西武セゾングループ、高島屋、伊藤忠商事、丸紅、住友財閥、三井財閥、トヨタ自動車、日本生命、武田薬品工業・・・これらの名だたる大企業や企業グループの共通点は・・・実は創業者や創設に大きな影響を及ぼしたのは滋賀県出身者なのです。経済的に恵まれていた滋賀は商業人材育成にも力を入れており、「近江商人」を生み出してきました。
1922年に滋賀大学の前身ともなる高等商業学校が彦根につくられたのは知られていますが、その36年も前の1886年(明治19年)に開かれたのが、かの評論家、大屋壮一に「近江商人の士官学校」と言わしめた滋賀県立八幡商業高等学校の前身となる滋賀県商業学校なのです。1901年(明治34年)に現在の近江八幡に移転しますが、そこに英語教師として派遣されてきたのが、ウィリアム・メレル・ヴォーリズだったのです。旧制膳所中学、彦根中学でも週1日教えていたそうですが、キリスト教の布教も併せて行ったため、仏教徒の反発などで解職されてしまいます。そこで洋館建築の設計事務所を始めました。関西学院大学や神戸女学院大学などにヴォーリズの設計した建物がいまも多く残っています。解職された八幡商業学校の建物も手掛けたそうです。
その後メンソレータムの国内販売など多角化したこの会社は医薬品メーカーの近江兄弟社となっていくのですが、一方で教育にも強い関心があり、1922年に幼稚園を、1933年に女学校を設立します。そしてこの女学校が戦後の教育改革で近江兄弟社中学校・高等学校となったのでした。
前置きが長くなりましたが、この流れからお判りのように近江兄弟社中学校・高等学校はキリスト教(プロテスタント)の学校ですので、クリスマスもとても大切にしています。
先週、学校にお邪魔すると、白いケープ(肩からかける白い布)を巻いた中学1年生がわらわらと玄関に並んで、賛美歌を歌い始めました。最後の「ジングルベル」では飛び上がりながら楽しそうに歌っていて、聴いているこちらも楽しくなりました。この日高校生は午前中、中学生は午後から校内のみならず、近隣の施設などで賛美歌を歌って回るのだそうです。季節感を感じることができました。
受験生の皆さん、今年はクリスマスだ、正月だと浮かれている場合ではありませんが、入学すれば思いっきり楽しめますよ、だから今年は頑張ってね、というお話でした。