入試と同じように広い範囲から志願者が集まることから、一つの高校から大量合格するのも難しくなるかもしれません。阪大への合格を勝ち取るには高校入学後も幅広い学習が必要となるでしょう。

 

大阪大学2017年度合格者数 高校別実績比較①

2017年4月4日 火曜日

昨日から実質新年度が始まりました。各学校も新たな入学生を迎え、少し落ち着いた時期を迎えます。

さて、大阪大学の高校ごとの合格者数も次第に明らかになってきました。まず、合格者数を卒業生数で割った「占有率」でのランキングを見てみましょう。

 

統計上の誤差を避けるため、2017年度入試で合格者の実人数が20名以上の37校だけを取り上げています。学校名の後ろに★印が付いているのは公立の高校です。

トップの大阪府立北野高校をはじめとして、公立高校の躍進が目立ちます。トップ10校の中に、公立が7校ランクインしており、近畿各地域のトップ校の名前が並んでいます。

このランキングだけを見ると、中高一貫の進学校である私立高校の割合が低いように見えますが、国公立の医学部や京大・東大といったさらに難易度の高い大学へも分散していますので、この指標だけで学校の教育力を測ることはできません。とはいえ、公立高校同士で考えると、高校入試の難易度との相関があるようです。


(続く)

 

東大ランキング2017 ③

2017年3月24日 金曜日

京大ランキングと同じように現役と既卒の割合も図にしてみました。

いやぁ、ここでも灘高恐るべし。図には表していませんが理Ⅲ合格者も18名と1位です。2位の開成の9人を大きく引き離しています。近畿圏で東大合格といえば、ここに迫る学校はありません。

また、この図を見ると、公立(学校名に★がついた学校)はことごとく中心線より下、つまり現役の合格率が低い学校となっています。全教科が得意科目でなければ勝負にならない東大では、公立の3年間という時間は短すぎるという事なのでしょう。おそらく医学部医学科で集約しても同じような結果になると思います。このレベルの入試では6年一貫教育の優位性が生きてくることがわかります。

今の好況感から、文系への回帰が起こってきています。また、一時は減少傾向にあった「遠距離入試」も回復傾向がみられます。従って東大の文系などは今後さらに難化すると考えられます。安定して東大への合格者を出していた進学校も、今後は厳しい戦いにさらされる事になるでしょう。

 

東大ランキング2017 ②

2017年3月23日 木曜日

京大ランキングで紹介した通り、兵庫の甲陽学院や奈良の西大和学園など関西から東大シフトしている学校もあります。その影響もあるのでしょうか首都圏の学校で合格者数が減少している学校が目立ちます。具体的にどのような学校が増加しているのでしょう。表にしてみました。(単年度で合格者が10名以下の学校では変化の割合が極端になりますので除外して集計しています。)

 

この表では、年度による波を緩和するため、2017年度入試実績(既卒含む)と2016年度入試実績の合計を、2015年入試実績と2014年度入試実績の合計数で割ったものです。つまりこの数値が高い方が東大合格者を順調に伸ばしている学校ということになります。

近畿地方の学校にはピンク色、その他西日本の学校を水色で塗っています。ご覧のように西大和と甲陽が増加率上位に食い込んでいます。併せて★印の付いた公立高校、☆印の国立大附属校も健闘していることがわかります。西日本の学校も4校が増加組に入っていますが、ラ・サール、愛光は伸びているというより、長期的にみると回復してきたという見方ができるでしょう。(続く)

 

東大ランキング2017 ①

2017年3月22日 水曜日

京大に引き続き、東大の状況も知りたいとのご要望を頂きましたので、東大に関しても同じ分析を加えてみました。(サンデー毎日・週刊朝日の数値を参照しています。この数値の元は学校からのアンケートによるものですが、100%回収できているわけではないのであくまでも途中集計としてご覧ください。)

学校の所在地が近畿圏のものには見やすいようにピンク色で塗ってみました。

 

卒業生数に対する現役合格者数の割合でランキングを作るとこのようになります。実人数ランキングでは東京の開成が159名(内現役103名)でダントツの1位ですが、卒業者数が400名近い学校ですので割合にすると2位となります。(続く)

 

京大ランキング2017 ②

2017年3月21日 火曜日

近畿圏では公立高校の躍進も目立ち、その動向が注目されていましたが、そこに注目してみましょう。かつては中高一貫の私立進学校に比べて、公立高校は入学してから3年間という時間の制約があるため、現役合格は厳しいとのイメージがありました。昨日に続いて現役と既卒の占有率の相関図を作ってみました。

 

近似線の上は現役より既卒の割合が高いことを示しています。すると同じ公立でも二通りあることが判ります。

 

堀川・北野・西京は現役の比率が高いのに対し、膳所・天王寺・茨木・奈良・長田などは既卒と比較して現役の実績が低めになっています。深い思考力や相当量の記述力が必要とされる京大に現役で合格するためには旧来の知識重点型の学習では厳しいわけですが、堀川や北野ではそのレベルの入試も意識した授業内容になっていると考えられます。西京は中学校も併設していますので、6年間という時間を有効に活用した実践もプラスに作用していると考えられます。いずれにせよ、大学進学に関して公立高校が伸びている、と単純に考えるのではなく、公立の間にも大きな違いがあると考えるべきでしょう。

高校選びの参考にしてみましょう。

 

京大ランキング2017 ①

2017年3月20日 月曜日

京大の2017年度入試の高校別合格者数が判明しました。(サンデー毎日・週刊朝日の数値を参照しています。この数値の元は学校からのアンケートによるものですが、100%回収できているわけではないのであくまでも途中集計としてご覧ください。)

※このランキングは2017年の実合格者数が15名以上の44校についてまとめています。それ以下の人数の学校では人数の増減が大きな割合になってしまうため、今回の集計から除外しています。

まず、週刊誌報道では現役と既卒を合計した人数によるランキングが発表されていますが、実数では学校規模の影響を受け、既卒者も合計すると学校というより予備校による成果も加味されるため、現役合格者数の卒業者数に対する割合で独自にランキングを作成してみました。

公立高校は学校名の後ろに★印をつけています。

1位は東大寺学園。既卒を併せた実人数では洛南が67名で全国トップですが、卒業者数が東大寺の2倍以上ですから、占有率としては低くなってしまいます。京大現役合格者数は例年安定して17%ほどで推移しています。

2位は甲陽学院。京大合格者数についてはここ数年わずかに後退していますが、東大合格者が3割増と東大にシフトしています。かつてはこのあたりの順位にランクインしていた西大和学園も今年度は14位に後退していますが、同様に東大合格者を3割以上増加させています。

3位は灘。単に現役合格が多いだけでなく、医学部医学科に21名合格と、全国の高校でぶっちぎりの実績です。ちなみに医学部医学科の合格人数2位は洛南の12名、二桁合格はここまでで、3位以降は一桁の人数です。
4位・5位と公立が続きます。(続く)

 

大阪府 公立高校 出願状況(旧第4学区)

2017年3月17日 金曜日

大阪旧第4学区です。

他の学区と同じように、倍率が1.42倍を超えたところを黄色で縫っています。泉北の国際文化と総合科学が同じ倍率なのに色が違うのは、四捨五入の関係で実際には総合科学の方が1.4153…倍ですので、色を塗っていません。

さて、この地域でも進路希望調査からの調整が効いて、結果的に高倍率になったのは泉陽と泉北の2校にとどまりました。泉陽は2月8日の進学希望調査からなんと139名も流出しましたが、それでも昨年をはるかに超える569名が出願し、激戦となっています。和泉も101名流出となりましたが、こちらは昨年並みの1.25倍と落ち着きました。

グラフ化してみると、この地域では難易度と倍率の相関が小さいということがわかります。学区北部の堺市域では難関校=高倍率という傾向が見られますが、学区北部では生徒の流動性が小さいためか難易度にかかわらず1.1倍前後となっています。

泉陽、泉北、高石、堺上はこの近似線から上に大きく外れています。「ソフトな進学校」として泉陽、泉北も安定して人気校ですが、朝10分間の読書指導と自習室の強化で進学実績を伸ばしている高石高校や、体育館やグランド、プールが充実しており、部活動も盛んな堺上高校は、(文化部には吹奏楽部がない代わりに合唱や軽音楽が盛ん)学校行事も多く、比較的自由な校風で人気を集めているようです。

今回の入試の合格発表は本日朝10:00です。一人でも多くの生徒が第一志望校に合格していることを祈っております。

 

 

大阪府 公立高校 出願状況(旧第3学区)

2017年3月16日 木曜日

大阪旧第3学区についてです。

 

この学区も、2月末の進路希望調査では1.42倍(受験生の3割が不合格になるというラインです。この表では黄色に数値を縫っています。)を超えている学校が5校ありましたが、実際の出願では2校に落ち着きました。ただし、今年の高津高校は昨年よりさらに35名多い578名が出願し、激戦となりました。定員未充足校も4校と他の学区並みに調整された形です。

グラフにしてみると、偏差値55、倍率1.3倍と偏差値39、倍率1.1倍の2点に学校が集中しています。この間のゾーンに私立高校が入り込んでいると考えられ、公立高校は進学校とそれ以外という2極分化が進んでいることがわかります。その中で難易度の高い生野高校は今年度落ち着いた倍率になっていますので、来年度は揺り戻しによる倍率の変動などに注意が必要です。(続く)